ムコーダさんは一児のパパ   作:一死二生

1 / 9
遅いけどアニメ二期おめでとう


第一話 "巻き込まれた二人の一般人"

 俺の名前は向田剛志(むこうだつよし)

 日本に住む27歳のサラリーマンだったのだが、気が付いたら勇者召喚とやらに巻き込まれて異世界にいた。

 何故異世界だと思ったかと言うと、ステータスの鑑定をしたからだ。

 日本じゃ間違いなくステータスなんて存在しなかったからそこで異世界であると分かったというわけだ。

 

 ただこの王国、なんか胡散臭いんだよね。王様の話を聞いてみると

 

 ・魔王がこの国に度々攻め込んでくる。

 ・今は何とか食い止めているが、それもいつまで保つのかわからない。

 ・魔王のせいでこの国の民は苦しんでいる。

 ・すがる思いで古の儀式である勇者召喚の儀を行った。

 ・こちらの都合だけで召喚したうえに身勝手な願いだが何とかこの国を助けてほしい。

 ・元の世界に帰る方法はこの国には無いけど、魔王なら知ってるかもしれない。

 

 とのことだ。

 ただ、この国は危機的状況にあるはずなのに王様とか王妃様はごってごての宝石で着飾ったドレスを着ているし、王様は肥え太ってる。

 というわけで。俺はこの異世界転移をダメなタイプの異世界転移だと思ってすぐにでもこの国を脱出することを決意したのだが……。

 

「さあ、あなたもこれに手をかざしてみて?」

「は、はい」

 

 自分の目の前で、先ほども自分がステータスを鑑定する時に先導してくれたシスターのような人物が少女を誘導している。

 その少女はとても小さく、どう見ても高校生ではない。

 それに、同じく転移してきた勇者らしい高校生三人も知らないようだし。

 しかも少女の服はかなり汚れていて、恐らく風呂にも入っていないのだろうというのが分かってしまう様相だ。

 そんな少女が自分や高校生三人と同じように鑑定の魔道具とやらで鑑定をして出てきたステータスが

 

 

 

【 名 前 】 アザミ・フジサワ

【 年 齢 】 7

【 職 業 】 巻き込まれた異世界人

【 レベル 】 1

【 体 力 】 12

【 魔 力 】 54

【 攻撃力 】 18

【 防御力 】 15

【 俊敏性 】 15

【 スキル 】 鑑定 アイテムボックス 

【固有スキル】 読心

 

 

 7歳!? 幼すぎるというかまだ小学生じゃないか!

 それに……うん、すっごく弱い。

 これを見た異世界の人たちによると、普通の子供未満のステータスらしい。

 ただ、魔力だけは普通の子供より多いらしいが、それもこのくらいなら探せばいるくらいでしかないらしい。

 そして【固有スキル】の読心だけど、これは恐らく心を読む能力なんだって。

 そんで、それを聞いた王様の目が完全に変わったのを見て俺は思ったんだ。「あ、これはここに残していったらろくでもないことになりそう」って。

 だから一緒に連れて行くことにした。

 

 高校生三人組は王様の言葉を完全に信じているみたいで説得しようもないし、仮に説得できても王様が止めてくるだろうから断念。

 ただ、少女だけはなんとしても連れて行かないと。

 だって、高校生三人組はまだ強いスキルとかがあって何とかなるけど、あの子はどうしようも無さそうだし、こんな胡散臭い王国に置いて行くのはさすがに良心以前に大人としてダメな気がする。

 

 というわけで、少女にこっそりと一緒に来るかどうかを確認したら来てくれると言ってくれたので、王様に下手に出ながら「私たちは勇者ではありませんし、迷惑をかけるだけだから職に就くまでの2,3か月の生活費をくだされば自分たちで何とかして行こうと思います」って言ったら、案の定厄介払いができると思ったのか金貨30枚を持たされて城の外へと放逐された。

 

 恐らく読心って能力が怖かったのもあるんだろうなと思う。

 だって、読心ってことは心の中がバレバレってことでしょ? 思えばこの少女はずっと周りに怯えていたし、王様が理由を言っていた時もびくびくしていた。

 つまりはそういうことなんだろう。

 

