はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

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48.ルート・GAMEOVER/CONTINUE

突如として暴走メガシンカが暴れた。守るためには原因のタワーの下まで急行しなきゃいけない。

 

ロトムフォンで配信をして注意したあとのボクの判断は即決だった。配信を閉じ、飛び起きて準備をしていたじいちゃんにも一声かける。

 

「じいちゃん!守りに行くよ!」

 

「おう!若い連中もついてこい!」

 

凄まじい連帯感をもってボクたちは一瞬で準備を済ませ、現場へとやってきた。

 

そこには当然、先に現場についていたのもいて。

 

「遅いじゃん、カナリィ。そんな速さじゃ町が壊されちまうぜ?」

 

余裕そうにムラマサを持って佇みながら、こちらに来ようとしているポケモンを牽制している。

 

(凄っ…なんかオーラ纏ってるし…)

 

よく見るとポケモンがメガシンカしているようなオーラを纏った彼は、災害のときに思ってはいけないことだとわかだていても。

 

とても、かっこよく綺麗に思えた。

 

「カナリィ、配信開いとけ」

 

そしてそのまま唐突に出された指示に困惑する。普段なら映りたくないとか言っていたのに変だ。

 

「え?なんで?」

 

「行方不明になったときに探しやすいから。そもそも今の状況を後世に伝えれるようカメラを回すならそれ相応の実力がないとダメだろ」

 

表面はあくまでそういいながらも、彼には少し不安げな表情があった。

 

(もしかして…ボクのこと、守れないのが嫌なのかな)

 

嫉妬だろうな、と直感する。自分だけがこのミアレシティを守るために駆け抜けなきゃいけないのに、その力をほんの少しでも好きな人に向けられないから。

 

そう思ったボクは、配信を開いてとっておきの提案をする。

 

【なんか背景えげつないんだけど】

【これさっきの速報と関係ある?】

【カナリィは無事なところに避難したのか?】

 

「よっ、カナ友の皆。今日はミアレシティの惨状とそれを解決してくれるスペシャルゲストに来てもらったぜ」

 

炎上したらどうしよう、とか。本当は隠蔽したいんじゃないか、とか。

 

色んな葛藤があったとしても、もうボクは配信を開いてしまった。その時点で進むしかないのだ。

 

「おいカナリィさん?さっさと配信開いたか…っと!」

 

こちらに静止の声をかけながらこちらに向かってくるポケモンを一瞬で倒している。もちろんカメラにも見えているからもう大騒ぎだ。

 

【なんかルカリオみたいな波動纏ってるんだけど?】

【こいつはニンゲンジャネェ!!】

【スペシャルゲストさん凄くて草】

 

「そ。彼はカナリィファンクラブのDG4、その会員番号1のとんでもないカナ友だよ」

 

【うーん俺は負けるな】

【スペシャルゲストさんいらっしゃい!】

【男だけどめちゃくちゃイケメンだしええか】

 

殲滅しきった頃合いで、キジャはボクの方へと来てくれる。

 

「そんで何をすればいいんだよ?別にあの暴走したデカブツくらいなら一瞬で片付けられるぞ」

 

【猛者中の猛者やんけw】

【デカブツ扱いで300メートルを叩き斬るなw】

【これがNINJAですか…やりますねぇ…】

 

余裕そうに笑ったが、実際にできそうな感覚だった。というかキジャならそんな大それた言葉を今この場所で吐いたりしない。

 

(きっとやれるんだ、でも…)

 

彼一人だけの力では何か大切なものを失う。そんな直感が働いたボクは、コラボ企画としてこんなことを言う。

 

「でんじほうの威力載せて必殺技打てない?」

 

【とんでもないコラボで草】

【これデマ情報なら信じられるんだけどなあ…】

【今も端々に映った暴走メガシンカを斬ってるアシスタントのスペシャルゲストならやりかねないのよな】

 

「え、マジでやっていいの?じゃあそこにいる前菜の根っこ倒してからそっち向かうわ」

 

