はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ 作:ボクっ娘のでんきタイプ
「カナリィさんに勝たないと上にいけなかったのに…!」
私はこの前のランクアップ戦でカナリィさんに負けた。明らかになにかおかしいくらい強かったのだ。
『ボクだってね、機嫌の悪いときくらいあるんだよ』
タラゴンさんの孫娘…それが嘘にしか思えないような冷たい気迫だったしピュールさんに様子を教えたほどだ。もちろん「そんなことするはずがありません!」って否定していたけれど。
『…ま、ボクからキミへの感情はいいから早くやろうよ。自分がどれだけ井の中のニョロトノだったのか教えてあげる』
明らかな不機嫌な彼女。クチートのハルも善戦してくれたけれど、普通に電気技で押し切られて負けてしまった。
『…はぁ。この程度じゃムリムリ。ボクのものに手を出そうなんて思わないで』
(ランクアップ戦で負けちゃったけど、手持ちは育ってきてると思うんだよね…)
そのことを誰かに相談できないかなぁなんて思いつつ真夜中にホテルに戻ると、珍しくAZさんが外へと出かけていた帰りなのかホテルへと戻っていた。
「おかえり」
「ただいま戻りました、AZさん。…その、珍しいですね?」
私としてもAZさんのことは嫌いではないのですけど、少し距離が掴みにくい人です。自称とはいえ3000年生きているので。
ピュールさんやデウロさんならなんとかしてくれるかもしれないけど、今のところ私は二人で話す機会なんてありません。
「ええ、懐かしい人と会ってきたものでして」
「3000年前の?」
冗談めかして聞いてみるけど、まさかそんなことはないだろう。奇妙なオーナー過ぎて話題も振りにくい。
なんと言えばいいのだろうか、ともかく変わっている人。
「あながち間違ってもいませんね。変わってはいませんでした」
軽口を叩いて二人とも中に入る。
「…そんで別の人と当たってランクアップしたと」
「…はい」
拍子抜け過ぎるほどカナリィさんではない人とランクアップ戦をすればすぐに終わってしまった。彼女のような鬼気迫るような迫力はない。
(どうしてなのかなぁ…)
不安に思っても口には出せない。キジャさんと今過ごしているからだ。
「にしてもそんなきついもんか?でんき統一だし避けてきたところで大した問題にはならなくない?」
「異常に避けてくるんですよ…ほぼ回避されちゃいましたし…」
特に最後のシビルドンに至ってはまるでキジャさんの回避と遜色なかった。必中わざには流石に当たってたけど…
(まさかキジャさんは避けたりしないよね…?)
私のキジャさんならやりかねない。人離れしている彼の目の前でぼうっとしているとデコピンされる。
「あいてっ」
「んな気にするなって。ほぼ回避されたってことは当てれたんだろ?」
頬杖をつきながらカフェで微笑む彼はどうにも雑誌の一面を飾っていそうなオーラがあった。思わず生唾をごくんと飲みながら彼に言いつのる。
「それはそうなんですけど、次にそういう相手と当たったらどうすればいいんですか!」
怒った私を宥めるポーズをしつつ、キジャさんは提案をもちかけてきた。
「なら一回練習でやってみるか?似たようなことくらいならできるさ」
スッと後ろから出てきたのはシャワーズ。泡に包まれてくるくる回っている。
「いいんですか?」
破格過ぎる条件。普通に嘘だと言いたいけれど、彼ならやってくれるかも。
そんな期待にしっかりと彼は答えてくれた。
「別にポケモンバトルじゃないし模擬戦ってことでな。負けたらちゃんとこのカフェのお金くらいは払ってもらうか」
そう言いながら先に立って支払いを済ませてきたキジャさんはシャワーズを肩に乗せるとバトルコートまで移動してきました。
「一撃当てられたら負けってことで…ま、逃げ回る敵としては複雑だけどな。言っていこいシャワーズ!」
「キューイ!」
出してきたということはもうやるしかないのでしょう。強いポケモン…だろうし、シャワーズだからって油断してはいけない。
だからファイアローで最初に行動を確認しよう。
「行って、ファイアロー!」
「…速攻じゃない、か。あわまみれにしろ!」
「エアスラッシュで牽制して!」
みずタイプのわざで弱いからといって油断は禁物。ファイアローに当たらないように露払いをしようとするが、中々上手く行かない。…というより、ファイアローを狙っていなかった。
「まあやってることは正しいな。この手は悠長過ぎる…が、これがチェックだ」
気づけばバトルコートは全て泡で塗れており、どこに潜んでいるのかわからない。シャワーズが強いのか、それとも私が未熟なのか。
「こうなるとファイアローが空を飛んで見切ろうとしても中々見つからない。ましてやとけるを使ったシャワーズなんざこのフィールドじゃロックオンできねぇよ」
このフィールドでは確かに無理だ。
…本当に?
考えてみればキジャさんは練習と言った。なら答えがでないようにやるのは彼としても不本意なはず。
もっと自分で考えろ。このフィールドを逆転させるんだ。
「ねっぷう!」
「クルァーン!」
ファイアローの火があわを弾けさせ、シャワーズごと巻き込む。もはや擬態なんてのも関係ないほど火が暴れる。
「…正解。相手の優位性を消すための手段の一つは範囲攻撃だよ。わかってても避けられないように、な」
当然彼のシャワーズは─混ざっていない。真下からバブルこうせんを当てられてファイアローは戦闘不能になった。
「…対戦、ありがとうございました」
「いいってもんよ。こんなんでも教えんのは苦手だからな」
彼の肩の上で我関せずとばかりにシャワーズはなんというか─キュウコンっぽい。
場違いな感想を抱きつつ、私は夕陽の中を帰る。
(…勝たないと、ね)
カナリィさんに負けたままじゃいられない。何かはわからないけれど、胸騒ぎが収まらないのだ。
「…なんでかなぁ」
わからない。…そう、強く思い込んでいく。
少しだけ真面目な話
とりあえず失踪はしないんですけど明日から掲示板回がちょっと挟まります。なんでかというと、ZAの2周目をしてキャラの深堀りができるようにしたいからです。
まあもしよければついでに高評価と感想もらえると嬉しいなって思います(乞食)
個別エンドはどれからがいいかな?
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GAMEOVER
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吹き散らされた炎
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踊り明かして夜に溶け
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いつでもどこでもあなたの傍に
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夢もうつつも紙一重