「おい聞いたか?今度は民主化だってよ」
「指導者様の代わりなんているのか……?それに、まだ全然成長が続いてるのに……勢いが削がれるぞこれ」
民衆は布告紙を見た瞬間に、困惑した。
数百行に渡る長文であるが、纏めれば案外短い。
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1:民衆に主権を一部移譲する
2:経済を躍進させ、さらなる発展を約束する
3:インフラ整備をしまくり豊かにする
4:移譲の段階は6段階に分ける
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このような内容だが……民衆たちは慌てた。
「この厳格な法治こそが、我々の平和なんだ!またデモだの、真に開かれた経済の自由だの言い出して、あの銃撃事件みたいに秩序を乱す奴が出てきたらどうする!」
「違法デモをしている奴らを取り締まってくれないのか?」
「国民投票の制度はあるし、それ以外で騒ぐ必要なんてない。指導者様の命令に従うことが、最も早く、最も豊かになる道だ!」
「デモ隊に1度でも加わった奴は居るか?」
「指導者の敵は民衆の敵!これはツァウスト帝国のスパイによる秘密工作があったんじゃないか?」
「いや、ツァウスト帝国じゃなくてきっとサザンクロス帝国の工作に違いない!指導者様の当然の権利を削ぐ、議会政治の奴らの思惑になる!」
このような反対が民衆の中に吹き出した。
なぜなら彼らにとって指導者の政策はいつだって正しい物だからであり、だからこそ大多数の国民は政策の是非を問う国民投票でも常に肯定していたのだ。
「皆、次の国民投票で否定するぞ!」
「これは明らかに国民に沿ってない政策だ!」
民衆は団結した。
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「うーん、どうして?」
「やっぱり民主主義はまだ早かったかあ……」
あなたは投票結果を見ていた。
国策の民衆への受け入れ度を測るための国民投票で、これほどの否定が出てきたのなら撤回せざるを得ない。
スクリーンに表示された**「主権の一部移譲」に関する政策の否定票は、過去の国民投票では見られなかった異常な高さを記録していた。
行政機構の硬直化と後継者不在のリスクを解消したかっただけなのだが。
「国民は、僕によって保証されている『絶対的な生命権』『絶対的な安全保障』『絶対的な効率性』こそ、自由や主権よりも価値あるものだと認識しているわけか」
あなたは腕を組み、目の前の膨大なデータ群をじっくりと見た。
この否定は、彼らが飢餓と貧困を根絶した私の統治に対し、絶対的な信頼を置いていることの裏返しで、そして同時に彼らが最も恐れているのは、成長の勢いが削がれること、そして違法なデモとかアナーキーたちのような無秩序が再燃することだと、データは明確に示している。
もし権限を分散すれば、技術開発指導長官としての私の迅速な判断が鈍り、国家経済計画長官としての資源配分が議会という名の遅延装置によって滞る。
そう考えているのかもしれない。
実際、抗議文はかなり長文なものが多かった。
その内容はだいたい、議会を指導者より下の物にしろとかそういう感じだし……全権委任法はあまりやりたくないけども。
「国民の総意がこれほど明確に出たのなら、国家立法長官として、この政策を強行することはできない」
あなたはため息をついた。
この体制の持続性という構造的な課題は一時的に棚上げされる。だが、国民が望む『国家の成長』を止めるわけにはいかない。
僕のやるべきことは、この国の発展を保証し続けることだ。
次の瞬間、僕の目は、複数のスクリーンの一番右端に表示された、次の開発計画のリストへと移った。
「良いだろう。彼らが国民の総意として民主主義を拒否したのなら、私は技術開発指導長官として、彼らの信頼に応える義務がある。」
「次の飛躍的成長はこれだ。工業製品の素材革命と、新たなエネルギー循環をする。
これが、彼らが望む『さらなる発展』だ」
あなたは静かにそう独白し、技術開発指導長官として、次の段階の計画、モンスター産業の確立へと視線を集中させた。
だが国家経済計画長官兼財務金融長官としてグラフを見た時、モンスター産業より牧畜業に投資した方が良いと思った。
「モンスター産業の導入をするより既存の牧畜業と農業を成長させるべきか」
「いや、牧畜業とセットで酪農と農業は育ってきているが……もうちょっと生産量を上げないと食糧が溢れるより先に人口が追いつくかもしれない。」
「月間基金増加は……月比で+91%!?なんじゃこれ!?」
税収の項目がとてつもない勢いで伸びている。
昨月、個人間での土地売買を規制したけど……それの反動にしたって増加の勢いがあまりにもおかしい。
ほとんど2倍?なんで今まで気づがなかったんだ……
そうだ、住民税を増やしたから人口増加に伴って爆増してるのか……
確かに戸籍に登録された人数がとてつもなく短期間に集中増加しているが……まあこれはどう考えてもベビーラッシュだな。
あなたは決断した。
