はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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5.カラスバの尾羽

「というわけでカラスバ、こいつらについて何か知らない?」

 

セイカさんを襲った連中をふん縛ってカラスバのところへと連行すること一時間。正直一番このミアレシティで治安についてはまともに頼れるところだろう。

 

「知らへんな。まあ少なくともトバスのは確定やろ」

 

ここでのトバスとは単に追放することだけではなく、ポケモントレーナーとしての資格を剥奪することだ。まあナイフまでやってたらジュンサー案件とかじゃねぇんだけど。

 

「そうだよなぁ…二つくらいの地区は観光者用の特区を作らないといけないな」

 

「ほなその陳情をテメェが書けや。キジャ、アンタは一応はがねタイプのジムリーダーになる可能性もあったんやから」

 

橙色のたてがみが巻かれたボールペンを受け取る。カラスバの恩人が渡していたものだから丁重に、かつ迅速に書いていく。

 

「えぇ…」

 

俺は絶対ジムリーダーには向いてない戦い方しかないからな。ヒトツキ一体だけでやっても相手が躊躇するだろ。

 

カラスバから呆れの視線を頂戴しつつ、書類をちゃっちゃっと片付ける。なんだかんだこのあたりは5年前のごちゃつきで慣れているのだ。

 

「にしたって二人とも難儀なもんよな。副ジムリーダーなんて必要ないってのに」

 

「…カナリィに悪いことしてる自覚はあるんだよ」

 

変なこといって告白を先延ばしにして、それで幼馴染としての距離を保ったまんま。

 

あいつにも他に好きな男ができていたら潔く身を引くべきだってわかっている。それでも居座りたいのはあいつとずっと一緒にいたいというがんじょうな意思のせいだ。

 

「んな気にすることはないやろ。つーか一体だけでランク戦勝ってるバケモノがそないなこと言うんじゃねえ」

 

「それくらい間合いの取り方が合ってればいけるだろ」

 

あくまでタイプ一致の技とかじゃなく広い範囲で補えるようにすれば比較的単騎でも戦えるからな。

 

「それで自分もインファイトで戦うのが意味わからんっちゅうねん。なんやこの戦闘風景」

 

カラスバが弄ってるロトムフォンから見れるのは昨日のセイカさんが撮っていたもの。どうやら無事に帰れたらしい。

 

「たかだかチンピラに苦戦するような腕前じゃねぇからな」

 

「かすり傷もつけさせんくせによく言うわ。しんがんでもついてるん?」

 

だってこれくらい倒せねぇとカナリィをアンチから守れねぇだろ。

 

ノータイムで思いついた返しを口の中にしまいつつ、カラスバに軽口で返す。

 

「カントーならこれくらいできるNINJAがいるらしいぜ」

 

「百歩譲っても過剰や。自重せい」

 

軽く頭を叩かれつつ、書き終わった書類を渡す。

 

「はい治安維持についての陳情。なんかやっておきたいことがあれば付け足しといて」

 

「いやあんさん働き過ぎとちゃうん?これほぼお前の労働でなりたってるやさかい、やり直して書きぃや」

 

「人の心とかないんか?」

 

せっかく丹精こめて書いた改善案の1枚を破り捨てるカラスバ。やっぱこいつ見た目で判断していいやばいやつだわ。

 

「人の心とかあるからやってるんだわボケが。最近やっと取ってやった明日にあるカナリィとの視察取り消してもええんか?」

 

「すいませんでしたカラスバ様ぁ!ですからそれだけはおやめください!」

 

正直カラスバに頼んで必死に違和感ないようにしたんだからやめてください、つーかやめれ。

 

「ふん、わかってんならええ。まあお前の範囲をサビ組の連中に担当させれば少しくらいはなんとかなるやろ」

 

「…助かるわぁ」

 

これで夜警が減ってポイントが溜まりやすくなるぜ。ガンガン倒せはするけど人数だけしかやれなくなっちまうからね、しょうがねぇな。

 

「いやまあ、あんさんのポイントも頑張ってる方やと思うで?」

 

「…あと何ポイント貯めりゃいいのかわかんなくてさ…」

 

「んん?ロトムフォン見せてみぃ?」

 

とりあえずパスワードを開いてカラスバに渡す。一瞬で眉をしかめたカラスバに同情。

 

(そういやカナリィのベストショットにしてたわ。人に見せるときにゃ気をつけないとな…)

 

「…………いやまぁ、なんも言えることはあらへん。とりあえずポイントについて聞きたいんやったな?」

 

「おん、不自然なお前の間も気になるがな」

 

「カナリィの嬢ちゃんに驚いてただけや。してポイントは33459ポイントやな」

 

「細かっ!?」

 

おかしいな、そんなちまちま溜まっていくようなポイントじゃなかったはずなんだ。なんか2000ポイントとかもらえたはずなんだけどなぁ…

 

「まあ特殊な事情込みでのこのポイントや。もちろんあんさんの人助けのボーナスも、な」

 

「んー…ま、そういうことか」

 

詳しいミアレシティのランクポイント制については知らないし、そういうものなのかな。

 

特に俺が何かしらのルールに違反しているのもしょっちゅうだし。

 

「ともあれあと半年もすりゃいけるやろ。思いっきり告白してこいや」

 

「…ありがとな、カラスバ。友人の祝いの言葉押し付けていい?」

 

「気が速ぇわ。ともかく明日のデート頑張りや」

 

「…がんばる」

 

言われてしまえば急に緊張してきた。上手くできるかもわからないし、そもそもカナリィが喜ぶがわからないし。

 

…どうしたもんかなぁ。

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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