真剣で嘘つきを騙してみろ   作:棚上げ侍

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毎度毎度の駄文です。


決着

 

「ばかな!天下は十勇士に入れることが出来る逸材ぞ!それがこのような者に負けるはずがな「隙ありよ!たあ!」しまっ…ぐわーーー!」

 

天下が敗北したことに動揺してしまった焔は、思わず大戦中の一子から目を外してしまい、そこを突かれてしまった。一子の渾身の一撃をもろに喰らってしまった焔は、その衝撃に耐えきることが出来ず、その場で倒れこんだ。一子の勝利だ。

 

「ハア…ハア…、よし!敵将を一人撃破だわ」

「よくやったな、一子」

「うん!」

 

一子は心から喜んでいた。本当に喜んでいた。が、心の中で少し引っかかっていることがあった。真のことだ。天下と呼ばれた青年は、『真』のことを『空』と呼んでいた。昔と苗字が変わっているのなら両親とのトラブルや親類の愁傷などが考えられる。一子自身、昔は岡本という苗字であったが、今では川神になっている。が、真の場合完全に名前が変わっていることになる。そこに一子は疑問を持っていた。

 

「ね、ねえ真君。聞きたいことがあるんだけど…「悪い一子」……何?」

「お前が聞こうとしていることは分かるし答えもちゃんと俺はもってる。けど、少なくとも今お前に話すことはできない」

「………そう…」

 

一子はそれを聞くと、それ以上の追及をあきらめた。人が聞いてほしくないといっていることを深く聞くつもりはないし、それをすることで傷つく人を一子は知っているからだ。

 

「悪いな。けどいつか絶対このことをお前に話すから、そのいつかまでちょっと辛抱してくれ。な?」

 

真は諭す様に一子に語った。一子は完全には納得していなかったが、『絶対話す』という言葉を信じたようだった。一子はおもむろに自分の右手を前に出して、小指だけをピンと立たせた。

 

「…うん、わかったわ!けど絶対いつか話してね?約束よ」

「ああ、約束だ」

 

それに真は自分右手の小指を絡めさせ、しっかりと結んだ。いわゆるゆびきりげんまんだ。気休めにしかならないかもしれないものだったが、二人は固くお互いの小指を結び合った。

そのとき

 

ぱぁん!

 

突如、星が彩る夜空に小さな花火が浮かび上がった。それを見た真は、瞬時にそれが大和に渡した花火だということに気付き、さらには一子も、何やら獣耳にも見える(もしかしたらほんとに耳かもしれないが)髪の毛をピンと立てて、急にそわそわし始めていた。まるで主人に呼ばれた子犬のようだと真は思った。

 

「はっはっはっはっ……大和があっちで呼んでるわ!早くいかないと!」

「(こいつ……ほんとは人に化けた犬なんじゃねえか?いや、化けるのは狸か狐かだけど……てかこいつマジで犬だな)」

 

真は感心とも関心とも心配ともいえる、何とも複雑な心情にあった。実際一子のこの光景を見たものは少なからず「こいつ大丈夫か?」と思うだろう。

 

「早くいかないと!」

 

そう叫び一子は一目散にさっき花火が打ち上げられた方角にほぼ一直線に走って行った。真は半ばあきれながら一子の後を追った。

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

「おいおいじいさん、アイツいったい何なんだよ。武術家っつーよりかは策士だろ。確かに意外な戦い方をしたが、強さってんならまだまだじゃねーか」

 

真と天下の戦いを見た鍋島は鉄心に愚痴をこぼしていた。それもそうだ、鉄心が気になっている人物の戦いぶりが武をやりこんでいる者のそれとはまったく違っていたからだ。確かに心うち騙されたと感じた何かはあったが、武道を志す者にとっては決して好意的な感情を抱けぬものだ。しかし鉄心はその文句を聞き流し、鍋島に告げた。

 

「お主もまだまだじゃのう。あ奴がしたことにまだ気づいておらんのか」

「?、なんだよ、あの野郎がしたことって」

 

鍋島はまるで見当がつかなかった。五体はフルに使っていたし、自分が見た限り手を抜いてやっていたようには見えなかった。怪我をしておりハンデを持っていたとも考えたが、それならば「したこと」という鉄心のことばと矛盾する。あれこれ考えていたがそれらしい答えは見つからず、降参の意を示す両手を肩より上にあげる行為をした。それを見た鉄心は答えを語った。

 

「戦闘が始まってからある一瞬を除いて、目を閉じていたんじゃよ」

「……………」

 

