はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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14.暴走

「んぅ…きじゃ?」

 

キジャについて色々と思うことをカラスバさんに言った次の日。ボクはキジャと一緒に寝ていた。

 

(どうしてこんなことになってるの…?)

 

キジャの手を持って眠ってるから彼が来たあとにもっかい寝たのだ。…何をやっていたのかはわからないけどボクは彼を捕まえられたのだろう。

 

(申し訳ないしなぁ…それなら彼に朝ごはんでも作ってあげようか)

 

時刻は時計によると8時。朝の光があれば確実だけれど、それをやってしまうと写真をとられるかもしれないからやめておこう。

 

(ボクよりもキジャに合わせないとね)

 

そんなことを思いつつ、彼から教わったカントー式の朝食を用意する。どうやら朝に作ってほしい食べ物の中では一番なのだとか。

 

「ん、キジャのエプロンも借りよっか」

 

彼の持っているエプロンは少しボクにはぶかぶかだけどちゃんと安全は確保できる。作ってるタイミングで起きてくれたら動揺してくれるかも、なんて期待も込めてだ。

 

ポニーテールに髪型をセットし、彼の言っていたカントー式の食べものを思い出す。

 

「卵焼きにサシカマスの塩焼き、みそ汁…おにぎり…」

 

ちょっとばかり作るのが難しそうなものが多いんだけど、ロトムフォンで調べながら丁寧にやれば問題はないだろう。

 

(えっと、こういう風に溶いて…)

 

考えながらやっていると、つい自分の家のキッチンに似ているから間違えかけてしまう。

 

「まあじいちゃんが作ってくれたものだしね」

 

そんなことを一人ごちながら料理を作る。パズルゲーマーたるもの指先を怪我してしまったらたまらないから器用さはあるのだ。

 

(いつ起きてくるかな…?)

 

ボクはどうせキジャ以外を愛することはないし、これくらいならどんどん攻めていくしかない。

 

「ま、出来終わったら目が覚めるかな」

 

起こすことくらいならイタズラしてもいいし、それくらいなら彼は笑って許してくれるだろう。

 

そう思うと、作る料理にも気合が入ろうというものだった。もちろん自分の口にも入るからちゃんと頑張らなきゃいけないんだけれど。

 

 

 

 

「ほら、キジャ。ご飯できたから起きて?」

 

彼の珍しい寝顔を写真に収めたあと、ボクは彼の体を揺さぶる。本当に眠りが深いんだな、なんて思う。

 

「なんでこんな幸せそうな顔で寝てるんだろ…」

 

少しかたいほっぺたをつついても起きないし、その様子は二度寝したゴンベと同じだった。

 

(ああいうベイビーポケモンって人気なんだよねぇ…)

 

聞くところによると眠っている間にいろんなことを言って刷り込むらしい。どこまで本当の情報かはわからないけど、目の前にキジャがいるし試してもいいだろう。

 

…起きなよキジャ。ボクのことが大好きなんでしょ

 

耳に囁いても起きる気配はない。もっとふざけてもよさそうだね。

 

悪ノリしたボクはもっと囁くことにした。もし聞かれたならASMRの台本って誤魔化せばいい。

 

 「ねぇ、ボクがこんなことになったのはキジャのせいなんだよ?

 

ボクのことをずーっと最初から支えてくれて、今もこうやって一緒に寝てるけどさ

 

…正直、ボクにとって他のリスナーなんてどうでもよくなっちゃったんだよね

 

キミだけしかボクにとって価値はないんだ。パズルゲーマーなんて、配信者なんてただの飾り

 

…それなのに、キミは

 

ボク以外の女に会って、ボク以外に笑顔を見せたんだね

 

怒ってる?…ううん、キミには怒ってない。ボクが悪いんだよね

 

「キミを他の女のところに行けるようにしたボクが、ね」

 

「……そ。やっぱり察しがいいんだね。ボクがキミを監禁したってこと」

 

「キミはここでボクと過ごしてくれたらいいよ。うん、嫌だとしても逃げられないから」

 

「ここにいる電子ロトムがキミのことを監視してる。ボクの外に出ない手持ちポケモンが過ごしている発電所に来るのはボクだけ」

 

「この意味がわからないキミじゃないでしょう?」

 

「…ふふ、よかったよ。その代わりここでならなんでもしてあげる」

 

「服を脱ぐなって…キミだってこういうこと望んでたんでしょ?えっちなんだから」

 

「ボクだって我慢してたんだよ?なのに、あんなことしてきたんだから」

 

「…こんなことにした責任。とってね」

 

 

 

 

 

言い切った後に息を吹きかける。これで起きてなかったらどうすればいいだろうか。

 

「…あの、さ」

 

キジャはものすごく気まずそうに真っ赤な顔をしてこちらを睨んでくる。

 

「…俺を実験台にするのはやめてくれ。その、心臓に悪い…」

 

「キジャが悪いんだもん。いってらっしゃいのキスもされてなかったもん」

 

「あのさぁ…」 

 

正直ボクも恥ずかしさでいっぱいだ。起きてないから刷り込みしようと思ったのに起きてるんだもん。

 

「ほら文句言ってないでさっさと朝ごはん食べちゃうよ。こんなことやってたから時間ないし」

 

キジャを直視する前に外へとでていった。

 

(次から寝起きのドッキリはやめとこう、うん)

 

 

どちらにしても破壊力が強すぎる。せめて朝ごはんだけにしとこう。

 

 

そんなことを思っているといつのまにか出てきたシビルドンにつつかれる。

 

「…わかってるって」

 

言いたいこともわかってるし、ゲームの配信もしないといけない。

 

…それでも、ちょっとだけ今日は調子がよさそうな気がした。

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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