はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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余談だけどこの作品で出てるネームドはカナリィとカラスバしかいないのは他のエミュが予想より難しいからです。
シロが一番の鬼門だからムクちゃん出せないなった…


15.オウマガドキ

 

「あなたを逮捕します」

 

夜に差し掛かるくらいの夕方、知らないジュンサーの男から言われたその一言は意味不明である。

いや、まあ俺がやったわけじゃないと思うんだが。

 

「…容疑は?」

 

玄関の扉は開いたまま応答する。

 

「昨夜から今朝にかけての殺害事件の筆頭容疑者です」

 

…まずい、本当に知らないんだが。

 

昨日はクロフクの会があったから殆どポケモンを出していないし、なんなら今日の朝に至ってはカナリィとずっと一緒にいたんだけれど。

 

(つーかミアレシティの人間じゃねえ…)

 

名前も名乗ってないジュンサーの時点で怪しいのに名前を言わなければ尚更だ。

 

「…事件の経緯を説明してください。そもそも何をもって俺を犯人だと断定し、とうやって殺したのかすら知らないんです」

 

事実を羅列するのではなく、下手に出て情報を引き出す。今のところ正体とかまだ知らないし。

 

「白々しい…いえ、今から説明しましょう」

 

苛立たしげなジュンサーだが、どこか待っているように見える。…となると目的は足止めとか。

 

「昨夜にメガシンカしたヒトツキと共にワイルドゾーンにいる一人を刺殺。その後はバトルゾーンを転々とし、自宅へと窓を割って帰ってきた」

 

明らかにおかしな点ばかりだけれど、まずは丁寧に反論してくか。

ここはできる限り高圧的な態度のほうがよさそうかね…

 

「そもそもヒトツキをメガシンカさせてねぇ。昨日連れ出したのはギルガルドだ」

 

「いえ、ギルガルドではなくあなたのヒトツキのメガシンカです」

 

つまりムラマサのメガシンカだと断定する映像があるのか。ない限り俺が殺したと一切断定できないはずだ。

 

「映像あるんだろ?見せろよ」

 

「機密情報なので見せられません」

 

「あっそ。じゃあ俺が従う義務も義理もねぇよ」

 

「…となると犯罪者となりますがよろしいですか?」

 

嗜虐的な笑みを浮かべるこいつはどうやってもクロだろう。手加減する必要もなさそうだ。

 

「残念だが俺からしてみたらお前のほうがアホだ。ここに住んでいる人ならワイルドゾーンじゃなく番地で呼ぶんだよ」

 

普通に増え始めているのもあってワイルドゾーンは通し番号で呼ぶようになっている。

 

「あなたが犯人であるなら口を滑らせるところかと思いました」

 

言い逃れをするなら決定的な言葉をつきつけるか。

 

「…俺のことを名前で呼んでないのに?」

 

普通に生活していれば近場の人間の名前は覚える。だが少なくとも逮捕しにくるのなら間違えないように名前を憶えてくるのが筋だ。

 

(恐らくヒトツキ関連のメガシンカでも漁りに来たんだろうな)

 

5年ほど前にきずなへんげとやらをゲッコウガがした、みたいなもんだろう。かといってそれを横取りするような真似をしてできるとは思えないから見逃したとも。

 

(俺も一応メガシンカの類としては特殊なんだけれど…)

 

そこまで情報をバラスような真似をせずともいいので今のところは黙っておくけれど。

 

「で、名前も知らずに人を誘拐できると思っている哀れな犯罪者は何をお探しかね?」

 

「いえ、私はジュンサーです。いい加減本官に従ってついてきてください」

 

ちらりと彼が見たほうには大きめのワゴンから8人のコスプレか出てきている。明らかに怪しいのはわかっているし、ジュンサーにしてはスモークガラス加工もしていない。

 

(クロやん、どないしよ)

 

「…なるほど、猿芝居を続けることがお望みか」

 

近くに人が密集してきている。俺のことを強制的に捕獲するつもりか。ヒトツキはいないしどうしたもんかね。

 

(まあ無難にニタンギルか。普段使わないけどこういう時には役に立つ)

 

もともとニタンギルはバトルロワイヤルだったり人を守るのには向いてないだけで普通に強い。両手で暴れられるのは普通に楽しいし、カラスバさんからの依頼を成功させるときには重宝する。

 

「カラスバにメール送信しておいて。『来い』ってやっとけばわかる」

 

『ロト!』

 

ロトムの返事を聞き流しつつボールを相手の手へと投げる。まさか投球すらも邪魔されると思ってなかったようだ。

 

「別に俺だってこのまま帰ってくれれば何もしなかったんだけどなぁ」

 

ゆっくりとニダンギルを抜刀して壁に沿うような位置に投げ、そのまま足場にして囲いを抜ける。

 

「で、どこの骨ともしれないジュンサーもどきに朗報だ…ポケモンを出す大義名分ができたってことだよ?」

 

「ナメやがって…!」

 

空中に浮遊するのはエスパータイプを出されたらきついのでやめ、ゴーストタイプのニダンギルと同化する。

 

「残念ながらこんなもんはミアレシティじゃ普通だから遠慮するんじゃねぇよ。地方民にはちと刺激が強すぎたかい?」

 

ラップの罵倒練習にも付き合ってもらおう。こちとらカナリィに悪影響だから上手く出来ないしフラストレーションが溜まってんだよ。

 

「教育してやるよ、青二才の連中が」

 

…カナリィに見せられない戦いであると自覚しても、口はどうしても上がってしまう。

 

(久しぶりの一人での戦闘だ…!)

 

思えば守る必要のないこの状況は珍しい。本当ならここでみねうちする必要があるのだろうけど、そんなことよりも血湧き肉躍る戦闘だ。

 

つきのひかりがスポットライトのように俺へと当たり、ニダンギルが光った。

 

狩りの時間だ。

 

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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