真剣で嘘つきを騙してみろ   作:棚上げ侍

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説明

 

ちょこっとだけあらすじ。

真は葉の依頼を即答で突っ返した。

 

「……今君が言った言葉を、もう一度言ってくれないか?」

「断る」

「……もう一度、ゆっくり頼む」

「こ・と・わ・る」

 

これらの言葉を皮切りに、

 

 

       (見苦しい)点数減点大会 開始

 

 

※ここからしばらくの間は、声だけでお楽しみください。

 

 

「なんなんだ君は!私は依頼人だぞ、私の依頼をさっさと受けたまえ!99点と言ったが訂正だ、マイナス99点で君は0点だ!」

 

「はあ?そんなモン知るかっつーの。もともと俺は百点満点なんかじゃ収まり切らん男なんだよ。お前はマイナス1000点だアーホ」

 

「私は100億点もっているのからな、そのぐらい減ってもびくともしないさ!それじゃあ君はマイナス1000億点だ!」

 

「俺の持ち点は億なんてやわなもんじゃねーよハゲ!兆だ兆、100兆点だよ。てめーはマイナス1000兆点だこのクソアマ!」

 

「な、人のことをクソ呼ばわりだと!?君はいつもそんな態度で依頼人の接客をしているのか?マイナス1000京点だ!」

 

「急に人のこと殴ってくるような奴に、クソって言って何が悪いんだよ!このマイナス1000垓点のポンコツ人間!」

 

「誰がポンコツだ、このキツネ男!目をつぶって何が見えるんだ?え?冗談は顔だけにしろ。マイナス1000予禾点だ阿保ぎつね!」

 

「狐のどこが悪いんだよ。お前こそ、三歩も歩いたらすぐに忘れちまう鳩じゃねーか!それとも、頭を前後に動かさねーと歩けねー鳩頭なのか?どちらにしろ変人じゃねーか。マイナス1000穣点だバーカ!」

 

「鳩は平和の象徴さ!しょっちゅう喧嘩を吹っ掛けたり、争いごとばかりしてそうな君には、鳩の美しさはわからないだろうがな!狐は人を化かしたりしてばっかで、むしろ争いを引き起こす動物の一つじゃないか!そんな君はマイナス1000溝点だ!」

 

「お前はごんぎつねという、教科書にも載るほどの名作を知らねえようだな!狐は必ず借りは返す律儀な動物なんだよ!お前の言う鳩は、エジプトっつー国では、丸焼きにされて食われるらしいぞ。お前も丸焼きにされて食われてしまった方がいいんじゃねえか?マイナス無量大数だクソボケエェェェ!!!」

 

「ハン!マイナスに無量大数なんてない!」

 

「ありますうううぅぅぅぅぅ!!バリバリありますううぅぅぅ!!!」

 

「君たち子どもかい?」

 

 

       (見苦しい)点数減点大会 終了

 

 

 

言い争っていた二人が声が聞こえた同じ方向をみると、そこには若干髪が乱れている黒羽の姿があった。後ろには際刃が、付き人のように立っている。

 

「真君、朝渡した情報はちゃんと役立ったかい?」

「あ、ああ……」

「そこの君はお客さんだろ?真も君も、こんなところで口喧嘩なんてしないでよ。うるさくて仕方ない」

 

黒羽はそう言うと、真の部屋の扉を勝手に開けて、葉を中に案内した。

 

「おいちょっと待て黒羽。勝手に部屋に居れるんじゃねえ、しかも俺の部屋」

「とりあえず話だけでも聞いてあげなよ。口喧嘩をするのは、その後からでも遅くはないだろ?」

「………はあ、わかったよ。おい葉、中は入れ」

「邪魔しよう」

 

今までの激しい(かつ子どものような)口論を、さっぱり忘れてしまったのかと思えるほどの上がり方だった。真はため息を吐くと、自分の家の筈なのにと内心思いながら、葉の後に続くように中に入っていった。

ちなみに黒羽と際刃は、自分たちの部屋に戻っていった。

 

 

 

「話を聞こう」

 

胡坐をかいている真と、正座をしている葉。少し偉そうな態度をとった真に、葉は少しだけ眉間にしわを寄せたが、すぐに依頼の説明に入った。

 

「改めて名乗ろう、私の名前は鳩羽木葉。依頼内容は、私の妹の鳩羽木葛の救出だ」

「……くわしく聞こう」

「私と葛は父との三人で暮らしている。妹の葛は、生まれつき体が弱いんだ。だから外で遊んだりするのがもともと極端に少なかったんだが、最近家を一度出たきり戻ってこないんだ。そのことを一度父に尋ねたんだが、「葛は病気にかかってしまったから、とある病院で休養中だ」と言われたんだ」

