この時、ツァウスト帝国では波乱が巻き起こっており、中央大陸では戦乱の世へと退行したものの……南大陸では話が別だった。
南大陸は、南と言っているが本当は寒い所もある。
緯度が南すぎて雪が降る地域もあるし、イメージ通りに熱帯雨林気候な地域もある。
南大陸の中央にはとても大きな間欠泉があり、ここからは地下でねっせられ、熱い地下水が白い蒸気としても出ている。
竹などが縦に割られ、家屋の屋根に貼り付けられたような外観をしている家がある。
竹からは水が流れており、屋根の下にあるこれまた竹の雨樋に落下していく。
年間降水量が多く、スコールも多い地域ではこのようにコンクリートを使うことなく自然を利用している。
だが彼らの文明は未熟なのかと言うと、そうでは無い。中央大陸へと進出し、広大な土地を求めて航海をしたため造船業はとてつもなく発展している。
彼らの外貨獲得手段はメインが絹織物の販売。サブとしては金額順に、お茶の栽培に農業の厄介者だった竹の加工品。果てはケシの栽培(敵対国向け)や民間向けの船舶……さまざまだった。
内需が伸び、貿易規模も拡大しつつある。
南東諸島……いや、サザンクロス帝国の人々は東の島々と呼んではいるが、ここではツァウスト帝国を中心とした地域名で話そう。これが世界標準だからね。
南東諸島はお茶や香辛料が金銀に変わる最前線。ツァウスト帝国では紅茶が根付いているためにお茶はあまり広がらなかったが……
その他の国々では違う。むしろバカ売れした。
サザンクロス帝国は売れば売るほど金が流入するということで輸出規模がどんどん右肩上がり。ついに14万tもの量が海外に売られるようになった。
ツァウスト帝国との技術交流によって防腐魔法や浄水魔法など様々なものを手にした。
生成魔法陣は慎重に取り扱われ……正式な場で技術供与されなかったがそれならばとスパイを送り込んだサザンクロス帝国。
これにより生成魔法陣を手にした。
だが利益だけではなく、失敗だった。
生成魔法陣は工場で最も重要な組み立てという工程をスキップできるがその代償として労働者の需要が激減した。
養蚕業にこれを用いることで絹織物の生産性は飛躍的に向上したが、それは終わりへの1歩だった。
解析がまだ80%ほどしか進んでおらず、中身を理解しないで半ばブラックボックスになっている状態で使用した。
継続学習の魔法式がないため、この生成魔法陣はかなりのダウングレード版だが仕方ない。
魔導工学の頂点である魔導列車も輸入されたがそれに用いられている魔法もほとんど理解できていない。
だがこれも仕方ない。
何故か?魔法の蓄積が少ないからだ。
内乱が少なく、安定した2300年と……歴史を振り返れば内乱と内乱とまた内乱、あと少しの反乱がブレンドされた戦乱の国だったところを比べればそれはそれはもう蓄積ができる訳もなく。
あと防腐魔法が伝わったのも最近で、食品の大幅な消費期限向上といった効果を齎したがその原理をあまり理解できなかった。
サザンクロス帝国は、知識体系に目に見えない物を含んでいたツァウスト帝国と比べて医療が未発達であり 微生物学や細菌学、病理薬学といった物の蓄積がない。
さすがに2300年も紙が腐らないチート性能の魔法と比べたらそれはもう全くもって違う。
まあ大まかに分けると建材用と食物用、保管用で3つほど防腐魔法の原理が違うやつがあるが……
おっと、ここから先は魔法学に入るからメモしておくように。ここをテストに重点的に出すからな 覚えておいてね〜
生徒たちに教えるのは教師。彼が広い教室で教鞭を取っているのはなぜかと言うと職業が消滅したからなのだが、公務員として再雇用された。
彼は太い本を生徒に開かせなから授業をしている。本はとても分厚く、5cmほどある。角が凶器になりそうな重みだ。
