HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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ジョイステーションソフト 『グリードアイランド』(制作発売元 株式会社マリリン)

 ハンター専用ハンティングゲーム。1987年に100本限定、58億ジェニー現金一括払いで発売されたが2万件以上の申し込みがあった。
 ゲーム1本あたり8名が参加可能なので、理論上800名まで同時にプレイできる。ただしハンターとしての実力がなければまともにプレイもできず、ゲームから現実にも戻れない。

 発売1年後の1988年に、大富豪バッテラ氏がゲーム自体に170億ジェニー、クリアデータ入りロムカードに500億ジェニーもの高額懸賞をかけたために、幻のゲーム伝説が不動のものとなった。


グリードアイランドに転移した
序章 グリードアイランド 始動前夜


「ジンさん、やはり『指輪』は実物より、具現化の念で作り出したほうが問題が少ないので仕様を変更した、とのことです」

 

「そうか」

 

 リストは、プログラミング担当イックションペからの伝言をジン・フリークスに伝えた。ベータテストの結果から、『指輪』について調整を行ったのだ。

 

 ここは【グリードアイランド城】。バルコニーからは【城下町リーメイロ】が見えるが、ゲームが始動前のため、建物からは明かりは全く見えない。今は月明りでぼんやりと屋根がみえるだけだ。ゲームが始動した後は見事な夜景が広がるだろう。プレイヤーが見れるようになるのはいつになるか不明だが。

 

 「『指輪』は、現実にも持ち出す仕様になります。プレイヤーが増えれば増えるだけ、『指輪』をたくさん用意する必要があるんです。エレナさんが、「私にどれだけ大量に、『指輪』に”神字”を書き込ませるのよ!」と、ぶち切れまして・・・」

 

 ゲームマスターの一人であるエレナ。彼女は『グリードアイランド』が始動すれば、入口である『シソの木』でプレイヤーのログインや初期のルール説明を担当することになっている。しかし”神字”のスペシャリストでもあるので、ベータテストで使用した『指輪』を作成していたのだ。

 

「『指輪』をプレイヤーの数だけ具現化して、運用するためのオーラの量は足りているか?」

 

 『グリードアイランド』をプレイするために絶対に必要な『指輪』。これは初めてプレイヤーが『グリードアイランド』にログインしたときに渡される。

 プレイヤーが新たにゲームを始めれば、必ず必要になってくるので、実物の『指輪』を毎回用意するとなると『指輪』の製造担当をしているエレナが大変過ぎた。

 

「囚人の量を増やして対応します」

 

 『グリードアイランド』はコトリタナ共和国と同じぐらいの大きさがあり、ゲームとして運用するには大量のオーラが必要になってくる。そこで、トリックタワー刑務所から囚人を派遣してもらい雇用することで、囚人のオーラをゲーム運用に利用できるシステムを構築している。

 

「ただ・・・刑務所との交渉を担当していたイータさんが、アイテム運用作業で忙しくなってしまいました。そのために、ドゥーンさんが代わりに追加補充をしてくれたんですが・・・」

 

「うん?」

 

ジンが怪訝な顔で聞き返した。

 

「すっごい適当でして、多めに派遣してもらっちゃったみたいなんですよ」

 

「ははは、ドゥーンらしいな」

 

「笑い事じゃないですよ、先日の囚人脱走未遂事件のこともあります」

 

 ベータテストの中に、【懸賞都市アントキバ】のキャラクター役として配置されていた囚人が、ベータプレイヤーを襲って『指輪』を奪い、島の外に脱走しよう計画したのだ。

 幸いレイザーが緊急のGMコールを受けてすぐ駆けつけて、囚人を粛清して対応した。

 

 「襲われたベータプレイヤーは、回復させた後にドゥーンさんが謝罪してゲームの外にお帰りいただいたんですが、そのどさくさでベータ用『指輪』も回収したかどうかわかんなくなっちゃたみたいですし」

 

「どうせあの汚い部屋のどこかに転がってるさ」

 

 リストは重い溜息をついた。

 汚部屋の住人と化しているドゥーン。今後は絶対に重要アイテムを任せてはならない、と改めて心に誓う。

 

 

:::ベータプレイヤー用『指輪』:::

 

