女神「輪廻転生しろ」 ワイ「はい……」   作:まっすァき

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武器博物館

注射の針のような、中空構造のナイフがあった。

展示されている台座の中央には当時で作られた数が表示されており、その数は恐ろしかった。

 

『パイプナイフ』───────名前は弱そうだが、しかし致死性があまりに高かった。

腹部に当たればだいたい失血死を招く、作るのもパイプをチューブドローイングするだけで簡単だった。

 

独立戦争期にメイプル側が使用した武器であり、進退窮まった時期に作られたこともあってか致死ダメージを与えることに忠実な設計だった。

 

先端は研がなくとも、45°ほどで切断すれば2つのパイプナイフが出来るし刺さる。

 

こんな武器を大量に装備していたのならば、ツァウスト帝国の鎮圧に来た派遣兵士たちが市街戦で大量に死んだことも頷けるだろう。

 

この武器はまさに戦争の狂気が濃縮された独立への執念が搭載された武器で、サザンクロス帝国がボルトアクションライフルを与えてからも作られ続けた。

 

当たれば死ぬのに発見するのは難しい、しかも路地裏に待ち構えて道路を通ればブスリと突き刺さるパイプナイフ……

 

サザンクロス帝国との海戦で南東諸島から後退してそのまま北西方向に進んだ結果生み出された300万の銃火器兵、同時期にツァウスト帝国から南東方向に進んだ300万の銃火器兵、そしてサザンクロス帝国の武器給与が発覚してからの60万の銃火器兵。

 

この圧倒的な物量により、元は現地住民の民兵組織である人民解放革命軍は窮地に陥った。

 

そんな時に活躍したのがパイプナイフである。

 

連合国側はツァウスト帝国と休戦状態であったが、ツァウスト帝国の大量の兵士を国境線に釘付けにした。

そして防衛費を大赤字にし、ジワジワと苦しめていた。

 

連合国側の南西とは睨み合い、北東部はサザンクロス帝国が上陸しようとしてくる、南東諸島はサザンクロス帝国が侵攻してきて兵士を引き上げた……こんな時に、メイプル執政国が独立戦争を勃発させた。

パイプナイフで武装した民兵隊はとことん強く、サザンクロス帝国のボルトアクションライフルによって武装した後期の民兵隊に至っては練度は著しく低いものの勝ち星を上げた。

 

ツァウスト帝国は、メイプル執政国に向けたサザンクロス帝国の軍事介入(当時は食料安全保障部隊の派遣と呼称)によってサザンクロス帝国が存在する南東諸島だけならまだしも南東部の陸地を傀儡政権にされたら堪らないと思ったのかこれほどの量の兵士を、派遣した。

 

ツァウスト帝国の属国であったメイプル執政国は木造建築で火がつくと厄介な集合建築ばかりにされていたため、ツァウスト帝国兵士の放火によって尋常ではない被害が出た。

この被害の後、サザンクロス帝国による訓練によって潜伏からの突撃という単純な戦術から、遮蔽物に隠れて撃つということが可能になったメイプル側はツァウスト帝国に辛勝した。

 

パイプナイフは全ての時期において作られた武器であるが、ボルトアクションライフルよりも多くのツァウスト帝国の兵士を殺した武器であると評されている。

 

中空構造のパイプなどいくらでも建設素材として存在するので、家を破壊されたメイプル側にとっては戦後復興を切り捨てた現在のピンチを乗り越えるための物だったのだろう。

 

独立承認をサザンクロス帝国からされ、運河や近接する国境地帯にサザンクロス帝国の兵士を駐留する許可を出したメイプル側はパイプナイフを作らなくなったが、一時的にサザンクロス帝国側は大量にパイプを流した。

これによって建築素材としても使える……というか本来建築素材のパイプが大量に獲得できたので戦後復興が想定よりも格段に早くなった。

 

まあ功罪が大きな武器ではあるが、独立戦争の達成という功とその後の大規模な反乱(独立戦争の誘発)の幇助へと使われた罪がある。

 

だが……あまりに強かったために真似をしただけで、首都を包囲されて600万人が駐留と戦闘を兼ね、60万の兵士がスポッターとスナイパーになり狙撃をすると言った絶望的状況でなければあまり活躍しなかった。

 

活躍した舞台が1つしかないが、誰でも道具と資材さえあれば作れるという点において非常に優秀だったため後の大規模な独立戦争期に僅かながら活躍した。

 

さすがに首都占領寸前で包囲済、食料が大量の敵兵に奪われて食べられまくり、あと1ヶ月で尽きる、さらに兵役が無かったため戦闘の素人だらけの市民が大半という状況は、そうそうあるものでは無い。

 

山脈という高所から一方的に撃たれ、大量の軍が乗り越えて遠距離から狙撃してくるような状況下で遠くの狙撃手ではなく最も近くの銃火器歩兵を狙ったものだ。

 

信じられないほどの劣勢でなければ活躍しそうにない武器、ということだ。

 

