「〜ということでですね、航空機からこの銃を持って速やかに戦線参加ができるようになると思うんですよ。」
「いずれきっと地上戦ではなく空が主軸になります。その時に備えてこの銃ですよ。」
自信満々に提出された1つの銃。
ピカティニーレールが付いていて、ストックも短く纏まっていながらバレルの長さを確保するブルパップ方式にし、銃の重心位置をバレルと水平にすることで精密射撃も可能と言うカタログスペックを語られた。
「……なるほど?」
「つまりこれは、圧倒的な装弾数で地上で戦うのではなく、空から降下する兵のための銃器──ならここは要らなくないか?」
イメージ図が画鋲で壁に固定され、そこには銃の寸法や全体の重量、使用弾薬が書かれている。
だが形状は特異で、非常に内部構造も複雑だった。360の部品点数の大部分が、内部構造の特異性によって齎されている。
だが逆に言えば。内部構造以外はほとんど一体化しており極めて少ない部品点数で構成されている。
指が指されている図面……そこには銃器のセオリーから逸脱した設計があった。
ヘリカルマガジンを2つ背中合わせに配置した特殊マガジンを使い、交互に給弾させることで発射速度はそのままに装弾数を増している。
複雑怪奇な内部構造は、このマガジンを2つ入れるという信じられない銃器構造によって齎されている。
トリガーは毎度の事ながら、シアとソレノイドの複合。
この設計自体は良いのだが……整備性が終わっていることがまず第1の大きな問題。次の大きな問題点は、ヘリカルマガジン専用なのに2つ入れないといけないから装填時間が単純計算すると倍になること。
次の大きな問題点は、半透明のプラスチックを使って詰まった場所を確認できるインジケーターの機能を持たせるのは良いけれど、この部品を開け閉めできるようにしたせいでクローズドボルトなのに装填する段階の部分に泥が入るかもしれないという点。
電磁トリガーと物理トリガーを両立させるために内部を広くし、その結果 持ってきた銃器は、だいたいブルパップ方式しかないのは事実。
だが優れた内部設計でどちらか一方が機能しなくなっても もう片方が生きていると発射可能という点は素晴らしい。
「この下部に搭載された小さなショットガンはいつ使う?ポンプ式ならトリガーを引いた方が早くないか?」
するとその点を突かれた弟子は、早口で反論した。
「室内戦で使います。このショットガンを使うことにより、上空のヘリから速やかに降りて室内制圧が可能になります。それに、私が開発したグレネードランチャーを、ピカティニーレールと交換することにより上部に搭載可能です。」
「拠点防衛戦や地下トンネルでもショットガンがあると近接攻撃能力が上昇しますよ!」
サイドグリップは合成ゴム、ハンドストックは内側に折って重ねる……外見はほとんどヘリカルマガジンが飛び出しているだけで長方形だ。
「銃剣を取り付けるためのレールがあるが……これは位置的に付けたとしても衝撃が逃せずに折れそうだ。この点は考慮しているのかい?」
「ダンパー構造を内部に採用して銃剣突撃の衝撃吸収を改善しているのはいいが、銃身下部から離れたせいでいくら削り出し製法とはいえ折れてしまうのでは無いか?」
「それにソレノイドの利点が衝撃で狂う可能性もこの設計で……ああいや、すまんこれは違うな。この不自然な空白地帯。いつもは内部に熱を逃がす水冷構造を取り入れるお前が、空冷にするとは思えん。
この隙間に、何らかのアタッチメントを追加して両方イカれても最終的には直接撃針を操作し、撃てるのか?」
師匠からのその問いに弟子は少し、困りながらも応答した。
「私を買いかぶりすぎですよ。ここにアタッチメントを追加したらせっかくのトリガー周辺の内部構造を完全に密閉した防塵性能が死ぬじゃないですか。」
「もしガス圧が逃げた場合の通り道ですよ」
折り畳み式ハンドストックに、伸縮フォアグリップ……小さくすることに熱意を込められている銃だ。
さすがに間違えていたか。
師匠はそう思いながら、自分が見当違いの推論をしてしまったことを恥じた。
確かに、よく見たらその部位はガスポートで……ただ、物理的な逆止弁が付いていた。
外見上は分からなかったが内部から薬莢断裂などの事故が発生した時に、周辺の機構を破壊しないためのベントだった。
