真剣で嘘つきを騙してみろ   作:棚上げ侍

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編入初日

 

『因果応報』

この四字熟語の意味を簡単にいうと、人はよい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるということだ。年齢が高くない子供たちの教育にも大体この言葉こそ出ないものの、この意味合いはよく出てくる。

真は二週間ほど前に、原因はお互い様ではあるがヒューム・ヘルシングに襲われたことがある。突然夜中に依頼を持ってきた九鬼紋白に、悪態気味のことば使いをしてヒュームを怒らせたのだ。当然真はそのことを恨んでおり、憶えていた。実際に手を出したのはヒュームであるため、紋白はターゲットに入れずにヒュームに的を絞った。

この二人に加え、武士道プランの申し子たちが川神学園に編入することはとある情報源から知っていたので、今回ヒューム・ヘルシングを落とし穴に落とし込む計画を立てたのだ。

ヒュームはおそらく百代に牽制も兼ねて後ろに回り込むと真は予想し、全校集会で百代が立つであろう場所の一歩分後ろに遠隔操作式落とし穴を作った。そして見事にヒュームをを落とし穴に落とすことに成功したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、何あれ。どうなってるの?」

「あんな厳つい顔したじいさんが落とし穴にはまってる」

「つーかこの絵、かなり笑える(笑)」

 

と、ヒュームが落とし穴にはまっているのを見てくすくす笑っているものが多い。当然真は屋上で大爆笑だ。与一はありえないものを見るようにただ呆然としている。

 

「まさか、アレお前がやったのか!?」

「何のwwwwことだwwwww俺はなwwwんも知らwwwwwwwねえぞwww」

 

与一の質問に答えながらも笑いが止まらない真。の後ろにメイドが二人現れた。一人は金髪の大胸、もう一人は黒髪スレンダーだ。どう見ても、というよりもここ川神だとメイドを見ると=九鬼家になってしまう。つまり九鬼家従者部隊のメイドだ。

 

「おいおい、こんなとこで何やってんだよ……って誰だお前?」

「この学園の生徒でしょう。この人もまた、ここで全校集会ををサボっているのでしょう」

「へえ、なかなかロックな奴じゃねえか」

「www……誰だお前ら」

 

高等学校にまったく合わないメイド姿の二人に、まったく動じず当たり前の疑問を吹っ掛ける真。

 

「九鬼家従者部隊、序列15位、ステイシー・コナーだ」

「同じく、序列16位、李静初(リー・ジンチュー)です」

「ウソだよウソ、知ってるっての。元暗殺者と元軍人。そっちの金髪さんは『血まみれステイシー』だろ。黒髪さんは結構殺ってるエリートだな」

 

ステイシーと李は少しだけ目を見開き、驚きを顔に表した。が、それは一瞬だった。

 

「私たちのこと知ってんのか?」

「その筋じゃ有名だろ。ちなみに俺は『鵺』だ」

「…ッ!『鵺』って、あなたがですか!?」

「李、お前知ってんの?」

「知っているなんてものじゃありません!『鵺』という名は私が居た業界では知らないものはいませ………あ、申し訳ありません。取り乱しました

 

何かを語りだそうとしていた李は自分を見ていた与一への影響を考慮したためか、それとも学校でしゃべり内容ではないのか、しゃべろうとしていた口を閉じてまった。

 

「ま、目的はこいつのサボりなんだろ?」

 

真は近くに居た与一の頭に自分の手をのせ、バシバシ叩いた。

 

「痛えよやめろ!」

「ワタクシ、ニホンゴワッカリマッセーン!」

「ウソつけ!」

「まあそうだな。おい与一、もう全校集会が終わる。次から授業が始まるから、今度は逃げんなよ」

「……まあどこから組織の奴らが狙っているかわからねえし、女をいたぶる趣味はねえ。今回はお前らの言うとおりにしてやる」

「…へえ、ああそう……」

 

何かカチンときたものがあったのか、ステイシーと李は少し顔をしかめた。が、またすぐにいつもの表情に戻り、さっきと変わらずこちらを見ている。ちなみに真はまた与一は中二病発言に、また大笑いをしていた。

 

「えーと悪いけど与一、先に言っててくれ。ちょっとそこの李に話があるから」

「?、じゃあ先言ってるぞ」

 

与一はそう言うと、ステイシーと一緒にドアから校舎の中に入っていった。屋上に居るのは李と真のみだ。

 

 

「……本当にあなたが『鵺』なのですか」

「時間も時間だから用件だけ言うぞ。俺のことをここの奴らに話すなよ」

「……………」

 

李は沈黙しているが、構わず真はつづけた。

 

