元SRT学園のNo2の転生者がヴァルキューレで閑職をやる話   作:宵越しのモルス

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第29話

 『てめぇがついて行くと決めた隊長は、その程度か?』

 

 胸が撃ち抜かれたかのように、思考が止まる。結局私は彼女に何をして欲しいのかも分からないのに、こんな事態を引き起こしたのか、と勝手に回る自問自答を始めている。こんなにも私は計画性も無く動くのかと言葉も無く立ち尽くしてしまった。

 そのまま副隊長に何も言い返せずにいると通話が切れてしまう。音叉のように反芻している言葉を脳内で繰り返している内に屋上に人影が増えていた。

 

 「見つけましたよ。シキ」

 「あらあら、姿を見せないと思っていたらこんなところまで」

 

 お体に障りますよ? と言い返しながら振りむくと車椅子のヒマリがそこにいた。一年生の頃から変わらない声が耳に懐かしい。そして、もう一人がショットガンを構えこちらを捉えているのにも気づく。事前に調べていた有望株であり、ほぼ下着みたいな服にコートを羽織った少女。『和泉元エイミ』がそこにいた。いつかその服、隊長にも着てもらいたいですわね。

 

 「今回の騒動の元凶を放置する程、私も甘いわけではありません」

 「最初から気づいてましたか? うふふ」

 

 怒ったようにこちらを睨みつけてくる彼女を見て、親友に街中であったような態度を取りつつ、貼り付けた笑顔で笑いかける。嬉しいのは嘘でない。私を止めるのは別に隊長である必要はないのだから。

 

 「ええ、そしてあなたが手を晒す時を待っていました。それは彼女も同じ様ですが」

 

 ヒマリが呆れた視線を向ける先、宙に浮かぶドローンが一機浮かんでいた。その機械は武装もせず、ただ私を観察する様に周囲を飛んでいる。

 こんな回りくどい事をするのはリオしかいない。昔からの性分は変わっていないようで、裏切るのは構わないけれど裏切られると凹むのは相変わらずのようだ。それ、嫌われますよ? 私も人の事はまったく言えませんが。ヒマリも「人様に迷惑を掛けておいてあのビックシスターは……」と吐き捨てていた。

 そんな態度に変わりませんねと苦笑いしていると、ヒマリがドローンを無視してこちらに向き直る。 

 

 「まぁ、いいでしょう。今はあなたです。シキ」

 「あらあら、止めに来たのですか?」

 

 けれど、と私は言う。もう既に事態は起きてしまった。私の放った戦力はミレニアムを呑み込むだろう。それに対して研究施設であるミレニアムが対抗出来る事はほぼ無い筈だ。突発的に起こした事態とはいえ私の過去の計算は完璧だった。隊長、そしてリオの私兵であるC&Cを含めて、それらが対抗出来るとは思えない。現に戦力としてこちらが押している。

 その事を口にする前にヒマリが可笑しそうに笑みを浮かべていた。そして口元に手をやったまま彼女は言葉を告げた。

 その余裕がありそうな態度に眉根が寄る。

 

 「ミレニアムの一員として、あなたに忠告をしに来たのですよ。元々は在校生であったシキさんにね」

 「あらあら、私は既にミレニアムを去りました。その言葉は無駄に終わりますよ?」

 「そうですね……ですが」

 

 ヒマリは目を閉じて、そして開く。

 

 「何を焦っているのかはわかりませんが……シキ、貴女にしては甘い。と言わざるを得ません」

 「随分なお言葉、ですね」

 「正直、失望しました。という気持ちもあります」

 

 まさか、並ぶもの無しと目されたあなたがロクに戦力を測らずにそのままにしておいた遺産を動かすとは思いませんでした。と、切って捨てられる。

 その言葉に私は言葉を詰まらされた。図星、という言葉が妥当なのかもしれない。平時の私が見たら稚拙と一笑に付す様な策を用いているのは確かだ。本気で攻め落とす気もなく、かと言って、対象個人も陥れるには甘い。全て憶測と希望的観測によって出来た偶然によってなされた事態。SRTのNo2の参謀がこれでは、学友のニコ(FOX2)にも呆れられてしまうかもしれない。

