はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ 作:ボクっ娘のでんきタイプ
『三人でどっか行こう』
ムク姉から送られてきた内容は平たく言えばそんなものだった。予定も依頼も入っていなかったし、すぐにOKを出して来た場所はジャスティスの会本部。
待ち合わせ場所には案の定と言うべきか…それともムク姉が指示を出したのかはわからないけどシローが先にいた
「よ、シロー」
「おお!キジャですか!やはり、同士とは良いものですね!」
…こんな会話をしていると誤解されそうだが、俺はそもそもジャスティスの会には入っていない。こいつの理想に近い『人々がジャスティスを高め人とポケモンが真に共存できる社会にする』という一点においてのみ先を行っているからとのこと。
それはともかく。
「誰が同士だって?俺なんかとはお前と格が合わねぇっての」
よほどのことがない限り同類に思われたくないので否定しておく。
「その謙虚な姿勢…!正にジャスティスと呼ぶに相応しい…」
(ダメだこいつ、はやくなんとかしないと…!)
幸い今はすぐに救いの手が来ていたムク姉から差し出されるだろうと思いほっとしている。このままだと互いに研鑽とか言って殴り合いをさせられるところだった。
「シロー。キジャが困ってるからやめろ。…待った?」
一瞬で宥めすかしたムク姉はそのまま恋人みたいなやり取りも要求してきた。なんかこちらにキラキラとした目を向けてくれているし、答えないのは無作法だろう。
「ん、ぜんぜん待ってない…まぁこっからどこに行くかまで言われてないのが気になるがな」
「家だよ?」
「は?」
俺の顔はさながら豆鉄砲を食らったポッポみたいな間抜けな顔だろう。おいそこ、変な角度で写真を撮ろうとするんじゃない。
「続きは家で。……ね?」
こちらに笑いかけるムク姉は、明らかに何かを隠しているけれど…俺が断れるような状況ではない。
昔より弟という存在は姉には勝てないものなのだ。
「…はい、キジャ。抹茶でよかった?」
「ありがとう、ございます」
「ハハハ、そんな畏まる必要はないのですよ!」
ジャスティスの会の会長と副会長─その二人の家へと上がらせてもらった俺は抹茶を飲む。
(ったく、なんでこんな気まずい雰囲気なんだよ…!)
普通に二人に招かれるなら、まあ、いい。まだどちらも知っているからだ。
…当然、休日である今の日には両親がいた。
「(味がしねぇ…)…では、私はそろそろ帰っていいでしょうか?」
「む、主役であるキジャがいなくなるなんてジャスティスではないですよ!そう思いますよね、父さん!」
重々しい雰囲気を纏って─シローのお父さんであるマサヨシさんは頷く。
「……左様。宴よ、ゆるりと楽しまれるとよかろう」
「は、はい…」
明らかに還暦前とは思えない貫禄であり、白いヒゲに至ってはもはやヤのつく自営業にしか見えないのである。カラスバさんからしてみたら不服なのだけれど、俺からしてみたら言われたら納得するほどの風格だ。
「…で、キジャ殿。…儂は、お主にジャスティスがあるかどうかを確かめねばならなかった」
「どういうことで…?」
なんでここはジャスティスについて詳しく知りたがるのだろうか。なんでジャスティスがここまで関わるんだよ。
(というか、この人も頭ジャスティスか…)
「ジャスティスというものは、自己を顧みず、他者を助けるという精神のことを指します。愚息と不肖の娘は、どうやら意味を現代へと変えたようで…」
「は、はぁ…」
正直まったくよくわからない。そもそもジャスティスの精神ってなんだよ。
しかしマサヨシさんはそのまま続ける。
「…なら、儂のような古い老いぼれなどジャスティスの精神として未熟なり。貴方たちが盛り上がらせるならば去りゆくのみ」
「あの、やめてくださいな…」
話が通じない。ダメだ、なんとかしないと。
「ふむ、やはり儂よりもその精神は強い様子。これからもジャスティスの精神をよろしくお願いしますぞ?」
「…まあ、手伝いますよ」
なんとなく、頷いた時点で負けだと思ったけれど。
…それでも重々しい響きに負けてしまった。
「ならばこの宴はゆるりと落ち着かれればよかろうに。こちらは無礼講ですからな」
好々爺のように笑いながら去っていくマサヨシさんを見ながら、ムク姉からそっとお酒を注がれる。
「…飲め」
諦めて飲む。甘ったるい酒の匂いはこびりついて離れそうにならなかった。
個別エンドはどれからがいいかな?
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GAMEOVER
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吹き散らされた炎
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踊り明かして夜に溶け
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いつでもどこでもあなたの傍に
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夢もうつつも紙一重