前橋ウィザーズ   作:ヘッズ

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第6話 本当に信じられないぐらいダサい。でもカッコイイし可愛い

「半分ってどういう意味?」

「これを見れば分かる。特別に他の人も見ていいよ」

 

 アズはスマホを受け取り皆はアズの横になってスマホに映る画像を見て瞬間、目を見開いて固まった。そこにはここあの自撮り画像が映っていた。問題はその服装である。

 

──ダサい

 

 この3文字が皆の脳内を一気に満たす。あのハイセンスでオシャレなここあとは別人のようだ、むしろ別人ではないのかと画像と実物を見比べるが同一人物だ。

 ファッションの流行は20年周期と言われ、今のダサさが未来のオシャレや可愛さに変わる場合もあるがこれは違う。100年経とうが絶対にダサい。

 

「どうダサいでしょ?あ・ん・た達には、でもこれが私にとって最高に可愛くてカッコイイの。今着ている服も、雑誌で着た服も、SNSであげた服も私にとって超ダサい」

 

 ここあは自嘲しながらテンション高めに語り掛ける。その声には諦めが滲んでいた。肯定するか、否定するか。どれほど言葉を探しても、ギャップが喉を塞ぎつけて何も出ない。

 

「じゃあ何でファッションデザイナーになって、ダサいと思った服を作りたいって願うの?」

 

 アズは金縛りが解けたかのように何とか言葉を発する。理解できなかった。嫌なことをするために夢を願う理由が。ここあは理解できていのが可笑しいのか、粘着質な笑みを見せながら答える。

 

「ファッションデザイナーになれば私が思い描く最高にダサい服を作れる。それを皆が着てカッコイイとか可愛い言うんだよ。最高に笑えるでしょ」

 

 ここあはせせら笑う。アズ達に、己のセンスを否定する全ての者に向けて。

 

「半分って言ったのはこういう意味、ファッションデザイナーになりたいのは本当だから。さあ!早く願いを叶えて!」

 

 ここあは目を見開き目を血走らせながら語り掛ける。5人の胸は動揺と混乱でぐちゃぐちゃになる。その理由は頭の片隅にも全く考えてもいなかったものだった。その切実さと圧力、それに気押されこれが本心で叶えたい願いなのではと思い始めていた。

 

「それは間違ってます!オシャレはそういうのじゃないです!皆をエモエモにして幸せにするものです」

 

 ユイナは声を振り絞る。憧れの人のダサさと本心、そして悪意のような感情は大いに心を揺れ動かした。それでもこれは叶えるために手伝ってはいけない願いなのは分かる。人をバカにするための願いは周りも本人も不幸にしてしまう。

 

「私にとってオシャレはそういうものなの、アンタ達が!こんな服を着た私を褒めるファンが居るから!こうなったの!」

 

 ここあは着ている服に手をかけ引き裂こうと力いっぱい引っ張る。このセンスは生来の物だった。

 幼き頃は親から買ってもらった服を拒絶し自分で選んで買った服を着た。考える限りで最高にカッコよくて可愛い服、そしてそれを着て登校して待っていたのは罵倒と嘲笑の数々だった。

 ダサいという言葉の数で新品のノートが埋め尽せるぐらい言われた。その度に心は殴られる。それでも自分を信じて好きな服を着ては罵倒されイジメられる。

 ここあはビジュアルも良く運動も出来て頭も良かった。性格も妬まれない限りは友達が多くできる気質だった。ただダサいという一点だけで数々の長所が霞み蔑まれイジメられた。その日々についに心が折れた。

 自暴自棄になったここあは親に金を貰って自分が考える最低最悪なダサい服を着て登校した。待っていたのは称賛だった。

 

 カワイイ、カッコイイとクラスメイト達が褒めてイジメはなくなった。隣のクラスの者が遠巻きに称賛する。女子達がここあが着る服を次々に真似をして着る。

 学校内においてトレンドを発進するのは読者モデルでもインフルエンサーでもなくここあだった。ここあには稀有なファッションセンスがあった。その嗜好は世間の価値観とは真逆だが。