薬莢によって周辺の機構が破裂した時が銃器の終わりだが、それを嘲笑うがごとき設計。
なんと極めて優秀な設計だろうか。
水銀センサーによる電子制御で傾きを検知、逆止弁を閉じることが可能だ。
電子化志向派の逸品と言える。
「ほう……」
「しかし、このスイッチング機構と……この仕切りは何だ?削り出し製法なのだからバレルは一体型だろう?」
「これでは内部スペースを無駄に取ってしまうぞ。」
「レバー2つで分割する機能もあるようだが、携行性と整備性をこれで上げているのか……」
弟子はニヤリと笑い、それこそが核心なのですと言いながら説明する。
「スイッチが弾薬供給を交互に切り替える……当然、この構造を取り入れれば内部構造を圧迫します。しかし、これがいいんです!」
「こうすることで内部のモジュールの故障率を下げ、交換する時に銃身そのものを変えるのではなく一部のモジュールだけを変えることができるんです。機関部を後方に設置することで、故障が起きた時に、この機関部を取り替えるだけで良くなるんです。」
「ただ……リコイル制御のために、あえて通常は360RPMに抑えています。安全にスイッチングをする時間を確保しつつ、銃口の跳ね上がりを抑制します。」
弟子の説明に、師匠は感動した。
サブマシンガンにしてはやけに低い発射レートも、全てはこのためか、と。
「ほう!素晴らしいじゃないか!」
師匠はそう言いながら、試射をするために射撃場に行った。
■
75m、300m、600m……赤と黄色と青の同心円が、3つ並べられていた。
ここは射撃場の一角だが、とても広い。
射撃場自体もかなり広く、スナイパーライフルやマークスマンライフルを考慮して1kmまで広さがある。
コンクリートの丸見えな射撃場で、レールに乗った棒が木の的を安定的に支えている。
師匠はミッチリ装填されたヘリカルマガジンを2つ付け、手首の内側にある時計を見た。3.21秒だった。
(敵がいない状況、水や油に触れていない状況でさえ3秒以上かかるということはリロードする時は遮蔽物が必須だ……だが、ヘリカルマガジンは64×2発。実質的に100発以上のマガジンを付けるのと変わらない。むしろ装弾数的にはかなり短いな)
装填された状態で持ち上げた時、はっとした。
なんという完璧な重心位置だろうか。
研究室で持ち上げた時は後方に重心があまりに寄っていておかしいと力説したが、そんな自分が恥ずかしくなった。
重い機関部、前方に着いたヘリカルマガジン2つ、アンダーバレルに付いたショットガン……これらが調和し、重量が完璧なバランスを保っている。
装填された時と、ショットガンをつけた時を前提に想定していた。なんと極めて素晴らしい設計か。
ヘリカルマガジンが2本、真下に並んで突き出ているがフォアグリップは横に付いているため握るのになんら支障はなく、むしろ重心位置が是正された為に、持ちやすさが格段に向上したように思えた。
銃本体、(レシーバー・バレル・電子系)これは260個のパーツ、ソレノイド、水銀センサー、厚肉の薬室、逆止弁機構……。これらを一体成型フレームに詰め込むと、アサルトライフルより1kg近く重くなる。だがバトルライフルのような弾薬が少ない高火力な銃器より装填量が多いという点ではサブマシンガンらしくない。
これは褒め言葉だが、まさにサブマシンガンらしくない。
ヘリカルマガジンが2つも並べば、それだけで約2.4kg。
9mmパラベラム弾1発は約12g。128発で約1.5kg。そこに巨大なヘリカルマガジン2本分のケースと送りバネの重さ(合計約0.8kg)が加わり、マガジンだけでもとても重い。
(アンダーバレル・ショットガンはストックやら何やらが丸ごと存在していない短銃身とはいえ、鋼鉄のバレルとボルトが必要だ。
これで重量を、合計約 7.4kgに抑えているというのは素晴らしい。そして何より展開する部分がポリカーボネートではなく、クロム・モリブデン鋼の芯材で出来ている。フォアグリップとハンドグリップは炭素繊維強化プラスチックとセラミックス素材だから別として、アンダーレールとサイドレールをクロム・モリブデン鋼で作るとは恐れ入った。)
(片手持ちすることはできないが、両手で支えて持つならむしろ標準的な重さだ。)