 では、私は何故ここにいるのでしょうか? 致命的なバグを見過ごしたままに、私は何をしているのでしょう? そんなエラーを吐き続ける脳とは対照的にヒマリは言葉を紡ぐ。

 

 「あまりミレニアムサイエンススクールという多頭の怪物を舐めない方がよろしいかと」

 「部長、チヒロ先輩から解析完了したって」

 

 インカムに手を当てていたエイミが告げた言葉に反応しモニターを見ると、確かに私の築いたネットワークが乱され破壊されていた。すぐさまワクチンを作り出し打ちこむもそれも即対応される。目を離していたとはいえホワイトハッカー達の鮮やかな手法に舌を巻いた。

 

 『だいたいの仕組みは理解できたかな。うん、2年前なら危なかったかも』

 『うぅ……先輩、酷い……』

 『どうして私は先生のサンプルボイスを……』

 『グーは酷いよグーは!!!』

 

 戦術リンクをしていた戦車たちの連携が分断され動きが鈍る。対抗策を打とうにも即座に返される。複数人とはいえ反応が早い。ヒマリの下にチヒロが居たのは知っていましたが、ここまで力を伸ばしていたなんて、と思わされまたハッとする。一番重要な敵戦力の予想を見誤るなんて、と奥歯を噛みしめた。

 

 『コード02、警戒が解けた。援護する』

 『ようやくご主人様のお役に立てますね』

 

 合流してきたC&Cの活躍により行動不能の戦力が増えていく。リオの結成した後始末部隊がいかに強力かを身をもって知らされる。彼女達も、そしてあらゆる事態に対応可能として組織した人選もまた恐ろしい。息を吞む間にマーカーの数が1/4ほどに減少した。

 先生の指揮を始めとしたミレニアムの力によってみるみるうちに数を減らしていく状況を、私はモニター越しに眺めるしかなかった。唯一残した巨大な四脚戦車だけが強固な壁となるも、それすらも対応されていく。

 

 『装甲を抜くために一番効率がいいのは、アリスくん、キミだ』

 『うん、ソレなら計算上問題なく行ける筈』

 『説明しましょう!! 『光の剣 スーパーノヴァ』は宇宙戦艦の主砲用で開発されており、その威力で貫けないものは現実には理論上ありません!! それだけのエネルギーを何処から供給するかが未解決ですが……』

 

 当時、ミレニアムの工業力では即時破壊困難と結論を出したものがウタハによって突破口が開かれる。過去の答えが今になって壊されていく。それを見ているのは不思議と心が躍った。

 

 「わかりましたか? シキ」

 「……何が言いたいのです。ヒマリ」

 「そこまで心配しなくとも、もう私達は大丈夫です」

 

 確かに過去のあなたはメインサーバーを破壊して、そして今の光景を作り出そうとしていた。それは確かに許されざる反抗行為であり。それを実行していれば矯正局は免れなかったでしょう。だけどあなたはそれを実行しなかった。だだ、危険性だけを提示し学園を去っただけ。その様に誰よりも自身の居場所を愛そうとした人を誰が批判できるのでしょうか。とヒマリは言う。

 

 「勘違いしないでくださいシキ。貴女は私達よりも少しだけ前にいただけです。あなたが居場所を諦めてしまう程に私達の懐が狭い事はあり得ません」

 

 あの時、失望したのは何もあなただけではありません。私達もまた私達に失望を味わいました。そして、そこに居た在校生達が同じく感じてそして礎を築き、我々が発展をさせてきました。そして、この学園はどんなものでさえ呑み込み、嚙み砕き、そして昇華し前進するエネルギーへと変換する多頭の怪物になったのです。