鍋島は声が出なかった。それほど驚いたからだ。確かにアイツの目は見るからに細く、開いているか閉じているか、少し離れればよほど目が良い者ではないと分からないであろう程だった。壁を越えているとはいえ工場地帯の外から真の目の開閉を認知することは至難の業どころではない難易度だろう。

 

「……あいつが闘り合ってた天下ってやつは、才能も努力もつけいる隙が無いほど特訓してきた。うまくいけば成人までに壁越えができるってやつだったんだよ」

 

鍋島はくわえていたタバコを一度指ではさみ、煙を思い切りはくとまた口に戻した。

 

「………そいつを目ぇ閉じながら戦って勝っちまうたあ………天邪狐真て奴、どんなやつなんだよ。どこで、拾ってきた?」

「ふぉっふぉっふぉ、拾ってくるわけがなかろうが」

 

鉄心は笑いながら、鍋島の冗談を否定した。

 

「普通にうちの学校に入学してきたんじゃよ。まあ、それは表面的にの話じゃがな」

「そいつはつまり、裏側でいろいろあったってことか?」

「そういうことじゃ。このことは、内密に頼むぞい」

「へいへい」

 

二人はそんなやり取りをした後、また戦場の景色に目を移した。

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

一方、一子と真の二人は、大和が見つけた小さな空間のすぐ近くに居た。一子は今すぐにも突っ込んでいきそうだが、それを真が制している。まるで待てという命令を聞かない犬を、無理矢理待たせているように見える。

 

「だから、相手の隙をうかがえって言ってるだけで、なにも戦うなって言ってるわけじゃねーんだよ。わかるか?」

「分かったわ。つまり突っ込んで敵を全員やっつければいいってことよね!」

「だーーーかーーーらーーー!」

 

もう一度言おう。待てという命令を聞かない犬を、無理矢理待たせているように見える。

 

「もういい!いけ、一子!(こいつが突っ込んでいって、その時に出来る隙を俺がつく方がいい。こいつ話を聞かねえどころか理解自体できないからな)

「あおーーーーーん!」

 

狼の雄たけびのような声を出しながら一子は中に一直線に駆けて行った。このことから、やはり真の言っていたことが全く理解していなかったことが大いに解る。真はまた半ばあきれながら、一子の後を追う羽目になってしまった。

ふと真は空を見上げた。上空にはヘリコプターが二台、夜空を飛んでいた。

 

「(九鬼ってのは登場シーンにこだわりを持ってるやつばっか居るのか?)」

 

真は事前にとある情報をとある方法で入手しており、そのヘリコプターの正体を熟知していた。

 

 

 

 

 

 

 

少し進むと、奥から金属同士がぶつかり合う音が聞こえてきた。どうやら一子が敵と戦っているようだった。一子が戦っている相手は、やけに老けた顔をしている、学生服を着た男性だった。この東西交流戦に参加できるのは生徒のみという事と、その男性が学生服を着ている事から察するに、ただ単にあの男性が老けて見えるだけなのだろう。見れば見るほど笑いという笑いがこみあげてくる。とても面白い顔だ。

 

「おじさん、中々やるわね」

「某、立派にそなたと同い年!」

「ウソよ!」

「ホントです!」

「(まあ確かにかなり老けて見えるが、間違いなく同い年のようだな)」

 

真は少しだけ、老け顔の男子生徒に同情のような感情を抱きながら、さらに奥へと歩を進めた。すると、すぐに見知った顔が目に入った。まるでなっていない構えをしている大和だ。その近くには容姿の整った青年が居り(敵の大将だろう)、イラつきが顔に浮かんでいた。おそらく大和の素人構えに馬鹿にされたと思っているのだろう。

 

「貴様!その構え、ド素人ではないか!馬鹿にしているのか!」

「あ、やっぱバレた?」

 

真は気配を消して敵将の死角に移動している途中で、ゆっくりと回りこんでいた。大和はおそらく敵を挑発して冷静さを失わせると同時に時間稼ぎをしているのだろう。それを察していた真はその行為を無駄にならないようにするため、確実に敵を一撃で仕留めるイメージを浮かべていた。敵将は怒りのあまり大和に攻撃を仕掛ける。攻撃をする時は必ず隙が生まれる。そこを突くと真は考えた。

 

「実力も持たぬ軍師が前線に上がるなど笑止!ここで俺の出世街道の礎となるがいい!」

「くそっ!(まだか。まだなのか真!)」

 

敵将は手に持っている大きく刀を振り上げ、大和に思い切り振り下ろそうとした。

瞬間

同時に死角から真は飛び出した。当然目標は敵将の胸部だ。人間は胸部に強い衝撃を与えられると一時的に心臓活動が低下する。このことの結果を言うと、つまり一定条件行動不能に陥ることになる。真の狙いはそこだった。