『ツァウスト帝国史改訂版最新版決定版Ver.6.5』
『サザンクロス帝国史決定版第2版最新版ver.3.16』
と書かれた本は、歴史の教科書の参考文献にもなるようなガチの本だが……巻名が少しこんがらがっている。
受験生たちはこの本を開き必死に丸暗記した。歴史の資料が蓄積されて分厚いツァウスト帝国史と比べてサザンクロス帝国史はヌルゲーだとされている。
だが地理と当時の主流な説、そして当時の政治を理解しないとまともに大局の動きがわからないツァウスト帝国と比べてサザンクロス帝国が楽だとする受験生たちも多かった。
ほとんど全ての歴史が内乱なので人物がやったこと、それによって動いた国民による運動……これだけで済む。
「先生、なんでこれ起きたんですか?」
生徒が手を挙げて質問する。先生と呼ばれた彼が教壇から降りて急行する。
指を指しているのはコラムの欄。そこに書かれていたのは風刺画だった。
万年筆を握った2人が南東諸島と書かれた土地で線を引きながら握手している。装飾品が付いていて、ツァウスト帝国と覚しき人物は肩から金の房を垂らし、特徴的な冠を付けている。
一方、サザンクロス帝国と覚しき人物は線を引きながらも視線は土地に向いていて、ツァウスト帝国と考えていた人物はサザンクロス帝国へと目線を向けている。
「あ〜、この太ってて頭が列車になってる人物がいるだろ?そう。これが29世で、こっちの痩せてて羅針盤みたいな頭の方が当時の外交官だ。」
「南東諸島の分割ってタイトル通り、南東諸島をツァウスト帝国とサザンクロス帝国で山分けしたことの風刺画だ。」
「2人は握手こそしてるが、サザンクロス帝国側は背中に鉄砲を持っている。これは当時のサザンクロス帝国に存在した銃器で、南東諸島の支配の仕方を風刺しているんだ。」
「輝く金貨の入った麻袋としてこの風刺画の左右に描写されているが……これは、注目すべきところが均等な量なことだ。」
「南東諸島の分割の時には手を取り合っていたことを示しているね。」
「まあ、いちばん重要なのは分割された国側で描かれたって所だな。南東諸島にあった国々は、サザンクロス帝国とツァウスト帝国によって属国にされていた。」
教師はそう言い、生徒の疑問を解消した。
(とんでもない不敬罪やってるなあ……作者は命を懸けて風刺したんだな)
生徒はコラムの一つにあるだけの風刺画とはいえ、 この風刺画は当時の執念や批判精神が混ざったものだ と思った。
本当はお互い外交官だが、許可も多分とってないのに皇帝の姿を描くということは明らかにとんでもない不敬罪 そう考え、度胸の極みな作者のことを思った。
この風刺画を描いた作者は不明とされているが。当時、この風刺画を書いた者のことを尊敬する。
そう生徒は心に決めた。
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「マジで!?」
あなたはスクリーンを見て、想定していた被害を遥かに超える撃破数を見た。元になったパットンにめちゃくちゃ改修をしたとはいえここまで撃破されるのはおかしい。
どこかに脆弱性があったのか?
あなたは自問自答しても原因がわからない。
魔導列車は非常に強い。砲撃や銃撃による水平モーメントの捻れを浮遊魔法により斜め方向に変換し、出力を調整することによりどんな砲撃をしても無反動になる。
だが戦車の砲撃でさえ脱線しないのはあまりにおかしい。
減速をするには空気抵抗を復活させるかタイヤをレールに触れるしかない。
高速域でタイヤがレールに触れれば金属疲労で根元からタイヤが千切れる……とばかり思い込んでいた。
だが実際は、障害物で乗り上げさせむりやりタイヤの下に潜り込んで脱線させるしか妨害する手段がなくなっている。
まさか金属疲労すらないのか?