笑いながら花のように地中から出てきた二つの根っこを一寸の狂いもなく斬ってしまう。

 

【はっっっや】

【強い(確信)】

【切り抜かれること間違いなしのチーターやんw】

 

「せっかくだしメガシビルドンのでんじほうで頼むわ。…それとさ、お願いを一つ聞いてくれるんだよな?」

 

【おこがましくて草】

【サインとかじゃないもん要求しそうw】

【とんでもないコラボになったなぁ(白目)】

 

ここで頷いていいのかわかんなかったけど、ここで下手なことをしてはいけない。そもそもこっちがふざけたのに乗っかってくれた彼なのだ。

 

「いいよ、なんでもきいたげる」「じゃあカナリィが欲しい

 

【…は?】

【本当にえげつないことやってるw】

【カナ友にしてあり得ざる言葉で笑う】

 

顔をポカンとして顔にとんでもない熱が集中する。こんな状況でまともに会話などできるわけもない。

 

(なんでこんなところで結婚しようなんて言うんだよこのバカ…!)

 

明らかな死亡フラグだけどそれくらいならキジャはひっくり返せる。そんな確信があったからこそ、頭の中で悩むことしかできない。

 

「…いいよ。死亡フラグ乗り越えられたらボクをあげるよ」

 

【死亡フラグ立てるためだったの?】

【もはやテンションおかしくなってるよカナリィ…】

【なんか思う存分死亡フラグ立ててほしいなぁ…】

 

「オッケ、俺はこの戦いが終わったら結婚するんだ。自宅に上手い酒を用意しててさ、結婚式で思いっきりそれで酔うんだ。…あ、タバコを今は持ってないし金も今から渡せねえんだわ」

 

【死亡フラグ建築が早すぎるw】

【もはやこいつわかってんだろw】

【もしこれで結婚したらとんでもないんだよなぁ】

 

「ま、認めてもらえるように頑張りますよ…っと!」

 

配信特有のネタにしか見えない。けれど、彼の目はこの上なくボクに対しては本気だ。ただタバコも彼は吸ってないし、お酒なんて200mlで限界なはず。

 

「さあ行くぞムラマサ!武勇を示すときだ…!」

 

すっと息を吸って刀で舞い、ボクのでんじほうが打てるタイミングのタメを作ってくれている。

 

(よし、このタイミングで…!)

 

放った光を全て避雷針のように受け止めながら、彼は笑った。

 

「…フィナーレだ。かっこよく決めてやろうじゃねぇか!」

 

そう威勢よく─映えを意識する啖呵を切って。

 

彼は詠唱を始める。

 

「奥義解放」

 

でんじほうで雷のエネルギーが周囲へと火花のように飛び散る。中心にいるキジャは微動だにしない。

 

「我はこの一撃を以て、雷の神へと申し立て─」

 

手元にあった刀を更に上へと投げ、鞘へと納刀する。彼がいつも取っていた居合の構えだ。

 

「─故に神を殺し、己の糧と狂い喰らう」

 

 

(しか)ればその輝きで地平の敵を打ち砕かん─」

 

 

 

 

 

戦脚万雷(センキャクバンライ)滝登(たきのぼり)

 

 

何がおこったのか、過程は見えなかった。

結果だけは、明白だった。

 

美しい白い光がタワーまで駆け巡ったかと思えば、すぐにボクの目の前で止まり、キジャが倒れる。同時にプリズムタワーに絡みついていた根っこは全て焼き切れ、殆どの障害物は片付いていた。

 

【化物やんけ…】

【逆にこれなら安心できるわ】

【なんでこんなのができるかわからん()】

 

「…こんなもん、で」

 

何かを言おうとしてこちらに近づき、ヒトツキと一緒に横倒しになる。

 

「大丈夫?つーか無理するならやるなし!」

 

【悲報・カナリィ結婚決定】

【まだ生きてると決まったわけじゃないし…】

【まず病院に行くことくらい覚えな?ね?】

 

体がかすかに白く脈動するのは見たことがないけれど、息はあるし出血している様子もない。

 

(無事なのかな…?)

