「………じゃあ直江大和、言い訳を聞こうか」
「8人同時コチョコチョに屈した」
今は川神駅前7時55分で、真の周りには動きやすい服を身にまとっている風間ファミリーのメンバーが居る。この光景に真は、自分の中で頭痛を感じる自分が居ることを確かに感じていた。
「いやー悪いなこんなについてきちまって」
「3万もらえるんだろ!?3万もらえるんだろ!?3万もらえるんだろ!?3万もらえるん………」
「俺様の筋肉が活躍する時だと感じてな、いくらでも俺様に頼ってくれ!」
「私は大和が行くからついてくだけ……」
「私はバイト代はいらない。正義のために動くことが出来れば、私はそれでいい」
「トレーニングが出来るかもって思って、なんだかいい鍛錬が出来そうな感じがしたの!」
「欲しい本が近々出るから………この前欲しいゲーム買っちゃって、少しピンチなんだ」
「わわわ私は皆さんが行くというので、私もいいかなって思って…………」
「まゆっちは一人ぼっちで寮でお留守番するのが、めちゃくちゃ怖かったんだぜー」
「大和以外全員、今すぐ回れ右して帰れ」
「「「「「「「「え~~~~~~?????」」」」」」」」
重ねて言うが、真は頭痛を感じていた。今回は情報収集という線が主になっており、ここまで大人数だと隠密という言葉からかけ離れた行動になってしまう。さらに、ただでさえ騒がしい部類に入るこの風間ファミリーがここまでそろってしまったうえに、そのうちの一人がかの有名な「武神」川神百代だ。目立つに決まっている。
「今すぐけぇれ!仮に来たとしてもバイト代は一文たりとも出す気は無い!」
「ご飯はおごってくれないのかにゃん(ハートマーク)」
「なんてダメ人間な武神なんだお前は!勝手についてきただけの奴に、んな都合のいいご褒美があってたまるかってんだ!そもそも、俺が呼んだのは大和だけだっつーの!」
「大和を誘う=この妻の直江京も付いてくる、というわけなんだよ?」
「しらねーよ!だから来んなって言ってんだろが!」
「まあまあ、俺たちは面白い事が出来れば最悪それでいいからさ、気楽に案内してくれ」
「邪魔になるから来んなって言いてえんだよ!つかなんで案内しろって………………ああダメだ、ツッコミが間に合わねえ!なんで俺が、こんなにツッコまなきゃならねえんだよ!?」
しつこいですがもう一度言います。真はとてつもないほどの頭痛を感じていた。
しかし、風間ファミリーらは全く持って帰る様子がなく、お菓子を買おうか弁当を買おうかと雑談をし始め、ついてくるきマンマンなご様子だ。最悪大和ごとここにおいて行こうとも思ったが、大和にはもう目的地とその行き方を教えているので無駄な行為だろう。
「はあ………お前ら、俺が何をしに行くのかわかってこの場所に来てんだろうな」
「(風間翔一)知らん!」
「お前、ちょっと高層ビルの屋上で重力が確かにあることを証明しにいかねえか?」
「(島津岳人)知らねえ!」
「お前は……そうだな、ドラム缶とコンクリを使った超持続スキューバダイビングでもさせるか」
「(師岡卓也)よくわかんないなあ……」
「お前が持ってるゲームとかパソコンとかの機械類全部ハッキングして一生使えねえようにしてやろうか」
大和を除く男性陣の表情を固まらせた真は、今度は女性陣の方に振り向いた。ある意味というより、ほぼすべての意味で女性陣の方が厄介になるだろう。
「もう一度言うし何度でも言う。俺がバイトで雇ったのは大和一人だけで、お前らを雇った覚えはないしこれから雇うつもりもない。さっさと帰って稽古でもしてろ」
「さんまんえん………」
「この武神しつけえ!」
真の思っていた通り、この武士娘達は一筋縄では納得してくれそうにもない。
川神一子は、犬なのか野生のなのかはよくわからないが、鍛錬が出来そうという自信の勘を信じ込んでいるようで、暴れ犬のように食いついてくる。
椎名京は、大和がバイトに行くのならば妻である自分の了解もいるはずだとか言い出し、勝手に決めたから自分もついていくと譲らない。
黛由紀恵は、やんわりと下がらせたいが周りの空気に少々圧倒されているようで縮みかけている。この状態で下手に帰らそうとすると、周りから大避難を受けそうだ。或る意味最も厄介だ。
クリスは、どうやら俺が何か「善いこと」をしようとしていると思い込んでいるようで、それの手伝いをしただけらしい。ただそれだけのようなのだが、それが真にとって一番うっとうしい。そして最もしつこいのもクリスだ。
そして武神の川神百代は、これが本当の意味でウザったらしすぎる。
こいつは完全に金目当てなようで、金はもらえなくても最悪昼飯をおごってもらおうという魂胆が丸見えだ。もしこれが全く付き合いのない相手だった場合、真は間違いなく3秒足らずで顔面を思い切り殴り飛ばしていただろう。それほどウザイ。かなりウザイ。
「お前ら、これは俺が受けた依頼なんだよ。だから俺が認めたメンバー以外連れていくことはできないし、俺は大和以外連れて行こうとも思っていない。だから回れ右して今すぐ帰れ」
「まあまあそう言わずに、昼飯の一つくらいこの美少女に奢ったって罰は当たらないと思うんだ~」
「………じゃあこうしろ。お前ら8人でジャンケンして勝った3人だけ連れてってやる。バイト代は出さねえが、昼飯ぐらいはおごってやる。もちろん仕事は手伝ってもらうけどな」
これが最大の譲歩だ。と真が最後に付け加えた瞬間、8人は一瞬で輪になりジャンケンを始めた。その光景を遠くから見ると、まるでエサに群がっている鳩やカラスなどの鳥類に見えてきてとても面白い。勝敗が決まったようで、運に恵まれた勝ち残った3人にこう言った。
「連れてくなんて、嘘に決まってんだろ」
ものすごい大非難とすさまじいブーイングを受けた。
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普通列車の中は休日ということもあり、ある程度の込み具合を見せていた。席は少しだけ開いており、ひとりひとりならともかく5人がほぼ同じ場所に座るとなると、かなり難しい状態のばらつき加減だった。隣の車両に移るとなんとか全員が座れる程度のスペースがあり、その場所に落ち着くことにした。
結局ジャンケンで選出された3人と自分と大和の5人で行くことにした真は、電車の中で心うちで2回と実際に口で1回深い溜息をついた。電車代は各々に支払わせたが、これから会う依頼人になんと話そうかそれとも誤魔化そうか悩んでいた。大和のことは事前に要員が増えることを連絡してあるが、後の3人については全く伝えていない。そもそも昨日大和がバイトとして参加すること自体が真の思い付きのようなもののため、大和一人だけでも失礼なこと(ぶっちゃけてしまうと真自身失礼かどうかなど気にしていないが)なので、今の状況の説明をどうするか考え込んでいたのだ。
当の本人たちは誰が持ってきたのかトランプを取り出して、大和を含めた4人でババ抜きを始めている。のんきなものだと真は呆れ、携帯電話を取り出して完全に暗記した依頼人の葉のメールアドレスを打ち込み、報告メールを打ち込みだした。
文頭には、
『追加で3人連れてく。そいつらの特徴は、バンダナ、黒髪巨乳、金髪だ』
追加の3人はほぼ丸わかりですね(笑)
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