射程距離が長ければ長いほど強い銃器という存在を前に、自分の腕が届く範囲のなんと頼りないことか。

 

サザンクロス帝国との代理戦争の構図を作り、独立の機運を高めなければメイプルはきっと蹂躙されて終わっていた。

そもそも農業が焼かれまくりで灰になったトウモロコシだらけの土地で継続できないので家畜、畜産に特化せざるを得なく、そうなるとツァウスト帝国の世界最多の農業国という点を加味すると当時の人々がツァウスト帝国に裏切った経緯もわかるだろう。

 

ちょうど31世に代替わりして失政を重ね、流失した住民たちがUターンしてこなければメイプルはサザンクロス帝国に経済的植民地にされて終わっていた。

 

サザンクロス帝国は悪どい行動ばかりをツァウスト帝国にして麻薬を売り捌くような死の商人の国。

 

ダイナマイトの研究で遅れ、2331年の発破魔法の初の転用が無ければツァウスト帝国はサザンクロス帝国のダイナマイトで作られた地下トンネル網を突破出来なかった。

ツァウスト帝国がエスメープクド王国の神器、回復の印を奪うために侵攻したのも2331年。

神器は非常に強い効果を齎すがゆえに、王都攻防戦は非常に難航した。

2346年に首都の上下水道に辿り着き、法外地区という無法地帯に軍隊を潜ませ、一斉攻勢と背後からの挟み撃ちによって2348年にエスメープクド王国は名実ともに終わりを迎え、メイプル執政国となった。

 

2366年のメイプル独立戦争を思えば執政国として、属国として存在していたのは実に短い時間だった。

インフラ整備が大規模に行われて地下送電網による電気街灯の普及やら何やらが成され、ツァウスト帝国の属国としてのメイプル執政国の方が旧エスメープクド王国と比べてインフラが整ったのは事実。しかし、独立戦争が起こったのは民衆による一斉蜂起が行われた年の2366年は厄災の年と言える密度だ。

2月にはメイプルが独立戦争を開始、4月には首都包囲寸前に追い込まれ、食糧支援部隊やら何やらと名目上は中立部隊のサザンクロス帝国の軍隊がやってきて、6月には代理戦争として大規模な戦乱が勃発。

 

2366年は厄災の年と言える年である。

 

同年4月に食料安全保障が果たされていないとして反乱軍(人民解放革命軍)が戦線を放棄する前のツァウスト帝国領メイプル執政国にサザンクロス帝国が派遣し、入り込んだ『食糧支援部隊』。これらが反乱軍との衝突を交えつつも交戦地域に侵入、実態は殆どがサザンクロス帝国の兵士がツァウスト帝国の軍事鎮圧行動を妨げたのと変わらない。

 

5月14日には懲戒的措置である、『経済封鎖』がサザンクロス帝国に向けて行われ、ツァウスト帝国は南東方向の海上輸送を一手に担う中間貿易所でもある『東方植民地』の方面から『南東諸島』に向けて追加の海軍を派遣した。

これによって南東諸島の平和はさらに崩れ、破壊的行為がツァウ スト帝国領の南東諸島内部で行われたと5月末に宣言が発生してからは流れるように宣戦布告が行われ、国家間の緊張は戦争として現実になっ た。

 

メイプル執政国での独立戦争を鎮圧しようと陸軍を派遣したツァウスト帝国はサザンクロス帝国の陸軍……『虎星軍』と呼ばれるチームと追加で派遣されたツァウスト帝国の陸軍60万人が睨み合い、衝突へと発展した。

 

これがメイプル執政国領内において発生した内乱・・・・・・いや、サザンクロス帝国とツァウスト帝国による代理戦争がメイプル執政国領内で2366年6月初頭に発生した経緯だ。

 

2366年7月には相互貿易の停止により、南東諸島はツァウスト帝国とサザンクロス帝国の間で発生していた中間貿易の港としての役割を失い、5月21日の宣戦布告以来で最大の衝突が発生した。

 

その9年前、2357年に31世が即位し、禅譲した30世は財務・経済を兼ねる大臣として敏腕を振るい出す。

悪夢の始まりである2356年1月からの失政の連続は絶望的だった。

2366年7月には30世が重祚し再びツァウスト帝国皇帝になり……と、ツァウスト帝国の内部はゴタゴタで手一杯だった。

 

経済封鎖の影響を受け、サザンクロス帝国側は世論が全面衝突の戦争に肯定的になり大規模リクルートが2366年7月12日に開始され着々と戦況が整いつつあった。

 

そしてその後、ツァウスト帝国の防衛政務官は8月21日には南東諸島の本格的な上陸を阻むため、420万人の兵士(そのうち120万人は銃火器兵士)が派遣されメイプル執政国での反乱鎮圧命令を出した。

だが最終的には回転砲塔による破壊や、陣地制圧射撃をサザンクロス帝国の兵士は受けつつも南東諸島はサザンクロス帝国が獲得した。

 