(バトルライフル以下、アサルトライフル以上の重量のサブマシンガン……)
(物に乗せて撃つのに一見邪魔なヘリカルマガジンも、銃の側面の2つの棒を展開し、ショットガンを取り外して下部の棒を開けばトライポッドになって銃の反動を逃すことができる。)
装填されていないショットガンをパージし、サイドレールのロックを解除する。中から飛び出した高強度カーボン製の脚が、設置されている塀を模した地面を噛む。ブルパップゆえに射手の胸元に近い位置で固定された銃は、水銀センサーが検知する水平器をベントに伝え、完璧な『射撃プラットフォーム』へと変貌した。
師匠は、取り外すのも付けるのも簡便で、アンダーレールの役割をバイポッドとトライポッドの一部に任せるという自由な発想に驚いた。
(それに、サイドレールだけ展開するとハンドガードだった部分がバイポッドになり、アンダーレールを展開しなくても支えられる構造だ。
斜めに飛び出すが、構造上これは仕方ないだろう。
バイポッドとトライポッドを切り替えることができるなんて素晴らしい設計だ!)
万能武器という前評判にふさわしい。私が呼ばれなかったのは、この様子を見るに隠し持った自慢できる武器として期待感を煽るためだろうが、実際とても素晴らしい!
LMGに近いような装弾数を、この銃身長……携行可能な小ささで実現する。
「おお……?なんてことだ、反動が存在しないぞ」
腰を低くして肘をサポーターで保護したが、想像したよりも明らかに低い反動が来た。
銃身内部にダンパーを取り入れた結果だろうか?
反動が軽減され、まるで拳銃のような反動だ。
.45ACPの弾ではないのに、9mmパラベラムという弾でこの反動を実現するのか。
トライポッドのお陰もあるだろうが、これは恐ろしい。素晴らしい低反動だ。
バヨネットを使えばショットガンが使えず、ショットガンを使えばトライポッドは使えない……同じ位置に存在するから当たり前だが、これは凄い。
ショットガンは重いが、その分の欠けた先端の質量をトライポッドの展開で安定性を増す。
バヨネットは軽いが、手元の重量で先端を軽くして軽く動く。
そして、近距離格闘になったとしても短い銃身により振り回せる。
トライポッドは動けなくなるが、その分とてつもない安定感を得る……なんて完成され尽くした設計。
折り畳み式バヨネット、一体型バヨネットのどちらも使えるように統一されているアンダーレールの規格を用いているのは勿論、ポンプ式ショットガンの真下という排莢方向を考慮している。
銃本体は右側に排出し、薬莢断裂の超高温・高圧なガスは斜め右下に流れることで、左側のフォアグリップを阻害しない。
左右非対称の設計も敢えてのことか。
それに、左利きも右利きも使えるように左右反転した物も作れるだろう。
セラミックス素材をフォアグリップに使うとは不気味だが、合成ゴムの劣化が著しく進む、強い紫外線の下という環境を考慮すれば納得だ。
石油化学工業によって生み出された様々な素材は銃器と生活の両方を支える。
石油が金にも等しいような価値を持つようになった現代で、自国のような産油国は豊かになった。
永久凍土の下に埋まっていた、ただでさえ農業ができない風土の環境で爆発する粘性の濃い油の厄介者。
地割れが起きれば湧水のように100%滲み出てくる、土地自体をジワジワと殺してしまう絶望の兆し。
金鉱山の近くに何故か多く存在していたり、貝が山にある謎の領域の近くにてほとんど確実に存在する厄介者。
これが資源になるというのだから驚きだったが……時代は変わるというものだ。
最悪の土地は利益を産む土地になり、銃器産業は石油という素材がなければ生み出されなかったような銃だらけになった。木製ストックが廃れるようなことは無いと断言したあの日の言葉は真っ赤な嘘になり、私自身の直感を裏切るように銃器は進化した。時代が移り変わるように、銃器も人と共に進化していくものだ。だからこそ、この銃……『SMG-25』のように、プラスチックなどの合成素材を使う銃が登場する。
「おい、この銃はどうなってるんだ……垂直にしか穴が無いぞ!当てる位置にブレが無い!」
嬉しげに、師匠がそう言いながら撃ち終わったヘリカルマガジンを射撃用の塀を再現した土台の傍に立てかける。
