はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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37.踊れ踊れ理想と踊れ

「…ねぇ、デウロ。さっき話していたキジャさんのアクセサリーってなに?」

 

彼とダンスしたあと、私はセイカちゃんにそう聞かれた。確かに彼女はここに来てから日が浅いし、彼のことを知らなくても仕方がない。

 

(でもちょっと怪しいな…そこまでキジャについて関わるようなことあったのかなぁ…?)

 

まるで狙いを定めるとりポケモンのような勢いの強さに驚きつつも、私はキジャについて話す。

 

「んーとさ、キジャについてのこと?」

 

「…あとデウロとの関係について聴きたい。なんか距離が近いんだもん」

 

なるほど、よく理解した。セイカちゃんはキジャのことが気になっているんだろう。私としては恋敵が増えるような真似だし余りしたくないのだけれど…

 

 

(聞かれたからには答えないといけないよね)

 

何よりキジャなら卑怯なことをした私のことを嫌うだろう。なぜかはしらないけれど、彼は私たちのことをちゃんとわかったように行動してくるのだ。

 

そんな正直セイカちゃんのことを考えていない自己保身の考えで、彼女の質問に答え始める。

 

「えっとね、まずセイカちゃんはキジャのことを知ってる?」

 

「あ、はい…なんというか…個性的な人、ですよね?」

 

「その反応はバトルロワイヤルであった感じだね。キジャのポケモンバトルって本当に馴染まないからさ」

 

なんせキジャはヒトツキを操るし、最近ではニダンギルもメガ進化したのだ。Aランクに最も近いランカーとも言い換えていいだろう。

 

「…メガシンカとかって…」

 

「あんなの真似しようなんて考えちゃダメ。そんなことしたら一瞬で女の子は限界を迎えるんだから」

 

そもそも剣の使い方からして火力を重視し過ぎて危険なのだ。ダンスを教えた時に確信したけど、彼は絶対に人が真似できるような動きをしていない。

 

(というより、もう殆ど関節を無視した速さで振り回してるもんね)

 

どんなカラクリなのかは知っているけれど…そこまで詳しく言えるほど私もキジャのことは知れていない。

 

「…そう、ですよね。正直アレよりも上の人なんていないと思います」

 

「はがねタイプ以外も使えるらしいんだけどね。シャワーズしか今のところ見てないけど」

 

聞いた話によると高ランクトレーナーの手持ちでなつき進化を果たしているポケモンを数多く持っているのだとか。

 

流石に育てたり手間暇を考えるとありえないことだと思うけど、彼ならやってくれているかもしれない。

 

(そもそもシャワーズだって私とダンスしてるときに進化してたし…なつき進化じゃないのに進化して凄かったよねぇ…)

 

キジャと二人だけの秘密みたいでちょっと嬉しかったし、あの時はすごく興奮した。最もそんなことを思うとシャワーズが気になってしょうがないのだけれど。

 

「それで、キジャさんって…?」

 

「いろいろと凄い人って認識でいいと思うよ。とことんお人好しだから色んな人といるけど、今のところはトラブルも起こしてないし」

 

配信者カナリィとよく話すとかジャスティスの会のシローと互角に組手を行いながらムクさんとのポケモンバトルの指示をこなしたりとか…目撃情報にはきりが無い。

 

(その目撃情報が全部あってるのが凄いんだよね…)

 

まるで神話の世界にいるような彼の行動は、どこかでファンクラブになっているとかなんとか。

 

「…で、キジャのアクセサリーの話だよね?」

 

「は、はい!私気になるんです!」

 

私は新品である腕輪を見る。仕事とはいえ、彼が作ってくれた特別なオーダーメイドの品だ。

 

(…キジャはそんなこと思ってないんだろうけど)

 

愛している人に贈ってくれたなんて淡い期待はせず、仕事をしてくれただけ。そう思っても胸の中から込み上げてくる嬉しさは抑えきれない。

 

「オーダーメイドで初回は無料。その後は10万とかから受けてくれるよ」

 

充分払う価値はあるんだけどね、とつけくわえる。彼の作るアクセサリーに必要なメガストーンも個人情報が刻み込まれるし、何よりメガ進化したときにも腕輪が進化するのだ。

 

(希望が『私が好きそうなデザイン』だからね…ちゃんと作ってくれたんだ)

 

そもそも作るときの工程ですら見れることはない。特別扱いしてくれるお客さんが何人いるかすらも…

 

「…ま、彼本人から認められていないと依頼を受けてもらえないんだけどね」

 

…もっとも、私だけしかもってないなんてことはない。あの人はそんなものだ。

 

…好き勝手動いて、好き勝手人のことを惚れさせる。まったくもってひどい人だ。

 

「すいません、行ってきます!」

 

 

 

 

「…まーまーそんなところ。安心していいよ、私がキジャに告白するなんてことはしないし」

 

とはいえキジャに告白されたらその限りではない。

 

そんな本心を隠しながら、私は走り出したセイカちゃんの背中を眺めてロトムフォンでとあるものを頼む。最近オススメされた一品だ。

 

(惚れ薬か何かはしらないけど、これくらいならいいよね)

 

…薬を使ってでも勝ちたいなんて思わない。キジャが悩んでいるなら強引にでも取り除きたい。

 

そう思う私は─やはり、ワガママな少女のままなのだろう。

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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