元SRT学園のNo2の転生者がヴァルキューレで閑職をやる話   作:宵越しのモルス

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第32話

 【新作】テイルズ・サガ・クロニクル2が発表される【クソゲー?】

253:cat0808

 補習終わった。続きやる。メイド怪獣を次こそ倒すわ。

 

254:名無しの生徒さん

 今クリアしたわ。前作のクソゲーっぷりを笑いに来たのに、不覚にもぶっ通しでやっちゃった……。もう一周してくる。

 

255:名無しの生徒さん

 >>253 おかえり~。

警備の隙間にスレ覗いてるけど、勢いあって草。伝説のクソゲーの前作はどこ……? ここ?

 

256:名無しの生徒さん

 隠しキャラの犬耳ペット有能すぎない?? 絶対修正入るでしょ……。しかも、ずっと連れてるとチートキャラ仲間になるし。

 

263:名無しの生徒さん

 >>256 ペットって、あの最初の街にいた奴? 仲間に出来るの!? 

 話しかけても城の行き方しかおしえてくれないけど。

 

283:名無しの生徒さん

 >>263 遅レスでスマソ。

 そいつに殴りかかってクリティカル出せば『拉致』ってコマンドが出るから、拉致して『マスコット』で殴る事でペットになるよ。

 

284:名無しの生徒さん

 隠し要素が無茶苦茶で草。間違いなく前作の続編だわww

 

285:cat0808

 今終わった。神ゲーかと言われるとインディーズの領域なんだけど……次にどんなことが起きるか予測できなくて凄くワクワクさせてくれる良ゲーだった。人に勧めるのはちょっと悩むけど。

 

300:名無しの生徒さん

 誰か裏ボスに行った? あの善良っぽい姫様が太もも大魔王になって襲い掛かってきたんだけど!!

 

304:名無しの生徒さん

 嘘乙と思ったらマジだった……。何処までネタが仕込まれてんだよ……今日早く寝ないといけないのに!!

 

 ◇◇◇◇◇◇

 「「「かんぱーい!!」」」

 

 ゲーム開発部の部室にて、先生を加えた6人でジュースを掲げていた。無事にミレニアムプライズが終了し、祝杯をあげているのだ。

 

 「いやぁ、1位を新素材開発部に取られたときはどうなるかと」

 「ネルさんがアキさんを誘って襲撃行くぞだったっけ?」

 「あ、あの時は、私もそれしかないって思っちゃってました……」

 

 ──その場面、私も見たかったなぁ。

 

 発表の瞬間、全員が固唾を飲みながら映像を見守っていたけれど、ついぞ順位にノミネートされることはなかった。これによりゲーム開発部は実績を出し続けることができない部活として、廃部が確定してしまうということ。

 その瞬間はまさしく阿鼻叫喚だった。モモイちゃんがモニターを撃ち壊し、ネルさんは烈火のように怒り狂い、ユズちゃんは魂が抜けてしまったように口を開けて気絶してしまった。私もハンカチを目元に持って行ったのは秘密である。

 しかし、そんな地獄の様相を呈していた部室にユウカさんが飛び込んできて「おめでとう!」と、喜色満面の顔を浮かべながら言ってくれた事で事態は収束に向かったのだ。

 彼女の説明によるとミレニアムプライズにおける順位はつかなかったものの、審査員達の子供心をくすぐる出来であり、非常にこれからが期待出来るという事で『特別賞』を受賞するに至ったとのことらしい。

 これによって確かな実績として認められ、晴れてゲーム開発部は部活として存続できることになったのだ。ネットの評判もアングラなゲームを愛する層からじわじわと支持を受け評価を伸ばしている。今回はデバッカー勢も優秀で目立ったバグもなく思い思いに表現をした独自性がバズったらしい。

 

 「先生。あの時はちょっと本気にしかけたんですからね!」

 「私達もそれを止める余裕なかったもんね、お姉ちゃん」

 「アリスもゲームオーバーかと思いました……」

 

 騒がしいながらも安らげる空気に私も姿勢を少し崩す。シキも来れればよかったのだけど、ミレニアムプライズ終了と共に警備は終了してしまい引き揚げざるをえなかったのだ。寂しがっているだろうし、今度お出かけにでも誘ってみよう。