永遠にも等しいような射撃時間が流れ、1人が分隊を支援できるようになるような時代の訪れを直感させた。
あまりに長い、射撃時間。発射レートの低さは安定感の裏返しで……特別に柔らかくなっている的用の木材特有の、定点的な穴が発生しているが、これが極めて少ない。
それがどういうことを意味するのかは一目瞭然であり、精密性という3文字を象徴する出来事だった。
75Mも離れていれば風などで多少のブレは出るはずだ。弾道落下もあるはずだし、拳銃弾の有効射程範囲では威力が弱まる。
しかし、ブルパップ方式というバレルを長くしつつも銃身を短くする方式によって加速した銃弾は高速で飛んでいく。
弾道落下が発生し、穴は複数開いているもののなんと水平のブレが無い。
まさに、衝撃吸収ダンパーとトライポッドの勝利だ。
レシーバー・フレーム系,30,カーボンセラミックス一体成型、分割ユニット。
ヘリカル・デュアル給弾系,120,スイッチング・カム、交互送り爪、インジケーター。
ハイブリッド・トリガー系,90,ソレノイド、物理シア、水銀センサー連動基板。
バレル・ユニット系,80,ショットガン機構、トライポッド脚、バヨネットレール、ピカティニーレール。
バレル・ボルト制振系,60,ロングバレル、リコイルダンパー、逆止弁ベント。
360の部品点数というのはこの設計によって齎される。
そもそもとして高度な銃器において500以上というものも珍しくなく、極めて簡便な銃でもない限り、200台を下回るようなことはない。
360というのはちょうどその中間、冗長性があり、耐久性があり 、制作の容易さがある。
そして、発明された炭素繊維強化プラスチックは剛性による圧屈が少なくなり、さらに信頼性が上がった。
ただ経年劣化等でプラスチックやポリマーを使いすぎた場合、遊底が溶けたという報告もあるが……
そこまで長時間使うことはないだろう。
SMG25というこの銃は美しい。
制圧射撃のような火力を、5.56mm×45mmや7.62×99mmの範囲ではない9mm×19mmという物で成し遂げたのが素晴らしく美しい。どれ程に強いか。それはもう、一目瞭然だ。
64発のヘリカルマガジンは、水平に取り付ける場合も垂直に取り付ける場合も重心変化が問題になる。だが、背中合わせに2つ取り付け、弾薬の重さと重心位置で重い手元の機関部とのバランスを取ることにより圧倒的な安定性を醸し出す。
静音性も凄まじく、十分に加速させているためマズルフラッシュも少ない。
銃自体かサイレンサーになっている静の設計と、100発オーバーの装弾数という動の設計が合わさって最強に見える。
元はLMGとして設計されたSMG……そう言いながら私に渡した。流石だ。本当に流石だ。
1本のヘリカルマガジンだけに給弾するように、設定するマガジン周辺のレバー機構……電子制御だが、右側に伸びたこのボルトは逆さまに倒した蹄鉄のような形で固定されている。
硬質なテンションに調整されたスプリングやバネが内部にあるのか、反発して切り替える時の抵抗があり自然に切り替わることは無さそうだった。
25.1と、21.3と書かれたこの数字は、2段階切り替えをすることと、マガジンを撃ち切るまでの秒数を示している。
分間から秒間に直すことは咄嗟の戦闘では難しいし、とても親切な設計だ。
元は2つのヘリカルマガジンから交互に切り替えながら撃つ設計なのでレバーを変えると大幅に秒数が縮んで21.3秒になる。
直感的操作ができるようにデザインされたレバー構造は、とても美しい。不純物が入り込まないように、レバーの先に更に構造物が存在していて泥が入り込むことが無くなっている。
連射速度が変速後に遅くなるのは、元のデュアルヘリカルマガジンからの給弾を、1つのヘリカルマガジンだけにするからだろう。
というかデフォルトの状態に、21.3と25.1の両方を使えるのか。ならこれは遅い早いの違いはあれど信頼性の差だな。
その視点で見るなら、半透明のプラスチックから透けて給弾されているかどうかが見える。
なんという素晴らしいデザインだろうか、弾詰まりを直感的に知れるようにデザインされている。
だが……これは思いついたのだが、もしやマガジンの片面を半透明にすればどのマガジンでも中身が装填されているかどうか分かるのでは?
