はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ 作:ボクっ娘のでんきタイプ
「…まぁ座れや。お前に非がないのはわかっとる」
開口一番から不穏なセリフで始まったカラスバさんとの対談はとんでもなく重々しい雰囲気だった。心なしこちらに対して申し訳なさそうにしている。
(いよいよ覚悟を決めることでもあんのか)
カナリィの炎上か─それとも、何かしら注目を集めるような事態に陥ったのか。周囲の人払いを考えるに、碌でもないことなのは確かだ。
「何があったのか詳しく言ってくれ。明らかに俺に関係している問題だろう?」
「…マチエールからの情報や。あんたの…病気について」
「それは別に構わねぇよ。俺が隠しているのが悪いだけだ」
…正直、隠せるだけ隠していたけれど探偵の人から漏れるとは思わなかった。データも含めて消しておいたほうかよかったのか。
「んで、カラスバはどうしたい?」
「……は?」
当然、カラスバは困惑している。だがここは譲れないものだ。
「…そもそもな、まず経緯がわかんねぇんだよ。簡単に見つかるようなものになってたのかとか詳しい情報がない時点でお前に委ねるしかないだろ?」
「せやな。そこからお前に説明するべきやった」
申し訳なさそうにしているけれど、そもそもの問題は隠していたことだからな。
悪いと思わなくてもいいのにとは思うけど、親しき仲にも礼儀ありという言葉もあることだ。彼にとっては負い目なのだろう。
「…今、ミアレシティそのものがきな臭い動きが多いのは知ってんよな」
「まぁ木っ端のラッパーが発破かけられてるもんな」
暴走メガシンカも多いし、明らかに犯罪をしようとするならず者も増えてきている。…俺が倒していることも多いことがそれを象徴しているだろう。
「…それで、一番最初に危険視されたのがお前や」
「そんな評価をもらってんのは誇っていいのか微妙なことだな。おおかた過去のカナリィを救ったあたりまで
後遺症が出ていたのはその時からだ。何か土をつけられるとしたらそこらへんの経歴だろう。
「…正解や。が、お前の抱えてる問題はそこじゃない」
「…ほう?」
…内心はとんでもなく怖い。冷や汗が伝ってもここで動揺してバレたらどうする。
(ったく、そこまで知られてるとは思わなかったな…どいつもこいつも人のプライバシーの脇を引っこ抜きやがって)
最も隙を見せたほうが負けなのだから仕方がない。
「…わかってんやろ。ボールが使えないって」
「別に1回出すのに凄い時間がかかるだけだ。もともと闇討ちとかする側だから問題ないっての」
そっとボールに手を当て、ボタンをカチカチと鳴らして出そうとするが不可能だ。軽く投げ捨てたりしたところで開くことすらない。
「それはええんや。いやまあ、てめえの体についてもっと問題があるからそれに比べてっちゅうことや」
「…やっぱそっちも知ってるか」
部屋を片付けている理由もそうだが、やはりカラスバさんからしてみたら知りたくなかったんだろう。
「俺の口から言えばいいか?」
「…せやな。本当は嘘だと信じたいんやけど、その反応やと図星やな」
笑えないがコレはもう決まっているようなものなのだ。
…アクセサリーを作るときに感じていた違和感が少なくなっている。
ヒトツキから吸われていたような人としての生気の実感が薄くなってきている。
そうなのだ。
「俺は、もうそろそろ死ぬ」
理解はしている。カナリィに迷惑のかからないように死にたい。彼女と恋人になってから死にたい。
恐らく─残された時間は、そう長くはないだろう。
「…せやろな」
明らかに
「先に言っとくが、これは末期のガンみたいなもんだ─治せるようなものじゃ、なかった。俺も手を尽くしてみたもんだが、死ぬ可能性を先延ばしにするのは無理らしい」
俺が望むのは『沈黙』だ。ここまで隠さないといけない理由は悲しませたくない─というより、エゴに近い。
同情されたくない。
死ぬことについて一人で抱え込んで死にたい。
「…黙っとけと?」
押し殺した声がカラスバの言いたいことを実感していた。
「察しがいいじゃん、その通り」
露骨に表情を変えるけれどここが説得どころだ。相手の弱点を貫くような行動をしなければならない。
「本音を言うなら死ぬ直前まで依頼してもらいたいし、遺産の管理についてもお前に押し付ける」
「好き勝手言うんやな」
「どうせもう終わる体だからな。…いや、見てもらったほうが速いか」
服の裾をめくり、腹の辺りを露出させる。そこには綺麗な紫色のひび割れが入っていた。
「お前…まさか…!?」
「正直生きてることが奇跡みたいなもんだよ。人にゃ絶対に見せられないんだからよ」
医者に見てもらっていない理由は単純明快、もう対処しようがないから。
「お願いだから黙っててくれ。いつも通りの日々で死ぬ以外、ゴメンなんだ」
これで断られたらどうしようか。開き直って下らない日々を生きるのか。
「…ツラ上げぇや」
カラスバの善意につけ込んだ自覚はある。こいつの返しきれない恩義の清算でもある。
「悪い、頼んだわ」
気軽に頼んで─重々しくなった体を動かす。
…いつまで、動けるのかな。
個別エンドはどれからがいいかな?
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GAMEOVER
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吹き散らされた炎
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踊り明かして夜に溶け
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いつでもどこでもあなたの傍に
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夢もうつつも紙一重