リュウリュウの実:モデルイビルジョー   作:ゲケエベレッケ

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第4話

 

 

 

 

 

 それは蹂躙だった。

 

 東の海個人戦闘力最強の海賊

 

【ノコギリのアーロン】

 

 その彼が一人のやせ細った少女に一方的に叩きのめされている

 

 技術も何も無い単なる殴打と蹴りしか出していない、徒手の少女に、ただ圧倒的な基礎身体能力のスペックの差で圧倒されている。

 

「シャハハ! 魚人族の腕力はお前ら人間の10倍以上! 生物としての格が違うんだよ! まさに至高の種族って奴だ!」

 

 飽きるほど繰り返した前口上でアーロンは自身を鼓舞するものの、内心では完全に認めてしまっていた。目の前の人間の腕力は彼の知る限り最強の魚人の膂力に勝るとも劣らないものだと

 

 その拳が頬に掠っただけで脳が揺れ、危うく意識を持っていかれそうになり、蹴りが直撃しようものなら臓器か骨のどちらかは確実にお釈迦にしてくる剛力

 

 それを彼は経験と技術による先読みで、避け、受け流し、何とか凌ぎ誤魔化す。

 

 しかし耐えるのも時間の問題だ。

 

 当たり前だが技術というものはある程度素の膂力が拮抗していて初めて成り立つのだ。格闘技術を極めたアリがゾウに勝てるか? 否。柔術で天より降る惑星の衝撃を受け流せるか? 否。柳の柔軟性は核爆発を受け流せるか? 否。

 

 要はそういう事だ

 

「どうした力自慢。力比べが望みじゃねえのか!」

 

「シャハハ! 下等生物如きに、至高の種族が本気を出すとで……グフッ!」

 

 そして目の前の人間は膂力もイカれてるが凶暴性もどうかしているとアーロンは思った。

 

「死ねクソが!」

 

「ガハッ!」

 

 攻撃を当てても一切怯まず、掠っただけで脳を揺らしてくるような殴打を繰り出してくる。

 

 腕に噛みつけば腕ごと船に叩きつけてくる。叩きつけた際に、歯が腕に食い込んでこようと一切気にする気配は無い。

 

「死ねカス!」

 

「ガフッ!」

 

 痛みで思わず倒れ込めばサッカーボールの様に頭を蹴り飛ばされる。

 

 衝撃を受け止めきれず胃液を吐き出せば顔を掴み地面に叩きつけてくる。

 

 とにかく弱った相手への追い打ちに一切の躊躇が無い。

 

 もちろんアーロンもやられるばかりではない。

 

 鋭利な上にいくらでも生え替わる歯、物理的にへし折られたない事のない鋭利な鼻。部下に投げ込まれた巨大なソードブレイカーの名刀【キリバチ】

 

 これらを駆使する事で反撃もできた。

 

 血も出させた。

 

 決して浅くない傷もつけた

 

 なのに、なのに! 生命力を削れている気がしないのだ! 

 

 

 

「クソがっチクチクしやがる!」

 

 アーロンとの戦闘中に包帯を剥ぎ取り捨てながら少女は叫ぶ。

 

「チョロチョロ逃げ回ってんじゃねえぞカスが!」

 

 アーロンが距離を取ると鼻に指を添え鼻息で血を抜きつつ少女は叫ぶ。

 

 明らかに致命的なダメージを受けたものの態度では無かった。

 

 追い詰められたアーロンを見た魚人達も次々加勢に来たものの意味は無かった。

 

 アーロン一味でアーロンに次ぐ戦闘力を持つエイの魚人クロオビ

 

 彼がまず最初にやられた。

 

 戦闘開始直後自身満々だった彼が言った。

 

「魚人族は至高の種族! 魚人の腕力はお前ら下等生物人間の10倍に達する!」

 

「死ね!」

 

 魚人の更に十倍どころでは無い圧倒的膂力で殴られた。

 

 彼の折れてはいけない箇所の骨が折れ海に叩き落された。

 

