そんで駄文!
「あ~くそ。なんで朝6時に来なかったなんだよ天邪狐。俺がとばっちりくらったじゃねえか…」
直江は毎日と同じように風間ファミリーメンバーと登校していた。今朝は天邪狐を一泡吹かせるために早起きしたファミリーは士気が高かった。が、天邪狐は結局来なかった。見破られたかそもそも午後普通に午後に来るつもりだったのか。今この状態でその真偽を解明すことはできない。
「弟~お姉ちゃんは早起きしたせいでとってもとっても眠いぞ~~」
「わかったから乗っかかるのはやめて、非力な一般人が武神をおんぶして歩くのはいろいろ重すぎるって」
「モモ先輩、ここは俺の背中に「断る」速いっすよ断るの…」
「私はいつも早起きだから平気よ」
全体的に空気が重い。リーダーである風間もあくびを繰り返しており、クリスもうつらうつらしている。この二人は普段から寝起きが悪く、今朝も起こすのに手間と時間がかかっていた。
「騎士は……このくらいのこと…で…」
「zzz~~~~~」
「キャップ!立ち寝しちゃダメだって!」
「つーか、立ち寝するとこに突っ込まねーのかよモロボーイ」
ファミリーはだらだら調子で登校していた。そこに近ずく三つの影があった。
「おや、これはこれは風間ファミリーのみなさん。おはようございます」
「よっお前ら……ってなんか全員雰囲気がどんよりしてるな」
「ウェ~イ。おっはー」
その影とは2ーFクラスに所属している三人組。葵紋病院の院長の一人息子の葵冬馬、その病院の副院長の息子で光る頭が特徴の井上準、長く白い髪を持つ不思議ちゃんの榊原小雪だった。
「ああ…葵か…おはような」
「どうしたんですか大和君、元気がなさそうですね。それではここは私が一肌脱いで…」
「やめろ葵!俺は元気だ、だからやめろ!」
「!、続けるんだ!」
「京もあおるな!」
と、少しだけにぎやかになった。この三人は幼いころから仲が良かった。葵と井上はもともと親が院長と副院長という関係なので友人だった。小雪はそのころ学校ではいじめ、親からは虐待を受けており、心を閉ざしていた。その彼女を救ったのがほかでもない葵と井上であった。そこから三人は仲良くなり、今に至るということになる。
「まあ冗談ではありませんがさておき…」
「冗談で頼む」
「どうしたんですか?いつもの朝よりテンションがかなり低いようですが…何かありましたか?」
「あ、ああ…ちょっとな……少し騙されたというかなんというかていうか……」
「ほう…大和君を騙せる人がいるとは驚きですね。どんな人ですか?」
「こんな人だ。阿保」
「「「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」」」
その場にいる全員が少しだけ驚き声が聞こえた方に顔を向けた。そこには自分たちと同じ川神学園の制服を着た細目の少年が自身の白い髪を風に揺らしながら立っていた。長めの髪が顔を隠し、また逆光を浴びてるせいか顔の表情もよく見えない。しかしどこか威圧感を持っており風間ファミリーと葵たちに緊張感を与えた。
特に風間ファミリーの二年生組は驚愕していた。こんな緊張感を与えるほどの者が同じクラスにいたということを。そしてそれは葵たちも同様だった。
そしてその者の口が開いた。
「ようおはようさん。昨日はゆっくり眠れたか?」
その声を聞くと同時に飛び出す者が居た。
川神百代だ。
これほどの威圧感、これほどの緊張感、これほどの相手が今、たった今自分の目の前にいるのだ。バトルマニアである彼女が待ちきれるはずもなかった。刹那の速度で右正拳が放たれた。
彼女はスロースターターだ。戦い始めてだんだん調子や本気を出していくタイプである。しかしそれでも壁のさらに向こう側の実力者だ。その正拳に天邪狐は反応できていなかった。見えてはいたが身体が追い付かなかったというやつだ。しかしその正拳は天邪狐に届かなかった。
急に現れた白髪短髪の男と緑の髪の老人に右腕を掴まれ、止められたからだ。
「お前……何者だ?」
「見ればわかるだろ。人間だぞ」
「そういう意味じゃないと思うぞ鳥君」
「姉さん!一度下がって!」