 皆の賞賛とそれらの人を心の中であざけり笑うことで否定された心を僅かばかりに癒してくれる。さらなる癒しを求めてスタポスに手を出すのもスカウトに応じるのも自然な成り行きだった。

 

 誰も、私を理解しない。私の本当のセンスは誰にも届かない。

 

 だから――私は、『孤高な者』だ

 

 このままモデルとして生活して孤高の日々を過ごそうと思っていた時にドリーミードリーミーフラワーに訪れた。

 ファッションデザイナーになりたいという願いは当初は思っていたが、イメージを形にする力の乏しさに挫折しずっと心の奥にしまい込んでいた。しかし、諦めたはずの願いが、再び静かに胸を打つ。

 

 ユイナは思わぬ敵意に言葉を失う。一方殺島はそんなユイナを見ながらここあの本音を聞いて何故気になったのか理解した。

 

──この女は「孤独な者」だ

 

 その淀んだ眼は困難に負けたから、諦めたからだと思っていた。それは間違っていない。しかし、彼女が負けた理由は、世間の誰にも理解されなかったからだ。

 殺島も聖華天の仲間達も暴走という人様の踏みにじる迷惑な手段でしか幸福を感じられない、世間の誰にも理解されない異常者だった。そして目の前の女も世間から否定され続けるファッションセンスを持つ異常者だ。

 

「ダッサ、本当に信じられないぐらいダサい。本当に無理」

 

 ここあの吐き出す敵意に満ちた空気を打ち払うようにアズが大声で喋る。その言葉に皆は酷い事を言うな、相手を刺激するなという批難の目を向け、ここあはアズに憎悪の目を向ける。

 

「でもカッコイイし可愛い」

 

 アズの言葉に、場の空気が一瞬止まる。慰めるつもりなのかもしれないがどう考えても擁護できないし、ここあもそれがご機嫌取りの慰めなのは分かり切っているはずだ。

 予想通りここあは激昂しながら気休めはよせと声を荒げる。アズはその態度に動じることなく言葉を紡ぐ。

 

「スマホに映るアンタの顔、良い顔してるじゃん。何年もダサいって否定され続けたのに自分のファッションセンスをまだ信じている。そんなアンタが着ているんだからカッコよくて可愛いに決まってる」

 

 アズは体型故に己の良いと思うファッションを選べない。体型に合った良いと思う服装をあるかもしれない。だが世間の肥満は醜いという価値観に屈し、学校にも通えず魔法でスリムな体型になりたいと願った。

 ここあは今でも己が良いと思う服を着てスマホでデータを残している。彼女は世間の価値観に屈していない。画像に映るあの素晴らしい笑顔が雄弁に語っている。屈したのであれば好きな服を着て自撮りもしないし画像も消している。

 同じ肥満体型でありながらプラスサイズモデルとして自分が良いと思える物を着て、自分が思う可愛さやカッコよさを見せている凛子。その存在はアズに大きな影響を与えた。そしてアズにとってここあも同等にカッコイイと思える人物だった。

 願いが叶えば彼女は自分のセンスを否定し、自撮りをやめるだろう。そんな未来は見たくない。

 

「かっこいい、可愛い。私が?」

「そう、ダサいけど」

 

 ここあの憎悪の色が少しずつ薄れていく。アズの言葉は本心だ、ダサいという気持ちもカッコよくて可愛いという気持ちも、生まれて初めて己のファッションを肯定してくれた。暖かい何かが込み上がる。

 

「ここあ、お前はオレと同じ異常者だ、世間の誰にも理解されない『孤独な者』だ。けど意外に居るもんだぜ。探索(さが)せよ『孤独な者』を。今ならSNSで探すなんて簡単(イージー)だろ」

 

 殺島は諭すように優しく語り掛ける。殺島も暴走族という異常者でそんな異常者が10万人居た。種類が違うので何とも言えないが日本、いや世界中探せば何人ぐらいいる筈だ。それに孤独な者が欲しい者は優越感ではなく理解して肯定してくれる者、それは絶対にそうだ。

