元SRT学園のNo2の転生者がヴァルキューレで閑職をやる話   作:宵越しのモルス

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ヒマリオ、アリスケイで二天井叩いたので初投稿です。


第40話

 事態が動き、アキがエリドゥに降り立つ数刻前の事。

 

 私はエリドゥのコントロールタワーの地下へと映像を繋げていた。避難時における離反者用の収容施設の鉄格子の中、そこには車椅子の生徒。『明星ヒマリ』が居た。彼女もまた目的達成の障害として、私の命によりトキの手によって捕えていた。

 声を掛けると相変わらずの美辞麗句を無理矢理に悪態にした言葉と共に、怒りを秘めた瞳を向けてきた。

 

 「あなたがやろうとしている事は、常軌を逸しています」

 「ヒマリ、あなたは常に私を悪しき様に言うのね」

 

 シキが去った後から現在まで、私と貴女は反目し合った。

 それは半歩先を歩く存在に追いつくための競争の日々でもあり、切磋琢磨の日々とも言える。その中で、合理的である事を確固たる根拠として独断で行動する礎にもなった。

 彼女とは少々認識が違うようだが、事実の認識において齟齬というものはすべからく発生するものだ。

 

 「あなたはこの様な暴挙を起こし、一人の後輩の命を摘み取ろうとしている」

 「その先に辿りつく結末は当然承知の上で行動を起こしているわ」

 

 アリスという生徒のヘイローの破壊。その意味は理解している。キヴォトスにおいて、それがどういう意味をするのかも。それが例え地獄への道だとしても、ミレニアムの為に背負う覚悟がある。

 私と同等以上の思考能力を持つヒマリであれば合理的に考えれば理解はできるはずと思っていたのだけど、と思わずヒマリに零す。

 この件も、そしてこれ以前も、私のやり方や言動に問題が在るようで表立って行動する度に周りからは人が消えていった。

 好ましく思っていた者、疎ましく思っていた者、遠巻きな関係から一人一人居なくなっていく。始めは原因を分析していたけれど、途中で分析をやめて孤独と共に歩むことを選んだ。

 故にこれは惰性である。同じような局面で似たような選択をした『彼女』がやってきた事を告げるアラートを聞いた時。少なからず落胆を感じてしまったのは、きっと私が孤独に適応しきれていないだけだ。

 

 領空の侵入を知らせる警報と共に映像が映し出される。映像にはヘリコプターを操るアキの姿があった。

 

 「これでC&Cも、先生も、そして、近藤アキも、そして、それに従うシキも敵に回った」

 

 ぎゅっと、自身の腕に爪を喰い込ませる。

 けれど止まる訳には行かない。アリスのヘイローの破壊を行わなければキヴォトスに『名も無き神々の王女』が復活し、滅亡の憂き目にあう。

 その事態の把握と予測。それを完全に行う為に幾億回とシュミレートを行った。結果としてこの選択が最短であり『合理的』選択だった。

 独り言を聞き届けたヒマリは、ため息を吐く。

 

 「確かに貴女の選択は合理的かもしれません。最短で確実。実にあなたらしいやり方です」

 「なら……」

 「ですが、その悩みを誰かに相談しましたか?」

 

 虚を突かれて鼻白む。その態度が気に入ったのか、彼女は笑みを浮かべた。

 

 「シキが去った時もそうでしたが、あなた達は可能性を切り捨て過ぎています」

  

 シキの場合は自分の運命すらも破壊と再生という大きな流れの部品の一つとして捉えている節がありますので、正確には貴女とは違いますが。と、困った様に言う。

 

 「それでもシキは寄りかかる先を見つけました。いささか、寄りかかる相手は思うところが無いわけではないですけど。リオ、貴女はそれすらも怠っているのです」

 「……誰かに事情を話して、理解し、寄り添ってくれるとは思えないもの」

 

 私を嫌うものは多い。それは純然たる事実であり矯正は難しい。その事を理解してるからこそ、誰かに悩みを打ち明けると言う時間的リソースを他に割り振る方が合理的だという事を理解している。

 話している途中、一瞬だけ隣り合って座った時の誰かの()()の感覚が頭を過った(よぎった)