百代は一度手をひっこめると元の位置にバックステップで戻った。その顔には歓喜の笑みが張り付いていて、今にもまた飛び出していきそうな飢えた危うい獣をイメージさせた。
「うお~びっくりした~。なんだよ人があいさつした瞬間に殴ってくるとか、武神さんは常識っつーモンを学んでいないようだな」
「フフフ…こんなに威圧してくる奴に言われたくないな」
「ねえ!真君…よね?」
一子は思わず大きな声で問いかけた。目の前にいる人物が昨日一昨日と自分と話し合っていた人物とが同一人物と思えないからだ。それほどまでに雰囲気という雰囲気が違いすぎている。もしかして仮面をかぶった別人かも、そう思わせるには十分すぎるほどの変貌ぶりだった。
「…………ぷっ……」
「え?」
「クックックック……ハハハハハハハ!なんだお前一昨日の放課後宿題教えてやったのもう忘れたのか?昨日お前を怒ったことももう忘れたのか?あったま悪すぎだろ!」
真君だ。
一子はすぐにそう思えた。
心の底からそう思えた。
相変わらず威圧感は消えていないが、目の前にいる大笑いしているのが確かに天邪狐真だと思えた。
それと同時に心が癒される笑いだった。
「ははは……ふう、落ち着いた。まあとりあえず自己紹介しとくか。よくわかんねえ奴らがいるみたいだしな。
俺は川神学園2ーF所属天邪狐真、よろしく。そしてこいつらが……
俺の仲間たちだ!」
そう叫ぶと同時にどこからともなく人が現れた。それも複数。今はバリバリの登校時間で他の生徒も何事かとこちらを見ている。そんなことはお構いなしに集団はまるで道をふさぐように横に並んだ。数えると人数は天邪狐も含め十一人だ。
「こいつらは俺の自慢の仲間たちだ。今日の放課後にお前らのとこに攻め込む、俺は別に一人で攻め込むなんて言ってないからな。」
というと天邪狐は一人でゆっくり前に歩き出てきた。その一歩一歩にどこか深みがあり、風間ファミリーや葵たちだけではなく周りの傍観者の生徒たちまでにも緊迫感を与えていた。
そして天邪狐は風間の前で立ち止まり、右手の人差し指で顔を指さした。
「はっきり言おう。これは宣戦布告だ。覚悟しとけ」
そう言い放ち、自身の顔に笑みを浮かべさせた。
「…へっ、受けて立つぜ!お前らこそ覚悟しとけよな!」
周りの生徒には何が起こり、何を宣戦布告をし、何を承諾したのかなどの概要等はまったくわかっていなかった。しかし、何かが始まったことだけは雰囲気から感じ取れた。それは武士道を志すような校風を持つ川神学園の生徒だからこそ感じ取れたものだろう。
「んじゃ、また学校でな」
天邪狐は振り向くと、右手をパーにした状態で前の空間を左側から右側になぎいた。するとともに先ほどまでいた十人の仲間は散開し、どこえともなく消えていった。
気付くと天邪狐の姿も消えていた。
「…なんだよ弟。あんなにすごい奴なんて聞いてないぞ!」
「うぐっ!い、痛いよ姉さん。ヘッドロックしないで!後俺も知らなかったんだって!」
「確かにすごいですね。ブドウをほとんどしたことのないこの私でも気というのを体験しました」
「しかもお仲間の中に壁越えの実力者が三人もいました」
「え?ほんとか!?」
「つーかさぁ、年上美人が二人もいたぞ。しかもその片方はスゲー露出してなかったか?」
「う、うん…すごい格好してたよね」
「そんなことよりも推定年齢一桁の幼女が居たぞ!イエェスロリィータノータァッチ!」
「真君…すごいわ。よくわからないけどすごくすごい!私俄然燃えてきちゃった」
などといろいろコメントをしている最中、あるとってもとっても小さい一言がその場に約二秒の沈黙をもたらした。
それは、榊原小雪の何気ない一言だった。
「ねーえ、学校は?」
「「「「「「「「「「「……あ…」」」」」」」」」」」
…学校のチャイムが鳴り始めたのはそれから四十三秒後のことだった。
現在昼休み
天邪狐は屋上の橋で昼寝をしていた。流石の天邪狐も今朝宣戦布告をした相手と同じ空間にいるのは多かれ少なかれ苦痛を感じるもので、昼休みが始まると同時に屋上に来た。昼休みなので多少の生徒が弁当を広げに来るのは仕方ないが、それでも教室にいるよりははるかにマシだ。
「zzz~~~」
そこに普通は来るはずのない人物が現れた。