・装着して「ブック」と唱えるとベータ仕様の『本』が出てくる。

・『本』にはフリーポケット15枚が入る。

・カード化したアイテムは、1分以内に『本』に納めないとカード化解除される

・カードをアイテムとして使用したい場合は「ゲイン」と唱える。

・一度カード化解除されたアイテムは2度とカード化されない。

・緊急時やバグを発見した場合に限りGMコールができる。

・一定時間装着されないと、近くにいる人物の指に自動的に装着される。

 

::正式運用の『指輪』::

 

・装着して「ブック」と唱えると『本』が出てくる。

・『本』は指定ポケット100枚とフリーポケット45枚が入る。

・カード化したアイテムは、1分以内に『本』に納めないとカード化解除される

・カードをアイテムとして使用したい場合は「ゲイン」と唱える。

・一度カード化解除されたアイテムは2度とカード化されない。

・プレイヤーが死んだ場合は、指輪は破壊されてカードはすべて消滅する。

 

 

「キャラクター役の囚人には犯罪防止用ギアスの強化が必要だな」

 

 万が一、囚人の脱走をゆるせば、ジンたちが処罰されてしまう。ベータテストで早めに問題点が判明したので良かったといえよう。

 

「わかりました。それと指示通り緊急連絡用のGMコールは削除済みです」

 

「ありがとう。そうだベータプレイヤーからの評判はどうだった?」

 

「大好評です。正式な運用はいつからだとの問い合わせがありました」

 

 ベータテストの目的は、バグの発見と、もう一つ、ゲーム内のアイテムを実際に使用してもらうことで、アイテムの効果を実感してもらうことだった。

 

 『グリードアイランド』のアイテムは、新世界で採取されたものを念でコピーしたものまである。まさに魔法のような効果を発揮する垂涎の品ばかりだ。

 

 もちろんベータテストのプレイヤーには、ゲームの内容について守秘義務がかせられている。だが、アイテムの効果に魅了されたり、『グリードアイランド』にしかないアイテムが欲しいと思った場合には、正式リリースがされた時にはどんな手段を使ってでもお金をかき集めて購入しようとするだろう。

 

 そして、そんなベータプレイヤーのなりふり構わない行動に、他のハンターたちが疑問を感じたら・・・かならず『グリードアイランド』というゲームに食いついてくるはずだった。

 

「もともとハンターになるような奴なんて、好奇心旺盛なやつがほとんどなんだ。絶対に評判になるにきまってる」

 

「『グリードアイランド』が売れるかどうかよりも先に、私たちには先にデバック作業がありますよ。ベータテストプレイヤーの行動もそうですが、プレイヤーとこちらの念能力の相互干渉で不具合が発生した箇所がいくつかありましたからね」

 

「ベータプレイヤーの動向は、入口のエレナと出口のイータが追跡監視してたから、あいつらに任せれば大丈夫だろ」

 

「まったく。また双子に左右から詰められますよ」

 

 なにしろベータテストプレイヤーは現実世界ではなく、ゲームの中に入り込んだと思っていたのだ。かなり突拍子のない行動を起こしていた。

 

二人は話しながらバルコニーから遠ざかっていく。

 

「正式運用を開始したらカイトさんがジンさんのお子さんを連れてくるそうですね。大きくなったら挑戦するんですかねえ」

 

「さあどうだろうな。だれが挑戦するにしても楽しんで貰いたいな」

 

「そうですね」

 

 

*****

 

 ベータテストも終了し、修正変更を経て『グリードアイランド』は発売された。

 

 ベータテストの際に、アイテムの効果で若返った者や髪の毛が戻った者、片腕を欠損していても回復するなど、さまざまな素晴らしい効果を体験した者たち。彼らは、ゲームから帰るとその効果が消え去り大変がっかりした。

 

 もちろん守秘義務もあるので、他人にアイテムの効果などは話さなかったが、正式運用されればゲームクリアの報酬としてあのアイテムを持ち帰れるのでは?という期待もあり、絶対に入手しようと情報収集を怠らなかった。

 そうしたベータテスターたち行動が期待感をあおり、超高額な販売価格やハンター専用ゲームにもかかわらず2万人以上の申し込みがあったのだった。ジンと仲間たちの想定通りに、『グリードアイランド』は発売後直後から幻のゲームとなっていた。