 眼下で『光の剣』を振り回す少女が視界に入る。

 

 「私達はまだ見ぬ深淵を伺う叡智の使徒」

 

 ヒマリは目を閉じ、二年前を懐かしむように言葉を紡ぐ。

 

 「見えないのであれば幾万の手法をもって照らしましょう。進めぬのなら幾億の知恵を用いて進みましょう」

 

 答えに辿り着くまで歩みを止めず、決して研鑽を積むことを諦めない。

 ──それが『ミレニアムサイエンススクール』です。

 

 「決して、あなた一人程度の『天才』では決して止まることはありません」

 

 長くて短かった戦闘も決着がつく。ミレニアムの生徒達とそれを導く先生の指揮と奮闘により戦車の残党たちが直線上に並んでいた。それを狙うように勇者のもたらした剣が光を放ち始める。

 

 「あなたが犯した過ち、私たちがあなたに追いつけなかった事を……当時を知るもので悔やまないものなど居ませんよ?」

 

 あの時、私達があなたよりも優れていたのであれば、と思わない日はありませんでした。そうであったなら学友を失う事は無かったのかもしれない、と思えたのですから。ようやくあの日に追いつき、そして追い越してここに居ます。とヒマリは言う。

 

 「ですので……シキ。ミレニアムはもう大丈夫です。もう貴女の好きに生きて構いません」

 

 もう貴女が心配する必要は無いのです。備えるもの全てを予測し、そしてそれを打ち壊し再構成を促す流動的な力。それに気を病む必要も抱える必要も無いのです。相変わらず愛が深くて、一度懐にいれたものを手放そうとは出来ないようで安心しました。と彼女はニッコリと微笑んでいた。

 

 「今度こそ貴女を一人にはさせません。友を失わない為に我々は歩み続けてきたのですから」

 

 光達が集い、そしてクリアへの道筋を辿っていく。チェックメイトと思い込んでいた盤面は予測を放棄していた戦力たちによって無様にもひっくり返されていたのでした。

 

 『安全弁閉鎖、エネルギーライン直結。エネルギー充填110%……120%!! 行けるぞっ!!』

 『みんな、アリスの射線から離れて!!』

 『──光よっ!!!』

 

 眩い閃光と共にエネルギーの塊が発射された。眩い光の波に戦車達は耐えきれず一掃される。私の未練の形をしたモノと共に戦力の全てが光によって消し飛ぶの光景を立ち尽くして見ているしかなかった。

 そして全ての戦力が消失した事を確認しコンソールから手を離す。そして両手を挙げてヒマリ、そしてリオのドローンを見る。

 

 「あらあら……負けましたね、壊せなくて残念です」

 「当然です。私達は進歩し続けているのですから」

 

 当時の戦力だけに負ける道理などありません。と、自慢げに言う姿を見て私も笑う。ひとしきり笑った後、あなたももう一度私達と同じ道を、とヒマリが言いかけて首を振る。

 

 「とは言っても、あなたはもう帰るべき場所を定めたようですね。残念です……本当に」

 

 その時、屋上の扉がバン、と開かれた。そこにはズタボロになった衣服、土と血に塗れた茶色の犬耳。そしてそれらの疲労を感じさせない強い意志を宿した瞳が私を見ていた。

 

 「やーっと見つけた!!!」

  

 屋上に響く聞き慣れた愛しい声。アキ隊長がズタボロになりながらも(私の性癖にドストライクな格好で)そこに立っていた。この情景も生で見ることが出来るのは最後かと、ぎゅっとスカートを握りしめる。

 

 「あらあら、隊長お待ちしておりました。何なりとお申し付けください」

 「シキ!! こんな大規模な作戦行動にするなら一言ぐらいあっていいんじゃないの!!」

 