 

 「やはり、私達は相互理解は不可能な様ですね」

 「ヒマリ……?」

 

 会話を区切る様にして、彼女はため息を吐く。そして短く一言、「さようなら」とだけ告げ、彼女との通信が途絶えた。

 予想外の事に動揺を隠せずにコンソールを叩く、すると監視カメラの映像にヒマリを助ける『和泉元エイミ』の姿があった。

 

 「そう……、貴女も理解してくれないのね」

 

 ポツリ、と言葉を零す。一人のコントロールルームに私だけが残ってしまった。

 状況的に見て正しい事をしているのに、誰もが私を見て間違っていると言う。

 胸に沈み込む鉛のような重圧も、遠くで感じる痛みの様な感覚も全ては心因性ストレスが生み出した幻でしかない。それが真理であり、これから成すことにおいて必要の無いものだ。

 

 『その決断は……痛い、ですよ。痛くて痛くて耐えられるものでは、ありません』

 

 面と向かって言われたアキの言葉が頭に浮かぶ。命令でも無く、立場でも無く、私を(おもんばか)り、同じ立場からの視点を共有しようとした彼女。

 今まで私の表面を観測し、立場上で理解を示した人間は居た。ヒマリやシキの様に同じ視座の高さで意気投合した相手は居た。同じ学校でもなく、同じような高度な事を語れる相手でも無い、ただの一人。その筈だ。それでも、ふとした時に仮定を考えてしまう。

 もし、彼女の提案を受け入れて悩みを打ち明けたのなら。私は違う岐路に立っていたのかもしれない。と。

 

 「その仮定は無意味ね。それに私はアキを拒絶し、あまつさえ敵対の意を示した」

 

 決して心が動かぬように、浮ついた心に錨を落とし固定する。そうすれば淡々と事実だけが残る。『彼女はアリスを救いに、私と敵対状態にある』それだけだ。

 何処かで膝を抱えて泣いている私が叫んでいる。ズキリ、と痛む心を他人事のように見捨てた。

 

 ──それはただ、より多くの人達の為に。

 

 エリドゥに降り立った彼女を見つめた。変数ではあれど対策もまたされている。故に問題はない。

 分断工作を乗り越え、トキと互角以上に戦闘を繰り広げているC&C。そしてアバンギャルド君を行動不能にした先生達。

 それらは『名も無き神々の力』とエリドゥの演算機能によって敗北するのだから。

 

 「トキ、一度帰還しなさい。装備の開放を許可するわ」

 『……イエスマム』

 

 全ては問題はない。きっと彼女達もまた説明すれば理解してくれる事だろう。仮に理解が成されなかったとしても、糾弾を受け入れる覚悟はとうに決めている。

 何処かで浮かぶ気持ちを深く沈めて、コンソールを冷静に叩いた。

 

 ◇◇◇◇◇◇

 もうもうと舞い上がる粉塵と、落下の衝撃を全て吸った機械の親玉みたいな巨大ロボ。そして、それにめり込んでいるペロロ様という何ともシュールな光景が出来上がっていた。

 『エリドゥ』に来る前にミレニアムに立ち寄った際に勝手に拝借した。エンジニア部の部室に完全に整備された状態で置かれていて、『私は好きにやった、キミも好きにするといい』と書かれていたメモがあったのは思わず笑ってしまったけど。

 エンジニア部に限らずユウカさんから貰ったパスキーを使えばほぼ何処にだって忍び込める。改めて、部外者貰っちゃダメなものだったと思う。それくらい信頼されてるんだろうけど……悪用したことに心が痛む。

 

 硝煙の中、対空砲火を潜り抜け、そして落下の際にアバンギャルド君の応射も全て受け止めてくれたペロロ様に軽く礼をして、その場から離れる。そして、近くで尻もちをついていたユズちゃんに駆け寄った。

 目を白黒させながら何か言おうとしている彼女。怖くて泣きそうになっていたのか、目元には涙が滲んでいる。抱きしめて褒めてあげたいくらいだけど、まずは爆発の危険のある場所から離脱する事が優先だ。