91%ということは、前の月と比べてほとんど2倍であり
恐ろしい拡大を続けているのだ。
「とりあえず基金を輸入とか広範な建築物に使うとして……余剰プールは75%ほど保持しておこう」
「輸入で海外移民からさらに支持を伸ばそう」
「輸出入でウハウハだ!」
あなたは予算配分を再び考えた。
市場に基金を過剰に流すのはダメだし、特定産業に配分を一極集中しよう。
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「やったぞ!民主化を撤回してくれた!」
「素晴らしい判断だ!」
太陽が空の中心に上がった頃、人々は中央広場で議論に明け暮れていた。
隅の方にアナーキーたちが民主化運動の停止に対し批判をしているが、警察たちは何もしない。
なぜなら11時〜15時までは反政府デモが許可されているし、公に批判しても警察が強制的に鎮圧することは無いと憲法で定められているからだ。
先月に発生したデモ隊の強制鎮圧は19時という夕方以降にデモを行い、さらに巡回していた警察署長を銃撃したためであると表明されている。
国民はそれを信じていて、アナーキーがそれは土地投機を潰す行為だと言い、表明に対する中規模なデモが起きたのだ。
だが時間帯は正午であるため警察は法に違反している要素が無い以上は鎮圧が出来ない。
よって、本格的な銃や防弾ベストを装備すること無く広場を警察官は民衆を見ていた。
そもそも公に住宅地において銃を携行して良いのは警察官と兵士のみであるとされているので、銃を隠し持つ相手にはこの時間帯において不利である。
P90やAUGを装備せず、持っているのはパラベラム弾の拳銃のみ。
なぜなら9mmの弾が大量に生産されたからだ。
指導者は大量の銃器を生産したが、主な武器がサブマシンガンであったからであり、9.19mmの弾を共通弾薬としてピストルを製造した。
だからこそ、銃は警察官以外が公共の場所において持つことは基本的にない。
職務的必然性と警察官の権利に記載されており、多くの市民はこの法を理解している。
だからこそ、デモ隊の多くが市民で構成されている以上は警察官の装備を知っている。
だからこそ違法なデモ隊はバトルライフルなどを装備し中間弾薬を使用するのだ。
警察官の防弾ベストは拳銃弾用が主であり、これからケプラー繊維を編み込んだ防弾ベストが大規模に採用される分岐点であるためだ。
バトルライフルはアサルトライフルよりも高い火力を有し、拳銃弾よりも当然ではあるが強い。
警察官が過剰な武力行使を行うことは違法である─その法は銃という容易に命を奪いうる武装が出回ったためで、生命が脅かされた時以外で発砲するのは違憲とされる為であるのだ。
この時間帯は、バトルライフルなどを想定した防弾ベストを装備していないために警察官は比較的弱い。
まあそもそも銃の売買は非常に高額になるようにされているので、富裕層でなければ銃を手に入れることはできない。
ちなみに憲法と法律は全て指導者が考えているが、別途国民が法案を献策することも可能である。
「主張書はここだよ〜」
デモ隊は温和な態度を取っている。
なぜなら本来、デモ隊というのは国に対して不満を持つ人々ではあるが国の恩恵を受けた市民であるのだ。
デモも主張書を提出する、もしくは請願の主張を看板に描き、よく見える場所に置く。
もしくは看板を持ったまま行進するなどのことをしなければ、デモは当然のごとく違法になる。
先月の国策への不満を持った市民が起こした警察署長への銃撃事件、それに伴う警察への直接的挑戦をしたデモ隊は全員が『塔』送りになった。
この塔というのは一般人も見学できる留置所のようなもので、重大な犯罪を行った者が一時的に送られる場所なのだ。
対外的には屈辱感を与え、自責の念を与えるための施設とされている。
新聞の1コマに毎日、塔の中にいる犯罪者らはどんなことをしているのかが報道されている。
それは市民らの犯罪抑止効果を齎し、絶大な人気を誇るようになった。
『法への直接的挑戦』というタイトルで毎週、国営新聞が発表しているが、面白い興行のように扱われてしまっている。
市民はお金を支払い、塔の中を見学できるが……なぜか国が作った図書館よりも人気を博している。
指導者は大いに困ったがこれを皮切りに、娯楽の充実化を目指している。
民衆にはパンとサーカスを。それが指導者の理念である。
パンは満たされた。ならば、娯楽を改善すればもっと良くなるに違いないと、そう考えている。
文章の1話辺りの量について(調整)
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10000文字ほしい←現在の基準
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3500以上ならいいよ
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5000文字くらいほしい
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6000以上ならいいよ