鬼人のギンって知ってっか?   作:目の隈が凄いギン

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プロローグてきなあれこれ

 事実は小説より奇なりとはまさに俺のような男に言われるものなのだろう。

 

 いやさ、気づいたら大人気マンガのワンピースの世界にいて、しかも転生? 憑依? どっちかわからんがあの鬼人のギンになっていた。

 

 まじ人生どうなるのかわからんすぎる。

 

 ただ一つ言えることがある。

 

 この世界で生き抜くには力が必要であると。

 

 故に俺は何よりもまず自分の力をつけるために修行という名の賞金稼ぎとなって、今日も適当な獲物を探して旅をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャハハハッ! 今日も酒が美味い! なぁお前ら!」

 

「へいお頭全く持ってその通りでやす!」

 

「まじちょー感謝っす!」

 

 イーストブルーにある無もなき小さな村に、海賊の一団が力のない住民達から酒や食い物を奪い、若い女には給仕をさせてどんちゃん騒ぎを起こしていた。

 

 全く海賊って奴らはどいつもこいつも変わらないな。

 

 こうも毎回同じような事をしている奴を見ると、俺は知らずにループしているのかと思っちまうぞ。

 

「んあ? んだあのガキ、随分と目つきの悪い奴だな」

 

「おいおい、ここはガキが来るところじゃねぇぞ? おら、いったいった」

 

 面倒くさそうにしっしっと手を振る男に俺は呆れた目で見る。

 

「んだその態度は? 死にてぇのか? あぁ!?」

 

「二流どころか三流以下のセリフだなおい。もうちっとマシなセリフのレパートリーを考えてから出直してこい」

 

 懐から愛用のトンファーを取り出した俺は油断しきっている海賊を一人殴り飛ばす。

 

「なっ!? ただのガキじゃねぇな?」

 

「ま、待て、あのトンファーに縞模様のバンダナ。まさか、賞金稼ぎ“鬼人のギン”じゃ!?」

 

「お、遂に名前が売れた感じか? こりゃ嬉しいね」

 

 ヒュンヒュンとトンファーを器用に回しながら俺は鼻歌交じりに近づく海賊達をブチのめしていく。

 

 しかし弱いな。流石に最弱の海と称されるイーストブルーじゃ仕方ないのか。これじゃああんまり修行にもなんねぇんだよな。

 手応えのない相手に欠伸が出そうだぞ。

 

「何なんだこいつ、まるで俺等が相手にならねぇ……!」

 

 いやまぁ覇気もなければ能力者でもないしな。最近修行の相手として相応しい奴がいないからわりと成長するのも難しくなってきたんだよなぁ。

 

「あの野郎鼻くそほじりながらあくびしやがって! くそっ!」

 

「か、頭、このままじゃ」

 

「あ、慌てんじゃねぇ! 俺等には最強の助っ人がいるじゃねぇか」

 

 あん? 最強の助っ人? おいおいちょっと期待しちゃうぞ。どこのどなたですかって!

 

「おい! 海兵狩り! 出番だぞ!!」

 

 ん? 海兵狩りってな~んか聞いたことあるような、ないような?

 

 首を傾げていた俺の前に一人の男がゆっくりとした動作で前に来る。

 

「少し楽しめそうだ」

 

 えぇっとあの、え? いや見間違い、見間違いだよね。

 よし、まずは深呼吸をしよう。吸ってぇ~吐いてぇ~はい、もう一度見てみよう。

 

「どうした? 構えないのか?」

 

(なんでミホークがいんだよぉぉぉぉおおおお!!!!!)

 

 心の中で叫びながら俺は油断なく構える。

 もうヤケクソとも言う。

 

 ただこれはチャンスでもある。自分の成長をするために。そうだ。ここでミホークに会えたのは幸運だったと思おう。そうじゃないとやってられねぇよ!!

 

「なんでアンタほどの人がこんな雑魚どもに従っているんだ」

 

「従っている訳では無い。丁度いい暇つぶしだ」

 

「そんじゃあ暇つぶしを邪魔しちゃ悪いし俺は帰っても?」

 

「それは無理だ。おれの暇つぶしに付き合ってもらうぞ」

 

 まぁそうですよねくっそ!!

 

 どうしようもない現実にクソッタレと文句を言いつつ、先手必勝で身を低くしてミホークの懐に飛び込む。

 俺は最近になって漸く形になってきた武装色の覇気をトンファーに纏わせて渾身の一撃を叩き込む。

 

「これは驚愕した。まさかこの前半の海で覇気を使える人間がいるとは」

 

「平然とした顔で俺の渾身の一撃受け止めてよく言う」

 

 俺の攻撃はミホークの剣にあっさりと受け止められてしまった。

 やはり単純にレベルが違う。たった一度の攻防でわかってしまう。今俺の前にいる男に俺が勝てる見込みは万に一つもない。

 

 だが諦める訳にはいかない。どうにかして生き延びてやる!

 

 俺は反撃される前に一度後方に下がる。

 その間に幾らでも攻撃できただろうミホークは何か考える仕草をすると、一つ頷く。

 

「本当はこの短剣で試そうかと思っていたが、どうやら貴様にならこの刀を使っても良さそうだ」

 

 短剣を懐に仕舞ったミホークは己の武器である黒刀を背中から取り出す。

 

 まっずい。もう本当にまっずい。完全にさっきの行動が裏目に出た。

 なんで覇気なんて見せちまったんだ俺は! 馬鹿! まじで俺は馬鹿だよ!

 

 ミホークの性格からしてこうなることは予想できましたやん。

 

「安心しろ。本気ではない。だが中途半端な覇気なら容易く貫通する。命はないと思え」

 

「何も安心できねぇよ!」

 

「構えろ。そして受けてみよ!」

 

「人の話を聞きやがれ!!」

 

 黒刀の一振りで店は半壊し、俺の眼の前に巨大な斬撃が飛んでくる。

 走馬灯のように様々な光景が脳裏を過るが、結局最後に残ったのは生きたいという単純明快な答え。

 

 俺は今できる最高の覇気をトンファーに込めて、斬撃に叩き込む。

 

「ぐっ!」

 

 一瞬の拮抗、だがジリジリと斬撃の勢いに押されていく。

 こ、の。まじで頭おかしいぐらいに強い。しかもこれでも手加減しているんだろ?

 

 信じられねぇ。世界ってのはこんなにも広いのか。

 

 負けられねぇ。まだ何にも出来てねぇんだ。まだ何も。

 この楽しくも残酷な世界をもっと見て回りてぇんだ!

 

「だから、こんな所で躓いている暇はねぇんだよぉぉおおおお!!!」

 

 全身の筋肉も覇気も気力も全てを出し尽くした。

 俺は今生きているのか?

 

 立っているのか?

 

 あの斬撃をどうにか出来たのか?

 

 視界が、体が重い。

 

 ち、くしょう……。

 

 

「見事」

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