はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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43.王の話をしよう。

 

一人の王の話をしよう。大切なものを失い続けた王の話を。

 

王は孤独であった。王族としての責務はそうしなければ果たせないからだ。

 

兄弟がいても、あるいは他の誰がいたとしても真に信頼できる人などいない。必然、頼られるのはポケモンへとなった。

 

王自らがふかをしたタマゴから産まれたそのポケモンは、王の国では特別な意味を持つその花を持つポケモンはフラエッテと呼ばれていた。

 

王はそのポケモンに恋をし、ポケモンを道具と見なすような法律を撤廃させた。3000年も前の当時では消耗品として見られていた彼らのことを別の方向で見せる解釈は時代の先端をいっており─同時に、政治の分裂をも招いた。

 

自分が信用するべき第一の臣下であった弟の一派がまず敵対し、そのまま殆どの者が消え去っていった。

 

王とは孤独である。王とは誰とも交わらぬ。自らが正しいと信じ続けた世界を進めば人は消えて増える。どこまでも終わらない矛盾と政策に、それでも前へと進み続けた。

 

故に深い悲しみと絶望に暮れたとしても続け─彼らは戦争へと発展した。

 

キッカケなどどこにあったかわからない。嘘をつき、人を騙し、それでも前に進もうとするような愚かな王を殺そうとするなら、不確かな噂とポケモンの危険性だけを話せば充分だ。

 

『草木を砕いていた』『町の水道に潜んでいた』─そんな些細な日常のための行動をポケモンに任せたのが悪かったのか。

 

いずれにせよ、国は内乱へと陥った。人もポケモンもどう生きればいいのかすらわからない日々の原因になったのは紛れもなく─醜い、人であった。

 

王にとって心が苦しい戦いだった。関係のない他国すらも巻き込んだ。ポケモンだけが傷つき死んでいた。人間だけがのうのうと平和に生きていた日に、彼という存在はあまりにも異質だった。

 

『殺してきたぞ』

 

笑ってそう言った彼は、あからさまに幼かったのだ。初めは信用しなかったのだが戦場が増えるにつれこちらの感覚が合っていたということを痛感した。

 

火力だけは一人前…と話すよりは生き残り続けられる一点が彼にとってはいいことだった。恐ろしいほどに無傷で居続けた彼は、最も恐ろしい人間の一つとして数えられていた。

 

『お褒めに預かり、光栄です』

 

ガラル地方の刀を使い戦場をかける。あるいはヒトツキを片手に通わせて殺し合いを達成する。一騎当千でできないことを数える方が速かった。

 

…懺悔しよう。私は、彼に憧れていた。努力しているわけじゃない。人のために自らが前線に立つのではない。自分の身を削って立ち続ける彼へと羨望さえ向けていた。

 

「君に任務を任せよう。危険だが、頼めるか」

 

『王の命とあらば』

 

持っているヒトツキと一心同体に見える彼は、正に王の理想を体現していた存在だった。内乱の中でこの理想がより具現化したのは喜ぶべきことなのか、それとも不幸中の幸いだったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…故に、恐れてしまったのだ。

 

 

王の障害になることを。

 

王のポケモンが惚れてしまうことを。

 

王が─フラエッテから見放されてしまうことを。

 

 

「君に任務を任せよう」

 

と。あくまで自分の口からではなく、他の臣下の口から言わせた。あくまでも己のポケモンを守るために、彼へと命令をしたのだ。

 

家族もいた。手厚い保護をして守らせた。

 

他のポケモンもいた。特別な区域を作って済ませた。

 

婚約者は─決して作らせようとはしなかった。徹底的に彼の血筋を途絶えさせようとした。

 

そんな折に、一つの訃報が届いた。王の大切なフラエッテが死んでしまったのだ。彼が守っていたにも関わらず、だ。

 

怒り狂った。復活させるためにたくさんの命を犠牲にした。王のことを信じる忠義の騎士である彼もその片棒を知らずに担がされた。

 

蘇ったあとも怒りは収まらず、その兵器で無差別に破壊しようとした。そこを彼に守らせようとして─離反された。

 

正確には、守りきってから壊された。彼の遺体はポケモンに噛みつかれて首だけが噛みちぎられて見つかった。

 

…代わりに落ちていたのは、死体と変わらない長さで、またへし折れていた剣だった。

 

「嘘だ」

 

それから王は、ズルズルと生き残ってしまった。3000年前にこの行いで深く悲しんだフラエッテが逃げ、やっと自分の行いがどれだけ愚かだったかを理解した。

 

ふらふらと長くポケモンを看取り。

いつまでもいた人を看取り。

苦しみ続け、フラエッテが許してくれた。

 

もともと、王がした行いは間違いだったとはいえない。完璧な人間など誰もいないからだ。

 

だが、そんな王だからこそ理解してしまうものがある。この光景はあの時と、彼が死んでしまったときと殆ど変わらないと。

 

 

どうなったとしても彼は大切なものを失うということだけは確かなのだ。

 

王は少なくとも─騎士の覚悟というものを知ってしまったのだから。

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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