はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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遅くなってごめんなさい…


10.ミガワリ

 

カナリィを帰して家へと戻るとき、ふと上から声が聞こえてくる。

 

「…いつもミアレシティの安全を守っていただきありがとうございます」

 

「…唐突に出てきてもわからないんですがねぇ」

 

あいにく知らない人に感謝をされても困るのは俺である。そもそも家まで尾行されている以上、安全としては即ジュンサーに突き出すのが正解だ。

 

「失礼しました。私はしがないミアレシティの会員ですよ、お気軽にクロフクとでも呼んでいただければ…もちろん、敬語は不要です」

 

名乗るつもりねぇなこいつ。そして怪しいことこの上ない。

 

「んで?クロフクさんの団体は何をしに来たんだよ?」

 

モンスターボールに手を這わせ、いつでも戦闘できる状態にしておく。

 

あからさまに怪しいというのはコイツのためにある言葉だろう。あからさまに震えていることを隠している。

 

「いえ、カナリィさんの護衛ですよ。さる筋から過激派が襲撃を強行すると聞きましてね」

 

「アンチ派ですかい…」

 

クロフクが伝えてきた内容としてはよくあるアンチの行動だった。大概のアンチのやつはやれナンジャモのパクリだのあーだのと騒ぐからなぁ…

 

(ったく、ギルガルドに守らせないとダメだな…)

 

割とギルガルドには守ることのみしかできないと割り切って使えば強い。ドサイドンやら他にもポケモンはいるけどキングシールドには到底及ばないからな。

 

「んで、そんなことを伝えてきたクロフクさんの目的は?…聞いてる感じ、お前もカナリィのアンチなんだろう?」

 

「…似たようなものです。というより我が会員は皆さんカナリィに大あれ小あれ嫉妬の感情が大いにありますとも」

 

無論、ご迷惑をおかけしないような範囲に収めようとしたのですがー…と、続けるクロフク。

なおさら襲撃する意味わからないんだけど。

 

「もちろん私も例外じゃありません。それよりも利益のほうが上なのでこうして今お話をしているわけです」

 

「…ま、アンチでも分別があるならいいか。強行するのは何を使ってだ?」

 

 

「クレッフィですね」

 

 

クレッフィ。カギを集めるポケモンでありミアレシティ内で最も犯罪者が密売を好むポケモン。他の地域にはほぼ生息しない稀少性と小さすぎて見つけにくいということから窃盗にもよく使われる。

 

要は犯罪者にとって手軽な道具なのだ─と、読んだときには覚えていなかったことについて思い出す。

 

「…まぁ、実際に犯罪に使われるなんてことは考えたことはなかったけどな」

 

習性の問題かは知らないが、そんなものとは無縁である。

 

「…キジャ様はそのまま純粋に育っていただければ結構でございます。他のポケモンについては不明ですが…恐らく、エアームドとミミロップでも使うのかと」

 

「あー…確かに逃亡と警戒にはこの2体でいいのか…」

 

クロフクの言っていることの真偽はさておいて、なんとなくやらせたいことは理解した。

 

「いやさ、見返りかなんかを欲しがってないのが怪しいんだけど」

 

よくよく考えれば見返りすら提示されない。身から出た錆とはいえ、何かしらで引っかけてこようとしてくるのではないか。

 

警戒を解かないままそうしていると、驚くべき解答が返ってきた。

 

「会の基本的な指針ですよ、キジャ様」

 

「…基本的な指針に見返りを求めないがあるわけねぇだろ。そんな団体はカナリィのアンチとして活動しているのもスジが合わねえ」

 

「いえ、そもそもアンチではなくてですね。ふふ…」

 

弁明をするがその声はずっと限界オタクのように震えている。よく見るとポケモンボールを手で弄っているし何かあったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたのことが、好きなだけなんでしゅ!」

 

「………………、」

 

つまりクロフクを含めた俺のファンで徒党を組んでカナリィへ危害を加えようとしている、か。

 

まさかそんなに人気であったことについては驚くしかないけど、一応それなりに活動しているからなぁ。

 

こちらの沈黙をどう受け取ったのかは知らないが平然と包丁を正座しながら取り出すんじゃない。

 

「…あ、ごめんなさいお迷惑をおかけして今すぐウロコダキともども腹を切ってお詫びします」

 

「判断が速すぎるから落ち着け。…あと、恐らく関係のないウロコダキを巻き込むな」

 

誰だよウロコダキって。カントーにいそうな名前してるけど知らんわ。そして口調が崩壊し始めているし切り上げたほうがよさそうだな。

 

「…でも私迷惑をかけてしまったし…」

 

「とりあえず口調をもとに戻せるまで深呼吸しろ。言いたいこととやりたかったことはわかってるから」

 

ひーひーふーと思いっきり吸うクロフク。頼むからあともうちょっと頑張れよ。

 

「で、今日にやるのか?」

 

「いえ、明後日ですね。ポケモンを捕まえる準備もかねてだそうです」

 

「はぁ…やめるんならファンクラブに対してイベントを行ってもいいぞ?」

 

とりあえずとっとと止めないと面倒なことになりそうな気配がする。

 

「本当ですか!!?早速明後日に行えばそれだけで止められますよ!?」

 

ぐいぐいと餌を見せるなり食らいついたクロフクに呆れつつ、とりあえずなんとかはなりそうだ。

 

「ふふっ、あんなことやこんなことをさせられるから楽しみだなぁ…!」

 

「…あの、限度くらいは考えろよ?」

 

…まぁなんとかなると信じよう。というか最近諦めてばっかりな気がする。

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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