「じゃあそれでいいじゃねえか」

「それだけならよかったんだが、その後父に「では見舞いに行きたいから、どこの病院か教えてくれ」と頼んだんだ。そうしたら「無理だ」と言われ、その後は同じ答えの繰り返しで、場所を教えてくれる気配が全くない」

「ふんふん」

「そこで父が仕事で家を出ているときに、父の書斎で葛の居場所を探すことにしたんだ」

「行動力があるシスコンだな」ボソッ

↓聞こえてない↓

「しかし、それでも見つけることはできなかった。が、そのとき腕がいい何でも屋が居るという情報を見つけたんだ。それが君、「いつわりぎつね」だったんだ」

「……………」

「それで今、この依頼を頼みにここに来た。というわけだ」

 

ふう、と小さな溜め息を吐いた真は、今度は逆に葉に話しかけた。

 

「つまりお前は、お前の父が何らかの理由で葛を監禁している。と考えているわけだな」

「ああそうだ」

「馬鹿じゃねえの?妄想が過ぎるぞシスコン」

 

「ハア?」と行っているような顔で放った言葉は、用の胸に深く突き刺さった。軽くよろめく葉に、さらに追撃をする真。

 

「そんなあやふやな根拠と理由で俺んとこに依頼しに来たわけか?お前阿保過ぎるぞ、阿保を通り越してもはやブザマだな。自分の親を信じられねえのか、つーかそもそも自分の娘を拉致ることに何の意味と利益があるんだよ。ねえだろどこにも?自分の娘を拉致って身代金でも要求すんのか?誰に要求すんだよ。ここまでシスコンが頭に張り付いているのなら、もはや病気と言えるな。今すぐ回れ右して病院に行く事をおススメする。つか行け、今すぐ行け。俺にそんな阿保なことさせんな」

「……ぐう………」

「………………ん?」

 

ふと何かに気付いたそぶりをした真。何かに引っかかったようだ。

 

「おい、その俺の……いつわりぎつねの情報ってのはどんなのだったんだ?」

「?、ここの住所と今までの功績の二つだけだ。それ以外では特にない」

「お前の父の名前と職業を教えてくれ」

「父の名前は鳩羽木朧(おぼろ)、職業は、簡単にいうと機械製造の重役だ」

「お前の妹の葛が外に出たのはいつごろだ?」

「大体三か月ほど前だ」

「お前はその葛ってのが好きなのか」

「もちろん!」

 

叫んで立ち上がる葉。よくわからないが、とてつもない迫力だ。

 

「生まれた時から確信した。葛は世界一の美女になると!私はそのために時分を磨き続けた。強くなるために剣道場に通い、全国大会に出場できるまでになった!葛にふさわしい人間になるために勉学にも励み、見た目も男らしく格好もいい服を選んだ!結局姉だから無駄だったがな!」

「お前のシスコンぶりは分かった。葛が生まれた時から好きだったと」

「その通りだ!葛は私が見てきた生物の中で最も美しく、そして清らかな女性で………」

 

葉が妹自慢をしている間、真は考え事にふけっていた。

 

「(こいつのシスコンぶりはかなり前から知っていた。次に、仮に自分の娘を拉致監禁しているのだとしたら、それを怪しませるような断り方をせずに「感染性のウイルスにかかってしまった」とでも答えればいいはず。しかしそう言わなかったということは………そして書斎に俺の情報があった。つまりこれは……)」

 

思考を早く深く動かしている真。しかしそれを遮る声。

 

「オイ!聞いているのか!」

「うるせえよ、少しは静かにしろ!あと聞いてねえよ!」

「なにぃ!葛の話を聞かないとは、貴様人間ではないな?」

「あったことも見たこともない人間に、どう興味持てって言うんだアホ!写真見せろ写真!」

「むう、そうかそうだな。確かにそうだな。待ってろ、今見せてやる」

 

葉はガサゴソとポケット中をまさぐると、手帳のような冊子を取り出して真に見せる。そこにあったのは、長い黒髪のかわいく美しい少女の写真だった。

のだが、問題がひとつ。その写真が、全ページにびっしりと貼られているのだ。たまに寝顔の写真や水着(見栄を張ったビキニ)もあったりする。もしこれを持っていたのが、大きめのリュックを背負ったデブだったのなら、真は有無を言わせずに捕まえて警察に引き渡していただろう。それほどやばい写真集だ。

 

「どうだ、すごいだろう!」

「ああすげーよ。お前のシスコンぶりがな」

「(呆れるの通り越して尊敬する………いや、それすらも通り越してもはや軽蔑できるな)」

 

心のなかでマリアナ海溝よりも深い溜息をついた真は、とりあえず返事をすることにした。

 

「その依頼、受けさせてもらう」

「!、本当か?」

「ああ、本当だ。今から詳しいことを聞いていくから、正直に答えろよ」

「わかった。出来るだけ答える」

「んじゃまずは…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

一通りの質問を終えた真は、確認の時間を作った。

 