メイプル側に派遣されたのはそこから引き抜かれた60万の銃火器兵で、サザンクロス帝国との海戦や上陸阻止で負傷者や死傷者が多数いたツァウスト帝国陸軍は60万という大量の銃火器兵士を最後に、メイプル側へ反乱鎮圧命令を出すことはなかった。

 

サザンクロス帝国との経済報復と戦争の激化に伴うリソースの割り振りであり、迅速にその後は撤退が成された。

 

そして、メイプル側では8月中旬(8月15日)に独立勢力によるサザンクロス帝国の正式な食料安全保障部隊の武器が強奪され、さらにサザンクロス帝国が傀儡政権を立てようとしたなどと非難した。

9月1日にはサザンクロス帝国による直接的な支援(機密費などの資金援助)を打ち切り、メイプルの駐屯地内に駐留などになったが、自国貨幣を刷りまくったメイプル側にはダメージがそこまで甚大にはならなかった。

 

 

31世は2356年1月から法案を『一人で』考えていたりと皇帝とは思えない立ち振る舞いをして、9年と6ヶ月の在任中で破壊的影響を与えたのは僅か1月〜7月の6ヶ月間。

しかし、9年間で築かれた実績は兄の政策のトレースであり、現状維持と改善だけで新しい行動は成されなかった。

 

そして大失敗が発生した。

生成魔法陣によって国民の労働意欲がどん底になり、労働者の強制的な失業がさらに加速したのである。

 

2366年の12月にはツァウスト帝国はサザンクロス帝国と休戦条約 を結び、経済封鎖の影響でありとあらゆる製品の原材料が高騰に次ぐ高騰、暴騰した物価に対してサザンクロス帝国内部では厭戦が広がり、さらにツァウスト帝国の非道な経済封鎖に抗議をしたり……

 

2366年はまさに厄災の年である。

 

2367年も、2366年を超えるほど恐ろしい厄災の年だ。

 

第一次世界大戦が勃発し、2379年の第二次世界大戦も恐ろしかったが最も恐ろしいのは2367年の第一次世界大戦だ。

 

通信という新しい兵科がメイプルで誕生し、電波通信という物が世界に齎された。

 

YYYY/MM/DDの表記が電子時計に発生したのもこの時期で、様々な電化製品が出現した。

2366年9月3日にはメイプルに電波塔が立ち、2366年10月9日にはガラケーという新時代の携行通信装置がサザンクロス帝国とメイプルとの技術交流で示された。

 

直流電源がリコールで大量に余っていたツァウスト帝国は国内の倉庫に留め置き、それをサザンクロス帝国が盗んで高値でメイプルを筆頭に各所に売り捌く。

2366年12月28日、つまり2367年へと切り替わる日にこれが発覚して一応の体裁として存在した休戦状態が揺らぎ始める。

 

元々、電波塔というものはツァウスト帝国の設備であるので……当然、メイプル執政国の中にいた駐留軍などの軍用の設備である。

つまり守りが硬い。

 

だが大量の電流を消費する上にとてつもない建設費用がかかる電波塔も、開発に携わった技術者が直接もう図面を書いて外観をコピーすればおおよそツァウスト帝国の電波塔と性能が変わらない電波塔が出来てしまう。

 

10万人以上の技術者が国外に流出したツァウスト帝国は、極端に周辺国との技術の優位性が埋まって行った。

 

給与を高くしていたのは離反防止も兼ねていたが、相互に通商を保護貿易にし、報復関税が行われた為に原材料高騰がツァウスト帝国でも起こっていた。

 

火成岩系の鉱物やら何やらの質はサザンクロス帝国に劣るが、国土面積のゴリ押しにより坑道や露天掘りによって資源が大量にある。

 

だが何より生活に直撃したのは陶器類。

粘土質の地質が少ないため、時間経過で堆積して浅くなった大規模な河川の下を掬わないと粘土が大量に取れない。

採算を取るならそれしかない理由は極めて明白。

 

陶芸がかつて盛んであったが彫刻が主流になり衰退したからだ。陶芸家の数がめちゃめちゃに少ないので芸術家に陶芸家はほとんどいない。

 

そもそも工業化され自動化された分野だし、『成型魔法』で形を取って作れば良い。

 

しかしそれでも陶器の食器は芸術品に近いため高額で、色鮮やかな釉薬が魅せるのは美しさ。

 

粘土の塊が地中で発見されても崩落リスクがあるから慎重に坑道を掘るだけで厄介者。

なのでコモディティ化された食器類ではなく、鑑賞物に陶器がシフトした。

 

食器類に洗いやすさを求めるのは理解できるが美術品のように芸術性を求めるのは間違っている─それはバカの発想だ。

 

食器類なんて使い捨てで良い。洗うのが嫌いなら買えば良い。ガラスなら油も水も吸収しないし、色つきにするのはラインを変えなければいけない都合上でとてもめんどくさいがそれでも美しいから入れるのだ。

