宮間太郎の幻想入り物語   作:宮間太郎(ITARIA-DOITU)

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中3・宮間太郎、博麗神社に居候す

中3・宮間太郎、博麗神社に居候す

冥界の白玉楼でしばらく過ごした後、宮間太郎は改めて幻想郷の人間の里に近い場所で暮らすことを勧められた。冥界は居心地が良かったが、あまりにも「生者」の世界から離れすぎていたためだ。

 

そして、太郎は幻想郷の「境」にある、博麗神社へと送り届けられた。

 

第四章:巫女との奇妙な共同生活

「あんたが、例の『結界越え』の中学生?」

 

太郎を迎え入れたのは、紅白の巫女装束を着た少女、博麗霊夢だった。彼女は、太郎を一瞥するなり、うんざりしたようにため息をついた。

 

「ま、いいわ。あんたを里に預けるには、まだ外の世界の匂いが強すぎるし、私が見張ってるのが一番手っ掛け取り早い。とりあえず、ここに居なさい」

 

太郎が想像していた「神社」とはかけ離れた、ボロボロで参拝客ゼロのその場所が、太郎の新しい居場所となった。

 

霊夢との共同生活は、奇妙だった。

 

朝、霊夢は縁側でお茶を飲み、日がな一日、空を見つめているか、だらだらしている。神社には参拝客が来ないため、巫女としての仕事はほとんどない。彼女の仕事は、空を飛んで幻想郷の**「異変」**を解決することだ。

 

「宮間太郎」として生きていた頃、太郎の生活は全て時間割とルールに縛られていた。しかし、ここでは、すべてが自由で、そして不確実だった。

 

太郎は、居ても立っても居られず、居候の礼にと神社の手伝いを始めた。

 

賽銭箱の修繕: 割れて底が抜けていた賽銭箱を、里から持ってきた工具(霊夢に無理やり買わせた)で修理した。

 

境内の掃除: 苔むして滑りやすくなっていた階段や参道を徹底的に掃き清めた。

 

裏庭の手入れ: 霊夢が放置していた庭を整理し、使える菜園を作ろうと試みた。

 

太郎が熱心に掃除をする姿を見て、霊夢は最初「暇ねぇ」と嘲笑うだけだった。

 

ある日、太郎が境内を掃いていると、金髪の少女、霧雨魔理沙が箒に乗って上空から降りてきた。

 

「よう、霊夢のところの新しい雑用係! あんた、なんでそんなに真面目なのぜ?」

 

魔理沙は太郎の頭を指で突きながら、ニヤニヤと笑った。

 

「雑用係じゃありません! 僕は、ただ…やることがある方が落ち着くんです」

 

受験という重圧から解放されたはずなのに、太郎の根底にある「何かをし続けなければならない」という習慣は、簡単には消えなかった。

 

霊夢は、魔理沙とお茶を飲みながら言った。

 

「外の世界の人間(ヒト)は、みんなああなのよ。**『誰かの役に立たなきゃいけない』とか、『常に動いていなきゃいけない』**って、呪いにかかってるみたいにね」

 

太郎は、その「呪い」という言葉に、図星を指された気がして、思わず箒を持つ手を止めた。

 

第五章:中学生の「異変」

太郎が居候を始めてしばらく経った夜、霊夢は珍しく真面目な顔で太郎を呼び出した。

 

「あんた、なんでここに来たのか、もう一度正直に話して」

 

太郎は、正直に話した。受験のプレッシャー、学校での居場所のなさ、すべてから逃げたかったこと。古びた鳥居をくぐったのは、現実からの逃避だったこと。

 

霊夢は、腕を組みながらじっと太郎の目を見ていた。

 

「ふうん。つまり、**あんた自身が『異変』**ってことね」

 

「え…?」

 

「貴方は、自分の世界から**『忘れ去られる』**ことを望み、その願いが結界を歪ませた。貴方の『存在の曖昧さ』こそが、結界を通り越す力になった。…まったく、迷惑な話だわ」

 

太郎は打ちのめされた。彼は、逃げた結果、自分がこの世界のルールを乱す「異物」になってしまったことを悟った。

 

「ごめんなさい…」

 

霊夢はため息をついた。

 

「謝って済むなら、異変なんて起きないわよ。でも、貴方はもうここにいる。…だったら、せいぜい有効活用させてもらうわ」

 

「え、何をですか?」

 

「貴方は、外の世界の『常識』を持っている。この幻想郷の連中は、それが欠けているのよ。あんたは、その**『外の世界の常識』**を私に教えなさい」

 

そして、霊夢はにやりと笑った。

 

「そうね、まずは**『効率的な参拝客の呼び込み方法』**について、レポートを提出しなさい。期限は三日後。ちゃんとできたら、その辺の草を煎じたお茶じゃなくて、里で買ってきたお菓子を出してあげるわ」

 

太郎は、思わず叫んだ。

 

「レ、レポートですか!? しかも期限が三日後!?」

 

その瞬間、太郎は気づいた。逃げてきたはずの「宿題」や「期限」が、この幻想郷で、**自分に与えられた初めての「役割」**になったことを。

 

太郎は、博麗神社の縁側で、久しぶりに真剣な顔をして、ノートと鉛筆を取り出した。

 

(ここでも勉強するのか…)

 

しかし、不思議と嫌ではなかった。誰かに強制された勉強ではなく、この世界で生きていくための、自分のための「仕事」だからだ。

 

中3の宮間太郎は、今日も幻想郷の博麗神社で、奇妙な巫女のもと、新しい「日常」という名の「異変」を乗り越えようとしている。

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