ありえそうだ。あのツァウスト帝国の魔導列車をどうにかするには陸上ではダメだな。
はあ、戦車を大量に作ったのに魔導列車のせいでまったく太刀打ちできない。だいたいにして、撃破した時に爆発炎上してるが徹甲弾でエンジンを撃ち抜かれたんだろう。
戦車では圧倒的な徹甲弾に耐えきれなかった。
通信兵を作ったはいい物の、通信技術もあまり成熟していない。もうちょっと時間が必要だが戦争中、時間は最も貴重だ。どうにかしないといけない。
航続距離の関係上、列車の生産元になっている魔導列車の原料である主要な鉱山を爆撃することも難しい。
約2,100万k㎡の国土面積は異次元だ。国家全体に攻撃を仕掛けるのはもう不可能。相手は中央大陸の約7分の5を支配する列強。流石に勝てないか。
そろそろ休戦条約結んで世界大戦から撤退しよう。
頼りの綱だった航空機も、雲の中とかでもない限り撃墜してくる圧倒的正確性を持つ回転砲塔。
まじでどうしたらいいんだ?魔導列車が強すぎる。元は高射砲の機能じゃないんだろうけど、列車の左右に砲口を向けるためにZ軸方向にしたら高射砲の役割もできるようになったって所かな?いや……飛距離を稼ぐために仰角できるようにしてたのか?
まあどっちにしてももう無理だ。
世界大戦から撤退しよう。
もうこれ以上戦っても領土獲得は無理だ。
魔導列車が引かれていない地域ばかり獲得していたのは罠だった。引かれていても、資料を引き上げて学問都市襲撃の時もぜんぜん価値ある資料が見つからなかった。
偵察網と攻撃網を兼ねる魔導列車をどうにかしないと無理だが、実際としてどうにもできない。
分かってても対処できないっていうのは辛いねえ……
2億人に到達してもその大半はツァウスト帝国の移民や難民だし、周辺の国と合併して人口を盛っても実質的な数値はかなり下。
雇用を生み出しまくって労働者にしてもまだ全然足りない。
やっぱりツァウスト帝国に開戦すべきじゃなかったかな?でも全部世論が悪いなあ。
土地をむしり取ったと喜んでたら全てが罠だった。いやマジで最悪だ。
そもそも鉄道のレールを浮遊魔法で動かしてくるのがやばすぎるだろ。移動コストの理由でもある重さを浮遊でどうにかしてくるからマジで『柔軟な鉄道』というのは嘘偽りない。
こっちも空を飛ばしたいけど量産がムズいなあ……複葉機をVTOLみたいな機動にできるのはいいけどそれは敵も同じことをやってくるってことだし。
はあ、休戦条約を結ぶか。軍閥の足並みを揃えられないように殺しまくりだったのがダメだったかな?指揮系統はぐちゃぐちゃになったけど中途半端に生き残ったせいで有能なやつだけが残って工作員が次々に炙り出されていく。
はークソ。まったくもってクソ。
成層圏から爆撃しようにも空軍の練度がまったくもって足りないし、機体だけ量産してもパイロットの数が足りない。
石油化学を予算をこねくり回してどうにか何とかして作ったのにクソでかいコンビナートをツァウスト帝国は作ってくる。しかも化学繊維が漏洩でもしてるのかナイロン衣服を量産している始末。どうにか軟着陸で休戦したい。
どうにかこうにか賠償金は国民に暴動を起こされないくらいにしたいけどたぶん無理。都市に焼夷弾やったからもうツァウスト帝国は叩き潰してくる。
いやーもうやばい、完全にミスった。士気が下がると思ってたのになんか一致団結した。
あーあーあーあー、やべえわこれ
文章の1話辺りの量について(調整)
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10000文字ほしい←現在の基準
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3500以上ならいいよ
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5000文字くらいほしい
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6000以上ならいいよ