はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ 作:ボクっ娘のでんきタイプ
いいですよね、風情があって()
「ジャスティスの会の組手…」
とりあえず襲われた翌日に予定が入ってるのはよくない。あそこの雰囲気に合うほどマジメではない俺がいくのもよくない。
(つっても断るのはよくないんだよなぁ…)
明後日でもいいかとムクさんに送ると許可が出た。聞くところによるともう今月の破壊制限をシローさんは超えたらしい。
(始めて破壊制限とかいう単語を聞いたよ…)
スマホを壊せるほどの握力だからといって力加減くらいは学べばいいのになぁ。
そんなことを思いつつ、ベッドに潜る。かすかにカナリィの匂いが残っているせいで昨日の添い寝したことを思い出し、顔が熱を帯びてくる。
(家出る前に洗濯してこう…)
毎日こうドギマギさせられてはたまらない。せめて昼とかの朝にして欲しい。
翌日。眠気に目をこする…なんてこともなく、俺はジャスティス会の本部へと行く。
(流石に眠い中あんな組み手したら死ぬわ)
ムクさんから指定された場所に行く分にもパルクールでビルの上や壁を蹴り、少しだけ体を温めておく。
スッと音を立てずに下水道へと移動し、ムクさんへと声をかける。シャンデラを出しているあたり既に気づいているみたいだけれど。
「おはよ。あんた本当に元気だよね」
「おはよう。からげんきじゃインファイトで一発だからな」
軽口を返しつつ、ムクさんに写真を送る。別にカナリィの写真は許可をとったものだけれど、それでも割りと笑顔で写ってくれているので大満足だ。
「…ん、ムカつくけどあんがとね。シローが面倒だしそろそろ雲隠れするし」
言葉的に絶対にやりたいんだろうな。そりゃまあこれでもシローはいろいろやらかしているし面倒だからひきこもろうとしてもおかしくない。
「手伝えと?無理だが?」
頭ジャスティスに染まってる修羅の人にどう対応しろというんですかね(困惑)
ヒトツキもニタンギルもギルガルドもフルで戦ったとしても勝てるかどうか怪しいやからだぞ、あのバケモン。
「いらない。というかもうダイジョブ」
「…ほなええかぁ」
感情が読みにくいのは致し方あるまい。少しだけがっかりしているようにみえるけど気のせいだろう。
(もともとムクさんといる期間なんて短いにもほどがあったからなぁ…カナリィと仲いいからある程度は知っているみたいなもんだし)
そんなことを考えていると、彼女はくるりと軽やかに身を翻してこちらを見つめてくる。
「で、あたしと組み手はしてくれる?一戦程度したところで問題ないでしょう?」
そっけなくそんなことを言いつつ、もう既にウズウズしているのはわかる。これで強火オタクじゃなきゃ仲良く出来ただろうにな。
「…ポケモンバトルならいいぞ」
ボールを下に転がし、そのままニダンギルを装備する。
「力こそパワー!力こそジャスティス!!」
「そんなもんねぇからスピードで代用だよ…!」
ジュペッタ含めて小さいポケモンが多い上に切り札に真っ向から弱すぎるという欠点を抱えている。そもそも俺の使えるポケモンが少ないのもあるが。
そんなことを考えつつ、飛んでくるポルターガイストを地面にひきつけてから回避。下手に切ってしまうと塵の状態で高速攻撃されるからな。
「つじぎり連打じゃい!」
わざの隙間を見抜いて近づき、ニダンギルが当てた位置に沿って軽くきゅうしょへの狙いをつけるだけの簡単な仕事だ。ひんしになる前の攻撃はきあいのタスキでなんとか耐える。
「さすがに強い、カナリィの相棒を名乗るだけはある」
「自称ボディーガードはこれくらいしないと務まらないからな。次のポケモン出しな?」
相性での範囲であればなんとかなることも存外多い。基本的にはムクさんとのバトルはつじぎりとアイアンヘッドが当たればなんとかなる。
(問題は最後のシャンデラなんだよ…!)
「シャンデラ、メガシンカ!」
ほのお・ゴーストタイプには普通に不利でしかない。メガシンカともなると攻撃のしにくさも難易度を増す。
「おにび!」
紫色の炎を体にもニタンギルにも当たらないように体の軸をずらし、その勢いで下水道の床に焦げ跡が残る。
「今日は悪いけど完全勝利としゃれこませてもらうぞ、ムクさん!」
「敬語なんて!負けろ、キジャ!!」
オーバーヒートをメガシンカで被弾しないようにする。俺が喰らったところで問題ないものだし、たかだか服が焼けないように気を付けるべきだということだろう。
(そのあとがきついんだけどな…)
とりあえずニタンギルを足場にして跳躍して逃げたが、着地だけが難点になる。ギリギリ硬直がとけたとしても─きっと間に合わない。
「ならここを使うだけだよなぁ!?」
シャンデラのちいさな鉄線を使って丁寧に落下の勢いを利用してドロップキックをする。当然効いてはいないけれどなんとかなるだろうと思っていた。
しかし、シャンデラはすり抜けたのだ。
「愚か。反省、して」
ムクさんの呆れた声を聞いたまま激突しかけるが持ち前の体幹でなんとか立て直す。シャンデラはいつのまにか大きく距離をとった場所でこちらへと技を放とうとしていた。
「っ、ニダンギル!ヒヨクレンリ!」
ヒヨクレンリを指示する。このまま何もしないで負けるよりは遥かにマシだ。そんな決意をこめた技は強く、鋭く─
(…やられた…)
流石に意識を保てはしない。
めのまえ が まっくら に なった。
間違えて二つ同じ話を投稿してしまったため、今日中に次の話「ジャスティスなんてなかった」を書き上げます。
迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。
個別エンドはどれからがいいかな?
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GAMEOVER
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吹き散らされた炎
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踊り明かして夜に溶け
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いつでもどこでもあなたの傍に
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夢もうつつも紙一重