金が勿体ない?経済を回せば安くなる。働けば金が手に入る。足りない足りないと喚く物資欠乏を信仰する信者的なバカは社会的に貧しくなりながら福祉に助けて貰っている分際で、あれやれこれやれと国家に対して要求する。

生存権の保証がどれほど恵まれているか理解していない歴史の授業から学びをロクに得ていない貧者こそが悪。

 

憲法に基づき、国家から生命を全ての人間は保証されている。たとえそれがどのような社会的属性を持っていたとしても。

 

 

だが、陶器の食器は実用性が無い観賞用だと嘲笑する無知な者たちも、大量に陶器を買って自己陶酔していた者たちも平等にプラスチックが登場してから一変した。

 

石油化学工業という新しい分野がメイプルに設立され、それがコピーされたものの世界最大の永久凍土があれども深く掘らねば精油はできない。

 

アスファルトやコールタールという素材は便利なので輸入しているが、石油化学コンビナートを1つ作るのにも掘削がとてつもなく時間がかかる故に、プラスチックを大量に売りつけたメイプルはとてつもない速度で資金を獲得しながら豊かになった。

 

ついでに4つの独立戦争を幇助し、パイプナイフを送り付けたメイプルとサザンクロス、連合国は支援する手間があまりかから無くて良いと喜んだが有効性がなかったので結局は『アサルトライフル』を持ち込んだ。

 

ボルトアクションライフルはサザンクロス帝国から齎された時、2336年〜2366年までツァウスト帝国で武器の覇権を取ったがそれはもはや終わった。

フルオートマチック・セミオートマチックという銃火器の分類が出来た。

PPS43やSTENという安価で誰でも作れる銃器のレシピが発表され、急速に銃火器を市民が持ち始め、独立戦争が激化した。銃社会にならないように、個人所持が陸軍予備兵隊のような民間人ではない者にしか許されていないツァウスト帝国と比べ、あまりにも銃火器を全員が持っているという異常性が伺える。

 

その後に兵隊がバトルライフルを持ち、市民はリボルバー、警察はピストルを持つという分化がメイプルでは成されたがツァウスト帝国ではバトルライフルの弾と本体を大量に盗み横流しし、軍需品を解析して生産しだすようになってから農家らがバトルライフルを持つようになった。

市民には浸透していないものの、安全上の害獣駆除や自衛などの理由をつけて銃火器で武装しようとする。

 

一昔前の、木のスプーンで刺殺事件が発生するような穏やかな環境とは異なり一触即発。

引き金を引けば誰でも死に至らしめることが可能となるライフルが配備された。

 

第一次世界大戦後、軍縮条約が交わされ、アサルトライフルや中間弾薬が徹底的に破棄された。

バトルライフルが対象外であったからこその弊害が出て、過剰な武装化が民間でも進行し始めてしまったのだ。

 

H&K416という銃が大量に、ある時にばら撒かれた。

輸送トラックから大量の銃弾が落ち、アサルトライフルが大量に運ばれていた。

 

潜伏していたメイプルの兵士を全員捕縛し、主権侵害でツァウスト帝国がメイプルに対して報復をした。

 

だが敗戦処理で9500億円もの賠償金を背負わされていたメイプルでは分割払いとはいえ5年以内に9500億円もの債権処理をしなければいけないためインフレが進行し、ツァウスト帝国には円の流入が深刻化していた。

 

これを引き起こした31世の、2366年7月14日の賠償金請求を30世は変更し、金額を減額する代わりに農作物を大量に流す契約をした。

 

メイプルは農作物の大量流入で余力が割かれ沈黙。これにより連合国との休戦状態を破り、連合している6ヶ国の内の1国が陥落する。

連合国側としては武器制作を一挙に担っていた工業地帯を大幅に失い、再編に時間を必要とした。

サザンクロス帝国との休戦状態をツァウスト帝国は講和にし、停戦。

第一次世界大戦はこれにて終了し、メイプル方面での戦闘も2366年の11月11日を最後に休戦状態を迎えた。

 

これにより睨み合いが発生して、後の第二次冷戦から第二次世界大戦へと発展するキッカケが作られるのだが、ここまでで重要なのは今語った情報にはない。

 

重要になるのは、『安価な武器ほど普及しやすい』という事だ。安価であればあるほど大量に作れる。パイプナイフなどがその好例だ。鉄パイプやらを直線に曲げて引き伸ばせば細長いパイプがいくつもできる。それを斜めに剪断して分割すれば大量のパイプがさらに2倍の量の武器になる。

 

用途に適合した、という条件も必須だ。

 

たとえば魔導列車のように超高速な物から重機関銃を一方的に撃たれている状況ではパイプナイフを使うことは不可能だ。なぜなら歩兵は機銃掃射で遮蔽物まるごと貫通されて死ぬし、間接射撃の絶え間ない攻撃によって放物線軌道を描いた銃弾が遮蔽物の上から通るからだ。

 

