脇役とはいえ初めて原作に出てくるキャラクターに会えて、猛烈に感動する忠夫。
(猫のコックさんに会えた!
(こんな声だったのか)
この猫のコックさんが勤めるレストランは、大食いメニューを完食すると「ガルガイダー」というかっこいい名前の高級魚をくれるのだ。序盤でお金が無かったゴンとキルアは、ここで食事をしまくって食費をうかせるとともにアイテムをゲットする、という金策をおこなっていた。
「お食事はしないアルか?ここでは大食いチャレンジもやっていて、30分以内に完食すればお代はタダ!さらに『ガルガイダー』プレゼント!」
「あっ、いや・・・」
興奮しすぎて推しの聖地巡礼のようなつもりで、勢いで店に入ってしまった忠夫。そういえばお金もないことだし挑戦したいのはやまやまなのだが。
(ここのチャレンジメニューって)
(やばいぐらいのサイズに描かれていたんだよな)
ちらりと大食いにチャレンジ中らしきNPCのお客さんを見てみると・・・
(うげー絶対無理だ)
1mぐらいの宴会用大皿にいっぱいに盛り付けられた超大量のパスタ。それの5分の1ぐらいしか減ってない状態で死にそうな顔になっていた。
「い、今は食事は大丈夫です・・・」
「そうアルか、いつでもチャレンジに来るアル」
最近は油ものもきつくなってきた40歳。それにさっきおにぎりも食べてしまった。
(若かったら全然行けたんだけどな!)
なぞの強がりを心の中の誰かにする忠夫。大食いができるほうがなんかえらい、という謎の価値観があるおじさん忠夫。
なお、若くても大食いチャンピオンクラスじゃないと絶対に無理な量である。
(しかし・・・)
これからの食料のこと、お金のことは考えなくてはならない。
「あの、すいません」
「どうしたアル?」
「もうちょっと量が少ないチャレンジメニューはありますか?」
ねばる忠夫。たんに主人公たちと同じ場所で食事をとってみたいだけかもしれない。
ただのファン心理である。
・・・が、あっさり打ち砕かれる。
「そういうメニューはないアル」
(無いのかアルのか)
(わかりにくい語尾だよな)
悔しいので心の中でかなりベタな悪態をつく。がっかりしたが、気を取り直して探索を続けるため店を出ようとすると、
「そういえば、はす向かいの店でも、何かのチャレンジを企画していたアル」
と情報をくれる猫のコックさん。
(なるほど)
(こういうパターンでも情報収集できるのか)
(これはクエストを探し出すのも大変だ)
「そうなんですね、ありがとうございました」
礼を言って店から出る。
(これは聞いて回る前に)
(まずは行動の方針を決めよう)
いま聞いた情報はいったん置いておくことにして、落ち着いて考えるために近くの木陰の下のベンチに腰掛けた。それと猫のコックさんに会ったことで思い出したことがあったのだ。
(『グリードアイランド』内では)
(お金はカードの状態じゃないと払えないんだった)
先ほど『指輪』から出てきた『本』は、パッと見だがカードを入れるところが少なかった。あの時は気が急いていて、『本』を確認する前に探索に出てしまった。早めに見てみるべきだ。
「ブック!」
ボン!と音を立てて『本』が飛び出し宙に浮く。
やはり何度見ても不思議な光景だ。
自動的に表紙の扉が開く。
(やっぱり・・・)
(見開きの表紙側がコントロールパネル)
(反対側の片側は3つしかポケットがない)
(なんで原作と形状が違うんだ?)
(それに3ポケットじゃ全然お金が入らないぞ)
(買い物するときにやばい)
慌てて本を手に取る。
(おっ、後ろにページがある感触!)
続きのページがありそうなことに、とりあえず安堵する。そして指をかけてゆっくりとめくると・・・
「えっ!?」
左右3ポケットずつ、合計6ポケットのページが広がる。そのポケットの中には、
(何か『食料』が描かれたカードがあるんですけど・・・)
なぜか6ポケットのうちの3ポケットに『食料』カードが存在していたのだ。
(えっと?)
(どういうことだってばよ)
動揺のあまり思わずナルト口調になる忠夫。
(原作では初期の『本』は空だったよな)
(もしかして)
(グリードアイランドの初期はこれがデフォルト?)
(ゴンたちが遊んでいた時代と仕様が違ったのか?)
(途中でアップデートされたとか・・・?)
頭の中が?でいっぱいになる。
(次のページもあるぞ)
(疑問は尽きないが食料があるのはありがたい)
さっきからわからないことだらけで、疑問が積みあがっている状態だがしょうがない。疑問はおいてとりあえず全部のページをめくっていくことにするが、
「!!!!??!?」
次のページに収まっていたのは2枚のカード。それは
ランクーA 『隠れ家不動産』
ランクーA 『マッド博士の筋肉増強剤』
並みのハンターでは手に入れることがかなり難しいと言われる、Aランクのカードだった。
オレが若いときはあのくらいの量なんて大食いとは言わなかったよ!余裕だったね!(強がり)
忠夫は原作キャラに会ってちょっと浮かれている状態です。