HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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15 おじさん、空腹で目覚める

 ぐうううぅううううう

 

(・・・・腹減った・・・・)

 

 忠夫は強烈な飢餓感に襲われて目が覚めた。

 

(何でベットで寝てないんだ・・・?)

(ソファーで寝たのか?昨日は酒吞んだっけ?)

 

 変な態勢で寝たからか、腰がとても痛い。

 

(ぎっくり腰とか勘弁してほしいな)

(ちゃんとベットで寝ろよ自分)

(いや・・・確か昨日は)

(土曜日で朝から高尾山に行こうと・・・)

 

「あっ!!」

 

 慌てて目を開けて起き上がる。

 

 自宅とは違う木の壁の部屋。

 脇に積まれた7つの箱。

 

「あー。夢ではない、と」

 

(昨日の激マズ薬を飲んで耐えてたのしか記憶がない)

(この世の全てのまずさを凝縮したみたいな味だったな)

(2度と飲みたくないけど)

(あと6回か・・・)

 

 忠夫はいったん忘れることにする。

 

(夢オチってことは無いのね)

(残念なのかどうなのか、なんか複雑な気分だな)

 

 残念な気分9割、ワクワクしてる気分1割といったところか。

 

(というかめちゃくちゃ腹が減ってるんだが)

(これって絶対あのゲロまず薬のせいだよな)

 

 学生時代の昼飯前か、それ以上の空腹感。

 すきっ腹にせかされるように洗面室で身だしなみを整えて隠れ家をでる。

 

 

「お客さん、トイレが済んだらとっとと出てっておくれ」

「!」

(これ毎回ビクッとなるな)

 

 昨日と同じように頑固そうなおばあさんがこちらを見ていた。

 

「おはようございます、トイレありがとうございました」

「・・・おはよう。花を買わないならとっとと出てっておくれ」

 

 

 【アントキバ】の街はちょうど明るくなりかけで、空の色が真っ暗から群青色へ変わってきていて、明るい星だけがかろうじて見えている。時間を確認すると朝の6時ごろだ。

 

(今なら!今ならあれにチャレンジできる気がする!)

 

 足早にメイン通りに向かって歩く。

 

(あった、猫のコックさんのお店!)

 

 店はちょうど開店準備をしているところだった。

 となりのBARは逆に閉店のために看板をしまっているところだったので、朝の6時と夕方の18:00が切り替えのタイミングなのかもしれない。

 

「おはようございます、食事できますか?」

「おはようアル。食事できるよ、チャレンジメニューもあるけどどうするアル?」

「ぜひ!チャレンジします!」

「じゃあこちらのテーブルへどうぞアル」

 

(本当は手持ちのお金が無いから)

(他のクエストをやって稼いだほうがいいけど)

(もう空腹の限界だ)

 

 忠夫はお腹のなる音を響かせながら食事が出てくるのを待つ。

 

(ゴンたちはチャレンジメニュー以外のものも頼んで)

(皿洗いという労働で支払ったはずだ)

(最悪の場合は同じ方法で支払うしかない)

 

「はいお待ちアル」

「30分以内に完食すればお代はタダ!」

「さらに『ガルガイダー』プレゼント!」

 

 昨日も見たチャレンジメニュー。

 大皿の超大量のパスタだったが・・・

 

(なんか不思議と行ける気がするな)

 

 体のエネルギーが全く足りていない。

 細胞一つ一つからエネルギーをよこせと催促されているような感覚。

 

 忠夫フォークを握りしめガツガツと食べ進める。

 大量のパスタを飲み込むように胃に入れていく。

 空腹感を埋めるようにひたすら手を動かす。

 本当だったら胃が膨らみ、お腹が大きくなっていくはずだが

 

(なんか食べたとたん消化されてる気がする)

 

 まったく体形が変わらない。

 

(全然いける)

 

 そういえばハンター試験のときに、試験管役だった美食ハンターのブハラが豚の丸焼き70頭を食べきって、クラピカが驚愕していた描写があった。

 

(てっきり漫画の大げさな表現かと思ったけど)

(彼は食べた食事量をオーラに換えて蓄えて)

(蓄えた量で念の威力とか効力が変わるのかも)

 

 忠夫は現在『マッド博士の筋肉増強剤』の効果で、体の状態を変化させている真っ最中だ。

 

(体が出す生命エネルギーは個人差がある、とのことだが)

(そもそも生命エネルギーが足りないか)

(変化するためにエネルギーが必要なのか)

(のどは乾いていないのにカラカラな感じだもんな)

(何にしてもこのチャレンジメニューがあって助かった)

 

 普通に食材を購入したり飲食店でこの量を食べようとしたら、いくら食費がかかるかわからない。そして、

 

 

「ごちそうさまでした」

「アイヤーやられたアル!見事10分で完食!賞品持ってくるアル」

「お待たせ。賞品の『ガルガイダー』アル」

 

:::ランクーF ガルガイダー:::

この島の3大珍味の1つ。外見からは想像できないほど繊細な味がある。メスの卵には長寿の効果があると信じられている。煮ても焼いてもうまい。

 

(余裕だったな、昨日は見るだけで嫌になったのに)

(というか・・・)

 

「あのーすいません」

「どうしたアル?」

「もう一回チャレンジできますか?」

「アイヤー!ほんとアルか?大丈夫アルか?」

 

(全然いける)

(自分の体が怖いぐらいだ)

 

「大丈夫です、お願いします」

「わかった、ちょっと待ってるアル」

 

 猫のコックさんをとても驚かせてしまった。もう一度料理を作るために厨房に向かう彼を見送る。

 

「ブック!」

 

 『本』を出して『ガルガイダー』を収め、カードを観察する。

 

(こいつは深海魚なのか?)

(なかなか怖い見た目だな)

(長寿の効果があると信じられている、って)

(指定カードの解説は断定口調だったから)

(指定カード以外はアイテム効果がないのかな)

 

 そんなことをつらつらと考えながら料理の到着を待ち・・・

 

 

 

 

「アイヤーやられたアル!見事13分で完食!賞品持ってくるアル」

 

 忠夫は「ガルガイダー」2枚をゲットしたのだった。




ゴンとキルアが10分と13分で完食していたのでタイムはそれに合わせました。
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