「………よし、じゃあ今までお前に質問したことをまとめるぞ」

 

真が置いた紙には、真が葉にした質問と、その答えが載っていた。

 

Q、葛が居なくなるまでに、葛自身に特に変わったことがあったかどうか。

A、特になし(体の調子は悪くなっていたが、それは普段からよくあることらしい)

 

Q、父の朧の方で、特に変わったことがあったかどうか。

A、時々ぶつぶつと独り言を言うようになり、研究開発と言って自分の書斎に閉じこもるようになっていた。

 

Q、鳩羽木家の宅はどのくらい大きいのか。

A、豪邸の一歩手前ぐらい。仕様人はおらず、全て機械による管理で構成されている。

 

Q、セキュリティー問題の方はどうなのか。

A、全ての窓は手榴弾が零距離で爆発してもヒビひとつつかない特殊加工品。内部は機械による管理が徹底されており、監視カメラで常に見張られている。怪しい人物が侵入した場合、即座に捕縛用トラップが発動し、侵入者を捕まえるらしい。実際に侵入してきたものはいないため、どんな罠があるかはわからない。

 

Q、父の朧が働いている場所はどこか。

A、九鬼財閥の系列企業の一つで、東京都内のどこかと聞いているが、場所は分からない。

 

Q、家族構成や親しい人物はどれほどいるのか。

A、母は何年も前に他界。今は父と葛と自分の三人暮らし。以前は使用人を雇っていた時期もあったが、母の死後、父の朧が全ての仕様人を解雇して、家の中をほぼ完全機械制にした。

 

Q、家事等はどうしているのか。

A、出来ることは自分でやっているが、人工知能が搭載されているロボットが家事をこなしている。全体的に100体ほどいると思われるらしい。

 

Q、書斎にかぎはかかっていたか。

A、かかっていなかった。

 

などなど、

 

「ところで、お前今の職業はどうなってんだ?」

「大学生だ。T大学に在籍している。今日は講義が少ないこともあって、今ここにきている」

「(どうせシスコンのこいつのことだ。例えあっても来ただろうな)……あと、報酬の方は払えんのか?」

「いくらになる」

「一千万。日本円の現金でだ」

「………な、なんとかしよう」

「払えなかったら内臓でも髪の毛でも体でも、売れるモンは全部売ってもらうぞ」

「……………………大丈夫だ」

「んじゃコレ、契約書」

 

書いてること

 

私〇〇〇〇は、いつわりぎつねに依頼した内容が達成されたとき、報酬金をすべて払うことを誓います。

 

「サインな」

「………………ああ」

 

手慣れた手つきでサインを描く葉。本日の日にちも書き込むと、真から差し出された朱肉に自分の親指を押し付け、そのまま契約書の右下部分に押し付けた。

 

「契約完了だ」

「よろしく頼む」

 

頭を下げる葉に、真が言った言葉は、

 

「早く出てけ」

 

だった。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜の猫荘では、真が十人全員に依頼の説明をしていた。

 

「ということで、この依頼を受けることにしたわけなんだが」

 

全員集合状態でもう一言。

 

「お前らやる気ある?」

 

集合した住人達は、まったく真の話を聞いてなかった。

薬馬と九十九は、どうやら今日言霊部に仮入部したようで、そのことで話し込んでいる。閨は岩清からおしゃれのことを学んでいて、弐猫はのんびりお茶を飲んでいる。黒羽と際刃は、何やら旅行のプランを考えているようで、耳を傾けると熱海を予定しているらしい。鳥頭目と蝶左は天然ボケと反射的なツッコミを繰り返している。みなもは一人黙々と折鶴を追っている。

つまり誰一人として聞いていない。

 

「……今週の土曜日曜とでやりたいと思っているから、出来る奴は予定あけといてくれ…………聞けよテメエら!!!」

 

全員が全員反応が薄く、返事はほぼすべて「ああ」とか「おー」とかだった。

 

「悪い真。俺と九十九は言霊部の活動で行けない」

「………すまない……」

「私と岩清さんは、一緒にお出かけをするんですの。申し訳ありませんが………」

「女を磨きに行くのよねん。東京にくりだすのよん」

「わしはその日は、ごろごろするのに忙しいんじゃ~」

「僕らもちょっとお出かけなんだ。だから手伝えないよ」

「泊りがけだから、少しもできない」

「俺と蝶左は友達と遊びに行くんだぜ!なんかおしゃらげの半跏を見せてくれるらしいぜ!」

「おすすめのマンガなワケ。そういうワケだから」

「……みなも………折鶴折るの…………だからダメ……………」

「ま、マジかよ……」

 

一人で依頼をこなさなくてはいけないということに、怠惰感が襲った。

 




あ~怠いです。
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