2366年8月24日に登場した戦車は3ヶ月もの間、蹂躙し続けた。縦型浸透という戦術により突出した戦車部隊が幾つも発生し、そして2366年11月に突入してからは無価値な土地に誘導した戦車を魔導列車からの徹甲弾掃射に加えてRPG兵士の潜伏による各個撃破によって壊滅状態にさせた。

数多の拠点も破壊し、航空基地の中にあった航空機も内部に入れたスパイが計器に細工をして破壊した。

 

こうして、無価値な土地にわざわざ拠点を築いたメイプルは航空基地の前哨拠点壊滅をきっかけに11月11日に休戦状態になったもののメイプルは軍備増強を続けていて、軍縮会議を国際的に開いたツァウスト帝国とサザンクロス帝国はメイプルのアサルトライフルを破棄させた。

 

遺憾と憤慨した最高指導者も軍縮会議では賛成を予想外に示し、軍縮に肯定的意見を出した。

 

2366年は厄災で、破滅の年だった。

だが2367年も恐ろしく、より大規模な破滅が待っていた。

 

サーモバリック爆薬の市街地投下問題が裁かれ、メイプルは関税を下げざるを得なかった。

 

だがここから、この低下した関税に不満を持ったメイプルの住民たちがツァウスト帝国の商品を不買する運動が始まってしまい経済が冷えた。本当に冷えた。

 

牧畜業・農業・林業・紡績業で世界一の国の商品を不買するのは事実上不可能に近い。なのでツァウスト帝国の新聞には、『メイプルの市民はツァウスト帝国の石油の服を着ながらツァウスト帝国の飯を食べ、それなのにツァウスト帝国の商品に文句を言っている』

といったニュアンスの文章を出した。

 

小さなコラムに記載されていたこの文章は校閲されたが、広まってしまった。

 

そもそもなぜプラスチックが無くとも成り立つ社会に無理やり石油化学工業を導入を進め、インセンティブが低いのを無視したのかと言うと、軍事的有用性が高いポリカーボネートやセラミックス、合成樹脂や合成ゴムなどの部品が欲しくなったからだ。

 

なので至る所で石油掘削が行われたツァウスト帝国はメイプルの産油量を大幅に上回った。そもそも2.3万Lを産出するメイプルのたった一つの地域がどうであれ、平均して600ガロンほど採取できる部位を大量に有するツァウスト帝国の方が強い。

 

点の一点突破より面でのカバーの方が重要なのだ。

メイプルの石油の加工方法も煩雑で煩わしい。

 

加熱して取り出すのはいいが、魔法をまったく使わないというのはどうかしていている。

わざわざ加熱なんてしなくても、そもそも液体だから採掘する時に運ぶのが面倒であるので、普通に固形化の魔法を使って固めて運べば良い。

上下水道の発展に固形化魔法は欠かせない。

だけども頻繁に使うと水道パイプラインに、鹸化結晶がこびり付くことが多発するゆえ使えないのだが、それを石油に使えば良いのだ。

 

固形化、つまり凝固。

分子構造をバラバラにする分離とは違い、むしろギュッと縮める工程だ。これをすることにより、流体は固体として振る舞うようになる。

これを連続で使うことによって液体の水を操りながら固形化させて水流によって動く足場ができ、至る所でこの動く道は利用されている。

 

エスカレーターと言う装置をわざわざメイプルは作ったが本当にバカだ。水の流れを操り、シャフトに繋げて歯車を回し、それによって水流を継続的に発生させて負荷を軽減させたのならば簡単にエスカレーターを外装含めて部品点数1400ほどで作れるのだ。

 

いくらでも延長できる冗長性のある魔法と工学の組み合わせじゃない機械の一点突破はダメだ。

 

なぜ先人がそれをやっていないのか理解していない。

3万点を超える部品点数になる機械オンリーでのエスカレーターは、冗長性もないし事故が起きた時の緊急停止も難しい。

その点、魔導式水流エスカレーターならば簡単だ。

 

パーツを組み合わせて緩やかなスロープを作り、外装を組み立てる。この時点でほとんど終わりだ。

そしてその後に水や粘性の高い液体を入れる。面倒な場合は『エマルショナー』や『ゲル化』の魔法を使い粘度を上げる。

水は蒸発するから補充の視認性も良いし、水流を活用しているだけだから重力も余すことなく利用できて下る時は歩く時と同じ速度で下れる。

上りの時は支持材に両足を乗せ、ただ待つだけでいい。

下りチェーンと接続したギアを工夫し、連結することにより内部構造はすこし複雑だが密閉性を確保しながらも簡便になる。

 

下っていく水流は中に存在しているチェーンを引きずり降ろす。ならその反対側は上りに変わっている。

つまり、チェーンの横に構造物を付けることによって上りと下りを明確に2列で分けることができる。

 

これで何倍ものトルクになったカウンターギアの力によって重力に逆らって上るパワーを手に入れる。

ギアとリンクとスティックを連結して同期する。

 

