はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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今日は2回投稿…しまっせ…


31.仕事は二つも被らない

 

仕事、それはポケモントレーナーだとしても逃れられないもの。

まぁどこかのスーパーマサラ人は身一つ着の身着のままで大金を稼いでいたけれども、そんなことは夢物語である。

 

(まぁ、ミアレシティだとその夢物語がやりやすいわけなんだが…)

 

なんせバトルロワイヤルだからぽんぽん戦うし、戦い続けて勝てるなら一夜で宝くじを当てるのと大差ない大金を入手することができる。

 

生活としてはそれでいいのかもしれないけれど、そうなったら最後はギャンブラーみたいな生活になる。そんな生活ではカナリィを養おうなんてとてもじゃないけど言えない。

 

「まぁ仕事つってもこれだとなぁ…」

 

ミアレシティの特産品とも言えるメガストーンとキーストーン、両方の手入れと作成。競合の人がいなかったからよかったけれど、依頼そのものはそこまで入ってこなかった。

 

…だからカラスバさんの仕事を受けているんだけど。

 

それはさておき。今日はその珍しい依頼の日だ。

 

【ダンスしやすいようにメガスターミーの腕輪にしてほしい】

 

「どう見ても珍妙な依頼が過ぎる…作れないってことはないが」

 

やれないことはないが、なぜ俺に対しての依頼なのか。装飾品は別に用意してほしかったんだけれども…

 

「依頼人としてはちゃんと考えて送ったんだろうしなぁ…」

 

仕事道具を持って約束された噴水の近くにあるベンチの前で待つ。シャワーズも連れてきたけれど、そこまで大がかりな作業でもないはず。

 

(つってもメガスターミー使う人って結構限られてんだよなあ)

 

依頼人は匿名にしてあるが、持っているキーストーンやメガストーンで理解ができてしまうのが実情だ。恐らくメインで使うためにやりやすい腕輪にするなら、自然と誰なのかは絞られてくる。

 

「やっほ、キジャ。元気にしてた?」

 

空色のパーカーに上で髪を束ねた少女。連れているスターミーは水しぶきを浴びてキラキラと輝いている。一緒にダンスしていた時代と大して変わらない─デウロだ。

 

「…やっぱりあんたか、デウロ」

 

こちらに笑いかけてきているが、一歩だけ引かれている。何か嫌いなところでもあったのだろうか。

 

「うん、あたしだよ。じゃあホテルに行こ?」

 

「…あのさぁ、せめて夜に言えよ。明らかに誤解を生まないだろうしつまんねぇだろ」

 

デウロの住んでいる場所なら察しがついているし、わざわざ名前を隠して言う必要があるわけがない。

 

(そもそも誘われたところで断るけどな…そもそもそんな依存されてないし大丈夫だろ)

 

生ぬるい視線を向けようと思っていたが…まあ、楽しんでいそうだし黙っていることにした。

 

「ハハハ、別にそっちの意味でもいいんだよ?」

 

「うるさい。仕事しに来たんだからそんなこと喋るな」

 

異性を意識すると仕事の質が下がるからな。客は平等、仕事は完璧に。

 

あくまでそれくらいの覚悟がなければとてもではないが真剣に取り組めまい。

 

 

「ここでやっても俺は構わんからな。デウロの恥ずかしい姿しか見つからんくなるがな」

 

「そうなったら責任取ってくれるんだよね?」

 

「…そうなりゃな。ほれ、とっとと行く場所行くぞ」

 

こいつが居候している場所はホテルZだ。ここから近いのにわざわざ指定しているのもちょっと歩きたかったからだろう。

 

「ほらまぁ、足腰は大切ですし?」

 

「…何言ってもやることは変わらないからな」

 

しゅんとした顔をされると困る。スターミーがハイドロカノンで脅しに入ろうとするんじゃない。

 

「一緒に歩くくらいならいいが」

 

ぱぁっとデウロの表情が明るくなり、腕を組んだところでスターミーがハイドロカノンの準備を止める。…というかそこまで脅さなくてもいいだろ。

 

なんでそんな脅してくるのか理解に苦しみつつ、俺はホテルZへと歩いた。

 

 

 

 

 

 

ホテルZにつくと、セイカさんが普通に帰ってくるところだった。

 

「…キジャ…さん…?」

 

めちゃくちゃ驚かれているのでしっかり弁明しておく。俺とデウロは恋人じゃないってことを言っておかないと間違われる自信がある。

 

「あ、セイカさん。単にデウロからメガストーンの装飾品の依頼受けてて」

 

「そうなん…ですね…」

 

なんか気分悪そうだなぁ…考えなきゃならないことがとんでもなくて頭が回ってなさそうな…

 

「…あとであたしも聞いてみるよ、キジャっち」

 

「俺の仕事じゃねぇよ…ま、言えば相談くらいは乗ってやるよ」

 

使用人がいないホテルだけれど、作るのなら寧ろ好都合である。

 

(下手に見せられないものばかりだからな…)

 

こんなのは他の人に見られたら炎上するし狙われるからね、見せたくないからしょうがない。

 

「さっさと離れてくれ、階段が登りにくい」

 

「しょうがないねえ」

 

するりと水のように体を通り抜けられ、 階段の踊り場に先行する。

 

「ほら、速く行こう?」

 

「…腕輪以外は何も作らないからな」

 

ひいきもしないで作れる自信はないけど、オーダーメイドにわざわざ依頼してもらった以上は気合を入れなきゃな。

 

『ロート!ロート!』

 

…結局、ロトムフォンの着信音には気づけなかった。

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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