 そんな事を考えてウーロン茶を傾けていると先生がこちらへやってくる。他の四人はワイワイと『ナービィのエラライダー』をやっていた。画面の中では海産物に乗った丸い生き物が建物とかを壊したりしている。派手ながらもスピーディーなレースを繰り広げては誰かがぶっ飛ばされて、悲鳴を上げている。海産物だし今度ホシノちゃんに勧めてみようかな。色々と合いそうな気がする。

 そんなワイワイしている姿を遠巻きに眺めていると、その横に先生が隣に座ろうとしていたので尻尾をさっと避けた。

 彼を見ると肩が触れない程度の距離を保ちながら、右手に持った缶コーヒーを乾杯するように軽く掲げていた……相変わらず黙っていれば色々と様になるのに。と、ウーロン茶の入った紙コップを持ち上げた。

 

 ──アキは楽しかったかい?

 「皆と色々と出来て、新鮮な体験で楽しかったですよ」

 

 それは良かった。とにっこりと笑う先生。

 思えば、この先生の指示でこの部活に関わる事になったのだった。自分を見失って泣いていた私はここに来て、色々と元の形に戻っていった。

 無気力なままに使命に突き動かされて、大人にも子供にもなれなかった私をずっと生徒として先生は見てくれていたし、そういった凝り固まりをやり直す場を用意してくれた。

 だからこそ学園都市という『子供』たちの集う研究機関で、もう一度歩きなおす事が出来たのだ。

 

 「あの……」

 

 普段、というかここ最近の先生はわりとロクでもない事を言ったり、「やっぱり冬毛と夏毛って入れ替わるの?」とか、セクハラ気味な事を言ってきたり(まぁ、転生した時、私も最初気になっていたけども)と、わりとどうかと思う事が多いのだけど、やっぱり信用出来る『大人』という事を実感させられる。

 けれど、やっぱり思うところがあったり、事あるごとに私の尻尾と耳をモフモフすることを狙ってる節があるので素直に言うのも憚られる。だから、小声で口に出す。

 

 「ありがとう、ございました……」

 ──んー? もう一度言ってくれると先生は嬉しいなぁ!

 「やっぱり何でもありません!!」

 

 ニヤニヤと表情を浮かべてこちらをからかってきたものだから、そっぽを向いてやる。やっぱり『大人』はキライ!!   

 そんなやり取りをしていたら、モモイちゃんが何してるのか聞いて来て、ミドリちゃんが憧れとジェラシーな視線を向けてきていたりと結局うやむやになった。

 ちゃんと聞いてたのかな……別に聞いてなくてもいいんですけどね。

 

 そんな騒がしい祝勝会は夜が更けるまで続いていた。やがて先生が帰り、双子姉妹が寮へと戻り、アリスちゃんが船を漕ぎ始めた。

 そんなアリスちゃんを横たえ、タオルケットを掛けているとユズちゃんから声が掛かる。

 

 「あ、あの……、アキさん。ゲーム、やりませんか?」

 「ん? いいよ」

 「アキさん、わ、私、少しだけ、少しだけかもしれないんですけど……頑張ったんです!」

 

 うん、と静かに頷きながら、ユズちゃんの左隣に座りなおす。すると、「え、えい!」と、小さな身体を預けてきた。肩に掛かる温もりと確かな重さを感じながら、そっと左手で頭を撫でた。

 

 「お疲れ様、頑張ったね」

 「は……はい、私、部長としても、それに、アキさんに近づく為にも、頑張りました!!」

 「……そっか、ありがとね」 

 「アキさんの手、暖かいです」

 

 私よりもずっと凄いよ、と言いかけて、口を閉じる。

 彼女は実際頑張った。きっと私が知らないところでもずっと。手放しで褒められたっていい頃の筈だ。今は茶々を入れるよりも、まずは認めてあげよう。……私が誰かにそうして欲しかったのだから。

 初めて出会った時のように、一緒にゲームをしながらぽつりぽつりと話していく。嬉しかった事、驚いたこと、今回の作品に掛けた想い。

 画面を見ながら話すため、互いに顔は合わせない。

 けれど、肩に乗っかる重さと温かさの分だけ、ユズちゃんとの距離が近づいた。そんな気がした。

 静かに静かに祝勝会の二次会は続いていく。

 