 ……俺のことは信用してくれたと見ていいのだろうか? 多分これも聞こえてるんだよな? そう思って横を歩いている少女をちらりと見てみると目が合った。

 ……うん、聞こえているなこれは。

 

 とりあえず、金貨30枚を持たされて放逐された俺と少女は一緒に王都の街を歩いているというわけだ。

 金貨30枚が高いのか安いのか分からないが、二人で生活していくならば十分だと思いたい。

 この金貨が尽きる前にお金を稼ぐ方法を見つけないとな。

 でもその前に、この国をさっさと出なければ。

 だってあの王様、この少女を見る目がすっごく気持ち悪かったし。

 どう考えてもあれはロリコンの目だった。

 しかも固有スキルが読心だって分かった瞬間すっごい気持ち悪い目をしていたし、早めに出た方がよさそうだ。

 

 それはそうと、俺はこんな小さい少女をもしかしたら安全かもしれない王城から連れ出したんだからしっかりしないとな。

 そう思って王城から少し離れた場所で少女の前に膝をついて目線を合わせながら話しかけることにする。

 

「えっと……アザミちゃん? でいいかな?」

「は、はい」

「俺の名前は向田剛志って言うんだ。これからよろしくね」

「よ、よろしくお願いします!」

 

 そう言って少女……アザミちゃんは勢いよく頭を下げてきた。

 とても礼儀正しい子供だなと思ったが、親の教育がいいのだろうか?

 それにしては少し服が古いような気がするのでなんか違和感があるが。

 それにこんな小さい子供ならば元の世界の保護者の人は突然消えたこの子を探すために慌てふためいているのではないだろうか?

 

「えっと……なるべく早く元の世界に帰れる方法を探すから、それまで俺が守るからね」

「っ! もとのせかいには、かえりたくない、です……」

「え?」

 

 そう言いながら俺の服の裾を小さい手で掴んできた。

 

 か、帰りたくない? どういうことなのだろう。

 いや、ずっと思ってたんだけどさ。

 汚れてる所々破れた服に同じく汚れた髪。

 長袖で隠れているけれども7歳にしては細い腕と手。

 極めつけは最初のシスターとかが近づいた時の怯え方。

 固有スキルが分かった時は能力によって心を読んで怯えているのかと思ったけどそうではなさそうだし……これってつまり……。

 

「そ、そう、です」

「っ! ほ、本当に心が読めるんだね」

「はい……ごめんなさい」

 

 俺が喋る前に答えを言われてしまった。本当に心が読めるらしい。

 これはとてもすごい事なのではないだろうか?

 だって、この能力があれば絶対に騙されることは無いわけだよな?

 いや、相手がめちゃくちゃ嘘を付くのが上手で心の中でも嘘を本当だと思えるなら話は別だけど、そんな人いるわけないし。

 これは確かに王様が喜んで追放したくなるのも分かるな。

 

「っっ! ご、ごめんなさい……」

「え? ああ! いやいや!」

 

 くっ、恐らく王様が喜んで追放したことに共感したのに対して反応したんだと思うけど、それを反論したいっ!

 あの王様はとても胡散臭いし隠し事が山ほどあるだろうから喜んで追放しただろうけど俺はそんなことしないって!

 でもこんな所で王様の悪口を言うのはさすがにな……。

 だって今いる所って街の道路の上だし。今もアザミちゃんの前に膝を付いている俺を変な目で見る視線が。

 ……違うんです! ロリコンじゃないんです! 

 

「ろ、ろりこん? ってなに、ですか?」

「うぇ!? いやいや! 気にしなくていいんだよ!」

 

 やべっ、心を読めるんだからそれも読まれる。

 ……って、これも読んでいるのか! めちゃくちゃすごいスキルだな!

 これはあの王様が心変わりする前にこの国を出ないといけないぞ。

 どう考えてもチート能力ってやつだよコレ。

 

「?」

「えっと、とりあえず大丈夫。俺は君を捨てたりしないから」

 

 そう言うとアザミちゃんは少し微笑んでくれた。

 普段も可愛いけど笑うと一段と可愛いな。

 

「あ、ありがとうございます」

「……!? う、うん」

 

 ……変な事考えないように気を付けよう。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。