はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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すべてきゅうしょに当てるんだよぉ!


13.エッチなのはいけないと思います。

 

帰って来たらカナリィが自分の部屋で寝ているんだけどどうすればいいんだろうか。

 

とりあえずこんなもんをポケちゃんねるでやったりするのも気が引けるのでカラスバにラインで連絡する。

 

「カラスバ、俺はどうすればいいんだ?」

 

ちなみに電話は当然しない。あくまで手でいじれるような範囲でラインをしている。

 

『一緒に寝たら同衾*1になるんでそのままでええんとちゃう?』

 

(どうっ!?)

 

とりあえず声を上げないでキレただけましだと思う。俺の都合でカナリィを起こすなんてヤバすぎるだろ。

 

『そもそも全部あんたのせいや。砂糖水混ぜたみたいな甘ったるいことやってんのに心配させおって』

 

「…俺なにか悪いことしたか?」

 

つまりカラスバから言われるようなことをカナリィにやったのか。無意識にやってしまってるなら嫌だろうし直さないといけないな。

 

『……まあええ。人に対してどう向き合うべきかは追々ポケモンかカナリィはんから教わるやろ』

 

「そんな酷いことしたかぁ…最近過ごすときも安心できなかったからな」

 

なんかクロフクの件しかり暴走メガシンカ個体を研究しないといけないこともあって全く余裕がなかった。

 

(それを理由にカナリィに冷たくあたってんならせめて説明ぐらいしないといけないんだよな)

 

『こちらもいろいろと頼みすぎてる自覚はあるさかい強くは言わへんけどお前はきっちり休め』

 

「休めているだろ、たぶん」

 

『体はともかく心のほうが全然足らんのよ。さらっとルーキーを育成している時点で今さらや』

 

「…さいですか」

 

セイカさんのことをそこまで重荷には感じていなかったけれど、実際には色々と教えられる後輩に対して間違いがないかとか確認する作業もやっていたし…

 

(もしかせずともつかれてんだろな、きっと)

 

 

『人のアドバイスは素直に受け取っとけ。その勢いで二人で寝とけ』

 

「なんでそんなに寝ることを押すんだよ…」

 

『んなもんカナリィはんがキジャを床で寝させたらショックで傷つくに決まってんやろがい』

 

…まあ、朝起きて恥ずかしくなって気まずい雰囲気になるのは確定しているんなら役得のほうを選んだほうがいいか。

 

「…ま、そういうなら大人しく寝とくよ。ありがと、カラスバ」

 

『おう、よく寝とけや』

 

流石に対面…は、度胸がないので背を向けて寝る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…やっと朝か」

 

すーすーと規則正しい音が聞こえつつも起床し、隣にカナリィがいることに驚く。服を着ているのでそういうことはしてないけれど、それはそれとして好きな子が寝てたら驚くだろ。

 

(……起こすか)

 

優しく寝させてあげる選択肢もあったのだけど、カナリィは確かランクアップの戦闘を任されていた気がする。

 

「起きろ、カナリィ」

 

揺すっても体をまったく起こそうとしない。その姿はまるで道で昼寝するカビゴンのごとし。

 

「起きなって」

 

更に揺すっても起きる気配はない。それどころかこちらの声を聞いてから顔をベッドにぐりぐりとこすりつける始末だ。

 

(ったく、幸せそうな顔しやがって…)

 

いったいどんな夢を見ていたらこんな安心しきった表情を浮かべられるんだろうか。

 

「……ほっぺたつつくか」

 

揺さぶっても起きないならつついたりするしかあるまい。カナリィのじいさんのほうに連絡してもいいんだが朝活配信とかしてた気がするからやめとこう。

 

そんなことを一々考えながらほっぺたを手の先でつつく。普段マスクの下に隠されている柔らかくてもちっとした素肌はきめ細かく、とんでもなくさわり心地がいい。

 

(イーブイを思い出すなぁ…いや、手持ちにいないわけじゃないんだけど)

 

進化する前のイーブイっぽい可愛さがある。なんか進化するとそれぞれのさわり心地が違くなるんだよな。

 

「きじゃ…?」

 

「やっと起きたか」

 

ふにゃっふにゃの顔でこちらを見上げて名前を呼んでくるカナリィ。トロンとした目がこちらをじいっと見つめている。

 

「なんでいるのぉ…?」

 

「ここが俺の家だからに決まってるだろ。ほれ、さっさと起きろ」

 

正直この状態で居続けると精神に非常によろしくないのでカナリィを覚醒させようとする。

 

しかし一切いうことをきかないようだ。

 

「やだぁ…きじゃとねたい…」

 

つついていた片手を手に取っていやいやと首を振られる。俺だって普通の男ってこと忘れてないか。

 

「何いってんだ、はよ行くぞ」

 

「おねがい、きじゃ…ボクのおねがいきいてよぉ…」

 

「…10分だけな」

 

そこ、意志薄弱とかいうやつら。俺に石を投げていいのは好きな人の寝起きに自分を求められても断固として断れるようなはがねのいしをもったやつだけだ。

 

ごろんとベッドの淵ギリギリに寝そべり、カナリィと向かい合わせになる。距離感とか関係なしにかわいすぎる。

 

「えへへ、きじゃだぁ…」

 

「…近いからやめてくれ」

 

緩みきった表情で腕をぎゅっと抱きしめられる。アルコールの匂いなんかもしない爽やかな香りで頭がくらくらしてきた。

 

(ったく、こっちの苦労も知らないで…)

 

我関せずとばかりにまた夢の世界へと旅立ったカナリィ。

 

ロトムフォンにアラームをお願いして俺も目を閉じる。

 

普段よりもカナリィがいたぶん、深く眠れた気がした。

*1
平たく言えば既成事実

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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