元SRT学園のNo2の転生者がヴァルキューレで閑職をやる話   作:宵越しのモルス

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はい、筆者が投稿するまでにビナーくんと、ケセドくんと、ケテルくんと、ホドくんが静かになってしまいました。甦れ……甦れ……


第38話

 ミレニアムの広場は喧騒が絶えず、常に研究の成果、推しの部品店。最近のマイ銃の改造の方法が生徒の間を飛び交っている。その騒がしい一角に先生たちが沈痛な顔を突き合わせていた。

 アリスがリオに連れていかれた次の朝。C&C、ヴェリタスのハレ、コタマ、マキ、そしてゲーム開発部、そして先生が集まって話をしている。

 

 「リオ会長がアリスちゃんを連れていくなんて……」

 「それってヤバくない?」

 「どうなるんでしょうか……」

 

 ハレとマキ、コタマが沈んだ顔で顔色を窺っていた。事態の顛末がヴェリタス、そしてネルを除くC&Cに伝わり、誰もが重い表情を浮かべている。

 トキ、コールサイン04と名乗った少女。それはアカネによると、存在を秘匿されたリオのボディーガード。とのこと。噂程度の存在であり姿を見せたのは初めてだという。

 持っている情報はゼロに近く、ほとんどが闇の中だ。ポツリ、ポツリと全員が不安を漏らす中、ネルが先生に向けて口を開いた。

 

 「なぁ、先生。私が手も足も出なかったアイツはさ、ヘイローを破壊するって話に眉一つ動かさなかったんだ」

 

 コールサイン04と名乗ったアイツはリオの言っている事を理解できているのか? それを了承して行動してるのか? なんでゲームが出来るだけのチビがそんな目に合ってる? それに怪我したアキも襲ったとアイツは言っていた。怪我人を追い打ちするような事が本当に正しい事か?

 矢継ぎ早にネルは口に出していく。

 

 「……あたしに教えてくれよ先生。何が起きてる?」

 ──ネル……。

 

 先生もまた何を言うべきか逡巡する。その迷いが直近で見ていたユズ、ミドリにも伝播し、更に表情が暗くなった。

 昨晩、アキの事をリオに話された後、信頼出来る場所に匿ってもらっていて、無事であるという事は伝えてある。しかし、怪我したのは本当だ。ここに戻ってくるかどうかは分からない。

 

 「そうだ、アキさんも怪我で……」

 「お姉ちゃん……どうしよう……?」

 

 ぎゅっと袖を握られたモモイもまた黙りこくっていた。

 しかし、彼女は、バッ、と顔をすぐさま上げる

 

 「──そんなの決まってるじゃん!! 皆で全部取り戻すの! ……アレ?」

 

 え? これ、そういう集まりじゃなかったの? これからそれを話しあうんだよね? とモモイが目を丸くしながら周囲を見渡す。アリスを取り戻して、皆でアキさんのお見舞いに行って、全部全部解決して、ハッピーエンドを目指すんだよね? と、先生の方を向く。

 その発言に先生を含め呆気に取られる中、沈黙を破り真っ先に反応したのはネルだった。

 

 「お前……良いこと言うじゃねぇか!」

 

 パァン、とモモイの背中を叩き、そして大きく笑う。

 

 「そうだよな、気に入らなかったら、ぶっ飛ばせばいい」

 「あだっ!? いつつ……、そうだよ、てか、ミドリにもユズにも昨日言ったじゃん!!」

 

 ひょっとして聞いてなかったの? と、ぶーぶーと文句を叫ぶモモイに二人が目を逸らす。

 

 ──昨日の出来事があったばかりだからね。仕方ないよ。

 

 むしろモモイが凄いね。と先生が笑う。

 その声に「私だって、胸がぎゅーっとしたし、少しは悩んだよ」といいながら、もう一度皆を見る。

 

 「でも、ここで沈んでたって何にもならないでしょ? アリスの件だってそうだし、アキさんの事もそう!!」

 「た、確かに……そう、だよね……!!」

 「お姉ちゃん……。うん、そうだよ」

 