 「──わ、私、アキさんと結婚します!」

 「ウソぉ!! 神性ゲームのレトロバージョン、誰とでも結婚出来るの!? 対戦相手なんだけど私!!」

 「し、幸せな家庭を、創りましょうね……!!」 

 

 結局、子宝に恵まれて見事にゴールインした。つくづくゲームの世界ってなんでもありだ……。

 

 ◇◇◇◇◇◇

 ミレニアムプライズも終わった翌日。

 早朝にセミナーの執務室へと向かい書類整理をしていたところ、聞き慣れない足音が響いてきた。警戒しながら扉を注視していると飛び込んできたのは黒髪を振り乱して、息を乱したリオ会長だった。

 

 「り、リオ会長!? 今まで何処に! いや……その前になんで走って」

 「話は後よ、アキ。一緒に隠れましょう」 

 

 久しぶりに姿を見せたリオ会長の勢いに押されるままに机の下に隠れた。外の様子に耳をそばだてているとゆっくりと、しかし確かな怒りのニュアンスを秘めた二人の声が外から聞こえてきた。

 

 「その情報は確かなのねノア、会長が姿を見せたっていうのは」

 「えぇ、ミレニアムプライズ前より書類の決裁や細かい修正はしていたのは確認済でしたが、今朝に警戒網に引っ掛かりました」

 「そう……じゃあ、こってり絞ってもいいってことね」

 「ふふ、ユウカちゃんったら、でも、迷惑を被った分は言わなければなりませんね。それはもうしっかりと」

 

 静かに怒り狂う二人の声に、こわっ……。と鳥肌が立つ。シキがやらかした後かそれ以上のお怒りの様子に思わず耳と尻尾の毛も逆立った。今出ていけば巻き込まれずに済むと、立ち上がろうとする。

 しかし、ちょこんと袖口を掴むリオ会長が消え入りそうな声で私を引き留める。

 

 「待ってちょうだい……アキ、待って……」

 「……はぁぁ。もう!!」

 

 ため息を吐きながら座り直した。このリオさんとかいう生き物、数々の天才が在籍するミレニアムの会長をやれるくらいに優秀なのに、かよわい生き物過ぎる……。

 という訳で現在、巻き込まれ机の下に隠れて震えていた。がちゃり、と執務室の扉が開いたり、「怒ってませんから会長出てきてください」と探し回る声が机の向こうから聞こえてくる。もうこうなったら時間の問題だろう。ただただ沙汰を待つのみだ。

 

 「リオ会長、諦めて出ていったほうがいいですよ。両手を挙げていれば撃たれることは無いです。……たぶん」

 「アキにしては非合理的ね。いいかしら、アンガーマネジメントに代表されるように人の怒りの頂点は6秒がピークという研究結果が、つまるところニューロンの伝播速度における……」

 「……足音近づいてます! 静かにっ!!」

 

 小声で囁いていると、どちらかの足音が近づいてくる。「ここにも居ませんね」とノアさんの声がすぐ近く聞こえてきて、二人して口を抑える。

 流石に、もうダメ。と半ば観念をしていると、ノアさんはユウカさんに「他の部屋かもしれませんね」と声が聞こえてきた。

 まさしく天の助け。僥倖。このまま見つからずにそのまま何事も起きませんように。と、念じていると、突然に気配がデスクから離れた。数秒経っても音沙汰がない。気を抜いてため息を小さく吐いた。

 

 「危なかった……」

 「とりあえず当面の危機は去ったようね」

 

 二人して気を緩めた瞬間、逆さまになったノアさんの顔が目の前に突然降ってきた。悲鳴をあげる間もなく、彼女はにっこりと笑い、ハンドガンを突きつけてきた。

 

 「ふふ、二人とも見ぃつけた。……動かないでくださいね?」

 

 微笑みながらも怒り心頭のノアさんの表情に恐怖に足は竦み、ひぃぃぃ、と漏れ出る声と共にリオ会長と抱き合うことしか出来なかった。その後、かくれんぼに加担した私も含めてこってりと絞られた。どうして……。

