はがねタイプにでんきタイプはいまひとつ   作:ボクっ娘のでんきタイプ

8 / 61
8.タネマキ

【ワイルドゾーンではよく色違いが見つかるらしい】

 

そんな噂を聞いた直後、空を飛んでいたらリザードンに襲われた。

 

『危険ロト!危険ロト!なんでこんなところにいるロト!?』

 

「私だって知らないよ!?」

 

慌てて近場の所に降りたけれどワイルドゾーン。バトルロワイヤルの資格上ではここの出入り口から逃げることはできない。

 

「…どうしよう」

 

とりあえず近くに来たホルードから走って逃げ、とっさに文明の象徴であるビルへと行く。余程のことがなければ救援を呼べば誰か来てくれるはずだ。

 

「ええっと…うん、これか」

 

ロトムフォンでやらなければならないことは終わったし、大人しくじっと待ちたい。そう思っていたのだけれども現実は非情だった。

 

『GAAA!!』

 

オヤブン個体となったクチートがこちらに襲いかかってくる。色違いのエフェクトがなければ反応が遅れていた。

 

(逃げ回る…より、戦ったほうがいいよね)

 

恐れをなして逃げ回っているよりも他のポケモンもいないならフォッコで倒すほうがいくぶんかマシだ。下手に奇襲されるよりはよほどいい。

 

「いくよフォッコ!」

 

『フォーウ!』

 

私の作戦は攻撃が当たらないように近くの場所で避けるところを指示すること。間違えたらひんしになって失敗するだろう。

 

「右、アゴの上、頭にひのこ、首の横!!」

 

よけろ、より具体的な指示を出さないとレベル差もあって蹂躙されてしまう。

 

必死に命令を言っていると、段々言わなくても避けるようになってきた。

 

(攻撃する隙は私が言わないと…)

 

わざが枯渇した隙はフォッコにはわからないし、これくらいはしないとね。

 

 

 

 

 

 

 

フォッコがひのこではなくかえんほうしゃを使い始めて十分くらい。隣から声がかけられた。

 

「…セイカ、大丈夫か?」

 

間違えるはずもない頼れる声。他には持っているはずのないメガシンカのヒトツキを握って私のもとに駆けつけてくれたのはキジャさんだった。

 

「え、あ、はい…キジャさんはなんでここに…?それにその格好は…?」

 

クチートに似た格好だけれど上が殆ど半裸に近い状態なので腹筋とか鍛えてるところがめちゃくちゃわかる。

 

(キジャさんの格好えっちすぎます!こんなの人を絶対に勘違いさせるから私だけにしておかないとダメです!)

 

そんなこの状況とは思えない変な思考をしたところで、クチートがふらふらとしました。

 

モンスターボールですけどどうせ中に入ってくれるでしょう。

 

「せめてハイパーボールを使え…っと!?」

 

キジャさんの驚く表情もゲットできたので安いものです。忘れずにキジャさんから渡されたハイパーボールも懐にしまいませんと。

 

「ふふっ、あとで名前つけなきゃ…」

 

まあちゃんとボールは回収しますけどね。下手に落としたら何か間違えたところにおちちゃいそうで怖いので。

 

「オヤブンを捕まえて喜んでるところ悪いが離脱するぞ。本来ならワイルドゾーン17なんぞ初心者が来るところじゃないんだからな」

 

…そういえばそうなんでしたね。すっかりキジャさんのえっちなもので吹き飛んでました。

 

 

「……セイカさん」

 

困ってそうにこちらを見つめるキジャさんの目に吸い込まれそうになりますが、ここはぐっと堪えて話し合いましょう。

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「文句は言うなよ」

 

ぶっきらぼうな言葉と共に強く体を抱きしめられ、そのままメガシンカの解けたヒトツキの上に乗る。

 

「わっ、えっ…」

 

体のごつごつした感じとかちょっといい匂いとか全部が私の理性を削ってきます。ワイルドゾーンとか以前の問題ですよね、やっぱり。

 

「喋ると舌噛むぞ」

 

気づけば空を飛んでいたかと思い、落下するのではないかと思ったら既に下の方へいた。

 

「…ここまで来ればなんとかなるだろ」

 

降ろされたせいで彼と密着できなくなったけど我慢です我慢。こんなの長時間いたら夜のポケモンバトルしたくなっちゃいます。

 

「あ、はい…」

 

そしてビルの上では気づきませんでしたが、よくよく見てみればこんな格好で歩いているのもおかしいですよね。やっぱりえっち過ぎるし目立ちますしよくないと思います。

 

「…それで、どうして変な格好しているんですか?」

 

慌ててこちらの視線の意味に気づいて赤面するキジャさん。かっこいいと思ったらかわいいのも反則だと思います。

 

「…あ、うん。そんな気にしなくていいから」

 

照れて顔を隠してもそのよさは隠しきれていない。ちょっとこれは周りに見られていないだけよしとしましょう。

 

 

「いや、帰りたいんだけど…」

 

そうっとしているけどこれで家に帰るのはちょっと恥ずかしいだろうし私が着せ替えてあげたい。というかそれくらいしないと助けてもらった身としても申し訳ない。

 

「お礼にコーディネートしてあげますから!ちょっとそこの服屋に行きましょう!」

 

せっかくならこのまま私好みの格好にしちゃおう。ロック系でもいいし、スーツできっちりしたのでもいい。キジャさんならどれも似合うし、ペアルックで写真を撮れば誰だって私のモノだって認めてくれるはず。

 

(キジャさん、どんな表情してくれるかな…?)

 

もうなんというか、チャンスは逃すなってよく言われるからこうしてもいいだろう。

 

これは…そう、あくまでもキジャさんのためだから。

 

心のなかで言い訳しながら彼の手首を強く握り、服屋へと連れて行った。

個別エンドはどれからがいいかな?

  • GAMEOVER
  • 吹き散らされた炎
  • 踊り明かして夜に溶け
  • いつでもどこでもあなたの傍に
  • 夢もうつつも紙一重
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。