はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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サンドイッチを出そうと、思ったら〜♪


21.ミアレシティ・ナイト

 

 

「キューイ!キューイ!」

 

「…悪かったな、世話してもらって」

 

典型的な貧血の症状と下水道に長くいたせいで風邪を引くなんて…体調の管理が甘すぎる。

 

(カナリィに伝えなきゃよかった…お陰で体温が上がって仕方がない)

 

あわよくばカナリィに看病してもらってあーんとかしてもらう…つもりが本当にさせてもらえるとは思わなかった。カナリィに見せられない場所とかはシャワーズが隠してくれたし問題ない。

 

『あ〜んで恥ずかしがらないでよっ!ボクが恥ずかしいじゃん…』

 

こういう会話は心には全くよくなかった。体の快復には役立ったみたいだが。

 

本音を言うなら人型のポケモンが一匹いればこういうときに身の回りの世話をしてもらえるんだろうか。

 

助けてくれたシャワーズのひんやりした首を撫でる。気持ちよさそうに目を細めてもっとやれと言わんばかりに喉を鳴らす。

 

「いいこいい子…っと」

 

カナリィの看病が終わって6時間。もうじき夜だし、シャワーズと散歩に出かけてもいいかもしれない。

 

「最近散歩に行けてなかったし…一緒に行こうか」

 

「キュイ♪」

 

あわをポンポンだして喜びを示すためとばかりにくるくると周囲を回ってくれる。

 

「じゃ、行くか。そんな面倒ごとに巻き込まれることはないと思うし」

 

ワイルドゾーン20ならちょっかいはそんなにかけられることもないし。何よりあそこは珍しく空気が澄んでいる。

 

(羽根を伸ばすのにもちょうどいいし…っと)

 

いつもより重くなった布団を跳ね上げ、玄関への扉を開ける。

 

「皆、ついておいで」

 

肩に乗せる…と、ちょっと病み上がりにはきつい運動になるので横についてきてもらう。

 

玄関に隠してあったピクニックセットもついでに持ってくか。ちょうど雲が晴れたいい夜だし茶にはいい日だ。

 

 

 

 

 

 

 

空をとぶヤヤコマを見つつ、全員でワイルドゾーンに入る。オヤブン2体さえいなせればたまり場としてちょうどいい。

 

「ごめんごめん、ちょっと借りさせてもらうよ」

 

別に隠れることもないのでメガゲッコウガをシャワーズに当て、メガカイリューはヒトツキとニダンギルで追い払う。

 

当然ヒトツキはメガシンカしているがニダンギルが支えてくれるから俺は戦わなくていい。ここは少しレベルが低いシャワーズのほうを気にかけるべきだろう。

 

(シャワーズかわいいなぁ…)

 

なんかあわだけしか使えないのに中におにびが混ざってたりあわに触れたら動けなくなったりしている。

 

本来ならバブルこうせんを覚えるはずだし、そもそもあわなんて覚えなかった気がする。爪を伸びてきているしその内メガシンカでも覚えたりするのかなぁ。

 

「キュイー…」

 

そんなことを考えていると終わったからブラッシングしろとばかりに膝の上へとぺったんこになっている。イーブイの頃の甘えぐせはまだ治らないみたいだ。

 

「しょうがないにゃぁ…」

 

他のポケモンと比べて外に出せる機会の少ないシャワーズとしては外に出ることも新鮮なんだろうな。

 

ぷにぷにすべすべの肌にはブラッシングはできないため、専用の保湿ローションを用意する。もちろん自家製で作っているしヒトツキたちそれぞれとはまた異なる素材が必要だから大変だ。

 

「ゆーて配合するのも大変なんだからな?」

 

「キュキュイ♪」

 

そんなことを愚痴っても聞いてくれはしない。シャワーズは愛らしく見えるようにこちらにおねだりしてくるあたりわかっているのだろう。

 

「…はぁ」

 

抱きしめられたりもできっこないからなぁなんて思いながらお腹のあたりもちゃんと塗る。全身にしないと拗ねてしまうのでしょうがない。

 

「ヒトツキたちもあとでちゃんとしてやるから待ってろ。手入れは苦手なりに頑張るから、な」

 

全員がカンカンと金属音を上げる。普段聞かないような戦場みたいな音だ。

 

(ったく、なんで戦場なんか思い出すのかねぇ…ん?)

 

そんな戦場なんか知ったこっちゃない。俺からしてみれば全部が遠い話で近くて─

 

 

「…どこか悩んでいるようですな」

 

─思考を切り替えて俺は即座に警戒する。ワイルドゾーンにいる以上は全員それなりにリラックスしていても警戒はしている。

 

…つまり、それは隠密されていたということだ。

 

「…誰だお前は」

 

長身のこいつは誰がどう見ても怪しい。シャワーズしか警戒していないのも妙だが、どうにも懐かしさを感じるのも違和感がある。

 

「わたしは君には関係のない人間です」

 

…年の功とか以前に怖すぎる。何一つとして体を動かさないのは余裕なのかどうかすらも判断できない。

 

「…なら目的なしで姿を見せるわけないよな?警戒はさせてもらうけど聞かせてもらおうじゃないか」

 

シャワーズを逃がすくらいはすぐにできる。ヒトツキたちが使えないのはしょうがないことだが、それでもなんとかしてやろうじゃないか。

 

柄にもなく無駄な警戒をしつつ、老人に続きを促す。

 

「いえ、懐かしさを感じる組み合わせだったので。そうですね…散歩、と言わせてもらいましょうか」

 

「そんな理由でここに来るのは危険だっての。帰りな?」

 

若者らしい言い回しを持って老人との会話を避ける。話の通じないやつとこんな危険なところに留まり続けたくない…はず。

 

そんなことを思ったとしても逃がせる算段がない以上留まるしかないが。

 

「…今を生きる人類にはわたしは確かにお邪魔でしたね。…行こうか」

 

何か含みのある言葉を言い捨てて、老体は静かに去っていく。

 

 

(ったく、何か関係があったか知らねぇんだけどよ…ん?)

 

彼がなにか残していった。盃のようだ。

 

「…もらっとくか?」

 

わからないが酒には罪などない。どくなんざはがねタイプには効かない。そんなことを思いながら俺は思い出す。

 

─いつとせも 変わらぬ夜に 思い馳せ

  散りゆく花に 写すミカガミ

 

誰の短歌かは知らないが、一献。

 




短歌が出てきました〜♪

チックショー!?

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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