「ふぁあ、眠いな」
現在時刻は約八時、真は登校中だ。朝から元気な者から真と同じようにダラダラしている者など、川神学園の生徒がよく見える。昨日の東西交流戦に現れた少女は武士道プランという九
鬼財閥が行っている企画やら計画やららしく、しゃべりあっている生徒の話題はそれでもちきりだ。真の前を歩いている風間ファミリー(川神百代、一子抜き)も、その話題で盛り上が
っている。
「弁慶が女だったなら、ぜってえうちの母ちゃんみたいな奴だぜ?」
「まあまあ、そうと決まったわけじゃないんだし」
「どんな人でも大和は渡さない……」
「(スルー)でも強いことは確かだと思うぞ。少なくとも源義経はかなり強かったはずだ」
「義経さんは剣士でしたね、私も剣士としてお相手をお願いしたいですね」
「でーじょーぶだまゆっち。まゆっちはそう簡単に負けねえよ」
と、大いに盛り上がっている。
ちなみになぜ真が風間ファミリーの後ろを歩いているかというと、たまたま。たまたま登校中に見かけたため、なんとなく気配を消しながら後ろを歩いている。もう一つ言うと、風間フ
ァミリーは誰一人として真に気付いていない。
と、解説している間に
「そういやワン子はどうしてんのかな?(犬笛発動)」
「呼んだ~~~~~~???!!!」
かわかみかずこ が かわから あらわれた!
「(……は?)」
一子がスクール水着姿でさらに川からの登場したことに、驚きで思わず顔をしかめる真。しかし前の風間ファミリーは反応が薄く、慣れている様子。
「うわっ!川から登場とか新しいね」
「実は鍛錬とアルバイトを兼ねてね……………あれ?」
一子は風間ファミリーの後ろに立っている真に気付き、そちらの方を見た。さすがの真も気配は消せても姿形までは消すことはできない。
「真くん、そこで何してるの?」
「え、真って………」
一子の声に全員が後ろに振り返ると、
「「「「「「「「ぶっ!?」」」」」」」
思わず吹き出す風間ファミリーと、そのリアクションを見てこっちも吹き出す真。
「いいいいつの間に!?」
「お前らが住んでる島津寮ってとこの少し離れたとこらへんから。つか師岡驚きすぎ」
「全然気付かなかった!」
「気配を全く感じませんでした(この方、実力は壁越えではないと思うのですが……なんでしょうこの感じ、何かを感じる)」
「まあ確かに俺は壁は超えてないけど、実力はそこそこにあるんじゃねえか?黛由紀恵君」
「へ!?」
「この方、実力は壁越えではないと思うのですが……なんでしょうこの感じ、何かを感じる…………って顔してたぞ」
「はわはわはわわ……こ、心を読まれてしまいました~~~??」
「わははは!お前やっぱおもしれーな!」
真と軽く雑談すると、一子はまたバイトと鍛錬のために川に戻っていった。その後すぐに
「空から美少女登場!」
かわかみももよ が そらから あらわれた!
「この姉妹、フツーに現れようとしねえ!」
「おっ、天邪狐も居るじゃないか。ちょっと勝負しないか?」
まことは 《ぶしん》かわかみももよ から しょうぶをいどまれた!
