ついに出ましたよ!
次の話で本格的に出ますよ!
で駄文です。
真と天を送り出した後李は九鬼ビルの中に戻り、自分の仕事を務めることにした。と言っても、先程真から説明された鈴木華についてのことを上司に報告した後、おそらく天邪狐真の再
監視が言い渡されるだけだろうが。
そんなことを考えながら通路を歩いていた李に、相棒と呼べるメイドのステイシーが、ニヤニヤしながらこちらに寄ってきた。
「おい李、さっきの彼氏はどうした?」
一瞬で怪訝そうな表情を顔に表す李。意味は分かるが意味不明。としか言えないその言葉に、比率が呆れ半分戸惑い3割驚き2割の心情になる。
「なんですかステイシー、私に彼氏などいません」
「何言ってんだよ、さっき誰か連れ込んでたろ。顔逆行では良く見えなかったけど、男だってことくらいは分かったぜ。さっきから他のメイドたちは、お前とその男のことでもちきりだ
ぞ?」
「はあ……いったい何を言っているのかさっぱりわかりませ……………」
そこまで口にした李は、口を動かすのを急に止めた。
まさか、ステイシーが言っている『彼氏』というのは、もしかして天邪狐真のことではないか。という仮説が頭に浮かび上がったからだ。というよりも、今この状況でステイシーが言っ
た条件に当てはまる人物は、彼以外に居なかったからだ。一応天と呼ばれていた少女もいたが、ステイシーの口ぶりからは天は認識されていないような扱いをされているようだ。
「ああ、違います、私に彼氏なんていません。先程の方は……」
また途中で発言をとめた李は、一秒足らずの時間の間に自分の思考をフル回転させた。
今ここで彼の素性を明かせば、色々と厄介なことになってしまうだろう。仮にも九鬼財閥に宣戦布告のようなものをした人物だ。それを諸事情があるとはいえ、九鬼のないのに招き入れ
たことがしれたら、様々な意味で混乱を招くことになってしまう。
「……私の友人です。勤務中にけがをしているところを発見したので、治療をしていただけです」
「………ふーん、じゃあその後友人さんとはどんな関係なんだ?」
ステイシーの追及。李はこの程度のことは予測していた。
「昔、少しお世話になったことがあるだけです」
「名前は?」
「一応呼び名は知っていますが、本名は知りません」
「その呼び名ってのは?」
「彼に口止めされているので言えません」
「あっそう……」
李の淡々とした返しに、徐々に冷めていくステイシー。何かを隠しているそぶりを見せない(本当は隠しているのだが)ためか、質問するのがうっとうしくなってきたようだ。
「もういいですか?仕事に戻りたいのですが」
「ああもういいよ。悪かったな李」
「はい。では」
そう言い残して仕事に戻っていく李を見ながら、ステイシーはつぶやいた。
「つまんねーの」
李にとっては、迷惑な一言だった。
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梅屋の中で
「ガツガツガツガツ……」(夢中)
「ガツガツガツガツ……」(夢中)
「ガツガツガツガツ……」(夢中)
「Zzzzzzzz……」(夢の中)
「パクパクモグモグ……」(通常運転)
上から順番に紹介していこう。
1ガツガツ→釈迦堂形部
2ガツガツ→板垣天
3ガツガツ→板垣竜兵
4Zzzz→板垣辰子
5パクモグ→板垣亜巳
真のおごりで豚丼を書き込んでいる
腹が減っている成長期の板垣姉弟はまだ良しとしよう。問題はいい年して高校二年生に飯をおごらせている釈迦堂形部という人間のことだ。
「おいオッサン。17の子供をたかって楽しいかよ」
「うるせえ、どうせ金持ってんだろ。少しは俺に寄付しろってんだ」
「それは寄付とは言わねえ。無駄っていうんだよ。つーかお前ら、食い方が阿保過ぎなんだよ。みろ亜巳を」
いつもどおりの通常運転をしている亜巳は、普通に豚丼を食べている。THE・普通と言えるような食べ方だ
「お前ら少しは見習え、飯は逃げねーんだからよ。それに周りからの視線がやばい」
少し周りを見渡すと、そのあまりにも豪快な食べっぷりに、食事中の他の客がすごい目でこちらを見ている。中にはどんぶりを抱えたままこちらをボー然とみている人までいる。
「けどな、まこ……ムグムグ……真。ウチら腹減って腹減って死にそうだったんだよ。これぐらいいいじゃねえか」
「今その食べ方止めねーと、このレシートがお前らのポッケの中に入り込むことになるぞ」
「「「今すぐやめます」」」
「Zzzzzzzz」
「はあ………馬鹿ばっかだねえ……」
まったくです。
「とりあえず、今の代金だけここに置いてくからな。これ以上は自己負担、ということだから」
「「「「ごっそさんです」」」」