 探す。殺島の言葉がここあの胸に静かに埋まっていく。他の者が同じ言葉を言ってもここまで響かない。だがあの男の言葉は響いた。何となくだが分かる。あの男も自身が口にした「孤独な者」だからだ。

 大分前に同じセンスの持ち主を探すのを諦めた。自分は『孤高の者』誰も理解できない。だが己のファッションをダサいと言いながらカッコイイと言ってくれる者がいる。似たような境遇に置かれた者が居る。

 己を孤高な者だと思っていた。誰にも理解できない者であると。だが違うのかもしれない。異常であるが理解してもらえる可能性がある『孤独な者』であると。その想いが胸の奥で、静かに膨れ上がる。

 

「でも、居なかったら……」

 

 ここあは視線を落とす。今までの日々でずっと否定され続けた。その日々が同じ孤独な者は存在しないと己を否定する。

 

「アズはそのダサいセンスは一生理解できないから理解者になれないし、デザイナーになってファンを嗤うって願いは叶えたくないけど、殺島の言う同じセンスの持ち主を見つけたいって願いなら、その為に踏み出したいって言うなら心の花を咲かせてあげる。どうする?」

「お願い」

 

 ここあは手で顔を覆い振り絞るように声を出す。その瞬間アズと殺島の衣装が制服から魔法衣装に変わり、変身舞台への再構成が始まり完了するとウィッチバースに移動する。そこで6人は心を込めて歌い踊った。

 

──

 

 ウィッチバースから店内に戻ると同時に6人に疲労感が襲いかかる。ケロッペは魔力が高まれば何曲も歌えるようになると言っていたが、どうやら魔力は高まっていないようでこれ以上は歌うどころか店を営業するのもキツイ。

 アズは疲労に耐えながらここあを見る。その表情は憑き物が落ちたかのように晴れやかだ。

 

「ありがとう。この店に来て良かった」

「これからどうするの?」

「とりあえず今のアカウントに今まで撮った自撮り写真をアップする」

「でもそれじゃあ」

 

 アズは言葉を詰まらせる。それをすれば本来のファッションセンスが露見し想像もできないような誹謗中傷を受けてしまう。

 それはここあも当然理解し全てを失う可能性すらあった。それでも孤独な者でなくなりたい。その願いは揺るがない。

 

「まあ早漏(はやる)な」

「えっと、どういう意味ですか」

「仮に同じ御洒落感性(ファッションセンス)持ち主の奴を見つける。そいつ等を喜ばせたいって最高の服をそいつ等に作って贈与(プレゼント)したい。あるいはそいつ等の為に会社(ブランド)を立ち上げたいと思うだろ。どれにとっても金が必要だし人脈(コネ)も必要だ。なにもモデルを辞職(やめ)ることもねえ。やるだけやって金をもらっておけ。あと電子集会(オンラインサロン)とかやって、信者(ファン)から金を巻き上げる。今まで愚弄(ディス)られたんだ。金蔓(ATM)だと思ってやっちまえ」

 

 オンラインサロンは極道で話題のシノギである。他人から見たら無価値でも当人には価値があるので簡単に金を出してくれ、極端に言えばゴミですら高値で売れる。

 その提案にここあは乾いた笑みを浮かべ、チョコ達は引き、アズは殺島を全力で蹴る。殺島は抗議の意味を込めてアズを見るが、アズの視線の先にいる下を向いたユイナを見て察する。

 ユイナはここあのダサいと思っているファッションのファンであり、それをATM呼ばわりしてしまったのだ。配慮が足りなかった。

 

「でも一理ありますね。とりあえずモデルの仕事は続けます。あの自撮りはサブアカでも作って投稿します。顔を隠しても服装を見れば同じセンスの持ち主だったら感じるものがあると思います」

 

 ファンをあざけ笑うというモチベーションは薄れた。その代わり同じ孤独な者を喜ばせるための服やブランドを作る。そのためならやる気は湧く。

 

「それで名前は…」

「アズ」

「アズ、アカウント教えて。サブアカ作ったら教えるから」

「分かった」

 

