はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ 作:ボクっ娘のでんきタイプ
「ねぇアタシ、知ってるよ?」
彼女の声が耳を打つ。血まみれの床にピチョンピチョンと跳ねる音が浮いている。
「アタシが重いのが好きだったんだよね?」
顔が見えないようにそらせば血塗られた手で顔を包み、彼女の美しい顔を直視させられる。
選択を間違った訳でもない、どこか限界を迎えた様子でもない。
「好きだって言ってたでしょう?やめるときも健やかなるときも傍にいる、って」
何度も告白しましたよね、と。当たり前の事実を当たり前のように受け止めさせ、目の前のことすらも普通のように獣の足で蹴り飛ばす。
「ダメって言ったよね…あたし以外の女と話すなんて…!」
それだけで、とか。
口を挟むなんてことはできないし、既に俺もかなしばりで動けない。
危ういバランスだったのを理解していなかった俺が悪いという事実をただただ突きつけられるばかりだ。
そこに善悪の区別はなく。
「言いましたよね、恋人はアタシ一人だけだって。誰とも付き合ったりはしないって」
「嘘を、ついたんだよね?」
デウロ。MZ団のまとめ役と言わしめている彼女の行動は最後まで結婚について何もしなかった。
…そう、言っていなかった。
「あなたが死ねばアタシも死ぬって言った」
キッカケは、俺が与えたのだ。
「それなのに結婚して子供が欲しいとねだってくれたよね」
「酷いよね、あたしとずっと生きていこうなんて言ったくせにさ」
不満げに蹴った足が血の池を叩き、ビチャビチャと気持ち悪い音を立てる。
「誰があたしの許可なしに外に出ていいと思ったの?」
「あたしといないときはヤドンと居てって言ったよね?」
ドサッと上にまたがられ、潤んだ光のない目が自分の中で泥のように混ざって汚されていく。
「そんなこともわからないの?」
「…やめなよ、デウロちゃん。キジャっち怖がってるよ?」
やぁん。
特徴的な間延びした声を後ろから聞こえたが、それは全くもって普通だった。
なにせ─この状況を作り出した原因なのだから。
「…ヤドン、なにしてんの?」
当のポケモンである彼女は自分の所有物を奪われないように見張るかのように、血まみれの体で寝そべってこちらを見ていた。
「えー、3Pしたいから待ってるー」
(…俺の意思、は)
何も言えないし喋ることもできない。もはや逃げ場もない。
「まあー抵抗させたくなったら言ってね。いま凄いゼッコーチョーでこれくらい余裕だから」
血飛沫が跳ね回り、2色の髪の毛を持つ首が暴れてヤドンの手へと落ちてゆく。
「…ほら、やっちゃいなよ。あたしはあとからでいい、から」
最後の一押しでデウロが動き始める。泣いているのか笑っているのかわからない人影になったのに、何かを持っている。
「…ヤドン、ねんりきで飲ませられる体型に」
「やぁん。あたしの分のキジャも残しといてよん」
自分の意志とは別に体が動き、口が空いて流し込まれる。
「…媚薬。使っているときに壊れちゃったら困るからね」
「…キジャがワ ル イ ン ダ カ ラ ネ ?」
個別エンドはどれからがいいかな?
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GAMEOVER
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吹き散らされた炎
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踊り明かして夜に溶け
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いつでもどこでもあなたの傍に
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夢もうつつも紙一重