はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ 作:ボクっ娘のでんきタイプ
茜空というだけで事態の異常性を感じ取る。少なくとも周囲がそう見えるまでになれば周りもなにか言うだろう。
(─おちつけ。冷静に考えろ。俺は今どうなっている
…?)
最悪なのは区別がつかなくなっていること。一番いいのはこれが夢であること。
「…こい、ヒトツキ」
吸ってもらうのは自分のまだ生きている末端部分。メガカケラ由来のパニック症状なら吸われれば収まるはず。
…吸ってもらっても空の色は変わらない。現実、なのかな。
ビキビキと鳴ってはいけない破裂音を聞きながら、俺は次に取るべき行動─まあ、人に相談をすることにした。
「ロトムフォン、カラスバに電話」
『…なんやお前、心当たりでもあるんか?相当ヤバくなっとんのはわかっとるやろ?』
いつも通りの声に安堵するのと同時に気を引き締める。あからさまなる緊急事態だ。
(ったく、もうそろそろ死ぬかもしれねえってのにどこも待ってくれねえんだな)
そっと手を触れてももうひび割れが酷い。まだ生きていられはするけど、正直に言えばいつ死んでもおかしくない。
「…詳しい話は後な。カラスバ、現状についてさっさと答えろ」
『いや、お前がいんなら話は速い。ちと入るで』
扉の鍵の開く音がしてカラスバが入ってくる。こいつならそこまで身体のことを隠す必要もないのでベッドの上に体をもたれかからせる。
「テメェ、まさか…!」
「るせぇよ。安静にしようとしたらカナリィを迎えに行けだの言われたせいでこのザマだっての」
しかもなんか廃墟の入り口で倒れてたし…カラスバは何がしたかったんだ?
ともあれ予想外のことをしたりAランクに成れないことが確定してしまっている以上、少しでも体を休めなければならない。
(…なーんて、楽観視できるような状態じゃなさそうだな)
そもそも一番の適任であるのが俺である以上、クエーサー社だかなんだかに頼っていられない。
「どこだよ、カラスバ」
「…あんたは休め。オレラだけで「なんとかなんねえから来たんだろうが」…!」
「あのな、カラスバ。焦る気持ちはわかるがこれでも体調はいい。いつも通りにカナリィと喋りあえる日常のためにテメェの願いを聞くだけだ」
…ま、当然嘘だ。体が軋む音すらもまともに理解できないこの体じゃ盾になることすらままならない。
そんな甘ったれたこと言ってカナリィが守れるわけじゃないから動くだけだ。
「…はよ言え。言わねえと俺が町を壊す側に回るぞ」
「ほなしょうがねぇちゅうことや…生きて帰れるよな?」
「もちろんだよ」
ロトムフォンに送られた暴走メガシンカを示すアプリを見ながら今のうちに準備する。
「やべ、庭じゃねぇと足りねえんだったわ」
窓を開けて転がるように庭へと飛び出す。ポケモンたちがついてきているなら大丈夫だな。
「カラスバ、せっかくだし動画撮ってくれよ?」
「まぁええけど…ふざけるつもりちゃうよな?」
メガクチートとギルガルドはそのままだが、他は俺を囲むように敬意を向けた目で胸のストーンを見つめている。
「魅せたきゃ魅せないとな…!」
カナリィと配信を映るのなら一芸くらいはできなければならないなんて思った時期があった。
ラッパー?ライムもできるが殆どが詩みたいになってしまうならやめておいたほうがいいのが吉だ。
バトル?ロトムフォンで出してしまうと俺の唯一のアドバンテージである奇襲性が失われる。
…だから、デウロに教えてもらったダンスがここで活きるのだ。
「証明開始─過去の
歌うのはどこか遠い夢の記憶。何回も使えるとは思えない儀式の技。
「
どこまでも血ではない気持ちの悪いものが抜け去っていく感覚がある。
「故に
カナリィのために覚えた舞も、いつ死ぬかわからないのならカラスバに撮ってもらったほうがいい。
「
言葉にならないそれは、全員の一斉メガシンカという形で再現される。
「…っし、行くぞ」
個別エンドはどれからがいいかな?
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GAMEOVER
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吹き散らされた炎
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踊り明かして夜に溶け
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いつでもどこでもあなたの傍に
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夢もうつつも紙一重