 30秒後海から這い上がってきた彼がアーロンと少女の戦闘に割り込んで言う

 

「魚人空手は技術の極致! パワーだけではどうにもならん世界があるという事を! 教えてやろ……」

 

「死ね!」

 

 怒号と共に、一切の技の介入しない、力任せの腹狙いの正拳突きが繰り出された。

 

 彼のいくつかの臓器が破裂した。失神した

 

 1分後失神から立ち直った彼がアーロンに向かい合った少女の不意を突くように言う

 

「せ……せ……千枚瓦正拳!」

 

 魚人空手の奥義。

 

 それを直撃させ少女に出血させる事に成功した。それだけだった。

 

「死ね!」

 

 200キロを超える巨体が枯れ葉の様に吹き飛ばされ海まで吹き飛び、海上を水切りの様に3度跳ね、水に沈んだ。

 

 次々に軍艦に上がってきた一般構成員達はそれより更に酷かった。

 

 アーロンと少女の戦闘に割り込むことすらかなわなかったのだ。

 

 

 ハチとチュウとの戦いでは役に立てなかった海兵達が、獅子奮迅の働きを見せたからだ。

 

 

「我々とてプロだ。いつまでも民間人に助けられる訳にも行かないのだよ!」

 

「虐げられる弱者を救うことに誇りを持て! 正義の名の下に立ち上がれ!!」

 

「なぜ我々は民の血税で喰わせてもらっているのだ! 今こそ義務を果たせ!」

 

「弱者を救う盾となれ! 奢れる悪に鉄槌を下せ!」

 

 77支部海兵は曲がりなりにも精鋭部隊を名乗るだけあって、その練度はなかなかに高かった。

 

 魚人達は海兵に斬り伏せられ、銃で撃たれ、次々に戦闘不能になっていく。

 

 アーロン一味は思った。

 

 魚人の腕力は10倍だ、人間は劣等種。なのに、なのに! 

 

 なぜ俺達が押されている! 

 

 実際魚人の戦闘力の平均値は人間より遥かに高い。が、魚人達はこの十年を弱者から搾取することのみに使っていた。海兵達はこの十年必死に鍛えていた。

 

 そして空気にプロテインが含まれているとも言われるこの世界での10年間の鍛錬の差でひっくり返らないほど、人間と魚人の戦闘力に差は無い。

 

 もう一つ付け加えれば魚人達が海兵を舐めていたのも大きいだろう。

 

 この周辺の管轄の海兵はアーロンの賄賂で靡き民を見捨てるものばかり。それどころか進んで民を虐げるものまでいた。

 

 魚人達はそれを見て勘違いしていたのだ。

 

 基本的にはという注釈がつくものの

 海軍は正義の味方、弱者の守護者だ。

 

 当然正義が冒されるのを見れば、弱者が虐げられるのを見れば、彼らは全てを賭して戦うのだ。

 

 明らかに船上での戦いは海兵が有利に進めている。アーロンは少女に追い詰められている。にも関わらずアーロンは不敵な笑みを浮かべた

 

「ハアハア……シャハハハ……遊びは終わりだ……そもそもお前ら下等種族との陸上戦なんて遊びなんだよ……」

 

 アーロンは思う。いくらなんでも目の前の少女はタフ過ぎる。

 

 いくら切られようと血が出ようと一向に気にせず、生物とは思えない速度で傷が塞がり、常軌を逸した耐久力を持つ。

 

 確実に能力者、悪魔の実と呼ばれる果実をくらって特殊能力を得た人間であると考えた。

 

 そして悪魔の実の能力者は、特殊能力と引き換えに海に嫌われる。要はカナヅチになる。当然海に放り出されようものなら溺死する。如何に強かろうと

 

 アーロンは同胞達に一つの指令を出した。

 

「この船沈めろぉ!」

主人公の心理描写は

  • 今すぐ入れろ
  • 2、3話後くらいに入れろ
  • しばらくはいらない
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