これらの素材を支えるのが、『プラスチック』だ。

 

 

この原材料となる石油は永久凍土のガスを求めて掘る時に稀に当たり、機材を台無しにする物として忌み嫌われてきた。

だが資源となるならば話は別。

大量の石油掘削溝が出来ているということになるし、そこは必然的にガスパイプラインがない場所=再開発の余地がいくらでもある土地

ということになる。

 

加工方法というより運搬方法の話だが、この固形化させた石油をトラックでわざわざ運ぶのではなく魔導列車を使えばいい。量産型というのは本来は一定の品質を大量に生産できる優秀な物なので、魔導列車はコモディティ化が極限まで進んだ物が故に積載量も半端なものではない。

 

だから魔導列車のレールを大量に敷き、資本を大量に投入したらいいのだ。

 

まあ、メイプルは魔法を意地でも使いたくないのかわざわざ不便な方向に行く。

 

 

防衛も極大化しているがそんなものヒラヒラと風に舞う紙にも似たようなものだ。

攻撃能力の進化は防御能力の進化に合わせて必ず発生するが、最初の戦車がマキシム機関銃を車載し、平べったい傾斜装甲なんて呼べないプレス加工の鋼材を幾つもくっ付けだけの装甲。

その次にマキシム機関銃が取り外され、M249が車載された。

 

歩兵による様子見を命じた31世は戦車と機関銃による被害を受けて大幅に軍から信頼を失った。

30世の重祚による31世からの政権交代後は軍部がとにかく優遇され、余剰の陸軍は属国の駐留軍に変えてほとんどの独立戦争を抑制した。

 

独立の機運がいくら高まろうとも当時の人口で3.6億人のツァウスト帝国に勝てるわけがない。

1660万人の銃火器兵士を用意出来る訓練コストを支払える資源に加え人員。そしてリクルート活動の魅力……ただの属国が、独立戦争をしたメイプルを見て独立戦争を企てても無駄なのだ。

外部からの介入がなければ駐留軍に鎮圧されて即座に終わり。というかメイプルでもそうだった。300万と300万の挟み撃ちをするより前に駐留軍が首都メイプルへの行進を食い止めたり、防衛ラインを構築したりしてかなり妨害した。

 

それでもメイプルだけが鎮圧できなかったのはただの民兵隊だけでなくいつの間にか、やって来ていた輸送トラックからサザンクロス帝国の兵士が食糧支援の名目で支援したことが大きな要因だ。

 

そもそも外国勢力からの干渉を受け入れるようなことを通常はするわけが無いし、その後の内政干渉の要求を見たなら尚更だ。ニュアンス的にはその後の要求は、関税自主権を商品作物の輸出入で無くそうとか関税をお互いかけないようにしようとか産業を思いっきり空洞化させて経済的な植民地にするつもりが満々な要求。

 

なのでサザンクロス帝国の助けを借りたら最後、主権としての終わりが確定する。

 

もっとも上手く立ち回ったメイプルでさえサザンクロス帝国の駐留軍が国境地帯に居るという状況になるし、それ以外ならツァウスト帝国の緩衝地帯としか思われていないのでこれすら不可能だ。

 

緩衝地帯というだけではなく中間貿易をしていた南東諸島まで近く、サザンクロス帝国の運河も近くにあって港からも近接性も高いという立地上の利点がなければ成立しない。

あと風土の違いもある。

茶葉栽培などを持ちかけたり、山がツァウスト帝国の方面に連なっていて防衛的にも利点が多いメイプルに比べて、平坦な場所が多い他の国は独立戦争を仕掛けたとしてもサザンクロス帝国がやってくることはない。

 

というかツァウスト帝国がその前に叩き潰すので独立戦争をすることすらままならない。

 

ツァウスト帝国の属国は全て、駐留軍が都市に存在する。

そしてメイプルの場合は国境と内側からの挟み撃ちをしたので首都包囲までスムーズに行った。

 

 

通信装置の差と移動速度の差。

 

これが当時の首都包囲を実行できた要因だ。

メイプルはそもそもエスメープクド王国の首都の名前から取った国名で、他の属国たちも首都から取って改名している。

アイデンティティを剥いで、文化を統一できないようにヒューマンの多民族をメイプルに押し込めば反乱がそう簡単にはできなくなる。

 

エルフはほとんどが魔法に適性がある。それはそもそも種族の起源という話になるのだが、エルフは魔法を使い出したヒューマンたちが起源とされている。

現在は東部大森林、もしくは東方森林樹海などと呼ばれるこの地域にヒューマンが、人種が違うというだけで同じ種族のヒューマンを弾圧し閉じ込めた。

 

外に出れば騎上弓兵が射る、ならば森の中で生活するしかない。どうやって?進化するのだ。

 

こうして世代交代を経ても弾圧が続いて行った頃、エルフはエルフとして完成した。

長い耳は効率的な代謝によって生み出される軟骨組織の成長速度を表し、魔力変換率の効率を視覚的に最もわかりやすくする嘘偽りが難しい部位だ。

 