が、

 

「予想通りだわ阿呆!」

「うおっ!?」

 

敵将は不意打を読んでいたらしく、真の攻撃を振り下ろしていた刀の軌道を変えて防御した。真はすぐに下がって距離をとり、油断なく構えた。

 

「こんなど素人がしゃしゃり出るなど、罠があると考えるのは当然だ」

「へえ、ただのバカじゃないみてえだな」

「俺を甘く見るな。が……」

 

敵将は下に向けていた刀を上げ、自分の肩に置いた。完全に上からモノを言っている態度をしている。

 

「不意打ちとはいえなかなかの一撃だったぞ。俺の名は石田三郎、お前の名を聞いてやろう」

「聞いてやる……じゃなくて、教えて下さいだろうが。あと、人に名前聞くときは刀をしまえって先生に教えてもらわなかったのか?」

 

真は自分の左腰に左手の握りこぶしをつけ、そこに自分の右手の握りこぶしをまっすぐな軌跡を描きながら軽くぶつけた。それは刀を鞘に納めるジェスチャーだった。

 

「はは、こんな状況で自分の武器を捨てる奴の気がしれんな」

「まあそうだよな。んじゃ、名前くらい教えてやるよ。俺の名は天邪狐真だ」

「天邪狐真……よし、覚えたぞ」

 

そう言うと石田は刀を右手だけで握り、自然体になった。

 

「天邪狐真、お前に特別に俺の本気を見せてやろう」

「本気?」

「そうだ、本気だ」

 

石田はまるで力を溜めるように身体全体に力を込めた。そして、

 

「『光龍覚醒』!」

 

スーパー〇イヤ人さながらの溢れんばかりの気と上に逆立っている黄金の髪。見ただけでパワーアップしたことがわかる姿だ。とても分かりやすい。

 

「どうだ、使用者の寿命を削るほどの大技だぞ!そして、この技を俺が使った時点でお前の敗亡が決定した!」

 

石田は勝利を確信したのか、余裕と取れる表情を顔に浮かべた。自分の最高の切り札を切り、完全に自分が負けないことを疑っていないようだ。

しかしそれを見た真の感想は、恐れでも畏怖でも、ましてや精神の高揚でもなっかた。

それは、石田と同じ感情………余裕であった。

 

「使用者の寿命を削るほどの大技……ねえ………プッ(笑)」

「何がおかしい………!?」

「(こいつ、眼が紅く変色している!?)」

 

石田が気付いたそれは、異変であった。人間の眼の色が突然変わることなど通常ありえない。しかし、石田の目の前でそれは起きた。真の瞳の眼が赤く変色していくところを目撃したのだ。それと同時に真は語りだした。

 

「確かにその技は使用者の寿命、厳密には細胞分裂数っつーんだがまあ寿命でいいだろ。を消費して膨大な気を作り出しているが、実際にはこの量の気とは比べ物にならないほどの気があふれ出ているはずだ。今お前が使っている状態は燃費が悪すぎる。ようは使いこなせていない」

 

まるで学校の授業のようだった。たんたんと語る真に、石田と大和は思わず茫然と呆けてしまい、唖然とした。

 

「ま、その年齢でその技をつかえるってだけでも十分合格点だな。よくできました、頭撫でてやろうか?」

「ば……馬鹿にしおって!」

 

石田は激情し、手に持っている刀を振りかぶって攻撃しようとした。が、

 

「けど、俺に寿命削ってまで本気出してくれたんからな、こっちもそれなりの誠意を見せるか」

 

目の発動 《白眼》

 

真の眼が赤から急に真っ白に変わった。そのことにまた驚いてしまった石田は太刀筋に歪みが出来てしまい、コンマ一秒にも満たないがロスタイムを生んでしまった。

 

「これが俺のほぼ本気だ」

 

真は右手で横薙ぎし、その手は何かを裂き、石田をはるか後方に吹き飛ばした。その手は止まらず空を裂いていき、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろから迫っていた刀を人差し指と中指の間で白刃取りした。

 

「おいおい、後ろから不意打ちかよ……?」

「!?、よ、義経の太刀を指でつかんだ!?」

 

真は後ろの人物に話しかけると同時に振り返った。そこに居たのは、自分と同じ川神学園の制服を着ている、手に刀を待っている長めの黒髪の女の子だった。

 

「(こいつは確か………武士道プランの……)」

 

 

 




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(区切り方が変……(;´・ω・))
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