 

ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ。

 

彼との結婚を、速めよう。

 

 


 

 

一週間後。彼の体調が治り始める頃を見計らって、ボクは雑談の配信で宣言した。

 

 

「…ってことで、ボクは結婚します!」

 

【まあトレンドでアレだけ騒がれてりゃ納得よ】

【寧ろ結婚しないほうが異常よ】

【逆にもし結婚しないほうが炎上するレベル】

 

もともと彼と結婚してもらうことは確定していたし、それが速まっただけだ。彼からしてみたら不本意かもしれないけど、もう配信されてしまった。

 

(…だからしょうがないとは、ならないけどね)

 

聞いたところによると、電気が過剰に体の中で回ってしまったことで記憶喪失になる可能性が高いんだとか。

 

…なら、これはチャンスだ。ボクがキジャの一番になれる最後のチャンス。

 

「まー、どうせカナ友諸君の一番手だし?夫くらいならいいかなって思うし?」

 

【悔しい…けれどなんもできん…】

【そもそも一番手だからあんな動きできるかって話だしねぇ】

【推しと結婚できるなんざ羨ましすぎるw】

 

「でー、退院したらドッキリをしかけることになったよってこと!ちなみに医者のほうとも相談してるんで後遺症が残っててもだいじょーぶ!」

 

【草】

【配信で自分の結婚が確定しちゃったからなあ】

【もともとゲーム配信しかしないから…】

 

「おいそこ…ボクがまるで女っ気がないって言いたいのか?」

 

そんな感じで話していると、明日あたりに起きるとの連絡が。

 

「ということで明日は生配信するよ。脳破壊されたくないカナ友は見ないでね」

 

【既に全員脳が焼かれたあとじゃね?】

【今さら過去を見るな、前ばかり見ろ!!】

【ファンに対する配慮の仕方よ…w】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そして迎えた当日。彼はちゃんとボクの婚約者(もの)になってくれた。

 

記憶を失っていてもいい。またもう一度ボクに惚れさせるのだ。

 

今度は─絶対に、ハナサナイ。

 




ということでМ次元ラッシュの発売までに終わらない可能性が出てきました。まさかここまで時間がかかるとはカナリィの目をもってしても(ry

まあカナリィエンドの解説をば。
もともとはこのエンドorノーマルエンドだけだったんですけど、それだと情報量不足と書き足りなさが否めなかったのでキジャくんには様々な酷い目にあってもらうことになりました。なんだかんだ主人公としてのチートっぷりを発揮しても女には勝てないのです、キジャくんは。

本来ならエンディングとして一話の部分との対比としてやりたかったんですけれど、流石に記憶の失い方がピンポイントだったり、婚約についてどうこう…ってちょっと強引だなと思ったのでそこらへんも修正しつつ作られたエンディングです。

テーマは『自分の掘った墓穴に埋まる主人公』。他のエンディングと比べてシンプルに考えていた分、もう少し技の名前を凝れたのかもしれません(そもそも文章力上げるべき?うるせえ、毎日投稿だ)

必殺技の元ネタは配信者ででんきタイプということもあって『千客万来』と『うなぎ登り』です。他に比べて魅セプを意識しているからか、声に出して詠唱していますけど本来ならそんなもんも必殺技名もありません。ある意味カナリィエンドのみでしかない特権ですね。

他の人のエンドよりもかなり言いたいことがありますが、短く言うのならカナリィについてはもう少し砕けた言葉づかいを心がけられたらな、と思う節も多々あります。М次元ラッシュの構想でも色々と関わることの多い本作のメインヒロインですが、どうぞ暖かい目でいただけたら嬉しいです。

明日はムクを投げていきます。ジャスティスの会、どうなってしまうのでしょうかね。

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
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