そして事実として、ヒューマンよりも魔素を魔力に変換する効率がエルフは優位である。

これは努力ではどうにもならない、魔力変換率の問題だ。

ヒューマンの親世代から子世代への魔力変換率の向上は-1.647%~+1.452%の間で、エルフの-1.412%~+3.514%と比べて圧倒的な効率の差があった。

 

世代を経るごとに強化されるエルフの魔力変換効率は前の世代の比較であるため残酷なことだがマジックユーザーが多くなる。

 

 

マジックユーザーは遺伝的な性質を持つことが、確認されており、マジックユーザーとマジックユーザーの子供の場合は確実にマジックユーザーが産まれる。

結婚市場で魔法が使えると虚偽あるいは誇張して書く者が多いのはこのようなことが原因だ。

 

身体の中に内蔵されている、内臓機関の差であるが故に検査するには特殊な医療用魔法が必要になる。

 

まあ……ちょっと酷い事を言えば、ノンマジックユーザーは『血統の罪』とされる。

 

魔法が使えることが当然の集団において魔法が使えない存在というのは全方向から淘汰圧が働く。社会的にも生存的にもだ。魔法が使えないということは両手両足が無いのと同じ。

 

生物学的に言えば、多様性を持つことによって冗長性を上げようとする自然な働きとのこと。

 

ヒューマンではこれの逆が発生する。

 

マジックユーザーが迫害され、社会からドロップアウトさせることが常態化する。こうなればもうマジックユーザーは逃げるしかない。

 

魔法の優位性を認める国が多くあれどもヒューマンは迫害意識が極端に大きい。

 

なので現在の中央大陸ではエルフが多数を占め、ヒューマンが少数派となっているのは過去の行いのしっぺ返しだ。

 

メイプルはその好例だ。さまざまなノンマジックユーザーを集め、ヒューマンだけを押し込めた国。

 

エスメープクド王国の時にはマジックユーザーもいるにはいたがそんなものは銃弾の前に等しく死ぬ。

 

魔法というのはれっきとした法則に従うだけの存在。

決して、神によって齎された超自然的な力ではない。

 

物理法則に従って物が落下するように、そこから運動方程式が導き出されるように、魔法法則に従って魔法は発動する。そしてそこから魔法陣や、魔法式が生み出された。

 

決して世界の法則を無視しているわけではない。むしろ、別の法則に則っているだけであり極めて予測が簡単だ。

たとえば広げた紙を落とした時、ちょっとした風のせいで落下地点が揺らぐのが当たり前だ。だが魔法の世界では違う。

定めた法則に従うのだ。

 

たった一つの法則で説明される統一された魔法の法則……それは絶対だ。

 

だからこそ、表面的に見えるものは全く違くとも魔法というのは根源が全て同じだ。

 

 

物理法則は魔法によって超越することができるが、時間を早くしたり遅くしたりと言ったことはできない。

何故なのかの研究がなされた結果、空間と時間は密接に関係していることが判明した。

空間拡大の魔法によって容積が大きくなり、外積がそのままの希釈された空間の内部では生物が死ぬ。

 

空間縮小は即死する。なぜなら外積を縮めて容積を縮む前そのままにする物である以上、生物は圧縮されて死ぬ。

 

 

結局、倉庫に使うのが最も適切だった。

 

なので空間拡大を用いた容器を使う。空間拡大や空間縮小にも流派があり、膜を作るという強度は弱いが簡便な方と、骨組みを作る強度は高いが難しい方がある。

 

膜の形ならば壊れやすく、骨組みの形ならば壊れにくい。

膜は簡単に衝撃で割れるから空間拡大には適さず、空間縮小に適している。

骨組みは衝撃を受けても逃がすことができるから多少は耐えるし、一点突破攻撃にも強い。

だがどちらも、継続的に魔力を消費するのに連結点を設定していないと孤立した魔法になってジワジワと劣化して崩壊するという欠点がある。

連結点は多けりゃいいというものではないし、非効率になることもある。パフォーマンスは100%以下98%以上に保つのが最適解なのだ。

魔力を注ぎ込む量が300%とかになっても、想定されている量と違うのならば200%がロスになる。

 

マジックユーザーに教養が必要な理由だ。データ的に言うのなら、マジックユーザーではない者は教養が低いという統計がある。

 

これは情報の偏りで説明がつくが、これを大真面目にノンマジックユーザーの劣等性の批判に引用する者がいたりする。

統計の罠を示す、一種の警句のようなものなのに、その警句を理解していないような者もいる。まことに残念ながらこれが現実としてあるのだ。

 

そもそもノンマジックユーザーに魔法教育の機会を与えたとて、それは資金を食い潰すだけのムダだ。

スタートラインを公平に揃えるということのなんと不毛なことか。

車と子供が100mを走るようなもので、結果は明らかだ。

 