「姉さん、登場早々何言ってるの!?」
「やってやらんこともなくなくなくないかもしれなかったかもしれないかもしれないと思うこともあったかもしれない」
「今なんて!?」
「やってやらんこともなくなくなくないかもしれなかったかもしれないかもしれないと思うこともあったかもしれないっつったの」
「そういうことじゃなくて!」
「つまり戦ってくれるんだな?」
「断る」
「たーたーかーえーよー」
百代は真の腕をがっちりとつかみ、ぐいぐい引っ張っている。まるっきりお菓子を買うよう頼み込んでいる子供と、それにうんざりしている親の図だ。それを見た風間ファミリーのメン
バーはふと疑問に思った。
「モモ先輩。そこまで天邪狐に戦ってほしいのか?はっきり言って俺様的に毎日やってくる挑戦者たちの方が強そうに見えるぜ?」
という疑問が浮かんだのだ。
「そうそう、それに河原のとこに挑戦者が居るぞ川神姉」
「ん?あほんとだ、なんかガクトみたいなデカきもマッチョが居るな」
「モモ先輩?今さりげなく俺様に若干毒吐きましたよね」
半泣きの岳人を無視しながら一子抜きの風間ファミリーは(変態)橋近くの河原に向かっていった。そこに居たのは東西交流戦で見たことがあるようなないような、でかキモマッチョだ
った。なぜかそいつは上半身がは裸で、ポケットには何やら液体が入った瓶があった。
「待っていたぞ!武神川神百代!」
「てめえ!南長万部!」
「全然違うわ!長宗我部だ長宗我部。チョーさんとでも呼んでくれ」
長宗我部は岳人にツッコミを入れると仕切り直す様に百代の方向に向き直した。
「東西交流戦では不本意な結果に終わってしまったからな、武神と名高い川神百代を倒して俺の名誉と四国の知名度アップにつなげるのだ!」
「……捕らぬ狸の皮算用ならぬ、捕らぬ武神の勝ち算用…」ボソッ
「あ、確かにそれ言える」ボソッ
真と師岡がひそひそしている間にポケットから瓶を取り出し、それを体にぶっかける長宗我部。見るとその液体の正体はオイルのようだ。
「さあ、俺のオイルレスリングでぬるぬるにしてやろう!」
「う~ん、このまま戦うと川神百代が寝取られたってサイトが炎上しそうだな。いやまったく困った」
百代は何やら考え込むふりをしている。が、その顔には悩みというよりもむしろ何かを思いついたようににやにやしている。その顔を見た真は嫌な予感がMAXになった。
「じゃ、俺には関係なさそうだから先学校行ってるz「そうだ、代わりにこの天邪狐真に戦ってもらうとしよう!」……はあ!?」
「「「「「「「「「……はあ!!!???」」」」」」」」」
「はあ!?」という声は真だけではなく、周りの集まってきていた観客……川神学園の生徒達の口からもあふれた。
「阿保かお前、なんで俺があんたの代理で戦わなきゃなんねーんだよ」
「いやーお前の実際に戦ってるとこ見たことないからな。ここでいっちょ見せてもらおうかと思ったんだ♪」
「ほざけ、なにが『思ったんだ♪』だ。誰が闘るか」
「南長万部君、こいつに勝てたら私に勝ったということでいいぞ」
「人の話し聞け」
「いいのか川神百代。そんな奴に自分の名誉を託してしまって。あと、俺の名前は長宗我部だ」
「筋肉ブタゴリラも勝手に話進めんな」
真が何を言っても、百代は百代で真の実力を知るために、長宗我部は長宗我部で武神よりもこっちの方が倒しやすいと判断して、二人とも真の言葉に反応すらしていない。真がどんなに
正論を並べ立てても聞いてくれないとまさに話にならない。そうこうしているうちに真と長宗我部の決闘が勝手に決まってしまった。
「ぬわーーはっはっはっは!貴様など、俺のオイルレスリングでぬるぬるにしてやろう!」
「さっきと言ってることがほとんど同じだぞ………はあ……」
思わずため息が出るほど気が乗らない真と、チャンスが回ってきたことに歓喜する長宗我部。百代は満面の笑みを浮かべている。
「姉さん、いいの?あんなことして」
「いいから見てろよ弟。きっと大丈夫だ」
「……きっとって、それ若干フラグだよ…」
心配そうな表情をする風間ファミリーと周りの観客たち。そんな中、選手二人は向き合った。
「それじゃあ審判は私が務めよう。合図も私が出そう。双方、用意はいいな?」
「いつでもいいぞ!」
「はよしてくれ」
百代は右手を大きく上に振り上げ、
「ではいくぞ………はじめ!」
思い切り振り下げた。同時に長宗我部が前に出た。見た目の割にとても速い。が、さらにそれと同時に
「!?、なにぃ!?」
長宗我部は真の姿を見失ってしまった。ずっと自分の目の前に居て、今の今まで目も合っていたのになぜか見失っていた。
「こっちだマヌケ」
ふいに後ろから声を掛けられ、反射的に長宗我部は後ろに振り返った。しかし、その振り返ようとした空間にそれはあった。
「っらあ!」
「おぶっ!?」
長宗我部の頬には真の平手が張り付いており、それは存在と同時に攻撃でもあった。