「まさに、サブマシンガンから逸脱したサブマシンガンだな。これはライトマシンガンの領域に踏み込みながらも個人が携行できるサブマシンガンだ。」
「短機関銃の名が喜ぶ設計、本当に素晴らしい。」
「君を同僚として持てたことをやはり私は嬉しく思うよ」
「デザインと機械工学の必然性も素晴らしいね。直線のレバー構造ではなく、蹄鉄型の部品を交換できるように固定することによって調整部品を出しつつ、高速で切り替える負荷を軽減する段階を追加することによって摩耗速度を物理的に調整することができると。」
「なるほど、内部で弾薬を垂直に上げて装填……」
「だがこれでは遅すぎないか?いや、むしろこれが信頼性を更に上げているのか?」
「600RPMほどなければ、200〜300M圏内での戦闘において不利だろう。」
「それに、ソレノイド方式とトリガー方式の両方を使えるというのは君の設計において主軸にあるようだがこの場合ならトリガー方式だけで良いのではないか?」
そう尋ねた瞬間に、黙って聞いていた自称弟子の同僚が師匠と敬う偉大な技術者に話す。
「ああ、21.3秒というのはソレノイド方式だからこそなんです。スイッチング機構の高速開閉はガス圧だけでは限界がありますし、電磁石で制御して─────
それを聞き、遮りながら言った。
「待て、デュアルヘリカルマガジン給弾……もしや、最初の段階で分間発射速度を下げたな?私が指摘できるような欠点など直しているはず。
つまり、この欠点を止められない理由がある。それはつまり……600RPMにすると故障が頻発するということではないか?デュアルマガジンというのは弾詰まりで有名だし、そもそもスイッチング機構と押し出すバネのタイミングの噛み合いがズレるということか?」
「なるほど、私の勘違いだったようだ。」
「続けてくれ。」
「RPMを306まで下げたバージョンをデフォルトにし、本来の構想であった完全ソレノイド方式の名残りの25.1秒を再現できるようにしたんです。」
「こうすれば、ヘリカルマガジンの給弾をカムがしっかり噛むし306RPMなら反動がほとんどありません。」
「遊底ダンパーで反動はそもそも消してますし、銃身ダンパーで発射時の乱れを次弾の発射に影響させないようにしたんです。こうすると、水平リコイルが無くなって垂直リコイル制御のみになるようにしたのです。」
カシャという滑らかな音を立て、サイドレールからフォアグリップが展開される。テレスコッピング構造を銃身に隠し、スプリングの力を借りる。これにより、一瞬で直角に立てる事が可能だ。そして、稼働部位の角には重なるように棒が設置されていて、これを手動で立てることによりフォアグリップは閉じない。
フォアグリップが動き、間の空間が生まれているが……その空間はなんと構造上、空間がある。
振動を支えるのに大丈夫かと思うが、プレス加工によって三角形状の仕切りをバレル内に敷き詰めた結果、耐久性が大幅に向上し空冷効率が上がった。
前方の重量を調整するためフォアグリップはセラミックス、ハンドストックはチークやパッドなどが炭素繊維強化プラスチックが採用されている。
ハンドストックにも可変が組み込まれており、斜めに芯が伸びて伸長する。これはM7やM4といった銃から着想を得た部品だが、人体構造に寄り添い、射撃負荷をより広い面積で流す設計。