 何はともあれ、リオ会長が戻りセミナーもまた通常通りの業務に戻る。午前中に私が力仕事や雑務を手伝い、トラブルがあればユウカさんと一緒に事件現場まで駆けていく。そんな毎日も残すところ数日しか無いと考えてしまうと寂しいものだ。

 

 「ほら、リオ会長! アキさん、あと数日しかないんですから! 姿暗ましている場合じゃないんですよ!」

 「えぇ、そうね、確かに寂しくなる。合理的に判断しても戦力的に痛手だわ」

 「自覚があるなら、ちゃんと仕事場に来てください!!」 

 

 そのやり取りにノアさんがふふ、と笑う。

 

 「アキさんが居なくなって、そしてあの子が帰ってくる。しばらくセミナーは忙しくなりそうですね」

 「……そうだった。ネル先輩に連絡入れておいて、反省室を空けてあるわって」

 

 長すぎると感じていた休暇もあっという間に過ぎてしまって、残すところあと数日となってしまった。セミナーの仕事のお手伝いをして午前中を過ごした日々もまた終わってしまう。思えば色々と刺激的だった。主にエンジニア部のせいだけど。ユウカさん的にはこの後にトラブルメーカーが帰還するそうで、体力が持たないと嘆いていた。

 

 体力と言えば、たまに体力維持の為にトレーニング部の乙花スミレさんと野正レイさんという黒髪ポニテのスポーツ少女と、茶髪に青い野球キャップの並走に混ぜて貰ったりする日々も終わってしまう。

 初めてブートキャンプ半日コース完走してくれて嬉しいです。と言ってくれたスミレさん。彼女のスポーツ理論面白かったな。トレーニングも結構な負荷だったし。

 そんな事をリオさんに話したら、「トレーニング部のブートキャンプを喜んで受講するような生徒はミレニアムには1%も居ないわ」何故ならばあまりにも過酷過ぎて皆逃げ出してしまうから。と、渋い顔を浮かべていた。勿体ない。

 ちなみにセミナーの皆にも勧めてみたけれど全員で拒否された。特にリオさんはそれをやるくらいなら、また姿を暗ますわ。と言ってノアさんに白い目で見られていた。

 

 ◇◇◇◇◇◇

 そんな午前中の業務も終わり部室へと向かう。

 そういえばゲーム開発部の皆にもお世話になったし何か贈り物をしたいなと考えていると、中から声が聞こえてきた。

 

 「うげ!! このキャラ、ここで離脱!? スポットキャラだと思わないじゃん!! 今まで注いだお金返してよー!!」

 「モモイちゃん、あきらかに伏線あったよ……」

 

 ただいまー、と声を掛けると、くるりと振り返って皆が反応を返してくれる。いつの間にか先生も来ていて皆の活動を見守っていた。そんな光景も見慣れたもので一か月も居なかったのに随分と馴染んだなぁと、しみじみとしているとつい声に出してしまった。 

 

 「思えば、長いようで短かったなぁ……そろそろ休暇も終わっちゃうし、しばらく来れないと思うと寂しい」

 「何言ってるのアキさん! これからも手伝ってくれるんでしょ!……アレ?」

 

 ポツリと呟いた言葉に皆の視線が集まる。急に静まり返ってしまった部室内に誰かが片手に持っていたクッキーが落ちた音が部室に響いた。

 

 「あれ、嘘? アキさんが居なく……なる……?」

 「うわ、ユズが倒れた!!」

 

 くらりと来たユズちゃんをゆさゆさと揺さぶるモモイちゃんと先生。その動揺が伝播するように他の人もあたふたとし始める。

 

 「どうしようお姉ちゃん……。アキさん。あと何日? ここにいるのが自然過ぎて忘れてたっ!!」

 「えーっ!! もっとここに居ようよ!!! じゃないと、怒ったユウカの対応とか、ケースをバラバラに入れたゲームソフトの整理とか、休憩時間の紅茶とか出てこなくなっちゃうじゃん!!」