そのまま長宗我部はノックダウン。その場で倒れこんだ。
「そこまでだな。勝者、天邪狐真!」
百代がそう叫んだ瞬間、一瞬呆けていた周りの生徒から、歓喜の怒号が沸き上がった。
「おわっ!手ぇぬるぬるする!」
そんな声をまったく気にしていない真は、長宗我部のオイルがついてしまった手のひらを、ポケットから取り出したハンカチで拭き取っていた。
真は長宗我部と対峙し、百代が開始宣言をした瞬間に視線誘導を行った。目があった瞬間にまず真から見て右側をちらりと見て、それにつられて長宗我部もみ右側に視線が移ってしまっ
た、それと同時に真は左側から後ろに回り込んだため、あたかも消えたように長宗我部は見えてしまったのだ。一撃で昏倒させたのも決して力技ではなく、ちょっとしたタネがある。振
り返ろうとした瞬間にそのスピードとほぼ同じスピードで掌底をぶつけることで、長宗我部の脳内に振動を閉じ込め、一気に脳震とうを起こさせたのだ。
「やはり私の目に狂いはなかった。改めて真、私と戦え!」
「やだよ、それより今は学校だろ。武士道プランの猛者たちが待ってるぞ」
「それも楽しみだ!じゃあ学校に行って戦おうか!」
「阿保」
二人は周りの者を置いてけぼりにして、先に登校して行ってしまった。
――――――――――――――――――――――――
「えーこれより、全校集会を始める。まず皆が知りたいと思っとる武士道プランについてじゃが、それについては新聞を読むんじゃ………」
鉄心は全校集会を開始して、昨日東西交流戦で突如現れ敵の大将を倒した『源義経』と名乗る少女の正体を説明し、他の関係者等の紹介を始めた。しかし、鉄心の説明を見いるように効
いている川神学園の生徒の影の中に真の姿はなかった。真は全校集会には(めんどくさいことと判断したため)出席せず、屋上でとある男子生徒とその光景を眺めていた。その男子生徒
とは那須与一、武士道プランの申し子であると同時に中二病である、大変残念な性格の持ち主である。
「あーいい天気だな。こういう日こそ何かが起きそうな感じがして気味悪いな。(まあ今現在進行形で起きてんだけどな。)」
「まったくだぜ。そもそも俺が学校なんてとこに通わなきゃならなくなること自体がイレギュラーな出来事だ。……組織の連中がどこから狙ってるかわからねえってのに…」
「俺もそう思うけどな。(ホントお前の性格にはイレギュラー性を感じるな。ここまで残念な中二病は初めてだ。かなり重症だなこりゃ。(爆笑)」
真は内心かなり笑っていた。顔に出ないのが不思議なほどだ。
「まず、この学園に全員で十一人の学友が増えるぞい」
「五人も関係ない奴が同時に編入?やはり組織の者が……」
「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
声こそなんとか押さえていたものの、事情と編入生五人の正体を知っている真は我慢が限界突破したらしく、とうとう吹き出してしまった。
鉄心のこの発言に生徒たちが一斉にざわめきだす。鉄心は補足説明のために生徒を静かにさせた。
「武士道プランのクローンが四名、関係者が二名、普通の編入生が五名じゃ。最後の五名は、本人たちの意向でここでの紹介はナシじゃ。ではまず三年生からじゃ。出てきなさい」
こうして葉桜清楚、源義経、武蔵坊弁慶、那須与一(ここに居るので紹介はされず)が紹介され、一年生の紹介に移った。すると、黒服の執事集団が現れて肩を組み合って一列に並び始めた。その執事たちのうえを一人歩く見覚えのある少女が現れた。
「我、顕現である!」
九鬼紋白だ。後ろにはヒュームが控えている。紋白の登場により、一気に生徒たちのボルテージが変動し始めた。盛り上がる者、驚きだす者、笑い出す者(真も含まれる)、様々だ。
「wwwwww………………ふう……あーあ、マジで来ちゃったかあのオッサン………っと」
何やら真は何かのトラップを仕掛けたらしく、何かを待つように見入っている。すると、ヒュームの紹介が始まり、真の心臓の音と口角も上がっていく。しかし冷や汗も少しだが流れ出す。ポケットから何川取り出して、後はタイミングだけ。そしてその瞬間は訪れる。
「1-Sに編入する事になった、ヒューム・ヘルシングです。皆さんよろしくお願いします」
「まさかあの人がヒューム・ヘルシングさんとはな」
「強いで候?」
「強いなんてもんじゃないぞ。九鬼家従者部隊の零番だ。ジジイとも実力を並べられる」
「そこまでで候?」
「でも思ったよりは強そうじゃないな。お歳かな……」
「(来る!)」
「打撃屋としての」
真は手元にあるスイッチのようなものを押した。
カチッ
「筋にk!」
ズボッ
ヒューム・ヘルシング は おとしあなに はまった!
「!、なんだ!?」
「(よし!ドッキリ大成功!)」
ヒュームが弱くなってるような……
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