真剣で嘘つきを騙してみろ   作:棚上げ侍

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最近いつもに増して駄文な気がします。

今回も例外ではないです。



二人は倒れ

 

「おい李、さっきのほら、あそこのグラウンドに居る奴が『俺は鵺だ』なんて言ってたの聞いた時めっちゃ驚いてたよな」

 

場所は屋上。九鬼家のメイドのステイシーと李は運動場を見下ろしている。武士道プランのクローンたちの編入初日なので、今日一日だけは一日中学園の警備の任務を任されている。なので与一をSクラスに送った後に二人はもう一度屋上に集合し、学校周辺に怪しいものはいないか観察していたところだ。そんな時に先程の与一と話していた『鵺』と名乗った少年がグラウンドに出たのが見えたため、ステイシーはその名を聞いた瞬間に明らかに動揺した李にそのことを聞いてみたのだ。

 

「アタシはさ、軍で戦場ばっか走ってたからその……なんだ、『鵺』ってのは何なんだ?」

「………『鵺』というのは、私たち暗殺者達の中で最も謎であると同時に最も優れた暗殺者の名です」

「暗殺者!?ってことはアイツ殺し屋かよ!じゃあオッサンたちに報告して対処か対応しねーと……」

「報告はしておきました。しかし何か行動をしてはダメです」

「あ?なんでだよ……っておい、どうした李」

 

李はおびえていた。細かく体が震え、冷や汗が顔に何筋もつたっていた。その表情にステイシーは驚いた。自分の相棒ともいえる李が、名前を聞いただけでここまで普段と違う李になってしまうのかと思ったのだ。そして李は口をゆっくりと開き、『鵺』についてのことを話し始めた。

 

「『鵺』は私も実際にはあったこともありません。なので今から話すことはたまたま耳にしたうわさ、もしくは知人から知った信憑性が少し薄い情報です。『鵺』が最初に現れたのは大体七年前程で、そのころからものすごい勢いで依頼をこなしていました。『鵺』は個人情報を全く流しませんでした。年齢、性別、髪の色から身長体重まで、一つも知ることは出来ませんでした。そして成功率は完全なる100パーセント。失敗した仕事があるという話は一度たりとも聞いたことはありません。この私も帝様の暗殺を失敗しているので100パーセントではありません。むしろなぜ『鵺』が帝様に暗殺をしなかったのかが不思議でありません。『鵺』に帝様の暗殺依頼がこないはずないと思います。………話がそれてしまいましたね、戻します。『鵺』の暗殺方法はいまだに暴かれていません。あまりにも殺り方が残虐的なので殺された者たちが亡霊になって出てくるのではないかという噂もありました。しかし、『鵺』は三年前から忽然と消えてしまいました。仕事をこなしたら多少のうわさが流れるものですが、それも全くありませんでした。本当にある日ぱたんと彼のうわさを聞かなくなりました。殺された、自殺した、足を洗った、旅に出た等様々な仮説が浮上されていましたが、結局誰もがその足取りを捉えることはできませんでした。そして今……」

 

長い説明を終え、李は真を見下ろし、また口を開いた。

 

「……もしあの少年が『鵺』だとすれば、どれだけ調べても素性がわからないのは当然なのかもしれない。暗殺者にとって『分からない』というのは恐怖のほか何でもありません。その『分からない』の塊のようなものが目の前に居る。私は……………怖くて仕方がありません」

 

李のことばに、ステイシーは真剣に聞き入っていた。ここまで李が警戒する相手のことを思わず。それと同時にステイシーは背筋がぞくりと逆立つのを感じた。これは武者震いと感じたステイシーだったが、それは恐怖から逃げるための、自分自身に着いた嘘だったのかもしれないとものちに思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「なんでこんなに居るかなー観客」

「しかないんじゃない?朝真あんなに派手な勝ち方したんだから」

 

真は大和に自分の疑問を吹っ掛けていた。真や鳥頭目や2―Fのみんなが決闘とその観戦のためにグラウンドに出ると、窓には乗り出してこっちを見ている生徒、グラウンドの周りにもかなりの生徒が真と鳥頭目の二人を囲むようになっている。中には知り合いもいた。

 

「よっ真、鳥頭目。さっそくお前ら二人が決闘か。まあそうなるだろうとは思ってたけどな」

「お、薬馬か。どうだこの学校は。気に入ったか?ま、俺の学校じゃねえんだけどな。てかクラスどこだよお前」

「俺は3-Sだ。真が言った通り九十九と同じような能力を持った人が居た。まだ少し話した程度だけどな」

「ふーん。まあそっちはそっちで頑張れよ。俺はこれから決闘だ」

「二人とも……特に鳥頭目は最初の決闘なんだからな、あまり本気出して怪我すんなよ。怪我したらすぐ言えよ。傷口につばなんかかけたらだめだぞ。あと……」

「小姑はうっさいなあ……」

「誰が小姑だ!」

 

薬馬は少し真としゃべると、自分のクラスの方向に帰っていった。

 

「おい天邪狐、もう決闘を始めるぞ」

「へーい」

 

小島に呼ばれたため、真もその場から離れて移動した。目的地はグラウンドの中心だ。そこに居るのは審判をする小島と対戦者の鳥頭目だけだ。

 