9mmパラベラム弾と言えど、頬付けして撃ち続ければ衝撃がある。だがそれをチークパッドなどで解決し、ハンドストック内部にも取り入れたダンパーにより衝撃をそもそも内部で使い切る。至る所でダンパー構造を採用したこの銃はプレス加工を多用しながらもバレルは削り出し加工で作る。
バレルの分割は出来ないが銃身を2分割することができ、AR-15から多大な影響を受けている。
アッパーはトラス構造で銃身内部から支え、ロアは機関部を通すために極限まで薄くなっている。
だが重量比は、やや手元に寄るだけで先端は軽い。
バレルよりも銃身が長くなってサイレンサーと一体化しているのが原因だが、これによって静音性が非常に高い。
ピカティニーレールの上部には、物理的に高くなっている追加アタッチメント用の特別レールがありつつもスコープを付けられるように照準位置を低くしている。
グレネードランチャーと言ってこそいるが実際は個人携行用榴弾なので破片を飛ばすものではない。
"非人道的兵器の根絶に関する6つの課題"というものから、意訳するとだいたい言い分はこうだ。
中間弾薬は意図的に負傷兵を作り長期間苦しめるから禁止、アサルトライフル類の規定は薬莢長が45mmや30mmのものに限らず、中間弾薬を発射できるもの。
軍縮会議の締結に伴ってこれらを止めて協調しようというものだ。
現在進行形の第二次冷戦期においてこれは一応、頭には止めてあるが実質的にほとんど守ろうとしていない。
AKS74Uという銃は、サブマシンガンを名乗るアサルトライフルとして真っ先に潰され、300個ほどが海に捨てられたがこのような脱法アサルトライフルが存在する。
現在、銃器の正式採用の直前まで到達しているSMG-25も、9mmパラベラム弾は『拳銃弾に分類される』という銃弾の定義に関する条文を利用してそれの射程を伸ばして装填量を増やす方向性に行った武器であるし、国際法がどうであれ主権の傘に守られた人民を他国の裁判に、しかも国際的な裁判所にかけられるというのはあまりに強引だ。
"国際裁判宣言"に伴って、国際法違反を見張る条約機構と裁判所が設立されたが他国からの銃器産業スパイの温床になりつつあるし、銃器開発において条約機構が邪魔だ。
『M700』や『AWM』などのスナイパーライフル類は大丈夫だが、地下トンネル掃討作戦においてショットガンがあまりに活躍したせいで『M870』を製造することは出来るのにアンダーレールに取り付けるようなことしか出来なくなった。
というかバレルを交換して短くしたショットガンを規制するよりフルオート改造されたショットガンの方をもっと厳しく規制するべきだろう。
ちょっと散弾を広範囲に拡散するように変えただけだ……
『AA12』のような、セミオート・フルオートを切り替えるショットガンは過剰な破壊力のせいで使った瞬間に国際法違反でバカバカしいことに裁判所に連れていかれる。
だがこれは分類上はSMG-25という名前の短機関銃だ。
拳銃弾を発射しているのだからSMGという名には疑いようがない。
国際法違反は全くしておらず、もしアンダーレールに搭載したショットガンがアウトならば他の国も困るから裁かれることはない。
国際法の難しい隙間を潜り抜ける天才の銃!