「俺がお前に正体を明かしたのは、お前ら九鬼財閥が俺のことを気持ち悪い程調べているからだ。お前んとこおチビさんが来てから約二週間ずっと、果ては尾行までしてくる始末だ。俺はお前らの都合に合わせなきゃなんなくなってイライラしてんだよ。分かるか?俺は今楽しくてうれしいんだよ邪魔すんな。つーことで今ここではっきり言おう、俺を調べ上げんのをとっととやめろ、さもなくばお前らのコンピューターというコンピューターを隅から隅までハッキングしてやる。これは忠告であると同時に命令でもある。このことをお前の人に気持ちも考えないゴミクズみたいな上司の奴らに一秒でも早く伝えろ。以上だ異論反論は一切聞かない」

 

真は長くしゃべったせいか、ごくごく若干息が荒い。

 

「……………わかりました。上司にそう伝えておきます。不快な気持ちにさせてしまったことを、心より謝罪申し上げます」

「誠意は行動に起こせ。じゃあな」

 

そう言い放った真は、校舎の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だが、ヒュームは落とし穴にはまったことや原因を天邪狐真が実行したと考え、心の片隅でほんの少しの……本当にほんの少しだけの怒りを持っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このクラスに二人の編入生が入る」

 

2ーF担任の小島梅子がホームルームでそう言うと、クラスの生徒たちは驚きと歓喜の声が上がった。Sクラスばかりに武士道プランの申し子たちが編入していき、学長が言っていた五人の編入生もFクラスに入るのは望み薄だったからだ。

 

「小島先生質問でーす。その人たちはイケメンですか?」

「先生質問いいッスか?その二人ってかわいいですか?」

 

質問したこの二人は、前者の質問が小笠原千花という女子で、後者が風間ファミリーの島津岳人だ。共にこんなにストレートに質問する高校生は少ないだろう。

 

「その質問は本人たちに聞くといい。では、入ってくれ」

 

小島は外の方に大きめな声で言い放つと、クラスの生徒たちは一斉に前のドアに注目した。どんな人だろうか、性別は男なのか女なのか、どんな顔でどんなことが出来るのだろうか。期待九割不安一割が膨らんでいく。そしてドアが開いた。

入ってきたのは、三節混を持っている白色の髪の毛の青年と緑色の前髪が目が隠れている背が高い青年、どちらもルックスはそこそこ高めの男子であった。女子からは黄色い声が上がったが、男子からはため息が漏れた。が、風間ファミリーは例外で、男女関係なく驚きの表情が顔に浮かんでいる。

 

「では、自己紹介をしてくれ」

「おれの名前は天狗鳥頭目、よろしくだ!」

「憚木蝶左、よろしくなワケ」

「よく来たなお前ら!」

「あ、真~」

鳥頭目は真の方を向き大きく手を振っている。

 

「お前ら!なん……っでえ?なんでここに居るんだよ!真、どういうことだよ!」

「どうもこうも、こいつが編入生ってだけだろ?」

「いやそうだけどそうじゃねえよ!」

 

てんやわんやになったが、質問タイム開始。最初は小笠原だ、

 

「二人は風間ファミリーの人たちと顔見知りなの?」

「………………」

 

鳥頭目は黙ってしまい、質問した小笠原も少し困っている。

 

「あ~こいつ馬鹿だから覚えたことすぐに忘れんだよ。まあ一応顔見知りだなワケ」

「なんだと蝶左!おれのどこが馬鹿なんだ!365度、どこから見てもバカじゃねーだろ!」

「360度な馬鹿」

 

ここで2ーFの生徒は(一部同種のバカは気付かなかったが)気付いた。

「ああ、バカなんだなこいつ」と、

 

 

 

「先生!いいですか?」

「なんだ川神」

「私、『歓迎』をしたいんですけどいいですか?」

「ふむ、まあいいだろう」

 

質問タイム終了

 

「なになに歓迎って?銅貨なめしが食えんのか?」

「豪華な飯って言いたいワケ?つーかたったさっき説明されたばっかだろ。『決闘』ってやつだろ」

 

鳥頭目は理解していなかったらしく、頭から煙が上がっていた。ショートしているようだ。

 

「要するに自分と戦えってことだろ」

「え~アイツと戦うの?おれ真と戦いたい~」

 

駄々をこねる鳥頭目にため息をつく小島。編入早々こんな事を言う編入生は初めてなのかもしれない。

 

「はあ……と、言っておるようだが、どうだ天邪狐、戦うか?」

「モチ、やる!」

「そ、そうか……」

 

いつもは基本目立たない(実際は目立たないようにして来ていた)真が、急にやる気を出したことに少しだけ小島は驚いていた。

 

「いいわねー真君。じゃあ私はそっちの憚木君と戦いたいわ!」

「待て犬!その決闘は私に譲れ。この間のリベンジだ!」

「メンドーだからお断りなワケ」

 

蝶左はうまくクリ&カズのコンビを躱しているようだ。元々自分から面倒事には首を突っ込まないタイプなので真はこうなるだろうと予想はしていた。

 

「んじゃ、グラウンドな」

「おー!」

 

 

 




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