情報屋に憧れて   作:作猫

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情報屋に会いたくて
現実逃避はもうおしまい。


 

「紬さん、大丈夫ですか?」

「…帰ってきた」

「その通りですよ、おかえりなさい、現実へ」

「…ちょっと地獄だな」

 

現実へ帰ってきた。

今思えば贅沢な現実逃避だったなともいえるかもしれない。

イケメン看護師に起こされて紬は痩せぼそった腕と太ももまで届いてるんじゃないかと思うほどの髪を見た。

本当に二年間アインクラッドに閉じ込められていたんだなと。

 

「名前をいい忘れてましたね、看護師の岡崎 (むすぶ)といいます。」

「似てますね、名前の意味」

 

起きたばっかりでうまく話すことができないし聞き取りにくい。

体もうまく動かせないしで大変である。

 

◇◇◇

そこから半年間リハビリ生活が続いた。

5か月が過ぎたころには結さんにお願いしてノートパソコンの使用許可を頂いた。

そこにはALO、アルヴヘイム・オンラインで起きた事件のこと、掲示板の噂によれば「キリト」という名の新人が真実を暴いたのだとか。これによりいまだに起きていなかった人物たちもログアウトしたのだそう。

 

「ちょっとまって結さん、二か月で退院って…え?」

「はい、その話実は医療界で奇跡だといわれていましてね、実はSAOサバイバーと呼ばれる人たちでは数か月で退院する人が多かったのですよねぇ。」

 

 

そして退院時、結さんから声をかけられ別の部屋へと案内された。

そこには弁護士と警部の人?なんか刑事ドラマが始まりそうな雰囲気だった。

 

「単刀直入に申し上げます。貴方のご両親がお亡くなりになられ、自宅は売られました」

「は?」

 

詳しく話を聞くと、紬がアインクラッドに閉じ込められた後、両親は二人そろって精神が不安定になってしまい、それをさらに徹夜での残業続きが追い込んでしまい心中してしまったらしい。さらにアパートの大家さんが変わってはその新しい人が家の誰もいないことを知って売ったのだとか。病室においてあったのはその時警察が回収してくれたものであるそうでちょっと高級そうなスーツケースは結さんからのプレゼントらしい。

 

「それで貴方は親戚の自宅へと住んでもらうご予定でして…当初は伊藤 花紗音さんのご実家が預けてもらう予定だったのですが…」

「ちょっと待ってください、僕花紗音姉さんのとこしかちゃんとした付き合いが…」

「綾乃さんというところが引き取ると裁判で…」

「綾乃…って光瑠の?」

「はい、綾乃 光瑠さんのご自宅に」

 

綾乃 光瑠は死んだ。なので、綾乃家とはもう他人に等しいはずである。

なのになぜ…

 

◇◇◇

綾乃家。

そう書かれたネームプレート。

家は豪華だ、車庫にはかっこいい車、プールまである。

周りと比べここだけまるで異世界のように

恐る恐るインターホンを押す

 

「初めまして、小野 紬といいます…」

「いらっしゃーい」

 

ドアを開け出てきたのは一人の女子中学生。アグネス…光瑠が言っていた…綾乃 桜だろう。

紬と同じくらいの身長でその服装は中学生とは思えなかった。

 

「待ってたよ私のツームちゃん」

 

その一言に背筋が凍ったような感じがした。

 

「君が光瑠の妹さんだね…えっと桜さんだ「光瑠って誰?」え?」

 

嘘だ。

 

「君の兄さんでしょ?」

「光瑠なんていない。私は一人娘」

 

いや、きっと名字が同じだけで別の家庭だったか、そんな考察はすぐに砕かれた。玄関から出てきた桜のお父さんが光瑠と似ていたのである。つまりこの家庭内で光瑠という存在は抹消された…

「アハハ…」とつぶやくうちに家へと強引に入らされた。玄関には同じキャラクターのグッズが多く飾られている。

 

「私はねぇー、日本で有名なインフルエンサーなんだよねぇ神崎エルザと争えるほどの」

 

そう自慢話を聞きながら案内されたのは何もない狭い部屋。

まるでカギを閉める場所があったかのようなドアノブ。

スーツケースをしまう桜は紬を見ては微笑み、

 

「じゃぁ一時間後によろしくね」

「何を?」

「動画撮影」

「いやだよ?」

「じゃーこのスーツケースは焼却炉行きー。」

 

拒否権など紬にはなかった。

桜が部屋を出ていくと紬はスマホを開き桜について調べた。

登録者千万を軽く超えている…タックデックで有名なインフルエンサー、テレビ出演もしているのだとか。

こんな才能あったら両親が溺愛するのもわからなくもない…

 

「桜が光瑠のコードを切断したことはほぼ確定かな、これで」

 

つまり殺人をした家庭に紬はいるのである。

 

「SAOから脱出後はこっから脱出か?あー…助けてアルゴ姉さん」

 

数時間後、ライブ配信が始まった。

ただ僕は黙ってニッコリしているだけでいいと彼女は言っていた。

 

「私の親愛なるパートナー!ツム君です!」

 

突如炎上不可避なことを言い出したと思えば「ツムちゃんかわい」とか「お似合い」とか…見てくれている人たちの器が大きいのである。どうせ嘘の設定だろうと思いながらも目の動きでSOSのモールス信号をやった。

偶然見ているミルとかが助けてくれることを願う。

配信終了後、桜は一言紬へと言った

 

「これで貴方は逃げられないね、私のパートナーなんだから」

「ハハ、配信上の設定でしょ?」

「本当のことだよ?」

「…」

 

SOSのモールス信号を送って正解だったと思った紬である。

 

◇◇◇

ALO アルヴヘイム・オンライン

 

「エルフ耳最高っ」

 

ミルは退院後話題となっていたALOへとコンバートし、めっちゃプレイしていた。

種族はシルフ、でっかい剣を背中に担ぎ楽しんでいた。

その時、とあるプレイヤー同士の会話が耳に入った。

 

「なぁ知ってるか?サクラの彼氏の話、あの子ちょー可愛くないか?男なのに」

「あぁツムだっけか?イケメンだったら反発したけどあれなら逆に最高だな」

「そこのお兄さんたち、その話詳しく聞かせてくれない?」

 

ミルはつかさずその話について詳しいことを聞く。

その話からツムというのはリリルのことだとわかった。

 

さらにその配信を見てみることにした。

 

(おっかしいなぁ、リリルはアルゴだけに惚れてるはずなのに…)

 

例のシーンを見ていると一つ、紬の瞳の動きが目に留まった。S O Sと。それを見つけたミルはログアウトしてはどこかへと向かった




VRMMO要素が薄くなる…
けれどもオリジナル展開になるからペースは上がるね。

新登場人物
・岡崎 結 31歳 男 イケメン
紬の看護をした人。優しい。
・綾乃 桜 14歳 女 インフルエンサー
紬の彼女(仮)、フォロワーがたくさんいてその人たちを声一つで動かせるという。

紬(リリル)は16歳
花紗音(ミル)は22歳になりました
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