 ユズもミドリも彼女のいう事に同意し、その雰囲気が周囲に伝播していく。暗雲から光が差したように次々と皆の瞳に生気が戻る。それに呼応するようにネルが「ついて来てくれるよな?」とC&Cのメンバーに発破を掛け、アスナを始めとして、全員が頷いている。ヴェリタスの三人組もまた同時にモモイに賛同し全員が同じ方向を向く。

 

 「じゃあ、決まりだね!!」

 「え、エンジニア部も協力して貰えたり、とか……あの時、助けてくれたし……」

 「ユズちゃん、それいいアイデアかも!」

 

 元気よくモモイが声を発し、ユズもまた声を挙げ、ミドリも続く。空気が変わり各々がどうすればいいのか、と口々に意見を言い始めた。雰囲気が好転し、目先が広がり始めたのを誰しも感じていた。

 そして、その中で誰かがこれからどうすればいいのかと先生に問いかけた。それを受けて先生は端末を取り出して電話を掛け始める。

 

 ──もちろんエンジニア部にも聞いてみよう。でも、まずはセミナーの事だし、ユウカにも話を聞いてみようか。もしかしたら居場所が分かるかもしれない。

 

 画面越しに昨日の出来事をユウカ、そしてノアに報告すると、二人とも目を見開いた。

 

 「会長がそんな事をするなんて……」

 「突飛な事をする方だとは思ってましたが、まさか……そんな事を」

 

 アリスの殺害を命じた事。そして、ミレニアムに対して献身的な姿勢を示してくれた客人に対して攻撃を加え、あまつさえ拉致まで実行しようとした。

 それが信じられないと、ユウカは怒りで肩を震わせる。

 

 「いくら会長でもやっていい事と悪い事があるわよ……!」

 「ゆ、ユウカが怒ってる」

 

 モモイが怒気に気圧され、ノアが仕方ないですね、ユウカちゃん、アキさん大好きでしたし、といった風に目を閉じる。

 怒りのままに会長の居所を調べてきます。とユウカが去り、ノアもそれに続く。そして少しの時間の後に、目元を揉みながらもミレニアムの資金を横領し、秘密裏に都市を建造していた事を告げる。

 

 「まさか……こんな額を横領していたなんて、会計として自身無くすわ」

 「ユウカちゃんのせいではないですよ」

 

 落ち込みつつも、ユウカはリオが作り上げた都市に関しての情報を話し出した──。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 「──エリドゥ?」

 「はい。リオがコソコソ、コツコツとバベルの塔の様に積み上げた、対終末防衛都市です」

 

 通話越しのシキの映像が多少のノイズと共に、私に向き合っている。

 地形はこのように、と、航空写真の様な見取り図を3Dデータで送付された。事細かに分析されていて彼女の予測込みの内部構造まで記載されていた。

 MGRS(線を格子状に引いてグリットごとにポイントを仕分ける事)に区分けしたソレを頭に叩き込みつつ、SRTのカロリーバーを齧る。チョコレート味が正義。

 

 「随分と地形に詳しいね? 航空写真?」

 「はい、ヒマリの個人衛星を間借りして、覗き見しました」

 「……なんて??」

 

 なんで個人で偵察衛星を持っているんだろう? ヒマリさんとリオ会長とシキの関係はどうにも複雑そうだ。勝手に借りて大丈夫? と聞いても「痕跡を敢えて残しているのに見逃されているので、きっと大丈夫です。ダメだった時は勝手に借りるだけですから。うふふ」と返ってくるだけだったので、これ以上聞かない事にした。

 

 「さて……隊長。これからヘリから突入する場所は例えるのなら石橋を鉄筋コンクリートに製造し直し、更に耐震、耐爆、対熱、対電子戦等の各機能を全て盛り付けて、それを核シェルターで3重に覆ったような場所でだと予想できます」

 「そ、そんなに………?」

 