 アズはスマホを取り出してここあのアカウントに自分のアカウント情報を教え、ここあもスマホを取り出して確認して頷いた。

 

「では失礼します」

「待て付属品(おまけ)だ」

 

 殺島は疲れた身体に喝を入れながら魔法で花を生み出す。生み出したのはオレンジ色の花だ。

 

「ガーベラ、花言葉は忍耐強さ、同じ孤独な者は中々探索(みつか)らねえかもしれねえ、でも居るはずだ。諦めずに探せ」

「ありがとうございます」

「あとスタポスで店の宣伝頼むぜ」

 

 殺島はウインクを向けここあは苦笑しながら「わかりました」と返事して去っていった。それと同時に一同は一斉に椅子に座って深いため息をつきながらカウンターに身を預ける。

 

「もう無理、働きたくない」

「賛成、今日は店じまいでよくない?」

「自分も賛成。この状態じゃポイントを稼げないし休むのが最良だと思う」

「ヤジリン最後の花屋さんっぽかったよ」

「だろ」

「スマホで盗み見しなければだけどね」

 

 チョコは殺島が手に持っているスマホに顔を近づける。アズとここあがアカウントの情報交換している間にスマホを操作して花言葉を検索し、チラ見しながら花言葉を言っているのを見ていた。

 

「まだまだだね」

「仕方がねえだろ。素人(トーシロ)だし。まだ母親(かあちゃん)みてえになれねえか」

 

 殺島はチョコの指摘にバツの悪そうな顔を見せる。チョコの言う通りズバっと花言葉を言いながら花を渡せれば理想だったが、スマホを見ながら花言葉を言っていた。母親であればすぐに言えただろう。

 

「いや~、お見事でした。本当の悩みを探り叶える。百点満点あげちゃう」

 

 突如カウンターの上にケロッペが現れ皆に花丸で100と書いた紙を渡していき、皆は疲労があるせいか受け取らないでいた。

 

「ちなみに最初の願いを叶えたとして得られる魔法のポイントはこれぐらい。そして今回得たポイントはこれ」

 

 ケロッペは宙に2つの棒グラフを表示する。左の棒グラフには最初と書かれ、右の棒グラフには書かれ、右のほうが左に比べ数倍はグラフが長い。その結果に一同は驚く。

 

「こういうことも有るからケロッペに情報聞いてもいいよ」

「でも情報料取るんでしょ」

「それは慈善事業じゃないんで、まあそこらへんは皆で考えてね」

 

 ケロッペはアドバイスをすると同時に消える。叶える願いによってここまで結果が違う。そう考えるとケロッペに情報を聞くのも一つの手かもしれない。

 

「すまない、自分は君が自分の感情を優先して歌わないと思っていた。皆に損を与えたのは自分だった」

 

 突如キョウカは立ち上がりアズに向けて頭を下げる。アズはここあから出た最初の願いが本当の願いではないと気づいた。もしアズが問いただしていなければ全員が間違った願いを叶えてしまい、ポイントもごく僅かしか得られなかった。

 

「別に、アズは無駄なことがしたくないだけ、タイパ考えないと」

 

 アズは答えるのが億劫だとばかりにそっけなく答える。その態度をチョコが素直じゃないと揶揄い空気が和む。

 

「ユイナワリいな。金蔓(ATM)扱いしちまって」

 

 チョコとアズが騒いでいる最中殺島は俯いているユイナに近づいて謝罪する。一番ショックを受けていたのはユイナなのに、さらに金のためにATM扱いするように唆してしまった。好きな人にATM扱いされたとしたら辛いと思う。いつもATM扱いしている側なのでされる側の気持ちを全く考えていなかった。

 

「え、ヒロキ君何かウチに酷い事したの?」

「いや、金蔓(ATM)扱いしちまって」

「ATMか、ウチのカードはお母さんに管理されているから引き出せないんだよね」

 

 ユイナはいつもの調子で話す。しかし会話がまるでかみ合っていなく先の件もまるで認識していない。

 

