「カーディナルシステムがこんな中途半端なことをすることがないから。」
菊岡さんにリルルについての情報をありったけ出す。
彼は総務省のお偉いさんだ、縁は持っておきたいから。
そして単なる好奇心から。
「私がALOにコンバートしたのは五月下旬。この頃アインクラッドの実装がALOにはあったのはご存じですよね」
「もちろんだとも、」
「実はコンバート時、アイテム内に「桜で装飾された転移結晶」と書かれたアイテムが残っていたんです。このアイテムは私が受けたクエストのドロップアイテムです。SAOでは私しか持っていませんでした。」
「つまり君が言いたいのはALOにあるアインクラッドでも同じクエストが第一層で受注可能でリルルとまた出会える可能性があるということかね?」
「流石です」
紬は菊岡さんから頂いた麦茶を一口飲み、改めて言葉を並べ替えながら話し始める。
「これは私の仮説ですが、一部のキャラクターはザ・シードで作られた世界を渡ることができる。」
ここで菊岡さんが初めて眉間のしわを寄せた。
紬はしっかりとその表情を見ながら話を続ける。
「今回はALOがアインクラッドを追加したというわけなので偶然なのかもしれません」
「…いやいい仮説だね、もしかしてそのキャラクターには<茅場 晶彦>も含まれているのかな?」
菊岡さんが口を滑らせた、いや絶対わざとだろう。
「もちろん、茅場さんなら性格か精神をデータにコピーすることぐらい容易でしょうしね」
「…一体君はどこからその情報を取り入れているんだい?このような閉鎖的な状況下で」
菊岡さんは以前、キリトから茅場とALOでであったというお話は聞いている。
彼、紬の話はまるですべてお見通ししているような感じだった。
「考察です。例えばリルルが出てくるクエストは削除予定だったものです、それなのにも関わらずALOには出現している。ALOには<抜刀術>や<二刀流>なんてスキルはないのでね、なぜこのクエストが存在しているのか…とか。まぁこの「桜で装飾された転移結晶」は別のクエストの可能性もまだ十分にありますがね」
もう一口麦茶を飲む。
こんなにしゃべるのは久しぶりである。
「それで本題、貴方は一つの「目的」を持っているという設定でお聞きください。まず私はなぜ貴方のような人がキリトに接触したのかが気になりました。ちなみにこの情報源は知り合いの看護師さんの友人さんからだそうです。そのため、確実に貴方なのかは分かりませんがね。もちろん情報収集をするために必要だったのかもしれませんがね」
「確かに、キリト君に誰よりも早く接触したことは事実だ。」
また麦茶を飲もうとしたが空になっていた、なので置かれていたハードグミで紛らわす。
「ザ・シードには無限の可能性を秘めている、貴方はそう思ったはずです。医療用に福祉用…そして、戦闘用」
菊岡さんが一瞬だけ動揺した、紬はしっかりと見逃さない。つまり戦闘用に使用したいということ、となれば予想できるのは三つ
「代表例で戦闘用の場合を考えましょう。ナーヴギアの機能をそのまま応用すれば戦闘兵のみ殺すことができ一般市民に被害が及びません。もちろん脳を焼き殺す装置を取り外してもいいですけどね。または完全戦闘訓練用のゲームを制作すること。最近話題のガンゲイル・オンラインなんか軍事利用されているという話を聞いています。」
紬が予想している菊岡さんがの目的は「完全軍事利用のゲーム」そうすればキリトとの関係を大事にしている理由もわかる。
「そして三つ目、AI。先ほど私が言ったリルル。彼女のような自分の意志で動けるようなAI、もしくは人を殺すことができるボトムアップ型AIの作成、ですかねー。」
菊岡さんはしばらく黙り込んだ、そして口を動かしたと思うとクッキーを食べる。しかしそれで最後のお菓子だ。
相手は総務省の人だ、紬のことを抹消することだってできるはずである。その可能性も紬は頭の片隅に置いている。対策済みということだ。しばらくし菊岡さんはため息をつきついに答え合わせが始まった
「お手上げだよ。これほどの考察力、いったいどこで身につけたんだい?」
「アルゴ姉さんからですよ」
「答え合わせはまだできない、まぁ君の予想の大半が合っているということだけは伝えておこう。」
紬はほっと肩の力を抜いた、しかし今度は菊岡さんのほうから話が始まった
「取引をしよう」
「取引?」
「そう取引。君をここから出す、そしてアルゴに了承を得たのちに彼女の電話番号を君に渡そう」
「いや電話番号はいらない」
「どうしてだい?…まぁいいとしよう、そしてその代わりに」
菊岡さんは自分のスマホを取り出すと紬へ電話番号を見せた、おそらく彼自身のものだろう。
紬は迷わず電話番号をメモする。
「僕の「目的」に協力してくれないかな」
「は?」
思わず立ち上がる紬
「いやー、本当なら別の手段を取るのが普通だが君はSAOサバイバー、そして情報屋だ」
その一言は脅しにしか聞こえなかった。
つまり拒否権などない。
「わかりました…」
こうして話し合いは終わった
低くてもいいので評価をお願いします。
見てくれていると感じることができて嬉しいので