「では、お互いにワッペンを取り出せ」

「「ほい」」

 

二人はポケットからワッペンを取り出し、互いに重なり合うようにワッペンを地面に置いた。

 

「ではルールの説明をすr「ちょいまちセンセ」…なんだ?」

「ルールはこっちで決めてもいいっすか?」

「別に良いが………どんなルールだ」

「いや実はこんなルールなんだけど………(ごにょごにょ)………というので出来る?」

「いや、出来ないわけではないが……天邪狐はいいのか?」

「だからそういってんじゃん」

「天狗鳥頭目も、それでいいのか?」

「うん!それで頼むぜセンセー!」

「ではそうしよう…………ゴホン!……えー、今回の決闘のルールは制限時間を10分間とし、制限時間内に天邪狐真が天狗鳥頭目の攻撃をすべて躱すことが出来れば天邪狐真の勝利!逆に一撃でも天邪狐真が攻撃に触れると天狗鳥頭目の勝利とする!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ゴホン!……えー、今回の決闘のルールは制限時間を10分間とし、制限時間内に天邪狐真が天狗鳥頭目の攻撃をすべて躱すことが出来れば天邪狐真の勝利!逆に一撃でも天邪狐真が攻撃に触れると天狗鳥頭目の勝利とする!」

 

このルールを聞いた川神学園に居る実力者……に限らず生徒教師共々ほぼ全員驚いた。もしこのルールが『決定打を与えない』だったならば「ああ、なかなかの自信を持っているんだな」で済むだろう。しかし『触れさせない』というのは口で言うよりもはるかに難しい条件である。こんな事を言い出す者は、よほど自分の実力が相手の実力を上回っているか、よほどそのものが大馬鹿であるかの二択になるだろう。おそらくこのルールを聞いたものの半分以上は真のことを馬鹿ではないかと持っただろう。

 

「では両者、準備はいいか?」

「さっさとやってくれ」

「?…じゅんびってどういう意味だ?」

「……戦ってもいいかってことだ」

「そか!いいぞ!」

「では………始め!」

 

小島が開始の合図を出した瞬間に鳥頭目は攻撃を仕掛けていた。持っていた三節混でまさに怒涛の連続攻撃を繰り出していき、攻撃の嵐は真を襲った。見ていた風間ファミリーは「こいつら本当に仲間同士なのか?」と疑問に思うほどの本気の攻撃だった。それを知らない教師生徒たちも、その鳥頭目のあまりにも速い攻撃に息をのんでいた。鳥頭目自身、まったく微塵も手加減などしていなかった。仮に手加減をしようとしていたとしても、戦闘に入った瞬間に頭の中からすっぽりと抜けていただろう。とにかく鳥頭目は手加減をしておらず、その本気の攻撃速度に学園の実力者たちも感心するほどの者なのは事実だ。

けれど、その攻撃を一度も掠ることさえなく真はすべてを避け切っていた。手は制服ズボンのポケットに突っこんだままであり、手業も足業一度たりとも使っておらず、受け流すという行為も行ってはいなかった。すべて紙一重で避けているのだ。

 

「(右、下、左、後、左、上、左、右、前、左、上、右、後、下、右………)」

「(わはっ、やっぱ全然当たらねえ。全力なんだけどな、どうして一なめりもしないんだろな~~)」

 

※作者注意・一なめり→ひと掠り

です。

 

「京、あれをお前出来るか?」

「流石に無理。というか攻撃が一部目で捉えられない。あんなことしてる人がありえないよ」

「わ、私もあれは出来ないぞ。で、でもきっとマルさんなら!」

「真君あんなにすごかったのね!今度勝負を挑んでみようかしら」

 

この時、対戦している鳥頭目以外では1-Sから観戦していたヒューム、3ーFから百代、学長室から鉄心の三人以外誰も気付いていなかったが、真の眼が赤くなっていた。色合い的には若干薄かったが、確かに瞳が赤く変色していた。

 

「(眼が……赤く変色だと?李からの事といい、あとでマープルに報告した方がよさそうだな)」

「(眼が赤くなっている?何かの技か?だとしたら見たことのない技だな)」

「(昨日を除けば見るのはかなり久しぶりじゃのう。まあそれほどの相手ということじゃろ)」

 

連撃と回避はそのまま順調(?)に続き、10分後。

 

「それまで!勝者、天邪狐真!」

「っっっしゃあ!俺の勝ち!」

「だーーーーくそっ!負けた!」

 

 

二人は終了の合図とともにその場で倒れこみ、仰向け状態になった。互いに並ではない集中力とスタミナを消費したのだ、汗の量が尋常ではない。しかし、その二人のスタミナを一気に回復させる出来事が起きた。それは地面が震えるほどの歓声と拍手であった。校舎の窓から、グラウンドの周りから、とてつもない声量が戦い合った二人を飲み込み、包み込んだ。

 

「すごかったぞーーー!」

「ナイスガッツだ!」

「二人とも強ーい!」

「今度俺とも闘ってくれーー!」

 

などなど、十人十色ならぬ千人千色の内容だが、それでも二人の熱き戦いを祝福するものばかりだった。戦い合った二人は顔を見合し立ち上がると、歓声と拍手に応えるように笑顔で手を大きく振った。

 

 





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