 「待ってお姉ちゃん、アキさんが居なくなったら……買い出しとか、掃除とかは……私達が……?」

 「嘘っ!? そうじゃん!! やっぱり延期しよう! あと三年くらい!!」

 

 双子がわちゃわちゃとし始めて、気が付くと横に立っていたアリスちゃんが不安げに私の片手を掴んでいた。

 

 「アリスもアキが居ない生活の想像がつきません……アリスの髪の毎日のドライヤーは一体誰が……」

 

 様々な箇所から悲鳴が上がり、私に縋りつく三人達。確かにこの休暇期間中、色々とやったもんなぁ。この子達手の掛かる妹みたいで、可愛かったし……。つい甘やかしてしまったんだ。

 そんな光景を見て先生が珍しくため息を吐いた。

 

 ──アキ、甘やかしすぎじゃない?

 「後輩の皆って可愛くて、とか、妹みたいでついつい甘やかしてしまった。というのもそうなんですけど、SRTのときは整理整頓してないと容赦なく訓練用の的にされたので……」

 

 ついクセで……と答える。それだから普段から寝れてないんだよ、と、先生から突き刺さる視線をかいくぐりつつ、騒ぎを鎮静に向けて色々と全員をあやし始めた。

 寂しいがそろそろここを離れなければならないのも事実だし、そろそろ帰ってくる? と、毎日送ってくるホシノちゃんを始めとしたアビドスの生徒達の連絡も激しくなってきた。シロコちゃんに至っては帰ってこないと銀行を襲うと言い始めている。そろそろ治安とかも心配になってきちゃったな……。

 そんな心配を他所に、あの手この手で引き留めようとする彼女達を宥めながら全員の顔を見て一人に約束していく。

 

 「また休みの日に遊びに来るから、ね? ほら、アリスちゃんもドライヤーの仕方一緒に覚えよ?」

 「うぅ……寂しいけど、仕方ない! 最終日は皆でアキさんのお別れ会しようね!!」

 「あ、アキさん。その……今度オンラインでゲームやりませんか!!! それなら毎日……」

 「ま、毎日は難しいけど、一緒にやろうね!」

 

 アリスちゃんには数日の間にドライヤーやら色々と気になっていた身だしなみを教える事を約束し、ミドリちゃんには今度大人っぽいコーデの仕方や、私が良く行く店に連れていって欲しいとお願いされた。……後で有識者達に教えて貰おう。

 もみくちゃにされる様子を先生はニコニコとしながら見守っていた。お見通しみたいな顔を浮かべてるなぁ! ちょっとは手伝って!

 

 結局、何のゲームが好きかで話したり、最後の日は皆で徹夜でゲーム漬けになることを約束したりと、様々な約束を交わしながら終わりの日に向かっていく。

 

 いつも通りで特別な毎日の終わりが、すぐ近くに迫っていた。

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 そして休暇の最終日の前日。

 皆で徹夜でゲームをして、その裏で送別会の日の準備が進んでいた。お世話になった人が協力して飾り付けやプレゼントを用意していた夜。

 二つのことが起きた。

 

 1つ目は連絡。深夜でもまだ起きているようなハッカー集団『ヴェリタス』のマキからもたらされたメッセージ。

 

 『モモミド、廃墟からロボット拾って来たんだけど、明日見に来ない?』

 

 2つ目は警告。皆で楽しんでいる最中に廃虚から回収したデータ『key』を取り込んだゲーム機が一人でに起動した事。

 去りゆく日常を追いかけることに夢中で、誰も気づくことのなかったその警告。それはゲーム機の画面に浮かび上がっていた。

 

 ──Divi:Sion。

 

 兵器工場、自立型機動兵器、そして『名も無き神々の王女』を暗示する言葉は静かに騒がしい夜に浸透していく。

 

 けれど、その時の私は知る由もなかった。誰かの用意した善意の欠片達がその日を引き起こすことを。見逃したサイン、避けては通れなかった不可逆の問題達の事を。

 奇跡を起こしてでも届かない過ちとその証明が、騒がしくも楽しい日常を過去のものにすることを。

 

 ぎぃ、と、古びた扉が、私の背後で音を鳴らす。

 

 前を向き始めた私は、心の中で響く音に気づくことはなかった。

 

 

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