 神妙な顔でシキは頷く。冗談であって欲しかったのだけど……。元々石橋を叩いて渡るタイプなのは一緒にいて理解はしていたけれど、随分な念の入れようだ。そもそも何を想定してそこまでガチガチに要塞化しているのだろう。

 

 「……可能な限り、全てを救い上げるつもりなのでしょうね。ビッグシスターの傲慢さは変わっていないようで」

 「ビックシスター? それって……妹、姉、どっち?」

 「うふふ、ヒマリが言い出した事ですが、どっちだと思いますか?」

 

 ノーコメントで、と答え、彼女について思考を巡らせた。

 周囲の事を厭わずに正しい事だけを見つめて、最短距離の方法を採る。それは私が過去にやった事でもあって、苦い思い出を作る原因にもなった事だ。

 自分だけが傷つくのであればそれでいいと思っていた。実際、今だってそれを完全に否定出来る程、私は自分を好きになれてはいない。けれど『大人』に色々と諭された後に、目の当たりすると何とも言えない気持ちになってしまうのも事実だ。

 

 「気持ちは……分かるかな」

 

 私の答えにシキは何も答えず、笑みで返した。そして、話を本筋に戻しましょう。と彼女は作戦の概要を説明し始めた。

 現在からポイントαに向けてヘリで可能な限り接近し、エアボーンを行う。その後、指揮所を制圧し、人質の救出。という工程ですが。と言葉を切る。

 

 「では、隊長。今回の作戦の遂行の見通しですが……1000%失敗します」

 「……?」

 「あ、間違えました。100000%失敗します」

 「二桁増える事ある???」

 

 これは仮に隊長が1000人で別々の航空機に搭乗し、同時に行動を起こしても失敗するということです。とシキは笑いながら言う。仮にもこっちは命懸けなんだけど??

 

 「隊長、いいですか? 仮にも世界の終わりに備える。と豪語するような施設がたった1人の戦力に潰されたらお笑い草ではありませんか? リオが可哀想ですよ?」

 「え? 私、怒られてる? なんで???」

 

 ゲームに例えるなら、トゥーソフトウェアのゲームを初見武器防具なしノーデスクリアを目指すようなモノであり、南方Projectの最高難度を初見ボム無しノーデスでチャレンジすると豪語しているようなものです。と彼女は言う。……シキ、いつの間にかゲームにハマってない? ユズちゃんに負け続けたの気にしてるのかな……。

 ともかく現状ヘリ一機で『エリドゥ』とやらに上空から侵入するのは不可能に近いらしい。私も戦力の配置予想を見たけれど、あれならまだ裸で1000人いるヘルメット団を倒す方が楽かもしれない。

 そして、陸地から行くのも推奨は出来ない。私は傷病有給内という期限があり、侵入経路から探すという事はタイムリミット的には痛手過ぎる。故にエアボーンするしかない。秘策はある、あるにはある……が。

 

 そうしている間にも、小休止を終えたヘリは空を駆ける。ついにはミレニアムサイエンススクールの領域からも離脱した。

 

 それしか無いんだよね? と最終確認を行うと、シキもまた映像越しに頷いた。そして、いつものDOGGY小隊の作戦行動であれば着陸までのんびりと行い、アフタヌーンティーを楽しむ余裕まで作れたのですけどね? 今回は相手がリオですから、と困った様に笑う。

 DOGGY小隊の作戦参謀が言うのだ。つまり、これから先は激戦である。という事。 

 

 「……分かった。作戦の概要をもう一度最初から」

 

 現搭乗を行っている航空機『雨雲号』により、目標空域『エリドゥ』の上空へと強硬侵入し、降下作戦を実行する第一段階。そして降下後、想定されるAMASの撃破、撃退を行いながら、飛鳥馬トキとの戦闘はなるべく避け、アリスちゃんの回収を行う第二段階。それが大筋だ。

 だが、目標ポイントである要塞は対空の備えが万全であり、それら防衛網をどうにかして潜り抜けなければ、私は空中で塵になり作戦は失敗する。故に第一段階において、シキのサポートが不可欠になる。

