忠夫は手に入れた『ガルガイダー』2枚を『本』に納めたところでハッと気が付いた。
(そうだ)
(昨日、『本』のコントロールパネルを確認するつもりだったんだ)
忠夫の『本』は原作と形状が異なり、呪文カード用だと思われるコントローラーパネルも仕様が違っていたのだ。なぜかAランクのカードが入っていたことで、そちらの使い道に頭がいっぱいになってすっかり忘れていた。
(なるべく冷静になろうと努力はしていたが)
(やっぱり全然冷静じゃなかったな)
しかも部屋に戻った後はゲロまず薬を飲んだせいで半ば気絶してしまい、それどころではなかったのだ。
さっそくパネルを見てみる。
(やっぱり呪文カードを入れるポケットが無いな)
原作の『本』は、
・ページの上部3分の2がモニター画面
・モニターは、他プレイヤー選択や呪文で相手カードを確認できる
・下部3分の1はコントロールパネルで、下記で構成されている。
上下左右を選択するための十字キー
使用呪文ポケット
『交信』で他プレイヤーと話すためのマイクスピーカー
交信の接続・切断を選択するボタン
※原作14巻16ページを参照してください
対して忠夫が持っている『本』は
・サイズが小さい(クリア時に貰えるものと同サイズ)
・見開きでカードが全部で6枚しか入らない、
・『本』全体でも15枚しか入らない
・表紙を開いたページの片側面がコントロールパネル
・パネルには下記で構成されている。
上下左右を選使択するための十字キー
使用呪文ポケットの代わりに小さいモニター画面
『交信』で他プレイヤーと話すためのマイクスピーカー
交信の接続・切断を選択するボタン
(画面が小さっ!)
(呪文はどうやって使用するんだろう)
明らかに画面サイズが小さくて使いにくそうだ(カードとほぼ同サイズ)。
わからないことが多くていろいろと触っていて、交信ボタンを押した時。画面モニターが点灯した。
選択してください
▶『交信』プレイヤー選択
カードの交換
ゲーム不具合の報告
ヘルプ
終了
(!?)
(こんなユーザーインターフェースだったのか)
(でも交信って呪文だったよな?)
本来『交信』(コンタクト)は、呪文スペルを『本』にセットするか、手に持って唱えないとと発動しない。断じて『本』だけで連絡はとりあえなかったはずだ。とりあえず一番上を選択してみる。
『交信』プレイヤー選択してください
▶ ●バッジ
●ハーキュウ
●エツリョウ
●ニジェル
●ヨウドム
●フティ・フティ
●オーアク
戻る
「えっ」
(どういうことだ?いつ会った?)
(ゲームはまだ開始されていないはずでは)
(そもそも呪文使ってないぞ)
『本』のリストに載っているということはどこかで会ったか、20m以内にすれ違ったということだ。
急に誰かから監視されているような錯覚に襲われ慌ててしまった忠夫は、ボタン操作を誤って『交信』プレイヤーを選択してしまった。
「やばっ!!」
対象プレイヤーは選択できません
▶ 戻る
(たすかったーー!)
どうやら対象プレイヤーはゲームの外にいるか、または亡くなってしまったようだ。
すぐに「戻る」を選択する。
(名前の横が今選んだ【バッジ】と同じく全員●だな)
(ということは全員現在ゲーム内に存在してないのかな?)
名前の左横のマークが「◯」ならゲーム内に存在
名前の左横のマークが「●」なら存在しないようだ
(総合メニューに戻ってみよう)
(ヘルプがあるな、見てみよう)
選択してください
『交信』プレイヤー選択
カードの交換
ゲーム不具合の報告
▶ヘルプ
終了
確認したい項目を選択してください
▶クリア条件
報酬とボーナス報酬
不具合を発見した場合の報告方法
ベータテストプレイヤー同士の交信方法
『指輪』からGMコールをする方法
注意・特記・免責事項
もどる
***
忠夫はひととおりヘルプを読み込んだが、内容はなかなか衝撃的であった。
(そうか、この『本』はベータテスト用のものか!)
(とすると、『本』の中にカードが残っていたり)
(グリードアイランドがまだ正式に開始されていなかったり)
(そういった理由が少しはわかる、かも?)
(今まで謎だった点や、最初のアナウンスの内容から考えると)
・忠夫がベータテストプレイヤーだったが記憶を失った
・ベータテストプレイヤーと入れ替わった(乗り移った)
などが考えられるだろうか。
だが『グリードアイランド』は「発」をしないと入れないが、現状で忠夫は念には目覚めていない。また最初の隠れ家で目覚めたときにおにぎりと水筒のお茶を飲んだが、朝に作ったはずだがおにぎりが古くなっていたりお茶が冷たくなっていたりはしなかった。とても時間がたっているようには感じなかったので、記憶を失った説はちょっと難しそうに感じる。
(どちらにしてもゲームに取り残されているのだから)
(鍛えつつ街の脱出、島からの脱出を目指すことに変わりないか)
その後、怖々ながら『交信』でほかのプレイヤーにもコンタクトをとってみようとしたができず、
結局、判明したのはこの『指輪』と『本』はベータテスト用なので、現在ではカードの収集にしか使えないということであった。
まとめ
本の仕様が原作と違うのはベータテスト用だから
機能はカード収集のみ
島から脱出する目標に変わりなし
※ヘルプに書いてあるのは、「閑話ー1 ベータテスト」と同じです。
開発ネーム『G.I』のベータ版のテストプレイをしてクリアを目指すこと
このゲームは『発』をしてゲームの中に自分が入り込んでプレイする
敵を倒したり、採取したりし様々な方法でカードをゲットする
難しい条件のカードほどレア度が高い
クリア条件はAランクのカード6種類を集めてSランクに交換すること
依頼期間は最初にクリアする者が出るまで
前報酬として1億Jが支払われる
最終日にテストプレイに怠慢が見られなければ報酬1億Jが支払われる
最初にクリアした者にボーナス報酬15億Jが支払われる
ベータテストプレイヤー同士の戦闘を禁止する
バグを発見してそれが初めて発見されたものなら別報酬が支払われる
別報酬はバグの重大度を査定して100万~3億Jが支払われる
バグは『本』に搭載されている『交信』で『GM』を選択して利用する
『交信』は他のベータテストプレイヤーとの連絡手段として利用できる
『指輪』にはGMコールが搭載されているが使用は緊急時に限る
人間の五感も再現していてあまりにもリアルなので
このゲームのゲームオーバーは現実世界の死を意味する
ベータ版はプログラムの作動確認やバグの発見が主目的
そのため難易度は低く、探索可能な範囲も狭めていて危険は少ない
ゲームに関しては守秘義務があり内容を一切漏らしてはならない