はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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?トツ?「俺自身がでんきタイプになることだ!」

なんだこいつ(困惑)


4.メブキ

 

ヒトツキ。進化前のポケモン。人の命を吸うポケモンとして恐れられているポケモンであるが、基本は弱い。

 

私はそう思っていたし、実際に眼の前にしている今の光景も信じられない。

 

「…ヒトツキでしょ…嘘…」

 

名前も知らぬ彼はその紅いヒトツキを振り回して周囲のチンピラを転がしていく。ポケモンが全部いなくなったあとにみねうちをして近づかないようにする徹底っぷりだ。

 

そのかっこいい姿を見ながら、私は今日のことを思い出す。

 

 

 

 

─このミアレシティに滞在する上で言われていたのは二面性があるということ。昼は確かに楽しそうだけれど、夜になってしまえば誰もが敵のバトルロワイヤルが行われる。

 

興味本位で立ち入る分には問題ないだろうと思って私はフォッコしか持っていなかった。

 

それがどんな人間なのか、考えてみればわかることだった。わざわざボールを持っていないことを優しく忠告してくれたフレンドリィショップのお兄さんが笑いながらクスリを打っていた時点で走り去ればよかった。

 

やばいと気づいたところでもう遅い。行き止まりに大勢で囲まれた私は逃げることなんてできなかった。

 

(あ、もしかしなくても終わりなんだ)

 

スローモーションで振り下ろされるその手からはもう逃げられないと諦めてしまう。だってフォッコを出したところで蹂躙されて終わるだろう。

 

 

そんなときに、彼が助けてくれた。

 

「ミアレシティの洗礼、受けさせてやるよ」

 

この町のバトル形式では人を信用するチーミングは危険な行為だ。いつ相手から攻撃されるかわからないから無視をするのが安牌。

 

無視して見ず知らずの少女を助けるなんて気狂いはいないけど、そういうものだからしょうがないのだろう。

 

しかもこちらにギルガルドを置いて守ってくれている。これで惚れないなんてことはできないのだ。

 

彼のことを忘れないがためにロトムフォンで撮影してしまう。悪いことだとわかっていても、次に会えるかどうかがわからないのだ。

 

「ん?」

 

突然彼が距離を取った。おかしなことがあったりとか、もしかして何か嫌なことをやってしまったのかもと思った。

 

(あれ?というかかなり近くない…?)

 

思っているより私の近くに来てくれて手がブレてしまった。そして彼はこちらを気にすることもなく、眼の前に残った十人を見やる。

 

「…はぁ、しょうがねえ。もっと稼ぎたかったがここいらで潮どきってことか」

 

「だったらどうするんだ?まさかここから俺が逃がすとでも思ってんのか?」

 

チンピラであるそいつらはナイフを取り出してきた。ポケモンバトルとかそういうものではない…もう、単なる裏社会の抗争だ。

 

「死人にゃ口がないだろう?」

 

「そうかい。なら尚更捕まえねえといけないな」

 

少しだけこちらのカメラを彼は確認する。恐らく正当防衛に値するかどうかの動画があることを確認したいのだろう。

 

「…えーとさ、名前は?」

 

「セイカでしゅ!」

 

思わず問われてしまってちょっと舌が上手く回らなかったが、彼はちゃんと聞こえていたようでニヤリとかっこいい笑みを浮かべる。

 

「セイカ…いい名前だな、俺はキジャだ。今からやんのは他じゃ見られない特別なもんだからやろうとしなくていい」

 

キジャさんはそう言うと胸元のネックレスの飾りをヒトツキに渡す。瞬間、眩しい光が周囲に見え始める。

 

(まさかこれ…メガシンカ!?)

 

確か最終進化のポケモンしかないはずのメガシンカ。それを目の前で起こっていることで覆される。あっという間にヒトツキの体が光の球で包まれていく。

 

「メガシンカ─ヒトツキ・ムラマサだ。そりゃこんなもん使わせようとするのはムリだからな、俺が制御してんだよ」

 

メガシンカというより体ごと変形したような悍ましさだった。洋風の剣ではなく刀になり、どこかゴーストタイプでないオーラを隠すことなく放出している。

 

「それがなんだってんだよ、かかれ!」

 

「いやまぁな、ムラマサだとでんきとはがねタイプになるんだよ。命を吸われる気持ち悪さから命を活性化させるようにな─」

 

ふらりと彼の体が左右に揺れる。まるで病人のような弱さだけど、なぜか私はキリキザンやガブリアスのような狩人を想起させた。

 

「─だからみねうちも何もかも決まりやすい。見とけ新米トレーナー」

 

彼の言葉が、彼の動きが全て惹きつける。

 

居合(イアイ)抜刀(バットウ)臨閃(リンセン)

 

もはや私はミアレシティに来たときからの不幸がこのためにあったのかと思ってしまう。

それほどまでに光は私の目を、心を、魂を焼いた。

 

キジャさんはそのままこちらにムラマサを解除せずに笑って近づく。攻撃されるならせめてその前に連絡先なんて聞きたいなぁなんて思いつつ、彼の言葉を待つ。

 

「いや、あのさ。ここで夜明けまで待つの危険なんだよ」

 

「……はい」

 

彼の言う通りだ。あわよくば、くらいの感覚では到底ここに踏み入れてはいけないのだろう。

 

「今日は、しばらく守っとくから」

 

だからこそ、その言葉の予想外さが心に対してきゅうしょに当たったのだ。

 

「え?」

 

照れくさそうにこちらを見ずに言ってきたキジャさんは完全に顔が赤くなっている。恥ずかしいのだろう。

 

「別にセイカさんが好きとかそういうのじゃない。…主人公みたいなセリフだけど、さ」

 

キジャさんの言葉がかちりと体の中にハマった気がした。

 

(…キジャさんが主人公なら、私はヒロインだ)

 

なおさらポケモントレーナーとしてキジャさんから学ばないといけなさそうだ。最低限次の行動ができるように、私と結ばれるようにならないと。

 

二人っきりのまま、夜明けが近づかなければいいのにな。

 

そんなことを考えながら─私は愛しているキジャさんと一緒に過ごした。

 

いつかは共生できたらいいな、なんて考えながら。

 





ちなみにつけてるメガストーンはムラマサストーンです。
コイルがいないからね、しょうがないね

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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