そもそもとして相関関係があるし、遺伝的形質の1部であるという仮説が存在していたりもするため血統学などに結び付けられて考えられることが多いが、そのような不道徳的なことは言うべきではない。

 

差別意識を抱えていたとしても表に出す様なことをするべきじゃないし、真っ当な社会教育を受けた者としての自らの誇りを傷つける行為に他ならない。

 

ノンマジックユーザーも社会から排斥されているのではなく単純労働者として非常に便利で素晴らしい。

 

デミマジックユーザーは魔力効率がエルフと同じなのに魔法を扱う機関が、内蔵がないが故に魔法を不完全にしか使えない。といか魔素は蓄積されると普通に死ぬ。

だからヒューマンの寿命が50歳程度で、エルフが90歳ほどまであるのだ。

デミマジックユーザーは長いが……それでも放出する機関がないから蓄積だけがされていく。

 

まあ衛生環境や統計的なスタートラインの差はあれど、生物学的な優位は火を見るより明らか。

 

『 エルフは全員がマジックユーザー』という言葉がある。

この言葉の意味とは、種族における不平等性を如実に表したものである。

ヒューマンもエルフのようにマジックユーザーになるべきだと。不平等を是正するためには自らもエルフのような存在になるべきだと。

そして、生物的優位は覆せないという絶望感を表した言葉である。

 

 

 

 

というかそういえば、通信を新しくメイプルが生み出した物のように言っているが、ヒューマンも携帯できるように小型化されていなかっただけでエルフなら携帯できるので通信兵とかもツァウスト帝国の方が先駆けて存在する。

そもそもそうでなければなぜ電波塔というものがツァウスト帝国に存在するというのは必然であり、それに疑問を持つのはおかしい。

 

科学というか化学……原子論を唱えたのもツァウスト帝国だし、分子構造の解明や数学の法則の解明も殆どツァウスト帝国が進めている。

計算魔法は言わばコンピューター。

 

バッテリー無限、という但し書きを除けば。

 

 

計算魔法のゴリ押しで円周率は1万桁以降まで演算されているし、高度な計算よりも単純な回帰的処理を得意とする計算魔法の分業だ。

 

そもそもとしてパーソナルコンピューターはメイプルが初めてだがそれ以前のコンピューターはメイプル以外。

 

改善のための研究や完成品の普及もツァウスト帝国がやっていたし、通信というのは意外とありふれたもの。

 

というかそうでなければ2100万k㎡なんて国土面積の国家をひとつにまとめることは出来ない。

属国を含めての数字だが……それでも強い。

ツァウスト帝国だけでも最盛期は4.1億〜4.4億になっていたし人口流出は近年のことだ。

 

製紙業・製糸業・産油量・紡績・製鉄・畜産・農業・酪農・魚肉加工・遠洋漁業・排他的経済水域で世界一のツァウスト帝国は中央大陸を統べる大陸国だし、ランドパワーの化身。

 

独立戦争だけで辞めておけば良かったのに、その後に挑んだから負けてメイプルは滅んだ。

信教の自由を掲げ、宗教国として全面に自由を押し出した国名は信仰の衝突で無くなった。

合衆国になり、大きな政府の志向を小さな政府の志向にし、地方自治を認めた結果、バラバラの国のようなものになった。

 

独立戦争の英雄は最高指導者になってから素晴らしい動きをしたが、本人失踪後の後継者たちが優秀だったものの、全員が後釜に座れるようにされたが故の戦国時代に突入させてしまった。

 

何処に行方をくらましたのかは分からないが、ある日突然居なくなった。

何処に行ったのか全くわからないし、消えたタイミングしか分からない。

だが影響は甚大だった。

 

磐岩の印の効果で疲労する前の体に回帰したり、回復の印でどれだけ毒を飲んでも無効化するようになったりと無茶苦茶な効果を発揮する神器。それが本人と共に消えたから行方不明。

 

後継者指名はされたが、その後継者が地方自治や小さな政府を志向してしまったが故にメイプル合衆国は政府の影響力が小さくなって行った。

 

産油地域をツァウストに奪われたためツァウスト帝国とサザンクロス帝国の経済的植民地になり、州ごとにどの国から支持されているのかで対立があり、国としてはまともに機能していない。

 

第二次世界大戦でサザンクロス帝国と連合国と共にツァウスト帝国に立ち向かったが、連合国が瓦解した後はボロボロに敗戦した国だ。

 

今は博物館に大量に当時の武器が飾られるだけだが、確かに理想的な国は築かれていた。

 

まあ……今はツァウスト帝国が全ての資源と技術で上回り、サザンクロス帝国を中央大陸から追い出した。

もう第2のメイプルが現れることは無いだろう。

 

 

 

独立戦争で使われた武器の博物館が設立されるほどの量の武器。だがしかし……設立されている場所がツァウスト帝国だ。

 

戦勝国の優越精神とでも言うべきか。

数十年前に鹵獲した武器を博物館に並べる。

 

傲慢さとも感じ取れるが、これは余裕の表れだ。

 

 

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