 怒声を上げながらズンズン、と進んでくる隊長と、立ち尽くす私。結局、何がしたかったのかも自分で分からないままにここで終わるのかと目を閉じる。何を言われるのかと観念をしていたら、頬を緩く摘まれた。何するんですか隊長。

  

 「そんな傷ついた顔するくらいなら、こんな事しない!!」

 「別に私は傷ついてなどいません。いつも通りです」

 

 何があったの? と聞いてくる彼女に私は口を閉ざす。まさか隊長を使って実験をしていたと言えるわけもない。知りたかっただけで済まされるには度が過ぎているのは分かっていた。だから、にべもなく突き返す。

 

 「こちらには話すことなどありません。ですから、このお話はそれでお終いです」

 「私に話せないことなの?」

 「……さぁ、早く私を裁くなりして下さって結構ですよ。見ての通り、隊規を破り、ミレニアムに戦闘を仕掛け、その結果、隊長を含めて敗北した負け犬です。……迷惑を掛けた事は理解しておりますので、何なりと」

 

 言葉を遮るように私はまくし立てる。これ以上言葉を聞いても辛くなるだけだ。

 そんな私に対して、どうにか聞き出そうとしている隊長。最近、毎日会えませんし、最近会ったのなんてトリニティのスイーツ巡りした時だけですし。ミレニアムにいる時なんて1日一回してくれない人なんて知りません。と、そっぽを向く。

 隊長は私を覗き込む。あっ、顔がいいです……。それに怪我も沢山されていて、とても格好が魅力的です。

 

 「シキ……もしかして拗ねてる?」

 

 しかし、そんな恍惚とした感覚も、その言葉を聞いた瞬間、恥ずかしさで耳も尻尾も毛が逆立った。

 

 「あ、あらあら……!! な、何をおっしゃって……!!」

 「だって、理論武装がしっかりしながら悪者になろうとしてる時のシキって拗ねてる時でしょ?」

 

 彼女と目と目が合う。もしかして私はこんな事を欲していたのか、と瞬時に理解をしてしまって顔が熱い。

 

 「シキ、こういう時って理屈から入るでしょ? だからさ、何が起きたのか、何で怒ってるのか、バカな隊長に教えて欲しい」

 

 シキがあのときの約束を覚えているかは分からないけれど、と彼女は言って、そして私に笑いかける。

 

 「これでも隊長だったからさ。シキの事、ちゃんと見てるんだよ?」

 

 いつも浮かべていた笑顔がぎこちない。作って、貼り付けて、そして演じるのは昔から得意だったはずなのに、この人の前では剥がれてしまう。

 

 DOGGY小隊の解散によって、私の唯一帰る場所だったものが壊されてバラバラになった。心落ち着ける場所が無くなって私は何をしていいか分からなくなった。そして隊長が毎日会える場所ではない所に行ってしまって、アビドスの一件が起きた。大事な人が別の所で危うく失うところだった。知らない所で隊長が壊れてしまうのが心配だった。

 そう、私は散々自身を破壊する事しか出来ないバケモノと自認しておいて、他者が壊れるのが怖かったのだ。目の前の大事なモノが私の手から零れて消えていく。壊れてほしくないと願っていたものが次々に無くなっていく。

 私にとって、それは恐怖を伴う未知の感情だった。

 この感情の行き着く先がこの光景だった? あまりにも子供っぽい理論に裏打ちされた行動を起こしたことに顔が赤くなるのを感じる。思えば全て後付けだった。たまたまそこに使える理由があったから使っただけ。ミレニアムに復讐なんてする気はなかった、ここまで隊長をボロボロにする必要なんて無かった。愛も、恋も、悪者であることを定義付けた自分も全てが行動の為の理論武装だった。知りたいと思っていた答えは最初から目の前にあった。

 

 『ただ、一人って寂しいからさ……まずは友達から、私の話し相手になってくれないかな?』

 