 

*****

 

 だがジンとその仲間たちも想定していなかった、≪イレギュラー≫な事態。それは異世界人が【アントキバ】の町に転移してしまったことだろう。『グリードアイランド』に入り込んだ異世界人は、現実とゲームシステムのはざまに存在することになってしまった。

 

 これはそんな≪イレギュラー地球人のおじさん≫が、苦労しながらもHUNTER×HUNTERの世界を楽しむ話。

 




初めて小説を書いてみました。スタイルが定まっていないので、書き方が変わっていく可能性があります。読みにくかったら申し訳ないです。

※クリア時の報酬って一般には知らされていませんでしたので修正しました。
 クリア報酬も不明なのに、定価58億ジェニーの高額で2万人も応募がある。どんな宣伝したんだ、辻褄合わせるの難しすぎる・・・。しかも2万人てハンター総数をはるかに超えるし・・・。

※相互協力型念能力「GREED ISLAND」
 【グリードアイランド城】地下にある”神字”で覆われた地下広間で、ジン・フリークスと11人の仲間たちが、そろって発を行うことで発動できる。
 マップ、カードシステムプログラム、イベントプログラム、イベントキャラクター、モブキャラクター、モンスター、建物等設置物、呪文カード効果、指定ポケットアイテム、アイテム効果発動、一般アイテム、外敵対策、雇用囚人管理、吸収オーラ分配システムなどをゲームマスターとしてコントロールできる。

※人物
ジン・フリークス 
 原作主人公ゴンの親父。グリードアイランドの制作最高責任者。『G』

リスト 
 原作で主人公たちがグリードアイランドをクリアしてグリードアイランド城に到着したときに案内役として出てきた。『L』

エレナ
 グリードアイランドの「シソの木」で、プレイヤーをログイン管理する。グリードアイランド内に入ってきたプレイヤーや、不正に外部から入ってくる侵入者を感知することができる。
 ただしベータプレイ時には別の業務を担当していて、ベータプレイヤーは感知できないバグが発生している。双子の片割れ。『E』

イータ
 グリードアイランドの「港」でプレイヤーのログアウト管理をする。双子の片割れ。『E』

ドゥーン
 グリードアイランド城でゲームクリア報酬の3枚のカードをいれる特別な「本」をくれる。
 部屋が大変汚く、何か物が無くなったらだいたいコイツのせい、と思われている。ベータプレイ時にアントキバで指輪を一つ回収し忘れた。「D」

レイザー
 指定カード「一坪の海岸線」を取得するときにボスとして出てくるほか、外敵対策や放出系スペルなども担当する。ベータプレイ時に脱走しようとした囚人を粛清した。「R」

イックションペ
 ハッカーハンター。会長選のときに28票も票を得るほどカリスマ性がある。
 グリードアイランドのプログラムを担当している。ベータテスト時に問題があった実物の『指輪』を廃して、具現化された『指輪』にすることにした。
 ベータ用の『指輪』は回収時して破棄したが、デバック作業が忙しかったために、全部回収したというドゥーンの言葉を信用して数を把握せずに『指輪』を破棄してしまった。
 それにより存在するはずがないベータプレイヤー用『指輪』がある、というバグが発生した。『I』

カイト
 幻獣ハンター。赤ん坊のゴンをグリードアイランドにいたジンに会わせるために連れてきた。

大富豪バッテラ
 恋人が意識不明となり絶望していたところ、グリードアイランドのクリア報酬にありとあらゆるケガや病気を治すアイテムがあると知って、ゲームに高額な懸賞金をかけた。

グリードアイランド内にいる囚人
 ハンター試験で出てきた刑務所「トリックタワー」。そこから雇用者のジンたちゲームマスターに絶対服従を条件に雇用されている。
 【敵キャラクターの役割】、【アイテムや建物を具現化するための電池のような役割】、【プレイヤー用と自分たち用の食料を生産する役割】でグリードアイランド内に存在し、一定エリア内なら雇用契約に反しない限り自由がある。犯罪防止用ギアスをつけられていて常に位置と行動を監視されている。

※ベータプレイヤー用の『指輪』から出てくる『本』は、ゲームクリア時にドゥーンからもらう本に似ています。
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