これからここまで遅くなることがかなり多くなると思いますが、応援よろしくお願いします。
駄文は変わらず……
「(rrrrr rrrrr rrr(ピッ)……おう」
「もしもしぐらい言えっての。少しは愛想ってもんを覚えたらどうだ、英雄」
「愛想を覚えていない英雄が、いちゃ悪いかよ」
「いや別に悪いとは言ってねえよ。ただ多少はもってた方が世渡り上手になれる、ってだけだよ。まあお前は将来もしかしたら、渡るんじゃなくて他人を渡らせる立場になるかもしんねえがな」
「知るかんなもん、意味もよくわかんねーしよう。で、用件は何だ?」
「怪しまれなかった報告と、怪しまれたかどうかの報告の要求だ。こっちは俺が見た限り、俺を怪しんでいた奴はいなかった。お前の方はどうだったか気になったから連絡を入れさせてもらった、ただそれだけ」
「お前が教えてくれたルートを使ったら、九鬼家従者の一人にも見つからずに部屋に入れたぜ。だからたぶん大丈夫だろう」
「多分じゃ困るんだが、まあいっか。俺の作戦に狂いなしだからな。目が良いお前が見つからなかったっていうなら見つからなかったんだろうな」
「にしても、お前はいつの間にこんなもの見つけたんだよ。実際に通ってみたらまさに盲点ってところだったが、逆にこんなところを毎日いる従者達が気付かなくて、どうしてお前が知ってるんだ。って話なんだが」
「見つけたんじゃねえ。作ったんだよ」
「………は?」
「色々と人脈もっててな。九鬼関係から九鬼ビルの補修工事の業者とかにも顔が利くからな、ちょこっと前にちょいちょいっと……な」
「お前ある意味バケモンだな」
「(まあ半分嘘なんだけどな)……褒め言葉だ」
「ちなみにお前、今どこに居るんだ?」
「直江大和の横」
「っっっっっはあ!?ちょ待てお前!」
「ああ、さっき言った誰にも怪しまれてない報告嘘だから」
「嘘ぉ!?」
「大丈夫だ、それも嘘。今アイツの中で俺とお前が入れ替わってたことが、確実に確信に変わっただろうな。これから弁慶やヒュームにうんたらかんたらするかもなあ」
「フザケンナ!てめえこのや……!」
「じゃあな」ピッ
「………で、どこから……てか、何から話してほしいんだ?大和」
「とりあえず最初から最後まで頼む」
分かったとも言わずに、真は隣に座っている大和に今日のことの顛末を話し始めた。
その前に、そもそもなぜ今このような状況になっているかを説明しよう。
前回大和が与一になにかしらの疑問を抱いた。結果、その疑問は的中していた。大和以外の人たちが「与一」だと思っていたものは、天邪狐真の完全なる変装だったのである。思い切って声をかけた大和は、真だった事実とあっさり変装だとばらした真自身に驚いた。
今この二人はとある場所にある、濃い影によって包まれている路地裏に壁に寄りかかる形で向かい合っている。
「ん、まずはこれだけ言っておく」
「何だ?」
「俺は良い嘘しかつかない」
「……(なんだそりゃ)そうなのか」
訳が分からなかった大和だったが、とりあえず納得した(フリをした)。今大和が知りたいことは、なぜ真が与一に変装などという行動をとったのかということだ。よくわからない意味深な言葉の解析は後回しになるのは必然だ。
そんな大和の心情を察したのか、真は口元に微笑を表しながら話し始めた。
「まあまず、俺が今回この入れ替わりトリックをやろうと思ったきっかけは、これが最善の策だったからだ」
「最善?」
「少なくとも、俺はそう思った」
大和には、真の言っていることが理解することが出来なかった。なぜ偽物を演じることが最善に結びつくのか。なぜ本人に出席させないことが最善となるのか。大和の脳内は一瞬硬直してしまった。
が、それは本当に一瞬だけだった。