「なんで沈痛(しょげ)てたんだ?」

「いや、ウチもここあさんを傷つけていたと思うと申し訳なくて」

 

 その言葉で殺島は理解する。この中でここあのファンはユイナでだけで褒めていた。だが事情を知るとすそれはここあへの罵倒に変わり、数々の罵倒の言葉を浴びせたことになる。

 

「でもあれは仕方がないよ、オシャレじゃないチョコでも着てた服はオシャレだなって思ったし」

「逆に自撮りのセンスは誰がどう見てもダサいし。しょうがないでしょ」

「どうかな、結果傷つけてしまった可能性は充分にある。しょうがないで済ましていいのだろうか」

「じゃあどうすれば良かったの?ダサい服をオシャレだって言えばよかったの?それとも言いたい事は言わないほうがいいの?」

 

 疲れているせいで感情的になっているのかチョコがキョウカに食い下がる。殺島としては極道なのでチョコ側の意見だ、弱者を気遣って強者が不自由を強いられるのは嫌だ。人がアリを踏みつぶすのが心配だからと四六時中気にしないといけないのか。

 

「想像しなきゃいけなかったと思う。そういう事情があると想像していればアズちゃんみたいに気づけたかもしれないし、全部配慮できるわけじゃないけど、これからはこういうのも有るって想像できれば出来る範囲で防げて配慮できるかも」

 

 ユイナの言葉にチョコは矛先を治める。マイはトラブルを避けたかと安堵の息を漏らしている。殺島も正直この議論を治める言葉を持っていなかったので助かる。

 

「それはいいけど、まさかアイツがダサいって言うから自分も真似やめようとか思ってないでしょうね?」

 

 アズが語気を荒くしながらユイナに質問する。アズは先程の議論は全く聞いておらず別のことを考えていた。ユイナはその問いに僅かに答えが詰まる。

 

「アイツがダサいって言ったら従うの?無理、自分が好きなら着ればいいでしょ。それで変えたら本当にペラッペラ!」

 

 アズはその反応を見て厳しい言葉を投げかける。ここあの心情と境遇は同情できるけどそれはそれだ。ここあへの罪悪感と自分の感性は切り離すべきだ。

 

「疲れたし帰る」

 

 アズはそう言うと重い身体を引きずるようにして控室に向かっていく。このアズの行動をきっかけに解散の流れになり、皆も控室に向かっていく。その最中ユイナは控室に向かう殺島を見る。

 

 ここあ、お前はオレと同じ異常者だ、世間の誰にも理解されない『孤独な者』だ。

 

 殺島に対してはそれなりに好感を持っている。自分のノリにも嫌な顔を見せず付き合ってくれ、気さくに話しかけてくれる。倍近く年齢は違うが近所のジジババのように友達に近い感じで接している。

 きっと日々楽しく生きているのだろうと何となく思っていた。しかし誰にも理解されない孤独な者という言葉、言葉の続きで意外といるものだと語っていたので同じ境遇の人と出会えたのだろう。それでも誰にも理解されないという言葉の意味は理解でき、出会うまでの辛さを想像してしまう。

 ユイナには同年代の友達が居ない。そのノリについていけず時間が経つと距離を取られてしまう。自分ももしかして孤独な者なのだろうか?そんな考えがふと脳裏に過る。

 

 まあそれは言い過ぎだろうとすぐに否定した。

 

──

 

 アズの日課と言えるのがSNSを使ったファッションとコスメの情報収集だ。トレンドは常に変わっていく。アンテナを広げてキャッチしなければならない。

 何気なくここあのアカウントを調べると新しい着こなし画像をあげている。それはアズ好みのセンスだった。本当に良いセンスをしている。これをダサいと思って着ているのだから不思議なものだ。

 すると自分のアカウントにDMが届く。差出相手は興梠ここあからだ。そこには新しく作ったアカウントのアドレスが張られている。それをコピペしてアカウントを開く。すると画像が張られていて、あの時に見ていない新しい服を着た自撮り写真だった。

 

「だっさ、無理」

 

 アズは笑みを浮かべながらいいねを押し、アカウントをフォローした。

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