終末秒読みのオーバーライト   作:蒸しパンナちゃん

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白い花畑の少女

 

 デッキができたので対戦がしたい。

 

 画面端にあるクエストのタブを見ると様々なこれやれあれやれみたいなのが見られるのだが、まぁだいたい三割以上は「とにかくバトルしろ」というものだった。

 勝たなきゃだめってクエストもあるが、勝ち負けはともかくとにかくバトルしろってクエストが多い。そしてそのクエストをクリアすると色々とゴールドジェムが貰えるのだ。これをやらない手はないだろう。

 というより早く女の子カードのパンツを確認したい。

 

 ……が、誰でもいいってわけでもない。

 少なくともこのカードショップにいるプレイヤーはダメだ。明らかに強そうな雰囲気があるからな。

 多分相当に慣れた連中だ。そんな奴らとはバトルしたが最後、パンツを拝む前にライフを飾られてぶっ殺されてしまう。

 

 なのでできればほどほどに弱そうな、あまり慣れてなさそうな人に挑みたい……! 

 あわよくばこの夏休みから始めました的な子供を狩りたい……! 

 

「はー、外で対戦相手を探すこともできると」

 

 カードショップを出て街中を歩くと、ちょくちょく広場を見かける。

 プレイヤーがスタンバイできる位置があるようで、そこで対戦相手とマッチングできるようだ。

 今も噴水の前で、二人のプレイヤーらしき男たちがバトルしている。

 

「マナを3支払って『トライデントワイバーン』を召喚! 相手の場にいるユニット一体に3ダメージだ! いい加減消えてくれ、『寄木のゴーレム』!」

「うお、除去握ってたか……! こりゃあまずい……!」

 

 三本の長い角を生やしたワイバーンが空に叫ぶと、雷が落ちてきた。

 落雷が直撃した木製ゴーレムは黒焦げとなり消滅。……ガラ空きになったな。

 

「そしてオーバーポイントの最後の一つを使い、『トライデントワイバーン』に『メテオワイバーン』をオーバーライト! 召喚時にプレイヤーに3ダメージを与え、そのまま速攻で直接攻撃だ!」

「うわぁああああ!?」

 

 星の輝きを身に宿したワイバーンの特攻により勝負は決したようだ。

 なるほどな……。

 

 ……使ってるカードなんもわかんねぇ! 

 ええ……? ワイバーンってそんな強化されてんの? 色々種類あるしなかなか良いやん……

 

GG(グッドゲーム)、対戦どもでした!」

「GG! 負けたよ、強いね」

 

 なんて考えているうちに対戦は終わっていた。遊んでいた二人は知り合いだったらしく、親しげに話していた。

 

 ……うん、間違いない。さっきの対戦を見て確信した。

 

「相手を選ばなきゃボコボコにされるわ」

 

 カード性能差の暴力で圧倒されそうだ。

 流石の俺も一方的にやられるだけってのは萎えてしまう。

 

 良い感じに弱そうな相手、いないだろうか。街の外はさすがにダメか? 

 ……お、向こうに花畑がある。行ってみよう。

 

 街の外れには真っ白な、花弁の多い百合みたいな花が無数に咲き誇っている。整備された花畑というよりは、勝手に存在する畑といった感じのようだ。

 俺はパッと見て綺麗な花畑に圧倒された。

 

「……綺麗だな……」

「はぁ?」

「え」

 

 誰もいないからこそ溢したつもりの独り言だったのだが、反応する相手がいたらしい。

 真っ白な花の中に埋没するように描かれていた、銀髪ロングの少女であった。

 

「この馬鹿みたいな花が綺麗って……おにーさん、さてはなーんも知らない新規の初心者プレイヤーだね?」

「えっ、はい」

「てか、頭の上に若葉マーク浮いてるし。初期アバの服着てるし。なーんも知らなさそうだよね」

 

 俺が答えると、少女はニヤリと笑った。

 座っていた切り株から立ち上がり、ワンピースの裾の汚れを払う。

 

「じゃあさ、一緒に遊ぼうよ。せっかくだし、私がおにーさんに色々教えたげる」

 

 そう言って、少女はデッキを俺に向けて構えるのであった。

 

 

 

 ……えっ、何かのご褒美イベントですか……? 

 

 

 

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