はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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時系列としては奇妙な冒険の後です


40.お願い声を聞かせて

 

「なんつーことを起こしやがった…?」

 

キジャの秘密について知ってから12日目。あいつの位置がどこにいるのかわからなくなった。カナリィはんに電話をかけてもわからないとの一点張り。

 

(死に場所かなんか定めたにしては妙な動きやな…)

 

あいつがそもそも消えることはめったにない。ロトムフォンなんざ使うこともないし、こっちに断りを入れないで消えることもあらへん。

 

どう見繕っても危険以外の要素を探せなかったオレは、アイツが消えた位置に向かうことにした。

 

(できる限りカナリィはんにも誰にも知らせられんようにせなあかんな…)

 

秘密を知ってからあいつらと会ってへんのは、見抜かれたら申し訳ないからや。女の勘なんて不可思議なもん持ち出されたら勝てる気がせえへん。

 

わからないもんが一番怖いのは変わらないんや。

 

 

 

 

 

 

…無事に行くなんてそんなことが起きるはずもなく、後ろからセイカってやつに声をかけられる。

 

「…カラスバ、さん。何しようとしてるんですか?」

 

ボールを構えた時点で言われなきゃバトルしようとしてんのやろな。ご丁寧に毒に強いエスパータイプばかり捕まえおって。

 

「あぁ?何でも屋さんの依頼や」

 

近頃は物騒やけんな、と付け加える。物騒というよりは不穏と呼んだほうが適切なんやけど、オレの目つきやらなんやらを考えればこっちのほうが威圧しやすい。

 

(キジャのことを知られるわけにもいかへんしな…)

 

今のところカナリィとくっつくのが一番キジャにとっても都合がええ。下手にバレっと面倒なことが起きる。

 

「じゃあ私も依頼します!料金は…ランクアップ戦の権利で!」

 

「…ほぅ?」

 

そういやこの嬢ちゃんはオレと同じランクまで上がって来てたんやな。そこについては褒めてもええかもしれへん。

 

(んで、ランクアップ戦の相手がオレやと。…参ったなぁ)

 

緊急事態っつーのもかんがみると、人手は多いほうがええ。

 

しゃあなしと言った風で首をゴキゴキと鳴らし、上からへびにらみするように威嚇する。

 

「そこまで面倒なこと言われてもなぁ…1人連れてきてもええんなら構わんよ」

 

「はい!お願いします!」

 

前言撤回するのもシャクやが…キジャのこともあるから少しくらいは警戒したほうがええんやけど、カナリィの抑止力にはちょうどええ。

 

「あいつの手持ちの関係上最も相性が悪いのはほのおタイプや。みず…と、一応じめんも用意しとけ」

 

そんなことを言って体裁を整えつつ、カナリィはんのところへメッセージを送る。

 

『キジャ迎えにいかなあかんからはよこい』

 

町の地図と共に送っていけばなんとかなるやろ。…そもそも、カナリィはでんきタイプ以外の手持ちは使えるんやろか。

 

そんな不安はありつつ、オレはセイカはんの前を走りながら最後のポイントまで走った。

 

…おいそこ、なんで走れないって思っとんねん。しばいたろか?

 

 

 

 

 

 

 

「…っ!」

 

「キジャのことって聞いたけど…っ…」

 

来たときには手遅れとしか言いようのない状況やった。あからさまな傷こそなかったが、体には真新しい血の跡がこびりついとる。

 

(…本気で人が殺し合ったにしては血飛沫が飛び散っとらんな)

 

最も今カナリィはんたちにバレてはいけないのは体のことや。まだ後遺症ってことでごまかせるかもしれんが、流石にキジャと話し合わへん内にやるのは不味い。

 

(…やるしかないんやね)

 

「おい嬢ちゃんら!あいつのポケモン持ってポケセンで回復させとけ!オレはこいつを医者に見せに行く!」

 

「いや、私が…!」「ボクがやる…!」

 

オヤブンと同じ気迫があるんやが、ここで負けでもしたら約束を守れんくなる。ぐっと腹に気合込めてなんとかするんや。

 

「ダメや!あんたらと違って荒事専門の連中にしかできんことがある…わかっとんな?」

 

これ以上舌戦なんかするとどうなっても勝ち目がないと判断できんので、怪我をした部分を見せないように飛び降りる。

 

「ジプソ、頼むで!」

 

「お任せください」

 

受け止めてもらうことくらい余裕なものや。ジプソは860kgまでなら耐えられるって豪語しとったしな。

 

「アジトまで連れてく。尾行されへんように頼むで」

 

当然成人男性とは思えない軽さをしとるキジャは明らかにもう限界やった。

 

(こいつ、もう死んでるわけやないのに…!?)

 

心臓の鼓動は止まっていないが小さすぎる。もともと死んでいるようなもんだと言っていたし、おかしくはない。

 

「それにしたって危なすぎるやろ…!」

 

辿り着いたところで体を寝かせると、案の定体からポロポロと破片が崩れて落ちてくる。

 

「…るせぇよ。なんとかすんだ」

 

生きているから気にすんなと言わんばかりにこちらに対して笑いかけて拳を突き出してきた。

 

「アホンダラ…!生き返ったんなら言えやドブカスが!」

 

とはいえそこでこいつを否定しまったら─それこそ、どこか一人で深い闇へと落ちてしまいそうやった。

 

コツン、と弱々しい音。

 

 

 

…その日の晩。

 

『ありがとうございました。()の体調は戻ったので帰らせていただきます。』

 

小さくメモ書きが置いてあったやけど─どうにも、違和感は拭えんかった。

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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