「ありがとね~~~」
「それと釈迦堂。さっき言った件、ちゃんと覚えてろよ」
「へーい」
真は梅屋を後にした。
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「たーだいまっと……ん?」
猫荘に帰宅した真を待っていたのは、自分の部屋の前でチラチラと手に持っているメモのようなものと自分の部屋に通じる扉を交互に見る、凛々しい顔立ちをした人だった。男性か女性
か判断が難しいが、なんとか女性だと分かった。
真は声をかけようとすると、その前に彼女がこちらに気付いた。
「うちになんか用か?」
「……!。君がいつわりぎつねかい?」
うちという単語に反応した女性は驚き目を見開いたが、すぐにさっきまでと同じ冷静で鋭さがある目つきに変わった。
「そうだ。正しくは店長とか社長とかリーダーとかいう感じだけど、まあ俺がいつわりぎつねだな」
「そうか、君が………」
そう言うと女性は、真のことをじろじろと観察し始めた。どうやら依頼を頼みに来たのだが、現れた真に本当に依頼がこなせるかどうか、見定めているようだ。これまで真はこのような依頼人を何度も見てきた。見かけなどどうでもいい実力至上主義の裏世界の住人からの依頼でも、こんな子供に依頼がこなせるか訝しく思う人間はかなり多い。実際いつわりぎつねに来た約4割の依頼人が、この段階で帰ってしまう。
頭の髪の毛の先から、足の靴の先まで。ポケットに突っこんでいる両手。白い前髪が下げられていて少し見えづらくなっている眼。服やズボンのしわまで、本当に隅から隅まで観られた感じだ。当然良い気はしなかった。
そして、真を観察し終えた女性は、真の眼をまっすぐ見てこういった。
「………96………いや、97だな」
「おう?」
急にわけのわからない発言をした女性は、そのわけのわからない発言を続けた。
「見た目と年齢の割には、かなり高い経験値と技術をもっているようだな。度胸もあるようだし、土壇場での行動力も悪くなさそうだ。そして何より……」
前髪を少し上げる女性。
「その眼がいい。物事を素早く正しく判断できて、かつ最善の選択ができる知恵を持つ者の眼をしている。私も大して年はとっていないが、私には人を見る目がある。が、」
女性は腰を若干下げた。右足を少しだけ前に出し、まるで戦闘態勢に入るために構えをとったようだ。
「やはり見ただけではすべては分からない。だから腕のほうを見せてもらう!」
言い終わるか終らないかのタイミングで左手から繰り出される貫て。を真は軽く避け、後ろに下がって距離をとった。
「いきなりなにすんだよ」
「なに、少し実力のほうを確認したかっただけだ。結果は合格。今日会ったばかりだから100点はあげられないが、99点ならつけられる実力だ」
真は両手を頭の後ろで重ね、首を左右に動かしてコキコキと首を鳴らした。顔には余裕の笑みが、我慢しきれなかったようににじみ浮かんでいる。
「いやー絶対ウソだろ」
「………なに?」
「お前の『少し実力のほうを確認したかっただけだ』ってとこだよ」
「…………………」
予想外の言葉に、女性は無表情のままただ黙ることしかできなくなってしまった。驚きのあまり驚愕の表情を浮かべる前に固まってしまった顔に、にやけ顔を見せる真。
「俺の評判で最も重要なのは俺の腕っぷしじゃねえ、いろいろあるが、その中の一つがいかに事の収束することの早さや誰にも知らされずに依頼を完了させるか。なんだその、つまり俺への依頼の大体が『一般人に詳しいことを知られたくない色々なアレ』的な感じなんだよ。つまり知恵地力が必要になってくるんだよ。ここまでオーケー?」
「…………ああ……」
「なのにお前は実力の確認をといった。実力が必要になってくる依頼ならほかの何でも屋に頼んだ方がいいし依頼料も安い。ここは武の聖地の川神だ。そこそこ実力を持っている何でも屋は結構ある。なのにここに来た。てことは実力は二の次、なのに腕試しをした。おそらく、お前がある意味一番気にしているのは、依頼の守秘義務の信頼性になるだろう」
「………………」
「お前はさっきこう言った。『自分には人を見る目がある』ってな。おそらくお前は多少のことが起きようとも、決して誰にも秘密を洩らさない話さないの何でも屋を探してたんだろ?だから実力を見るためと嘘をついて、急な攻撃に不服を感じない人間を探していた。違うか?」
「……………その通りだ。予想以上だよ君は」
口元が上がり、自然な表情になる女性。
「私の名前は鳩羽木 葉(はとばき よう)。君に依頼をお願いしたいのは、私の妹………葛(かずら)を助けてほしいんだ」
「断る」
(改めて)応援お願いします。