「75mから弾道落下が始まる……限界ラインと言う所だ。素晴らしいバレル設計だな。」
師匠がそう言った時、弟子はさらに笑いながら言った。
「これ、SMGにするようにバレルを『細く短く』した奴なんです。」
「つまり……」
扉が開き、外の風が入り込む。
無風状態だった射撃場に、一風変わった銃が登場した。
「これが本当の初期、『LMG-220』です。」
その外見は、まさに『SMG-25』を大きくして後ろに重機関銃のハンドルを付けたような見た目。
塗装はされていない無骨な見た目だが、質感から察するにレシーバー周りと銃口付近は何かしらの合金で出来ている可能性が高い。
銃座ごと、台座を使って運ばれてきた。
弾薬は、さらに続けて入ってきた大量のキャスター付き台座たちから察するに未装填だが威圧感はとてつもなくあった。
完全ソレノイド方式とのことで、前後左右どの方向から見ても人間が引く位置にトリガーは存在しない。
グリップどころかストックすらなく、ハンドルとかなり大きな重機関銃用のトライポッドで支えられている。
(分解して運ばれて来ていないのは内部構造が複雑だからか?
発射できないように機関部の部品は抜かれて横に並んでいるが、まさに正統派な重機関銃のような見た目だ……)
師匠はそのように考えながら、組み立てていく風景を楽しげに眺めていた。装填はまだしていないが、完全に組み立てた時に恐らくこの上部のレシーバーを跳ね上げて装填するのだろう。
ヘリカルマガジンではなく完全なベルト給弾。
車載を前提にした構造だ。
銀線が機関部から伸び、そのままハンドルに繋がっている。恐らく、外側に飛び出しているハンドルの突起は発射するためのボタンか何かだろう。
握りこんだ時にちょうど撃てるような設計だな。
「これは……口径はなんだ?とてつもなく太いぞ」
すると弟子はとてもニヤニヤしながら喋った。
早口だが楽しさしか表情がなく、自慢の、自作の逸品であることを察せられた。
「これは13.0mm×180mmという独自規格の弾を採用した重機関銃で、敵方の重機関銃の12.7×99mm弾と分けています。」
「元は鹵獲した銃をモデルにしているのですが……」
「給弾は弾帯から新しい弾薬を抜き取り、装填は弾薬をチャンバーへ一瞬で押し込みます。そして、完全閉鎖 ボルトがバレルに固定されて一緒に動きます。発射する時は確実に撃針がプライマーを叩き、火薬を爆発させます。
ショートリコイルにより、ボルトとバレルの固定が解かれます。
撃ち終わった空薬莢を自動で薬室から引き抜き、空薬莢を銃の外へ排出します。 (蹴出 Ejecting)
そして、次の発射に備えてスプリングを圧縮します。この一連の動きを、一瞬で完了させます!フルオートとセミオートのみで、3点バースト機能はレシーバーの複雑性を増すので付けていません。」
「この銃を語る上で欠かせないのがタイミングの調整で、改良したことにより自動調整されるようになりました。
ボルトの面と弾薬の底の間の隙間のヘッドスペース……これが正しくないと、弾詰まりや、最悪の場合は銃の機関部が爆発する危険がありますよね?