 彼女の軽い身体を抱え込み、お姫様抱っこをして走っていく。随分と息が上がっているのか、彼女の顔は真っ赤に上気していた。

 

 「怪我は無い?」

 「ひゃ、ひゃい……!!」

 「頑張ったね。あとは任せて」

 

 安全なところまで駆け足で運ぶ。その途中、先生とも目が合ったが心配して連絡をくれたのに、全て既読スルーしてしまった為、少々バツが悪い。

 今度、先生の為に何かしてあげようかな、と思いつつ、先生とすれ違う。

 

 ──よく来てくれたね、ありがとう、アキ。

 「……そういう所ですよ、本当に」

 

 短く会話を交わし、すぐさまエンジニア部と交戦しているAMAS達の間に割って入る。

 重くなっていた身体が軽い。そして先生のよく通る指揮が耳に鮮明に入ってくる。何処までも行けそうだ。

 二丁の牙を構え、瞬時に振り向いた機体を穴だらけにする。フルオートで発射したときの暴れ馬のような反動がいつも以上に制御しやすい。絶好調だ。

 そのままに横薙ぎに一閃し、最前列の機体を全て薙ぎ払う。跳ね飛ばされたロボット達が周辺を巻き込んで派手に爆炎を上げた。即座に隊列の穴に飛び込んで更に包囲を喰い破っていく!!

 

 「アキさん、あんなに強かったんだ……。お姉ちゃん、私達、あの人に色々お世話されてたの……?」

 「す……すご……一人だけゲームが違くない? やっちゃえーアキさん!!」

 「「「フレーフレー、アーキ!」」」 

 

 背中から聞こえてくる歓声(?)を受けて、更に身体が加速する。第一包囲を抜け、第二の包囲へ。

 空中にいる飛行ドローンを叩き落とし、ボレーシュートの要領で落ちてきた残骸を空中で蹴り上げ、地上のAMASに叩き込んだ! 直撃した前列のAMASが大きく揺らぎ動かなくなるのを視界に入れながら、腰につけたスモークグレネードのピンを口で引き抜き投げつける。四方八方が煙で塞がれた中を細かくジグザグに交錯しながら一気に肉薄。集団に潜り込み、内側から喰い破る様に壊滅させた。

 飛び交う銃弾もカイザーの基地の精鋭達にに比べれば機械的で読みやすく、当たった所で調子がいい為か大して威力も感じない。両指がトリガーを引くたびに敵が倒れ、爆炎を上げた。

 目の前を覆いつくすぐらいのAMASの軍団が、ある程度まばらになり始め視界が開けた頃。前衛を後退しマガジンを先生から受け取り、一息吐いていた。

 そろそろコントロールタワーへと走りだす算段をつけていた頃。急に空中に映像が浮かぶ。そこに映ったのは私が会いに来た一人、調月リオだった。

 

 『アキ、貴女が来ることもまた想定していた。そして、それに対応する予備兵力もまた準備してあるわ』

 「リオ、会いに来たよ。ちょっとお時間いいかな?」

 『……話す事など無いわ。ここであなた達は終わりなのだから』

 

 彼女は私から目を逸らし、通話が切られる。その直後、地鳴りと共にコントロールタワーへの道から新たな巨体が現れた。誰もが戦慄する中でその見覚えのあるボディと目立つ頭部を見て誰かが呟いた。

 

 「二体目の……アバンギャルド君……」

 

 現れたのは以前にリオが嬉々として解説してくれた、合理的デザインの極み(らしい)アバンギャルド君というロボットだった。

 上半身は以前見たそれだったのだけど……。下半身は一台目のようなキャタピラではなく、見覚えのある四脚の足が生えていた。なんと、上半身より下はシキの四脚戦車と合体していたのだ。余計に見た目が大変な事になっている……。

 そんなデザインを見たエンジニア部たちが感心の声を上げた。

 

 「これは……アレだな」

 「アレだね、部長」

 「納期に間に合わせるための『仕様』という奴ですね!!!」

 ──異形ロボだ、カッコイイ!!

