HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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むかしRPGツクールを完成させずに途中で放ちゃった思い出


14 おじさん、地獄を味わう

(夜になっちゃったな)

 

 主要な店をまわり品ぞろえなどをリサーチしていると、辺りはすっかり暗くなっていた。街灯の明かりはしっかりと灯り、通りを歩いていても不便は全く感じられない。

 

(うわっ、昼と夜でNPCの行動パターンが変わるタイプなのか)

(会話パターンも違ってくるとなると相当面倒だぞ)

 

 RPGなどのゲームにはゲーム内時間が設定されているものがあり、昼と夜で会話や行動のパターンが変わるキャラクターがいることがある。

 

(猫のコックさんのお店は昼営業専門なんだな)

(となりの店はBARだから夜から営業開始だ)

(さすが10年以上もクリアされなかったゲーム)

(作りこみがすごい)

 

 時計を確認したところ18:00が切り替わりのタイミングのようだ。このぶんだと時間帯が関係するクエストもあるのではないだろうか。

 

 隠れ家で気が付いてからおにぎりを3個食べただけで、結局そのほかの食事はとらずに探索をしていたのでさすがにお腹がすいている。お金は無いが『本』の中にある『食料』カードを使ってみて、確認がてら食べてもよいのだが・・・

 

(『マッド博士の筋肉増強剤』は1日1リットル飲まないといけないからな)

 

 1リットルはなかなかの量だ。それにカード化を解除すると1リットル×10本×7箱で70本、約70kg分も出てきてしまい持ち運びに余計な手間がかかる。

 

(いったん隠れ家にもどろう)

 

 途中『花屋』の頑固なおばあさんが、隠れ家に通じるトイレを貸してくれなくて、何度かお願いしないといけないトラブルがあったがなんとか戻ってくることができた。

 

 いったんソファーに座るとどっと疲れが襲ってくる。

 

(いやー疲れたな)

(本当だったら朝早くからトレッキングの予定だったのに)

(なんだかわからないうちにハンターハンターの世界に来てるし)

(謎がどんどん積みあがっていくし)

(まあ後半はちょっとはしゃいで楽しんじゃった部分もあるけど)

 

 ちょっとばかり、このままソファーゆっくりしたいところではあるが

 

(いやお楽しみはこれからだ!)

 

 念能力が使えるようになるかもしれない一大イベントだ。

 忠夫はドキドキワクワクしながら呪文を唱える。

 

「ブック!」

 

 忠夫は『本』をだして一番最後のページを開く。

 そして一枚のカードを手に取り、

 

「ゲイン!」

 

 すると、ドスンという音とともに部屋の床に段ボール箱が7箱現れた。

 

 

::ランクーA 『マッド博士の筋肉増強剤』::

飲むとイメージどおりの肉体を得ることができる。1日1リットル1週間飲み続ければ

ならないが、おそろしく不味い。1リットルビン10本入りの箱、7箱セット

 

 

(ブック!の呪文もすごいけど)

(ゲイン!で物体が出てくるのも圧巻だな!)

 

 そしてひと箱を開け、1パックを取り出してみる。

 

(パッと見は1リットル牛乳パックにそっくりだな)

(パッケージは・・・うわー・・・)

(あからさまに目つきのおかしい白衣のおっさんがフラスコ持ってる)

(しかも液体の色が紫色でなんかボコボコしてる)

(・・・これを飲むのか・・・)

 

 見た目だけなら猛毒である。忠夫は浮かれていた気分がしぼんでいくのを感じる。しかし飲まないと始まらない。

 

 気を取り直してまずはパックの口を開けると・・・

 

「くっっっっさっっっっっ!」

 

 何とも言えない刺激臭が立ち込めてきて慌てて鼻をつまむ。

 

(ぐっ・・・臭すぎて涙出てきた)

(やばい人間が飲めるものなのか?)

(だけど・・・)

 

 

 

 

 

 気合を入れなおし強く強く念じる。

 

(強靭な肉体でオーラ量と念の資質を人類最高値まで高めた肉体が欲しい!)

(この世界で生き抜いていけるような!)

(死亡フラグをたたき折れるような!)

(そんな最高の肉体をください!)

 

 強く!強く!!強く!!!強く!!!!

 

 

 

 そして

 

 

 

 

 

「せーの!」

勢いをつけるために掛け声をして

鼻をつまんだままパックに口をつけると・・・

 

「ん"ん”ん”ーーーーーーー!!!!!!」

(やばいやばいやばいこれはやばいやばい)

(苦くて辛くてしょっぱくてすっぱくて甘くてどろっとしてピリピリしてまずいーーー)

 

 例えるなら、〇〇と△△と□◇を混ぜあわせて▲●の中で腐らせたものを□▽に塗って水分を飛ばして●◇でピーしたもののような味。

 

(逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ)

(一回口を離したらもう一度何か飲めない)

(なるべく舌につけないように一気に行くしかない泣泣泣泣泣泣)

 

 勢いで何とか胃の中に入れていく。

 

 どろどろとした熱くて冷たくて重くて刺激的な液体が食道を通過して胃に溜まっていく。

 

 何も考えないようにひたすら嚥下し・・・

 すこしずつパックが軽くなっていき・・・

 

 なんとか全部飲み切る!

 

 が・・・

 

(う”う”う”う”う”は”き”そ”う”う”う”う”)

 

 口をおさえてうずくまるしかない忠夫。なんとか耐えて波がおさまるのを待つ。

 

(・・・・・・・)

 

 どうにかこうにか最初の吐き気の波が去った。

 胃に振動がいかないようにゆっくりと動き、ソファーにぐったりと溶ろけたような体勢で座る。

 

(・・・これはやばい)

(もう一歩でも動いたらまた波がきそうだ・・・)

(これがあと六日分・・・)

 

 たまにくる嘔吐反応と戦いながらひたすら耐える。

 

 そして最後の最後に気力と体力を使い果たし、半ば気絶するように眠る忠夫だった。




※薬のまずさについて
薬のまずさは、元の体と変身後の体の差が大きければ大きいほど不味くなる、という設定です。

主人公の元のスペック
・地球人・普通のおじさん・週末たまにトレッキングする・旅行先で歩くぐらい・通勤で家から駅と駅から会社の往復歩く・お腹周りの肉が気になる・40肩になりそうな予兆があっておびえてる・持病は見つかっていない・念?なにそれ

地球人が念能力を使えるようになるんだから、文字通り地獄を味わいそう。まずさの表現って難しい
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