ですが、各部品が動くタイミングの調整。これがまったくズレず、弾が正常に発射され、連射が安定しています。」
「口径がかなり大きい関係上、水冷式を採用してバレルカバーにウォータージャケットを付けています。水を搭載したこの一斗缶は、持ち運びができるように持ち手を並列に3つ付けています。こうする事でどのような持ち運び方もできるようになり、このタイプの一斗缶を普及させたいです。」
「既存のブリキの一斗缶は漏れることがありますし。」
「敵は鋼材で防衛拠点を国境地帯に作り、戦車を増産しています。停戦条約中とはいえ、これで軍備を進めるんです。」
「私はこの銃で戦争を終結させたい。」
「世界大戦は三国講和条約で終戦を迎えましたが、周辺の全ての国家は軍備を進めています。」
「だからこそ、遮蔽物が多くなり間接射撃の重要性が増した現代において……この重機関銃が必要なのですよ。」
『LMG-220』は狂気的な破壊力を有していた。
1発のみの試射で、木製の的は5つの破片としてバラバラになり、1番内側の赤色の円どころか、外側の青い円まで粉砕された。
『SMG-25』の的と比べて見ても圧倒的破壊力だ。赤色〜黄色までの範囲の弾道落下……つまり、赤色の中心点を基準点として-20cmの落下が発生しており、着弾箇所が同じ中心点でも破壊力に大きな差がある。
直径40cmの、ミニ的で実験したが音が恐ろしい。
弾速が早すぎて至近距離では音量が大きすぎるが、その分の炸薬量によって齎される圧倒的破壊力。
75mを、瞬きすら出来ないほどごく短い一瞬の時間で通過した。
レーザーが遮断された速度から、速度計は通知する。
レーザー遮断秒数から速度を概算する速度計は銃器の秒速を素早く知らせ、その通知は驚愕的な数値であった。
(弾速計測レーザーを銃口と的に搭載されているが、この秒速900mという速度。スナイパーライフルほどの速度で持ってして火力制圧を行うなどの運用方法がありそうだ。)
(圧倒的速度を出すための薬莢サイズがデカすぎるため車載しないと携行は不可能で、もし歩兵なら30発前後が携行する限界ラインだろう。)
これを弾帯で、450RPMで発射する圧倒的破壊力。
制圧射撃の王者となる銃だ。
「ほう……素晴らしい!」
「空冷式のM2重機関銃を水冷式に変えるというのは私の発想だったが……それを、全く新しい新規の機関銃でやるとはな。」
「ウォータージャケット・アタッチメントを付ける必要性すらない、元から水冷式を想定した重機関銃……最高じゃないか。」
「褒めていただきありがたき。」
弟子はそう言って自慢げに、1発だけ撃った今の火力を誇った。師匠はこの火力を知り、思考した。
(魔導列車に載せればこれも弾薬の制限が無くなる……だが軽車両に載せた方がこの重機関銃は強い)
("散発的戦闘における重機関銃による火力制圧の重要性"……私が書いた物だ。)
(理想的な条件を併せ持つこの重機関銃は素晴らしい。『SMG-25』は、"マルチロール武器における発射速度の適切速度について"に記載したいほど理想的な武器だ。)
「国際的定義において…この武器は重機関銃だね?」
弟子はそう聞かれると、ニヤリと笑いながら言った。
「この重機関銃は、"過剰火力による歩兵攻撃に関する8の条約"にも該当しませんよ。攻撃目標はあくまで、拠点や戦車なんですから。」
文字通りの規格外な薬莢も、この重機関銃専用……いや、他にも使いまわせる。13mmという弾頭は12.7mmを超えつつ機関砲と言われる20mm未満にするための弾頭だし、180mmという薬莢長も機関砲と言われずに機関砲以上の火力を出すための薬莢長と思えばコスパがいい。
450RPMだから機関砲のように弾の消費もそこまで早くはなく、むしろかなり遅い。
「素晴らしい!なんてすばらしい『重機関銃』だ!素晴らしいぞ!」
師匠はそう言いながら、弾帯ベルトをチラリと見た。
(現在、主流になっている軽機関銃用の弾帯は13^2の169発だが、重機関銃ということもあり、このベルトに見える30発というのは現在かなり少ない方だろう。最小分割は30発だから、ベルトに5発しか装填されていない理由は明白だ。)
(実験用だから5発のみ撃ったのだろう。)
(このベルトを、複数繋げて冷却水を確保すれば、理論上は永遠に撃てる。)
(拠点に備え付けるなら100発以上ほどが理想だろう。重機関銃専用のベルトは金属だし重い。)
(そこまでの運搬は魔導列車を使うとしても、拠点に設置するのに手間取る。)
(歩兵1人が携行できる限界は30発程だろうが、帝国には補給兵が分厚い。
新兵全員を補給兵にして運ばせれば訓練にもなるし実戦配備の経験も積める。)
(士官学校で勿論全員が銃の操作は分かっているだろうし、これを大量に作って配備することができれば次の戦争でボコボコにできるはずだ。)
文章の1話辺りの量について(調整)
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10000文字ほしい←現在の基準
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3500以上ならいいよ
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5000文字くらいほしい
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6000以上ならいいよ