 

 『カッコイイ……? アレが……?』と、先生とエンジニア部が、やいのやいのと盛り上がるのを冷ややかに見つつ、敵を見据える。リオのセンスもちょっと謎だけど、それで喜ぶ先生達も謎だ。

 やっぱりもっと可愛い方がいいよね。リボンつけるとか、ドレス着せるとか。

 そんな事を考えていたら、背中を警戒していた子達からも悲鳴が上がる。なんと高架下に叩き落し行動不能になっていた初代アバンギャルド君がペロロ様を頭部にめり込んだ状態で、こちらに爆走してきていた。

 

 「まだ動くの!?」

 「嘘ぉ!! アキさんがカッコよく登場して完全に死んだ流れだったじゃん!!」

 「こ、これで挟まれ……ちゃった……?」

 

 浮足立つ中で先生が私を見る。その表情にはあまり深刻そうな表情は浮かんでいなかった。

 随分と信頼して貰っているようだけど、私一人が出来る事なんてたかが知れてるのは、先生も理解して欲しい。けど、その信頼に応えたいのも人情だ。

 

 「みんな、こっちへ走って!! 最前列を受け持つから!!」

 

 全員に檄を飛ばし、先頭へと駆け出した。アバンギャルド君もこちらを視認し、私の腰回りぐらいありそうな四対の手足が向けられ、即座に掃射が開始された。

 驟雨の様に飛んでくる銃弾を、コンクリートが砕ける程の踏み込みで躱していく。それでも『エリドゥ』の演算機能は恐ろしく、結構な速度で走っている筈なのに照準がしっかりとついて来ては衣服を削っていく。

 逆に反撃をしたところで、致命傷には至らない程の分厚い装甲と、見た目の奇怪さとは裏腹に機敏に動く機動力を兼ね備えていて、私の装備では決定打になり得るものは無かった。

 後方に迫っている機体はシキのハッキングのおかげで行動が鈍っていた。故に運よく破壊できたのだが……。私ではそんな事を出来る訳がない。

 この状況は私だけでは打開は難しい。だが──。

 

 「そろそろ……かな?」

 『mirror system 起動』

 

 リオに通信網が掌握されてから全く音がしなかったインカムから、短く、けれど確かに『ノイズ』が走った。

 その直後、騒がしい声が耳に入ってくる。

 

 『やっと復活した!! ミド、モモ大丈夫!?』

 『通信状態回復したよ。支配領域の復元完了』

 『マイク、音拾いました。視界確保。支援再開します』

 

 ヴェリタスの三人組の声が聞こえてきて、ミドリちゃん、モモイちゃんからも歓声が上がる。

 そして、別の通信も同時に入ってくる。眼鏡を掛けた黒髪のショートヘアが素敵な大人びた風貌を持つ三年生の映像が浮かび上がった。

 

 『良かった。まだ無事みたいね。保管庫には入れたよ』

 「チヒロさん、ナイスタイミングっ!!」

 

 待ちわびた通信が掛かってきて思わず両手に力がこもる。ミレニアムに立ち寄った際のもう一つの仕掛けとして、ユウカさんに貰ったカードキーをチヒロさんに渡していたのだ。

 流石にセミナーの権限に限りなく近いものを渡すのは限りなく躊躇うのだが、ヴェリタスの副部長かつホワイトハッカーという善よりの人物だからこそ信じて託すことが出来た。ありがとう……ヴェリタスのお母さん。

 

 「チヒロ先輩……何で保管庫に?」

 「お姉ちゃん、アレだよ! ゲーム作るときに使おうとした」

 「も、もしかして、『鏡』……?」

 

 ヒマリさんとリオが作り上げたハッキングツールである『鏡』。天才二人の合作であるツールはリオの作り上げた絶対都市ですらも容易に侵入可能だったようだ。一瞬だけとは言え、ツール無しでシステムダウンさせたシキは一体……。

 そんな背筋が凍る思いを振り払うように通信に集中すると、通話の後ろで爆発音が響いている。問いただすか悩んでいると、チヒロさんが先に応えてくれた。

 

 「リオも『鏡』の危険性には気づいてたみたい。タッチの差で間に合ったけど、破壊部隊と戦闘中。だけど、たまたま手を貸してくれる子が居てね」

 