考えてみると、成功したならの話になるが(というよりも成功しちゃっている)かなりいい作戦ではある。もしもの話になるが、与一が心の底から歓迎会に行きたくないと考えていたのならば、この作戦を実行すると与一は歓迎会に出席する必要がなくなる。逆に、こちら側………主催している立場から見ると、バレることがなければ誰一人として文句や苦情があるはずがなく、実際に何事もなく終わってしまった。出席したくない那須与一の意志と、出席してほしいこちら側の懇願。あきらかに矛盾している両方からの要望が、たった一つ「ウソ」を突くだけで、両方の立場のものに不安や不満を抱かせずきれいな着地を決めてしまった。真実だけではおそらく絶対的にかなわなかった結果だ。
なるほど、確かに考えようにもよるが、これは「良い嘘」と呼べるものかもしれないな。と大和は頭の中で整理した。
「俺の考えがお分かりになったか?」
「ああ、確かにその方法と嘘ならだれも傷つけずに、ある意味でもあるけど誰もが納得することもできる」
「「けど、」」
大和はそこでハッとなり、改めて真の顔をまっすぐと見た。たった今ハモった「けど」は、偶然ではなく真が意図してはなってハモらせたものだ。少なくとも大和はそう感じた。この作戦の場合、もしバレるようなことがあれば真っ先に周りの怒りや疑問の矛先が向けられるのは、当然真である。言い方などにもよると思われるが、周りの者はほぼや必ずと言っていいほどの高確率で、真をすべての元凶として扱うだろう。先程の与一との会話を聞く限り、本人との承諾は受け取っているように見えたが、なぜか大和にはバレた際には真がそのことを話さないように思えた。証拠というものはない。が、先ほど「けど」というたったの一単語がハモった。つまり、バレた時のことまで想定してこの作戦を実行した可能性が極めて高いということだ。
数秒の沈黙の後、真の口が開いた。
「けど」
「……………」
「……この言葉の後は分かるよな?」
つまり
「もし万が一バレてしまったとしても、すべて自分に押し付ければ大丈夫」
と、もう一つ
「このことは誰にも話すなよ。成功した歓迎会をぶち壊しにしたくなければ」
ということだろう。
あきらかな「自分」への理不尽。誰にも評価されることもなく、自分への得や利益があるわけでもない、ただただ周りの平安のみを望んでおこした行動としか思えない。
「お前スゲエな」
「褒め言葉だよなそれ」
「それ以外に何かあるのかよ」
互いに見合い、苦笑しあった。
「んで大和、話は変わるが明日一日暇か?」
ホントに変わったな、と思いながら大和は暇だと答えた。
「バイトしねえか、時給3000円で朝の8時から午後6時まで」
「…………は?」
「つまりきちんと最初から最後まで働けば、お前には3万円が手に入るといわけになるが」
「それこの前みたいに親に金渡すとかのうんたらかんたらとかじゃねえよな」
「正真正銘の現金をお前に直接渡す」
「後から給料から必要経費を引かれるとか……」
「お前が必要以上に消費したり勝手に金使ったりしなきゃ、すべて俺が負担してやる」
「実はバイト自体が嘘で、明日集合場所に行ったら怪しい黒服サングラスの人が何人もいたりして、どこかに誘拐されて内臓とられたり………」
「お前どれだけ疑い深いんだよ。つーか、内臓盗るよりも一生強制労働させた方が利益率あるからそんなことしねえよ」
「フォローが怖えよ!つかフォローになってねえよ!!」
カッカッカと笑い、笑い終わった後にすぐ真はバイトの詳細の説明を始めた。
明日は駅前に朝8時に集合。持ち物は自分が普段持ち歩くもので、服装は出来るだけ自然な感じで動きやすいもの。目的地の場所と、そこで依頼人と待ち合わせをしていること。依頼人の名前を教え、顔写真を見せる(女性だということを教えたら一瞬固まった)。
「やることは簡単。とある場所にある屋敷の撮影かつ見取り図の創作、及び内部解析と調査だ。明日は後者を中心にやっていくが、詳しい内容は明日移動中に教える」
「そうか。ちなみに日曜には何かあるのか?」
「お前は土曜までだ」
「……………そか」
「日曜くんなよ。邪魔足手まとい目障りコバンザメだから」
「それは罵倒だ!」
時刻は5時。大和は金曜集会のためその場を離れ、真も帰路に着いた。
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