はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

7 / 61
7.オヤブン色違い

 

ワイルドゾーン17、通称『だいちのちから』ゾーン。意識外のところからメスのカエンジシがだいちのちからをぶっ放してくるもんだから、ひんしになる人やそのまま死んでしまう人も多いそれなりに危険なエリアだ。

 

「誰だあんなところに行かせたアホは…!」

 

まあロトムグライダーで上からたまたま侵入したのだろうけど、それにしたってよりにもよってが過ぎる。

 

「どけっ!俺がなんとかする!」

 

ワイルドゾーンを開閉する時間で死んでしまってはたまらないので助走をつけてポールを飛び越え、要救助者を探す。

 

ハリマロンが外へと飛び出しているのを見るにここを通って遠くまで逃げたのだろう。

 

「間に合わせなきゃな…」

 

他にも危険ではあるけど、一番の危険はだいちのちからである。地面をひっくり返すなんてことはなかなかあるまい。

 

どこに逃げていったのか足跡を確認していると近くのホルードが襲いかかってくる。

 

「つじぎり」

 

ムラマサになっているヒトツキは嬉しそうに体を回し、戦いやすいように補助してくれる。見なくても安心して戦えるのは本当にありがたいな。

 

「…あとで砥石で手入れしてやる。今はこっちだ!」

 

最近はあんなもん相手にしてきたからか、野生のポケモンと戦うと気分がいいな。

 

そんなことを考えつつオヤブンクチートのところへと走る。きっとこっち側にいるはず…たぶん。

 

 

 

 

 

音が鳴っていたからか、自衛のために戦っているのはすぐにわかった。周囲のポケモンがいないのは余波が凄まじいからだ。煌めくのははがねタイプと色違いのエフェクト。

 

「………へぇ」

 

ここにいた救助者はセイカさんだった。なかなかにフォッコだけでここまで逃げ切れているのはセンスがあると言うべきなのか。

 

とりあえずは問題がなさそうな気もするので、気づくまでは戦闘を眺めていよう。

 

「フォッコ!かえんほうしゃ!」

 

オヤブンクチートはセイカさんを殺すつもりでどんどん追い詰めているが、フォッコの粘りもあって勝てるだろう。

 

「…セイカ、大丈夫か?」

 

「え、あ、はい…キジャさんはなんでここに…?それにその格好は…?」

 

(…混乱しながらもフォッコから目を逸らさないとは凄いな)

 

そんな関係ないことを考えつつ、俺はすぐ答える。

 

「格好はあとで。要救助者がいるって聞いたからな。まさか一昨日からすぐに会うとは思わないが…あ、他にはいないよな?」

 

「いないですね…っと!」

 

モンスターボールで捕獲しようとしている。心意気は立派だがすぐ抜け出してしまうだろう。

 

「こっち使え、ハイパーボールのほうがまだマシだっ…!?」

 

「やりました!クチート、ゲットです!」

 

オヤブンの色違いクチートを一発で捕獲するんじゃねえ。ヒトツキなんてもうタイマンで殴り合いまでしてからようやっと入ってくれたんだぞ。

 

「ふふっ、あとで名前つけなきゃ…」

 

「オヤブンを捕まえて喜んでるところ悪いが離脱するぞ。本来ならワイルドゾーン17なんぞ初心者が来るところじゃないんだからな」

 

というかクチートに見惚れているけれど割とスタートの位置まで遠い。トレーナーとはいえ女の子に軽率な行動はできない。

 

「ちょっと待ってろ、周囲を確認してくる」

 

オヤブン個体はいないし、空を飛ぶようなポケモンもいない。これなら安全に行ける…か?

 

「……セイカさん」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「文句は言うなよ」

 

ヒトツキのメガシンカをやめ、彼女の体を抱きとめる。カナリィよりも軽いからいくぶんかこの行動はやりやすいとも言えるだろう。

 

「わっ、えっ…」

 

「喋ると舌噛むぞ」

 

さっさとしないと暴れて怪我するのでヒトツキに乗り、夜と同じ要領で地面まで即降りる。一瞬で見ている景色が変わったけどジェットコースターとほぼ変わらないしへーきへーき()

 

ともあれ、ポケモンと会わずにゲートの前までたどり着けた。

 

「…ここまで来ればなんとかなるだろ」

 

「あ、はい…」

 

そっとおろしながらゲートを開けてセイカさんを助け終わる。

 

「…それで、どうして変な格好しているんですか?」

 

よくよく考えてみれば殆ど半裸でうろついているような変態じゃん俺。今さら気づいてももう遅いけど。

 

つぶらなひとみでこっちを見ないでほしい。罪悪感しかなくなるから。

 

「…あ、うん。そんな気にしなくていいから」

 

もちろんワイルドゾーンの近くでこんな会話をしていれば奇妙な目で見られてしまうもんである。そこまで時間的に人通りが多くなる前で助かったと言うべきか。

 

ともあれ速く戻るために足に力を込めようとするとセイカさんに回り込まれる。

 

「いや、帰りたいんだけど…」

 

「お礼にコーディネートしてあげますから!ちょっとそこの服屋に行きましょう!」

 

思ってる以上に強い手に逃げれるわけでもなく、ため息を一つついて彼女についていくことにする。

 

(というか注目される状況で目立つ服装なのはどうかと思うしな)

 

セイカさんからしてみれば一応助けてくれた恩トレーナーではあるからおんがえししたいのだろう。

 

「…つーか金は俺が出すからな」

 

せめてもの抵抗としてそんな言葉を付け足し、目当ての服屋へと入っていく。

 

…結局、彼女が放っていたくろいまなざしには気づけなかった。

 




評価とかもらえると書くすばやさがスカーフ巻いたときと同じくらい上がります(????)

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。