 

 「こちらの支援として防衛システムに侵入から干渉までおよそ32秒、そこから一時的なサーバーダウンを行いますが……おそらくリオの構築システムなら約30秒がリミットです」

 「対空火器とその射程は?」

 「射程はスティンガー相当と予想しで4.8km、対空火器にも気を配っているのは間違いありません。ですから、レーダーを誤魔化せるギリギリまで侵入し、およそ10km地点からフレアと妨害工作で距離を稼ぎます」

 

 おそらく隊長が搭乗するヘリですと、おおよそ『2分30秒』の時間が稼ぐことが出来れば、エリドゥに到達が可能かと。と彼女は言う。もちろん、それが成功する保証は高くはありません。とシキは言う。

 

 「対空ミサイルとのランデブーポイントは、おそらくエリドゥを視認してから二秒後。その後、隊長が入った『プレゼントボックス』が射出されるまでが1秒」

 「この作戦の場合、ヘリのコントロール権は──」

 「はぁい、私が遠隔で操作を。あらあら、大丈夫ですよ隊長。この程度の遠隔操作でしたら片手間でも可能ですから」

 

 会話の途中で降下地点予想と示された図面が送付される。これはヘリから脱出した私が降下する地点であり、つまるところ、この借りた『雨雲号 3号機』はスクラップらしい。

 一応、アヤネちゃんには連絡は入れたし許可も貰っている。いるのだが……。

 

 「このヘリ、後で返すつもりだったんだけどなぁ……」

 「あらあら……。隊長が着るべき衣装を着てニコニコ笑顔を浮かべている仕事を1週間ぐらいすれば、きっと元は充分以上に取れるますよ? うふふ」

 「副業禁止!!!」

 

 リオの考案した防衛システムを抜ける為には最高難易度のシューティングゲームを目隠しでやるようなものだ。と私は思う。そんなのチートを使わなければ無理に決まってる。幸い、こちらにはチート武器担当であるシキがいる。危険度は高いながらも実行は可能だ。

 こんな作戦、DOGGY小隊の頃だったらセッちゃんが怒り出して通らなかっただろうなぁ、とぼんやりと考えていると、シキの声で現実に戻された。

 

 「隊長、おそらく降下中もまた砲火に晒されます。その場合は……」

 「分かってる。パージ後に全力で離脱」

 「はぁい。その通りです。……では、私が隊長をサポート出来るのは第一段階までです。ご武運を」

 「忙しい中、ありがとね」

 

 いえいえ、隊長の無茶をお側で見守るのが私の生き甲斐ですから。そうシキはおどけた後にカウントダウンを表示した。私もそれに合わせて時計に目を落とす。

 毎度、時計合わせを行う度に全身が総毛立ち、張り巡らされた緊張感で集中力が増す。落ち込む時間は終わった。負けて悔しい思いも、守れなくて悲しい思いも全部吞み込んで切り替えた。

 

 ──ならば、後はやるだけだ。

 

 シキの目を見て頷く。彼女もそれを受けて、口を開いた。

 

 「夜間の空域侵入から降下後の単独行動の連続作戦。目標はアリスちゃんの奪還及び、リオの暴走の制止」

 「以降の作戦時間確認。時計合わせ、3.2.1。DOGGY1配置完了!!」

 「うふふ、それでは──」

 

 快適な空の旅をどうかお楽しみあれ。

 

 「──状況、開始!!」

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 ヘリのコントロールをオートパイロットとシキに移し、私は第二段階開始までは待機となる。出来る事と言えば、信じる事ぐらいだ。故に祈るような心持ちで外部カメラを眺めていた。

 その数分後、耳を劈くアラートがヘリから発される。レーダーに捕捉されたと言う警報、それに続いて飛来物を知らせるミサイルアラートが鼓膜を揺らした。

 

 「──来たっ!」

 『フレア、一番二番……いえ、全開放っ!!』

 