「真君、ご飯一緒に食べない?」
「zzz~~~………んあ?一子か?おまっなんで…」
そこに居たのは紛れもない川神一子だった。それも昨日の弁当箱よりも一回り大きい弁当箱を持っている。
「…お前何考えてんだ?敵情視察でも頼まれたのか?」
「ううん、そういうのは全くなしで誘いに来たんの。昨日私が話しちゃったから結果的にこうなったわけだし、放課後のことはファミリーと真君達のことだもん。私と真君との話じゃないじゃない。それに…」
「?、それに……どうした?」
「それに………私のお弁当をおいしそうに食べてくれたんだもん。私、昨日のその時からまたお弁当作って来ようって思ってたから」
「……そうか…」
そうつぶやくと弁当箱のふたを開け、中にある品々を見た。
ピーマンの肉詰め、きんぴらごぼう、ひじき、魚のミニフライ…さまざまな品があり、かつ色とりどりだ。
天邪狐はその中から人参のベーコン巻を自身の右手の親指と中指でつまみ、口の中に放り込んだ。人参に塩が少しかかっており、それがベーコンと一緒にかむことで口いっぱいに人参の甘味と塩のしょっぱさ、そしてベーコンの油が広がり良い味になっている。
「いんじゃね?美味いよこれ」
「ホント?よかった~失敗したかもって思ってたのよ」
「は?おいまて、じゃお前はそんな曰くつきの料理を俺に食わせたのか?まさか毒が……」
「もう!毒なんて入ってないわよ!まったく…」
「おや?この組み合わせが出来上がっているとは思いませんでしたねえ」
二人の間に介入してきたのは今朝風間ファミリーと共に天邪狐と会っている葵、井上、小雪の三人組であった。
この三人が来ることは天邪狐は気配でしっかり把握していた。そしてこう言い放った。
「お前誰だ?」
と。
「これは少々ショックですね。この学校では私はそこそこの有名人だと自負しているんですが…ましてや今朝会ったばかりだというのに」
「ウソだ。憶えてた。っつーか知ってる。葵冬馬だろ。んで顔近い!」
こいつがバイの二刀流なのは知っているためすぐに警戒モードに入る天邪狐。
「フフ…つれないですねえ…」
「気を付けろよ、若は「それも知っとる」…あっそう……」
「ウェーイ、今朝ぶりだね~ボク榊原小雪。よろしくウェーイ」
「ああ、ウェーイ…」
「はは、ユキに気にいられるとはやるなーお前。あ、俺は井上準よろしく」
「よろしくな、ロリコン。んで違うから」
「なに!俺がロリコンだとわかっているだと!?それならお前も……って先読み断りだと!?」
少しだけにぎやかになった屋上の片隅で今日のうわさを持ちきりになっている人物たちが和気あいあいと話し合っている。天邪狐が今朝にあのような形で宣戦布告をした理由は特にない。元々目立つという行為が好きではあったがあまりに目立ちすぎると《いつわりぎつね》の仕事に支障をきたす可能性があるため、自分で抑制をしてきた。しかし一子が風間ファミリーに話ことをきっかけにそのタガが外れ、今回のようなことに至ったということだ。
それを天邪狐は目の前にいる四人に(葵たちが居るためいつわりぎつねのことを隠して)話すと…
「目立ちたがりというだけで風間ファミリーに喧嘩を売りますかねえ…」
「こりゃあ奴さん自殺願望者と変わんねえな。武神さんが居るんだぞ?」
「まこまこすごーい」
「まこまこ?」
「真だからまこまこ~いいでしょ?」
「別にいいけど…」
「それではわたs「お前はダメだ」…つれないですねえ」
「それでも私たちは負けないわよ!風間ファミリーは最強なんだからね!」
「ハッ、上等だ」
と、おしゃべりをしていると…
ピーンポーンパーンポーン↗
[2ーFの天邪狐真君、2ーFの天邪狐真君。今すぐ学長室に着て下さい。繰り返します、2ーFの天邪狐………]
ピーンポーンパーンポーン↘
「…どうやらお呼び出しのようだな」
「まあここまで騒ぎになっていれば当然ですね。『2ーFの奴が武神に喧嘩を売った』今は学園中そのことでもちきりですからね」
「んじゃちょっくら行ってくるわ。なるべく早く戻ってくる」
「「いってらっしゃ~い」」
美少女二人のいってらっしゃいを背中に受けながら少し遅めに学長室に向かった。
区切り方がおかしい。