 チヒロさんが応援者の通話音声を拾い上げると、良く知る声が聞こえてくる。

 

 「話は聞かせて貰いました。アリスさんは貴重なトレーニング志望者。それにブートキャンプの貴重な完走者を手伝わない訳にはいきませんから」

 「それにアリスさんは野球部のお手伝い……クエストを一緒にやった仲、ですからね!! ……って、HEAT弾!? うわああああぁ!!!」

 「スミレさん、レイさん……ありがとうっ!!」

  

 トレーニング部の二人が駆けつけてくれたのを聞いて、胸が熱くなる。レイさんは後日お手伝いしに行こう。うん。

 その爆破音の中でチヒロさんがマキさん、ハレさん、コタマさんに指示を出した。

 

 『とりあえず、その障害を取り除こうか。先生、準備はいい?』

 ──さっすがチヒロ! ミレニアムの女神!!

 

 先生の返しに照れた表情を見せながらも、チヒロママ達天才ハッカー集団『ヴェリタス』の腕は落ちはしない。

 

 「アバンギャルド君の動きがっ!!」

 「お、遅くなった!!」

 「ボーナスターイムっ!!」

 ──皆、行くよっ!!

 

 突然の支援により上がった気炎を逃さず、先生は大声を張り上げる。彼の指揮の下で統率された射撃が開始された。

 動きの鈍らせた機体に弾倉が叩き込まれ、左腕上腕が吹き飛んでコンクリートに波紋を刻む。バラバラと空薬莢が地面で踊り狂い、強くなった雨音の様な、それでいて爆竹が爆ぜる様な音が5秒、6秒と続いた。

 ハイウェイの一車線を塞ぐ程の巨体が項垂れ、沈黙する。穴だらけの装甲版が不思議な絵を描き、散らかし切った子供部屋の様に、焦げ付いたパーツがあちこちに散らばって煙を上げていた。

 それらを飛び越えて、私達は疾走する。すぐ後ろにも脅威が迫っているのだ。ペロロ様をめり込ませたままに無限軌道が瓦礫を巻き込み、粉塵に変えながら肉薄する巨体。

 破砕音、振動、そして追いすがるように放つ銃弾が背中を捉えて小突かれた程の痛みが走る。それに耐えきれずモモイちゃんが振り向き様に叫ぶ。

 

 「ヤバいヤバい、後ろのアバンギャルド君はっ……!?」

 「ウタハさんっ! 頭のペロロ様をっ!」

 「……──!? あぁ、そうだった! ──我々の十八番だなっ!!」

 

 息をせき切って走るウタハさんが、ドクロマークがついたスイッチをポケットから取り出して、即座に指に掛けた。

 

 「ポチっとな」

 

 顔にめり込んだペロロ様が光り輝き、眩い閃光が目を閉じさせる。そのすぐ後に耳を劈く爆発音が響き立っていられないような強風が、足を絡め取ろうと巻き付いてきた。

 見上げると黒々としたドクロの煙が浮かんでいる。その煙の下には、頭部が欠落したロボットが四本の腕をだらんと下げて沈黙していた。

 

 「ふぅ……頭部を破壊されたロボットは」

 「──失格となる。やったね部長」

 「ロボット相撲大会ではないので、この場合はただの撃破ですね!」

 

 ぜぇぜぇ、と息を切らしながらエンジニア部がサムズアップして、その場にへたり込む。滝のように流れる汗と、上下する肩。酸欠により真っ青になった顔がこちらを見上げていた。

 

 「どうやら、私達はここまでらしい」

 「皆ごめん……」

 「私達、離脱します……!」

 

 エリドゥの地上に来てから戦闘が立て続けに起こり、動き続けたのは戦闘経験も体力も少ない彼女らに少々キツい行程だったらしい。

 

 「この後は任せて、アキさんを連れてきてくれてありがとう」

  

 モモイちゃんを皮切りに、次々とお礼を告げ先へ急ぐ。目指すはエリドゥの中心地であるコントロールタワー。

 ヴェリタスの先導を受けながら私達は駆けていった。

 

 「リオ、アリスちゃん。待っててね」

 




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