 熱を持った塵たちが空にバラ撒かれる。それがミサイルの進路を狂わせ、阻害する。少し慌てた様子のシキが全てのフレアを吐き出し、第一波のミサイルの波を乗り切った。

 「あらあら、フレアを吐かせきる波状攻撃はやはり流石ですね。これぐらいは対応済みですか」と、呟き、シキの打鍵の速さが上がる音が聞こえてくる。私はその経過を固唾を飲んで見守るだけだ。

 空中で爆散するミサイルが熱を持った爆風と共に通り抜け、ヘリを揺らす。荒波に飲まれかける小舟のように機体が上下に揺れながらも全速力で空域を駆け抜ける。

「1分経過っ!! 残り88.87……」

 『特装のジャミングチャフ、EMPチャフを広域展開。ハイドラの全弾斉射後に『楔』を放ちます』

 

 雨雲号に積まれたレーダー阻害のミサイルが周辺に放たれ、機器の混乱を招く。対地用のロケットポッドが『エリドゥ』の外壁を直撃し、轟音と共に爆炎が上がる。その隙に、シキはリオの牙城に侵入した。

 

 『防衛システムを解析します』

 

 その声が聞こえた後に打鍵の音だけが聞こえてくる。何も手出しの出来ない私はただひたすらに頼るしかない。うちのチートと、リオのチート、どちらがより強いかの戦い。

 緊張が続く中でシキが言葉を発した。

 

 『侵入完了、ウイルスの注入と欺瞞工作の同時展開。……やはり来ましたね、リオ』

 

 激しい電子戦の応酬を繰り広げている中、現実でもまた異変が発生していた。

 地表から一斉に機銃が放たれる。元々大柄な機体サイズを持つ『雨雲号』はその全てを避け切る事など到底不可能であり、みるみるうちに機体に穴が開く。生きている外部カメラを確認すると、獣に食い荒らされたようにテイルローターが吹き飛んでいた。

 

 「まずっ!? テイルローター破損。コントロール不可!!」

 『……っ!? CIWS『ファランクス』の復旧が速い。何百ものプロテクトを掛けた防衛システムのダウン時に、オートで対応をするプログラムをっ……!?』

 

 念の入れようにシキが舌を巻く。リオの執念が機体を削り取り、高度がみるみるうちに下がっていく。ヘリの尾翼は吹き飛び、メインローターも火を噴き始めた。本格的に機体に火が付き始める。

 

 『……隊長、やはりエリドゥのシステムは堅固でした。急拵えではこちらが限界かと。現在の成功率は0.01%以下』

 

 申し訳なさそうにするシキの声を聞いて、こちらが微笑む。

 

 「──0.01%以下の確率で、成功するんだよね?」

 

 100000分の1でも成功しないと断言した作戦を、彼女は0.01%でも成功するところまで運んでくれた。なら、ここからは私の番だ。

 

 「シキ、ありがとう。このまま行くよ」

 「……!? 隊長、まさか!」

 

 驚愕の声をあげる彼女を久しぶりに聞いたな、と思いながら、私は眼下に広がる『エリドゥ』の防衛システムと、遠くに見えるビル群を見る。

 ここまで来たらやるしか無い。私はアリスちゃんと、リオの手を掴みに来たのだから。

 

 「……相変わらずで安心しました。副隊長でもありませんし、私は止めませんよ? 壊れそうで壊れない隊長を、私は見たいので。うふふ……おかえりなさい。隊長」

 「シキも相変わらずで安心するよ」

 

 あちこちに火を噴いていて数刻も機体は持たない。恐らく、このまま飛び降りても『エリドゥ』の上空前に叩き落されるだろう。であるならば、持ってきた『切り札』を切るべきだ。

 

 「ありがとうシキ、じゃあ、行ってくるね」

 「えぇ、作戦の成功を遠くから覗いております。お気をつけて」

 「DOGGY1──降下!!!」

 

 彼女の言葉に背中を押されて、私は笑みを浮かべる。

 そして、眼下に広がる絶え間ない火線の中に身を踊らせるように、ヘリの外に飛び出した──!!! 

 

  

 




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