 ただ、一人になってしまった私を見てほしかったのだ。初めて隊長と出会った日のように迎えに来てほしかった。それだけが私の答えだった。

 隠すようにしていたスカートを握る手に力が更に込められる。何をしているのでしょう。こんなにも分かりやすい解が近くにあったのに、それを遠ざける様に遠回りをしてしまって。挙句に今、帰りたい場所すらも壊そうとしていた。いえ、実際にもう遅いのでしょう。

 その諦めを噛み締めて、もう一度隊長に視線を向ける。そして私は目を見開いた。目の前の彼女は瞳を潤ませて、今にも泣きそうな表情でこちらを見つめていたのだから。

 どうしてそんな表情を浮かべているのでしょう。私はただ糾弾されるとばかり。そんな狼狽えすら切り裂くように彼女は口を開いた。

 

 「もしかして、シキ。寂しかった?」

 

 あぁ、やっぱり、この人は凄い。

 私がこんなにも時間の掛けた答えをすぐに見抜くのだから。そして私の持ち得ない感情を持って芯を揺さぶってくる。ただ真っ直ぐに私の胸を突き刺してくるのだ。

 貼り付けようとした仮面も壊されて、ただ声が震えないようにするのが精一杯になりながら言葉を口にする。

 

 「………はい」

 「そっか、待たせちゃって……ごめんね」

 

 分かってあげられなくてごめん。と、彼女は私を抱きしめる。ふわっ、と甘い香りと汗と血が入り混じった香り。嗅ぎ慣れた隊長の匂いがいっぱいに広がって脳がとろけるように痺れた。あっ、駄目です隊長。隊長成分の大飢饉が起きていたところに、そんないきなり過剰供給は……あっ。脳を含めて身体の一部が蕩けてしまうのを感じながら、彼女の傷だらけの身体を『壊れないよう』にそっと抱きしめ返す。

 永遠にも感じる時間の中で隊長の香りに包まれていると外野の咳払いが耳に届く。今脳内麻薬だけでトリップ出来そうな程、良いところでしたのに……。

 野暮な事をする方に視線を向けるとジト目な二人がこちらを見ていました。

 

 「こほん、お二人達。ここに天才美少女ハッカーがいることは勿論お忘れでは無いと思いますが」

 「部長、こういうのに耐性無いのは分かったけど、邪魔するのはかなりノンデリだと思う」

  

 その言葉に弾かれるように隊長がぱっ、と離れ弁明を行う。そうこうしている内に他の方達、主に先生とゲーム開発部の方々がやってきて有耶無耶になってしまいました。

 

 「あらあら、隊長ったら。大人気ですね~」

 

 怪我を心配されたり、ネルさんとの戦いの事を聞かれていたり、自身の活躍を語っていたりと色々と囲まれて表情がくるくる変わる隊長を遠目から眺める。あぁ、要注意人物に1人追加しないといけないですね。……名前は、花岡ユズさん。彼女が明確にこちらを気にしているということは、本当に隊長を案じてらっしゃるんですね。

 そんな光景を見せられて燃え滾る感情が底から湧いてくるのを感じる。ドロリとしたマグマのようで、やはりそれだけは一時期の感情や嘘では無かったと安心して思わず笑みが溢れた。

 

 「うふふ……隊長。あんまり余所見していると、私、また暴れてしまいますからね?」

 

 そっとその心を隠すように呟いて、もみくちゃにされる隊長を眺めていた。そのついでに隠し撮りで素肌がチラチラしている部分も撮っていた。やっぱり私は『怪物』ですね。だって自分の都合で暴れ回り、ヒーローに視線を注がれ、最終的に倒してもらいたいんですもの。

 ですから、そうならない様にしっかりとリードを握って下さいね? もし暴れたら真っ先に飛んできて下さい。そうして叱って首輪を付けて側に置いて下さい。それだけが私の『望み』なのですから。

 ──愛しい愛しい私の英雄さん。

 ──人に恋した怪物より愛を込めて。

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